美味いビールが危ない? の(週刊 自転車ツーキニスト299)
発行日時: 2007/2/18
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美味いビールが危ない? の299号
■サッポロビールにTOB?
異論はあるかもしれないが、日本のビールは世界一、美味いと思うのだ。香りが芳醇で、コクがあり、麦特有の生臭味が、極力おさえられている。海外に行ったりすると、私は3日目にして必ず「日本のビールが飲みたいな」と思う。
その日本のビールの最老舗、サッポロビールが、現在、危機の中にある。
米系投資ファンド「スティール・パートナーズ・ジャパン・ストラテジック・ファンド(以下「スティール社」)」が、TOB(株式の公開買い付け)を仕掛けてきたからだ。早い話が乗っ取りである。
アサヒビールが「ホワイトナイト」になる、などの報道もあり、一気にビール業界の再編につながるかもしれない。いやまあ、サッポロも大変だ。
スティール社の思惑としては、例の「企業価値の向上(これだって余計なお世話だ)」だの「株主の利益」などというものではなく、株の高値売り抜けにあるという。
現在のスティール社の持ち株率は20%弱。いつの間にやら筆頭株主だ。投資ファンド恐るべし……、である。
■「投資ファンド」またもや
しかしな、「恐るべし……」などと言っていられない。ことはほぼすべての企業に共通する話だ。だいたい私は前々からこの「投資ファンド」いや「ハゲタカファンド」というヤツが大嫌いだ。なんなんだ、この連中は、と思う。
今回のスティール社は、ついこの間(昨年10月ごろだったかな)も、即席麺の「明星食品」にTOBを仕掛けている。
明星は日清に救済を求め、日清が対抗TOBをかけ、その結果として、スティール社は明星株を全株売り抜けた末、36億円もの利益を上げた。この36億円はそのまま株価という形で日清が背負ったもので、スティール社は何の苦もなく濡れ手に粟の巨益を手にしたわけだ。
タダで36億円ですぜ。
インスタントラーメンを一つ一つ売って、36億の利益を上げるのに、どれだけの苦労、努力が必要なことか。カップ麺一つあたりの利益を30円程度(これでも多すぎるぐらいだ)として、36億円稼ぐためには、1億2000万食も売らなければならないのだ。
そのために小麦を仕入れ、工場を動かし、小売店にアタマを下げ、味を研究し、何百人もの従業員が額に汗し、いくつもいくつもの努力と試行錯誤の末に、あのカップ麺は市場に出るのである。
それが、この連中にかかると、株を買って売るだけで36億円が吹っ飛んでしまうのだ。
■「合法的泥棒」
私だって分かってるのだ。
そういう市場原理の上に、現在の資本主義自由経済は成り立ち、ファンド側も「リスクをとって(けっ)」利益を得ている、なんてことは。
だがな、彼らのやってることは、有り体に言って、単なるドロボーではないか。
カネの力を背景にして、法を破らないだけのドロボー。これが投資ファンドの真の姿であると、私には見える。
私がイヤなのは、彼らは何の幸福も社会に還元しないことだ。ただただ自らの金のため。創出する価値はゼロ。幸福の還元もゼロ。で、事業内容はひたすら他人様の褌。
およそ人としての商売内容という観点からは、下の下であろう。
明星のチャルメラにしても、日清のラ王にしても、サッポロの黒ラベルにしても、買った人に「美味い」という幸福を与えているのだ。おおよそすべての企業というのはそうして小さな幸福を社会に与えて対価を得、成り立っているのである。
同じ「ビジネス」であっても、大袈裟に言うなら、その存在意義が違う、哲学が違うのだ。
これからも投資ファンドは猛威を振るい続けるのだろう。
特に「三角合併」が解禁となるこれからは、あらゆる業界の再編の裏で彼らはうごめき続ける。それが果たしてイイコトなのかどうか。私にはどうしてもそうは思えないのだ。
まったく何とかならんものなのだろうか。
■【例の法案】パブコメの結果が出たね
パブコメの結果が出た。道交法改正案の中、例の部分への反対意見は1,381件もあったのだそうな。いやまあ、とりあえずは、慶賀慶賀。
しかしね、当日の新聞を見ると(2/16付朝刊)予想されたこととはいえ、またも警察庁クラブの「発表記事」だよ。で、クラブ記者たちは、警察庁の言うとおりに記事を書いてる。
まあベタ記事はベタ記事なんだが、ちょっとアタマにくるのは次の部分だ。
「誤解に基づく反対意見1381件」
まあ警察庁側としては誤解にしておきたいんだろうね。私もこれ以上事を荒立てたくないんで、放っておくことにするけど、軽く反駁するなら次の通りだ。
今回の構図を、最も簡単にしてしまうと、次の通りになる。
【現行法】「原則車道、歩道は例外」 → 有名無実で、実質的にはすべて歩道通行
【改正案】「原則車道、歩道は例外 + <提言4-2-4>」 → さてどうなるでしょう?
