トラック一台分の……、の(週刊 自転車ツーキニスト330)
発行日時: 2008/5/15
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┏━┫ 週刊 自転車ツーキニスト "Weekly Bicycle Tourkinist" ┣━┓
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トラック一台分の……、の330号
■医療費削減のための自転車
「トラック一台分の薬より、一台の自転車」
これは、ドイツの有名なことわざで「健康になりたいならば、そっちの方が有効だよん」という話。
ふうむ、よくできたキャッチフレーズだな、とか思いつつ、従来「自転車」というものに、その部分はそこまで強調されてこなかった。それよりも「自転車=エコ」って方が、まあキャッチーだったからね。世の流れに合ってるし。
ところが、昨今、この「健康」の部分がピックアップされることが増えたのだという。
もちろん高齢化が一番の理由なんだが、別に高齢化というのは日本だけの現象というわけではなく(日本は確かにいくぶん突出してるけど)、欧州諸国もみな一様に悩んでいる問題なのだ。
自転車政策学者として名高い古倉宗治さん((財)土地総合研究所理事)によると、イギリスやノルウェーで、国家として「自転車戦略」を定めているのは、この「健康」つまり「医療費問題」にこそ主因があるのだという。
エコ云々も大切だが、まずは喫緊の仮題・医療費だ、支出削減のターゲットはここにこそある、とね。
あのアメリカですら、財政支出の4番手に医療費があがってくるようになって、さすがに「自転車」に手を出さざるを得なくなった。「自転車に乗って健康になろう」というのは、もはや個人の趣味嗜好のレベルではなく、国として取り組むべき課題なのだ。
イギリス、中でもロンドンなどは、渋滞と排気ガス、それに伴うロードプライシング、そして直接的には昨今のテロに脅かされて、続々市民が自転車に乗るようになった。それはたしかに事実だが、そこには別のフォースから後押しする国家の政策があったのである。
そう思うと、なるほど、と納得なのだ。
あのバステロで自転車に乗り換えたロンドンっ子たちは、いわば「フローティング自転車乗り」だからね。実のところ私などは「いつか事件も風化して、地下鉄やバスに戻るんだろうなぁ」と、思ってた。ところが、あにはからんや、ぜんぜんそうならない。
そこには「健康のために自転車」という流れが厳然として存在したからなのだ。
翻って、わが日本。現在の医療費はおよそ32兆円もある。驚くべきは、そのうちの10兆円が、生活習慣病に関わるものだとされることだ。10兆円である。これは実に驚嘆すべき数字で、政府がこのところ「健康だ」「禁煙だ」「メタボだ」と言い始めたのも、故ないことではないのだ。
ならば、自転車だろう。
私などはココロの底よりそう思う。特に日本人の場合は、糖尿病の率が非常に高く、この部分に自転車はドンピシャで有効に作用する。
古倉先生によると、先進各国のほとんどの国には、国の役所の中に「自転車推進部局」が存在し、その部局が、自転車政策を総合的に企画立案し、健康、エコ、都市交通のあり方、ほか、関係各部署に実行させるのだそうだ。
自転車“関連”部局ではなく、ましてや自転車“対策”部局でもない。自転車“推進”部局。
もちろんのこと、そんな部局は、日本には存在しない。
ここに、いわば“姿勢”の問題が見えてくる。そういった“姿勢”が改善されたときに、日本に真に自転車の風が吹き始めるのだろうと思う。
■そういうようなわけで大阪箕面市
というわけで、もう明後日なんすけど、17日(土)に、大阪の箕面市で市長さんと対談してきます。そういう「自転車“推進”」の話ができればなと思ってます。藤沢純一市長は自転車政策に熱心なだけでなく、ご自身も自転車ツーキニストだそうで、身のある話ができるのではないかと、私ヒキタは期待しています。
定員200名、先着順だそうなんで、お近くにお住まいの方は是非どうぞ。
詳しくはこちら。
http://www.hcn.zaq.ne.jp/minohnet/page2/hikita.htm
http://www.hcn.zaq.ne.jp/minohnet/hikita.pdf
■もう一つ告知
またまた季節がやってきまして、学習院大学で、例によって春期講座を開講します。全4回で「次を目指す自転車生活」が、今回のテーマ。ここはひとつ、一番いい季節スタートで、自転車ライフに“洗脳”されてみませんか(笑)?
