ちょっと長めの(週刊 自転車ツーキニスト73)
発行日時: 2002/1/20----------------------------------------------------------
【週刊 自転車ツーキニスト】"Weekly Bicycle Tourkinist"
成人式、出ましたか? 何年前でしたか? の73号
■もう15年も前
私は東京港区の成人式に出ましたがな。三田の何とかいうホールだったような。
その当時は白金台に住んでいたもんでね。オヤジの勤めてた会社の社宅があったのだ。当時は「シロガネーゼ」なんてあんまりいなかったぞ。
まあ、それはイイとして、当時からうるさかったよ、成人式。別段、今に始まったことじゃない。
会場の後ろの方は「ひっさしぶり〜、元気ィ〜〜?」の若人だらけで、ステージの話なんて聞こえない。当時はまだケータイがなかった、というのが唯一の救いかな。今とそれほど変わらないよ。
その時の港区は、今は亡き逸見政孝さんをスピーチに呼んでてさ。怒ってたよね、やっぱり。「少しは静かに出来ないんですか」とか言って。当たり前だよな。
実を言うと、私も怒ってたんだ。
私の故郷は宮崎県だから、港区の成人式なんかに行っても、知ってる人が一人もいないわけ。ロンリーなのだ。だからひたすらステージ上の話を聞くわけだけど、周りがうるせえのなんのでさ。
成人式なんつって、ガキの集まりだ、ぶつぶつ、なんて、一人で憤慨してたりした。ヒキタ二十歳の冬。
まあ、宮崎県日南市の成人式に出てたら、また、違う感じを持ったのかもしれないんだけどさ。
ただ、ニュースなんかで見たでしょ、
今年の成人式は全国的にひどかったなぁ。
何がひどいって、浦安でディズニーランドに連れてったり、どこの町か忘れたけど、オークションやったりするヤツよ。バカたれが。若者に媚びてどうする。
バンジージャンプでもやらせとけっつうんだよな。ライオンを槍一本で倒す、なんてのもいいぞ。ココはアフリカかっつうの。 あ、割礼なんてのもあるぞ。何じゃそれ。
でさ……。
■少年よ、大志を抱け
わははは、何、このタイトル。オレは山口瞳かっつうの。「新入社員諸君、人生は大変なんだ」なんちてね。何だかニュースで成人式見てて思ったワケなんだけどさ。
もちろんクラーク博士の言葉です。"Boys, Be ambitious!"の日本語訳だ。邦訳として、とても美しい訳。正確には「少年よ、野心的であれ」もしくは「野望を抱け」の方が正しい。
いや、むしろ「野望」というギラギラしたイメージの言葉を、わざわざ少年に呼びかけるところに、このフレーズの妙味はあるわけで、「大志を抱け」では、若干、道徳的に過ぎる憾みが残る。
でも、野望でも大志でも、まあ、イイ言葉だ。
少年よ、大志もしくは野望を抱こうよ。
■少年よ、夢でも見るか?
さて、昨今、このクラーク博士の言葉を現代風に言い換えるのならば、「夢をあきらめないで」の手合いの「夢」関連フレーズとなるのだろう。多いよね、実際。流行りの歌の中でも、テレビ番組の中でも、「夢」は溢れかえっているよ。
「一度は捨てかけた夢」とか「夢を叶えるためフリーターに」とかね。「この後、予想だにしない展開がぁぁ」とか。あ、コレはちょっと違ったか。正月番組の影響が今頃出てるな。
で、実のところ、私はこの「夢関連」のフレーズが嫌い。
何か、いちいちカンにさわる。何、このふわふわとした軽薄感は、と思う。
だいいち、その「夢」とやらの内容が、ロックスターになるとか、役者になるとか、アイドルになるとか、サッカー選手になるとか、その手の解りやすくて華やかなものばかりなのは、何でなのだ?
そして、その裏に匂う「何か楽して稼げる方法ないかな、ラッキーなことないかな」というような、どこか浅ましい感じは何だ?
