祝!の(週刊 自転車ツーキニスト95)
発行日時: 2002/7/3----------------------------------------------------------
【週刊 自転車ツーキニスト】"Weekly Bicycle Tourkinist"
梅雨寒の95号
■梅雨だからさ……
このところ暑いんだか寒いんだか分からない、降るんだか降らないんだか分からない、ヘンな天気が続いてますよね(首都圏)。朝出かけるときに迷うんだ、今日は自転車どうしようかなってね。
で、電車で行って、夜になり「何だ降らなかったじゃん」ということがあまりに重なったもので、私はもう決めてしまいました。
迷ったときは自転車でいく。
精神衛生上、コレが一番よろしい。今のところ勝率は7割というところです。今年ってカラ梅雨なのかしら?
でも、一般的にはあまりオススメではないすよ。無理をしないことも肝要ですよってにね。雨天ツーキニングは決して安全じゃないし。
■パナレーサー「ツーキニスト」続報
例の通勤専用タイヤ『ツーキニスト』のお話です。
この間、大阪のナショナルタイヤ・ミヤジ氏(開発者)が東京にやって来まして、お会いしました。色々聞いてきました。
一部で「幻のタイヤ」と呼ばれていたりする(店頭でなかなか見つけられないゆえ)『ツーキニスト』ですが、いったいその後、どうなっているのだろうか……、ってね。
ヒキタ「店頭でなかなか見かけないって言われてるんですけど……」
ミヤジ「大丈夫です。来月から、ようやく品薄は解消されます(*ミヤジ台詞はホントは関西弁)」
ヒキタ「品薄? つまり売れてるってことですかぁ?」
ミヤジ「何をおっしゃるウサギさん。それどころじゃない。フル増産体制なんですよ」
ヒキタ「?」
ミヤジ「大ヒットなんです。増産が間に合わないんですよ」
ヒキタ「と言いますと?」
ミヤジ「ほら、コレ見て下さい。この数字」
■と、ミヤジ氏は私に一枚のシートを見せた。
ミヤジ「詳しい数字は言えませんが、コレが我が社のもう一つのヒット製品『T-serv』ですが、『T-serv』の初年度一年間の売り上げがコレです。
で、『ツーキニスト』が、先月でこの数字。つまり『T-serv』の初年度1年間の売り上げを『ツーキニスト』は2カ月チョイで達成しちゃったんですよ」
ヒキタ「ホントですかっ?」
ミヤジ「ホントーです」
ヒキタ「ホントにホント?」
ミヤジ「ホントーーーーです」
私は驚愕した。
「幻のタイヤ」との噂は、確かに本当だった。しかし、実は私はココロのどこかで「単に生産が少ないだけなんじゃないかなぁ」という受け取り方をしていたのだ。
だが、それはまったくの勘違いだった。勘違いのコンコンチキだった。パナレーサー「ツーキニスト」は売れまくっているのだ。大ヒットなのである。
■ヒットの理由を考える
私が思うに理由は3つほどある。
1つ目は「高級パパチャリ」すなわちクロスバイクのブームだ。
この高級パパチャリ族が、最初から『ツーキニスト』を履いてくれているという現実があるのだと思う。値段が手頃だからね。『ツーキニスト』は。
2つ目が、勿論のことだが、自転車通勤人口の増加だ。中でも当初、MTBでツーキニングし始めた人が「やっぱ街乗りはスリックだわ」とスリックに履き替える。その際に「どうせだったら、例のヤツ履いてみるか」と『ツーキニスト』に履き替える、というところだろう。ジャンル別に見ると『ツーキニスト for MTB』が、売り上げのほぼ半分を占めていることからも、コレは頷ける話だと思う。
そして、最後の理由が一番大きいと思うのだが、実際、『ツーキニスト』は出来がイイのである。
そろそろ、色んな人から「オレもツーキニスト履いてるよ」とメールが来たりする。一番多い感想は「全然スピードは損なわれないのに、安心感が全然違う。段差も平気で乗り越えるようになった」というようなモノだ。コレは初心者に近い人から、かなりの「通」にまで共通している。
「色もうまくばらけてましてね、黒、白、赤、青、黄の5カラーが、それぞれほぼ5分の1ぐらいずつ売れている。若干ブラックが多いには多いんですが、黒が売れるのはむしろ当たり前でして、それ以上に特徴的なのは、赤、青、黄のカラフルなヤツが売れてるということ。これは、たぶん女性ツーキニストが増えてる証拠だと思いますよ」
とミヤジ氏は言う。
ふーむ、なるほどー。私は嬉しいよ。祝・ツーキニスト大ヒットだ。大感謝だ。皆々様にも深く感謝申し上げる次第です。ミヤジさんにも、ありがとぉぉぉぉぉぉぉ(谷村新司風)。
というワケで、もうじき品薄は解消されるということです。是非是非店頭でお見かけの際にはお手にとって見てみて下さい。
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【ヒキタ解釈のオススメ本(たまに非オススメあり)】
「暗鬼」井沢元彦著(新潮文庫)
このコーナー2度目の登場の井沢元彦先生です。前回は「逆説の日本史」で登場でしたね。週刊誌連載では現在「秀吉」の章であります。「逆説」ホント面白いよなぁ。
さて、この「暗鬼」もオススメ本であります。司馬遼太郎なんかに通じる「時代小説」の入門編として(短編集だし)、結構イケル部類だと思う。ストーリーのひねりもかなりコッてるし、「光秀の密書」など本格ミステリーに通じる謎解きも面白い。 男の怨念を描くのがうまい。快調なテンポも心地よい。
ただし、だ。
井沢先生の本って、ピンとキリの幅がめちゃくちゃ激しくないか?
この人は、ノンフィクションか歴史小説に徹した方が良いと思う。「逆説」「言霊」「天皇になろうとした将軍」の手合いは文句なく面白いし、分析も精緻だ。また上記の「暗鬼」「壬申の乱」あたりの歴史小説も、いけてる。
それなのに、ああ、それなのに、この人は現代ミステリーを書くのだよ。
そして、それらの作品群が失礼ながらいちいち駄目。登場人物の造形がいっつもステレオタイプ。主人公が30すぎのハンサムな独身男で、ヒロインがそれに憧れる美人女子大生。そんな設定ばっかり。それで中途半端に「古代の謎に挑戦」しちゃったりするのだ。
古代の謎の内容そのものは面白いのに、それを解こうとする現代ミステリー部分が陳腐。同じ人間が書いているとは到底思えない。
なんでだろ?
私が思うに、デビューが「江戸川乱歩賞」というのに原因があるな。
受賞作の「猿丸幻視行」は、その「歴史の謎解き」と「現代ミステリー」との融合が奇跡的にうまくいった希有な作品だったのだけれど(コレはコレでかなりオススメ本)、乱歩賞はあくまでミステリーに与えられる賞だから、このデビューによって井沢先生は「ミステリー作家」のカテゴリーに入ってしまった。
当然のこと、出版社からの注文は「ミステリー」ばっかしだ。
新人作家・井沢元彦はその注文に応えざるを得ない。彼は粛々と「新幹線ミステリー(東京新大阪の3時間で読み捨てられるお手軽ミステリー)」の類を書いていったのだろう。
たぶん最初っから、自分自身でも「オレは現代ミステリーより歴史物に向いてるよ」と思っていたに違いない。現在の彼のいる位置は、そこからもがいてもがいて脱出して、ようやく「好きなモノを書かせてもらえるようになった」というところなのだ。
私はそう思う。違うかなぁ。
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