詳しくはこちらをどうぞ。
http://www.second-academy.com/lecture/GKS10384.html?PHPSESSID=e5d873e8bb6637cfc615a918c1ebdba1
■来週木曜日だ♪(さらに告知)
それともう一つ、ヒキタ最新刊「疋田智のロードバイクで歴史旅」が、来週木曜日に書店に並びます♪
もうこのシリーズは私の生き甲斐でありましてね。これが出るたびに嬉しくてたまらん。こちらも是非よろしく。
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【ヒキタ解釈のオススメ本(たまに非オススメあり)】
「ルポ貧困大国アメリカ」堤未果著 岩波新書
おー、色々な意味で、久々に岩波新書らしい岩波新書だなぁ。これぞ「正調・岩波節」という感じ。だが、内容は思いの外、充実している。偶然ではあるんだけど、前回とりあげたサブプライム本とあわせて読むと、いっそう意味合いが深く分かってくるよ。
アメリカの社会システムの必然として生まれる「格差」というものを数字で論じたものは、おそらく誰もがどこかで見たことがあると思う。識字率が○○%で、絶対的貧困率が○○%、とかね。そういったものを見ながら「あれれ? あの豊かなアメリカが? なんかヘンだな。移民が多いからかな、でも、そういう統計の取り方もあるのかもな」なんて無理に胃の腑に落とそうとしたりして。
だが、そのホントのところのリアルな現実(by佐野元春)を、こうして説得力のあるルポルタージュ形式で見せられると、ああ、そうだったのか、と今さらながらに思う。ハリケーン・カトリーナの惨状の意味があらためて分かる。
家族の誰かが病気にかかっただけで「中の下」だった階層が「下の下」に落ちていく姿。戦争というビジネスが「下層兵士」どころか「民間補助兵士」とでも呼ぶべき人々に、どのような「その後の人生」を用意するか。アメリカンドリームと自己責任は、市民生活にどう影響を及ぼしているか。
そういう一つ一つの実例から、アメリカという社会が、もはや有効なセイフティネットを用意し得ず「素っ裸の下層」を生んでいる姿が、次第に浮かび上がってくる。そして、それがこの数年で急速に過激化しているという現実。その様子は、ヘンな話だが「おお、日本の方がまだマシ」と思わせるに十分だった。あたかも「ステップ返済」問題の方が「サブプライムローン」問題よりも、はるかにマシだったように。
だが、戦後ずっと「アメリカの現在」は「近未来の日本」だったのだ。そこに私は非常な危惧を感じるよ。現在発売号の「週刊東洋経済・子ども格差」を読んだばっかりだったから、特にね。
著者・堤氏の青さが、いい具合にスパイスとしてきいている。
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最新刊「自転車をめぐる冒険」(東京書籍・ドロンジョーヌ恩田と共著)
*現在、全国各書店で大好評平積発売中です。よろしく♪ というのか、品切れ書店ではご迷惑をかけております(←すいません)。
「それでも自転車に乗り続ける7つの理由」朝日新聞社
「自転車生活の愉しみ」朝日新聞社
「天下を獲り損ねた男たち(続・日本史の旅は自転車に限る!)」木世(えい)出版社
「疋田智の自転車生活スターティングブック」ロコモーションパブリッシング
「自転車とろろん銭湯記」ハヤカワ文庫
「大人の自転車ライフ」光文社知恵の森文庫
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【自転車通勤で行こう】
http://japgun.infoseek.ne.jp
バックナンバーはこちら。
http://www.melma.com/mag/03/m00016703/
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この記事へのコメント
全4件表示最新刊「自転車をめぐる冒険」、市立図書館にリクエストしてたら、今日、入ったとの事。
自腹を切らず、読ませて頂きます。日時:2008年5月16日
変換ミス2ヶ所ありました。日時:2008年5月15日
インスピレーションで登録して、当たり!って感じです。読みごたえがありました。これからも楽しみにしてま〜す!日時:2008年5月15日
早く日本でもちゃんとした自転車教育を学校段階でも取り入れるべきじゃないですかね。日時:2008年5月15日
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