■野望と夢の差
野望という言葉の良さは、そのギラギラした感じ、まさにそのものにある。
コレを叶えるためには、腕の一本がなくなろうが、1年徹夜が続こうが、3年メシを食わなかろうが、必ずやり遂げる、やるったらやるぞ、そのためには泥水でもすする、人に後ろ指だって指されてみせる、という、いわば目的遂行のための「意志の力」だ。どてらい奴だ。そこには他力本願などない。
目的を遂行するために払う代償、努力。それを覚悟した上での将来の希望、だから潔い。
大志だってそうだよな。こちらには、さらに「こころざし」という名の、自らの理想像の提示すらある。実にカッチョイイぞ。
それが「夢」になると何だか話が変わってくるのだ。どこか他力本願。意志が見えない。
取材などで(私の本業はテレビ屋なのです)色々な人と出会う中、「夢を叶える」というフレーズをダントツで一番連呼した、ある種の職業の人たちがいる。
何の商売の人だか分かります?
正解は「ホスト」です。本当にホストという種族の人々は、誰もが「夢」を言う。あらゆる職種の中でダントツ。コレはたぶん私だけが言うのではなく、事実だと思う。彼らは100人が100人、「でっかい夢を叶えるために」ホストになったのだ。
で、その彼らの「でっかい夢」とは何か?
答え。ポルシェに乗って、六本木の億ションで暮らすこと。つまりは金持ちになること、コレだ。
そのために彼らは日々お世辞を言い、ウソを言い、女性に貢がせ、何股もかけるのだ。
え? と思いません? 私はコレを聞いて、どこかザラリとした違和感が残った。
でっかい夢? いやぁ、オレならポルシェじゃなくてフェラーリだぁぁ。なんてね。そんな話ではありませんね。
■夢は儚い
まあいい。金持ちになること、それが夢でも構わない。
ただ、それを叶えるために、まっとうな自助努力をするかどうかだ。汗をかいてどれだけ頑張るかだ。
より安易な道、そして、ラック。これが現代の「夢」の本質なのではないかと私は疑ってしまうのだ。そして、最初のフレーズに戻って言わせてもらうと、それを年若き少年たちが望んでちゃ、いかんのではないか、と思うのだな。
現代の少女たちの夢のナンバーワンが「モーニング娘。」になることだという。
確かにね……。あんなにチヤホヤされて、楽しそうで、あの中の1人になら自分でもなれる、と思うよね。そして、自分がその中に入っていないのは、単に運が悪いから、とも思えるよね。たぶんそれは真実だ。
でも、なれないよ。つんくは決してキミを選んでくれない。これもまた真実。
「夢」は決して叶わないのだ。ならば叶うのは何か。
それは「理想」だと思う。
■少年よ、理想を語れ
夢を持ちにくい時代だ。正直言って大志だって野望だって持ちにくいよ。
誰もがイチローになれるわけでもないし、「モーニング娘。」になれるわけでもない。ならば叶えるべきモノは何か。それは人それぞれの「理想」だろう。今よりも良い自分の姿、社会の姿。こうあれかし、と思う理想の姿。
その理想に近づくべく努力するのだ。
「モーニング娘。」になれないのなら、別の道を選ぶ。そして、その道にも、どの道にも理想は待っている。その新たなステージで、より良い自分、カッチョイイ自分になるために努力する。それが理想を持つということだろう。
理想の大人とはどういう大人なのか。家族思いの大人なのか。誠実な大人なのか。正義感の強い大人なのか。そして、それらがやがて、自分にとっての職業、つまり、理想のエンジニア像とは何か、理想の銀行員とは何か、と、そういったものに化けていく。
さらに言うと、理想ならば、何歳になっても描けるぞ。
現在、わたしが35歳。まあ、実現されてない理想ばかりでもあるんだけれど、でも努力していれば、その理想は姿を変え、大きさを変えながら、いつかは手に入る。かなう。と、そう思う。
文字通りに、夢は儚い。けれど、理想は強いのだ。
それを追うのが人生を生きるということではあるまいか、なんて思ったりするのだね。
■さて自転車だ
