しばし戦争を忘れての(週刊 自転車ツーキニスト63)
発行日時: 2001/10/9
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【週刊 自転車ツーキニスト】"Weekly Bicycle Tourkinist"
連休あけのメルマ63号
■男と女
「危ない男」と「危ない女」。
どちらの方が危ないと思います?
または「危険な男」と「危険な女」。コレではどうでしょう?
危ない男と危険な男は、ほぼ同じ意味ですね。両者ともに「ちょっと格好よくてニヒル、迂闊にオレに近づくとヤケドするぜ」てな雰囲気。マイナス転じてプラスになった感じでしょ。
でも、危ない女と危険な女は違う。「危険な女」の方は男の方とほぼ同義。つまりは「魔性の女」の手合いということだ。だけど「危ない女」は違うよね。危ない女は、よりニュアンス的に正確に書くと「アブナい女」になってしまって、つまりは「ヘンな女」のことだ。アタマがヘンな女。
何でだろ? この差。
もう一つ、コレがジジババになるとさらに別の意味ができる。
「あぶない爺い」というと、コレはもう日本刀でも振り回しかねない、文字通りの危険人物扱いになる。垣根の向こう側にいっちゃってる、という感じだね。
だけど「あぶない婆あ」の場合は、ちょっと口うるさい元気な婆さんだって、そう言われかねないからね。つまりは爺さまほどは危険でない。
何でだろ?
外国ではどうなのだろうね。デンジャラスな男と女に違いはあるんだろうか?
まあ、でも、とりあえずは「アナタって危険な男」とかって呼ばれてみたいよね、男ならね。
■どうせならレースもやってみようかの秋
通勤ばかりの私は、レースの手合いにはあまり熱心でないのですが、週末になると身体がうずくうっ、という人がいらっしゃいますよね。ツーキリストの「どら村長」をはじめとして。
インターネット上で簡単にレース登録できるサイトがあります。「スポーツエントリー」っていうサイトでして、このサイト、実は私の高校時代の後輩がやっているのですよ。高校も同じならば、就職先も同じ業種、しかも同じ系列。
でも彼はすでに会社を辞めたのだ。仲間と会社を立ち上げインターネットの大海に泳ぎだした。いわゆるアントレプレナー。サイトが気に入ったら応援してやってちょうだい。
「スポーツエントリー」
http://www.sportsentry.ne.jp/
■東海大学が自転車活用本を出すそうだ
東海大学の教育研究所が「望星」という総合雑誌を毎月発行しているそうです。
私もはじめて知ったのだけれど、そのムックシリーズ「望星ライブラリー」の一つとして、「自転車主義宣言〜子どもからお年寄りまで 自転車で広がる新しい暮らし方」(仮題)というのが出るそうですわ。
監修は九州東海大学工学部都市工学科の渡辺千賀恵教授。彼本人と「サイクルスポーツ」の宮内忍編集長、そして私の座談会が、章の一つとして載ります。
来月の初旬に出るということなので、書店で気づいたら、ちょっと手にとってみて下さい。よろちくね。
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【ヒキタ解釈のオススメ本(たまに非オススメあり)】
「殺人ドライバー」沼澤章著 WAVE出版
読書の秋。自転車の秋。
このところ豊作です。前回に引き続き、これまた本気のオススメ。衝撃の書です。
自動車による交通事故、中でも死亡事故は、ただ単に「アクシデント」ではなく「殺人」と呼ぶにふさわしいのではないか。それを「全国交通事故遺族の会」への取材をスタートとして、丹念にえぐったのが、この本。
結論から言うとこうだ。
交通死亡事故は一握りの人間によって、繰り返しひき起こされる。その一握りの人間は、社会秩序を守ろうという意識が皆無で、事故自体も「確信的な」違反行為もしくは注意の放棄によって生じる。さらに彼らは、反省する心を持たず、クルマを運転する限り、事故を繰り返す。
交通死亡事故は、アクシデント、つまり事故ではなく、限りなく「通り魔殺人」に似た犯罪である。
これは残念ながら本当だ。私はこの本に深く深く頷いてしまいましたですよ。
以前、テレビの取材で、トラック野郎の方々と酒を飲む機会があった。何のはずみでそういう話になったかは忘れてしまったが、交通事故の話になった時のこと。
「オレなんかさ、もうババア2人殺しちゃったよ」
「おお、オレも2人。片方は女子高生。もったいなかったよな、ぎゃはは」
もちろん酒の入った上での話ではある。またこの人たちはあくまでトラック野郎のほんの一部に過ぎない。良心的なトラックドライバーの方々は無論のこと沢山いる。
だが、その彼ら。彼らが、天真爛漫に自らの引き起こした死亡事故を語る態度に、私は驚いたのだ。
「そりゃあ悪りいとは思うけどさ、毎日毎日運転してんだから、仕方ないよな」と言った彼は、年の頃35歳前後だった。就労期間にして15年というところだろう。15年で2人だ。
彼はこれから先、過ちを繰り返さないだろうか?