警察庁のあからさまな詭弁は、現行法上でも当たり前の「原則車道」が、実質的に無効となっている事実を、あえて無視している点だ。で、今回のことを「原則車道でございます」「原則車道でございます」と連呼している。アホか。それなら現行法と何ら変わらんではないか。問題は、それに加わる附則に危険が内包されている、という部分なのだ。
同じく警察庁発表の中で「改正で自転車の車道通行が禁止されるとの誤解が一部に広まった」とする部分。これだっておかしい。
我々の主張は、正確には「改正によって<提言4-2-4>が恣意的に運用され、幹線道路などに『禁止』の例外規定が当てはまる危険がある」ということなのであって、要は例外規定がどこまで拡がるかに危惧を持っていたということなのだ。
ほんとに、こんな短いベタ記事を見るだけでも、またまたメンツのためのゴマカシだ。
<提言4-2-4>を、パブコメで引っ込めた、という事実を、公にしたくないんだろうね。
またしても日本の官庁の無謬神話というヤツなんだが、もうそういうことはやめた方がいい、素直に認めた方が国民の理解も得られるし、信用も得られる、と、私などは思う。
実際にこれを見て私は思った。
「これだから、警察官僚はやっぱり信用できないのだよ」と。
昨今、ちらほらと後日談が聞こえてくるが、聞けば聞くほど「危なかった」と思う話ばかりだ。
そもそもでいうなら、例の懇談会の座長、高崎経済大の岸田教授などは「ほぼすべての国民は歩道通行を求めている」「車道を走れない現状ならば、歩道を走ればいい、というだけではないか」などと、もう滅茶苦茶なことを言っていたのである。
さすがは警察庁の決めた座長と言うべきだろう。
まあいい。結果がこうなったというのは、我々のなし得るところでは、とりあえずのところ、最善であったと思う。
だが、まだ話は終わったというわけじゃない。道交法がこれからどういう形になり、どう運用されるのか、我々は見張っていく必要がある。
まだまだ亡霊は生きていると思った方がいい。"勝って兜の緒を締めよ"というのが、現状と言うべきだろう。
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【ヒキタ解釈のオススメ本(たまに非オススメあり)】
「祖国とは国語」藤原正彦著 新潮文庫
「若き数学者のアメリカ」「国家の品格」の藤原正彦教授が、主に朝日新聞で連載していたエッセイをまとめたもの。
相変わらずのモラリストぶりと、論旨の一貫性と正しさが、際だっている。それを洒脱なユーモアが彩り、思想書(?)としても、エッセイとしても、一級品である。
巻頭「国語教育……」の章は、藤原氏の著作に親しんだ方なら「あ、またか」という点も多いと思うんだが、この本で、あれ? と新鮮な感銘を受けるのは、95ページ以降の「いじわるにも程がある」の章だ。藤原氏から息子さんへの教育、交流が、温かくも滑稽感ただよう描写で綴られ、ああ、誰もがこのような教育を受けたなら……、と思わざるを得ない。
巻末の解説で明大の齋藤孝教授が同じことを言っているが、私も前々から「この人に文部科学大臣をやってもらいたい」と思っていた。安倍さんは即刻検討してみてはいかがか。内閣改造断行、民間人大臣誕生、として脚光を浴びるだろうし、「教育再生」だって、この人のポリシーの元ならうまくいく(と思う)。藤原教授なら右も左も大納得だ。だいたい現在の伊吹さんは、事務所費問題で、既に「尻に火」状態だろう。今がチャンスである。
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「天下を獲り損ねた男たち(続・日本史の旅は自転車に限る!)」木世(えい)出版社
*昨年12月発売の最新刊。今回はなぜか「奈良・暗峠」「秩父・八丁峠」「北海道・日高峠」と、峠モノが満載。
「疋田智の自転車生活スターティングブック」ロコモーションパブリッシング
「自転車とろろん銭湯記」ハヤカワ文庫
「大人の自転車ライフ」光文社知恵の森文庫
「自転車ツーキニストの憂鬱」ロコモーション・パブリッシング
「日本史の旅は自転車に限る!」木世(えい)出版社
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http://japgun.infoseek.ne.jp
バックナンバーはこちら。
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