ウチの妹が(私には妹がいるのです)、プジョーのカデットというマウンテンバイクのようなモノを持ってるんだけど、それを手放したいというのですよ。ちょっと古い。5年落ちだったかな。色は白。なかなかキレイです。買った当時の値段が6万円弱。
誰か8000円程度で買ってくれる人いませんか? おまけに「自転車生活の愉しみ」サイン本をつけましょう。こちらはもちろん新品。
私が整備しておきます。
東京葛飾区もしくは江東区まで取りに来ることが出来る方。通勤に向くかどうかは何とも言いがたいですが、ママチャリよりは多少はマシかも知れません。
また首都圏ばかりですいません。何度か「メルマガは全国版でしょ!」とお叱りを受けたこともあるんだけど、こういうのばかりはちょっとね……。もちろん「博多からとりに来ます」なんて人がいらっしゃるなら、それはそれで感激なんすけど(当たり前だ)、飛行機代の方が高くついてしまいますしね。
■そうそう
私のウェブサイトのヒット数がついに40万に達しました。
開いてちょうど2年。皆さまのおかげです。ありがとうございます。
え? 最近、全然更新されてない? はい、すいません。何とかします……。
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【ヒキタ解釈のオススメ本(たまに非オススメあり)】
「超ジャズ入門」中山康樹著(集英社新書)
読んでるのを人に知られて、最も恥ずかしい本と言ったら何だろう。
フランス書院の「女教師マユミ・秘密の実験室」の類じゃろか? うーん、そりゃまあ確かに恥ずかしいには恥ずかしいけど、もう大人だ。そんなのはワハハとやり過ごせるよな。
私としては、一番恥ずかしいのは、本書の類だと思う。いや、ココに載せてて実に恥ずかしい。本屋のレジに出すのも恥ずかしかった。
たぶん、これらの本の表紙から透けて見える読者の像はこうだ。
「ジャズなんかのカッチョイイ雰囲気にとっても憧れてて、周囲に『何聴いてる?』なんて聞かれると『バド・パウエルとかチェット・ベイカーとか……、まあ、ジャズばかりだね』とか言いたいんだけど、実際にジャズ聴いてみると、どこがイイのやらさっぱり分からない。仕方がないから本でも読んで勉強してみようか」というような層。
げはははは、そっくり私のことですね。恥ずかし〜。
困った困った。でもホントなんだから仕方がない。
そういうようなワケで、私の本棚の奥の方には、この「ジャズ入門」の手合いが、4冊ぐらいあるのだけど、その中で一番オススメなのが本書だ。昨日読んだ。難しいこと一切なし。ジャズ史なし。で、読み終えた今、私は猛烈にジャズが聴きたくなっている。
著者の中山氏はマイルス・デイビスに最も近しい日本人として有名なジャズ評論家なのだけど、一般的な目で見ると、多少、偏りの強い人なのだと思う。なにしろ「ジャズはマイルス・デイビスだけ聴いてればいい」なんてことばっか言ってるのだ。本書もそう。タイトルも「超マイルス入門」とでもした方がいいぐらい。
しかしながら、その偏りぶり、偏愛ぶりが楽しい。ジャズに狂う楽しさが全体に溢れてる。小難しいこと言わず、とにかく聴け、それもマイルスを、という感じ。
よし聴くぞ。明日になったらCD屋さんに行って「カインド・オブ・ブルー」でも買ってこようか。コレを読んだ後だから、きっと今までと違った新たな地平が拓けてくるじゃろうて。
さて、私は「カッチョいいジャズファン」になれるでしょうか?
……、またしても失敗、に1万点。かな。
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【自転車通勤で行こう】
http://www.hoops.ne.jp/~japgun/
バックナンバーはこちら。
http://www.melma.com/mag/03/m00016703/
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