繰り返すね、必ず。彼は私と喋っていたその時「(免許の)点数がもうないよ」だったし、そもそも反省の意識が皆無だったから。あと15年トラック野郎を続けるとして、同じペースでいっても彼はこれから2人の何の罪のない人を殺すのだ。
信じられない話だがこれは現実である。
本書の中で取材している143人の死亡事故加害者のうち「これが初めての事故だ」という人間は58人に過ぎない。不明が28人いて、事故歴ありが57人。「不明」の内容にもよるが、大まかなところ「死亡事故を起こした人間のうちの半数は累犯である」ということが言えると思う。
このうち人身が23人である。死亡が6人。さらにその中の3人は、それまでにも2回以上死亡事故を起こしている。つまり本件が3人目(またはそれ以上)ということだ。これは驚くべきことではないか。
さらには、飲酒が34人、薬物が7人、無免許が14人もいる。
以前、これまたテレビ取材の中でお世話になった弁護士も私に言った。
「これは極端な話ですけどね、ヒキタさん、保険会社のマネジメントなんて簡単なんです。ある一握りの人に極力入ってもらわない、もしくは極力そういう人からは高い保険料をとりたてる、それがすべてなんです。 事故を起こす人は必ず一緒。そういうもんなんですよ。どういう人かって? 簡単。反社会的な人格を持っていて、同時に社会に対してコンプレックスを抱えてる。そのコンプレックスを解消するために、大きなクルマで『どけどけ』というような運転をする人ね。これが典型。あと前科者がとても多い。私も調べたことはないけれど、死亡事故を起こしたドライバーの3割ぐらいは前科があるんじゃないかしら……」
もちろん、この本にあげられたような人物像に当てはまらない人が、アクシデントとして事故を起こすことはある。歩行者側の過失も多いだろう。それは当たり前の話だ。だから保険の存在価値はある。
だが、問題は割合である。年間1万人が交通事故で死ぬ日本の現状の中で、その人握りの人間が半数を引き起こしているとしたら……。
交通事故加害者の厳罰化がようやく叫ばれ始めたのは決して偶然でない。被害者遺族が裁判で初めて加害者を見たとき、そして、自分と似たような境遇の人とその経験を語り合ったとき、おそらく「事故なんだ(から仕方ない)」という意識が消えた。同時に「これは殺人だ」という意識が沸き上がったのだ。
著者の沼澤氏はモータージャーナリストである。つまり自動車雑誌のライター。普段は「クルマの楽しさ」を書いている人だ。そしてもちろん自動車業界に、しがらみもたくさんあることだろう。
本書の副題として「くるま社会ニッポンのタブー」とあるけれど、そういう意味でも本書は「勇気の書」だと言える。
多少、筆が走り過ぎなきらいもあるけれど、前回に引き続き、本書も太鼓判である。
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