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「夢が叶った」というには大袈裟な(週刊 自転車ツーキニスト264)

発行日時: 2006/10/12


 
 
 
 
 
 
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       「夢が叶った」というには大袈裟な264号

■数年来の夢がっ!

 なんちてね。
 そんな大袈裟な話じゃないんだが、いつかは行きたい行きたい、と思い描いて幾星霜。ようやくその思いが成就したのだ。

 って、何のことかと言えば、東京外苑にある「絵画館」のことだ。
 絵画館っていうのは、ドラマのロケなんかで有名な、あの国会議事堂のような感じの古風な建物のことでね。フジテレビのトレンディドラマなんかにしょっちゅう出てくる、例の銀杏並木の後方に見えるヤツだ。
 写真を見せたら誰もが「ああ、これか」と言うはず。ドーム型の重厚な建物。あれ「絵画館」って言うんすよ。名前すら知らない人が多い。
 大正15年に完成。「明治大帝の聖なる遺徳を記念し、その人生を絵画で偲ぶもの」なのだという。明治天皇由来とあって、建物も、周囲のつくりも、さすがに立派だ。
 最寄りの駅が地下鉄銀座線の「外苑前」だから、実は、私の職場(赤坂)からすぐ。でも、今まで中に入ったことがなかった。入社して赤坂界隈をうろつき始めて、もう17年になるというのに。

 そういうことってないすか?
 そうだなー、いつかは行ってみたいなぁ、面白そうだなぁ、とか思いながら、あまりに身近すぎて行かない、なんてこと。いつでも行ける、と思ってるから、いつまでたっても行かない。多くの東京人にとって「東京タワー」なんてのもその例だというね。

■おおおお!教科書のあの絵が!!

 秋晴れの佳き日に、そのプロジェクトは実行された。
 入館料は500円。正式名称を「聖徳記念絵画館」という。
 大学の講堂のような階段を上り、古風な大理石と木材に彩られた立派な内部に入ってみると、そこには明治天皇の生涯をたどる80枚の壁画が我々を迎えてくれるというわけだ。
 日本画が40枚、洋画が40枚。明治天皇が生まれてから死ぬまでが巨大な絵画に描かれて並べられている。
 明治天皇の一生は、そのまま幕末から開国、明治維新、富国強兵、近代化、国際化をたどってるわけで、実に波瀾万丈、面白い。絵を見ていくだけで、激動の明治がよく分かる。
 だが、感動は実は「歴史」というより、別のところにあると思う。
 目の前にして「おおっ」と思うのはやはり「これ日本史の教科書に載ってたー!」というあの絵、この絵なのだ。
「大政奉還」は、二条城で徳川慶喜が居並ぶ諸将相手に言い渡す、例の有名な図柄だし、「大日本帝国憲法発布」も、ナポレオンの戴冠式みたいなアレだ。アナタの教科書にもワタシの教科書にも必ず載ってた筈。
 その他「江戸城開城(西郷隆盛と勝海舟の談判の図)」「岩倉大使欧米派遣(色とりどりの船出の図)」「初の帝国議会」「西南の役」「日本海海戦」「屯田兵」などなど、お馴染みの絵が目白押しだ。いずれもオリジナル。これは結構面白いよ。
 だいたい、私は思うんだが、展覧会の面白さってのは、一般的には「美術を鑑賞する」という行為自体にはないような気がするのだ。それよりも「あ!この絵、見たことがある」というのを実物を目にして再確認するところが面白く、感動的なのである。
 それがこんなに味わえるところも珍しい。

 ただ、この絵画館、「当時の有名な画家、美術界の重鎮に描かせた」というのだが、それにしては驚くほど下手クソな絵も混じってる。
 私は普通よりホンのちょっとばかしは美術に詳しいと、自分では思ってるんだが(何しろ意外なことに「美学藝術学科卒」だ)その私にして、どう見ても下手、というのが、真面目な話、十点程度はあった。「偉大なる明治大帝の遺徳を偲ぶ」で、当時としても気合いが入りまくりだったはずなのに。なんでだ?
 だが、そういうところも含めて、味わい深かったよ。
 一言でいって、面白かった。最近、めちゃ忙しい日々が続いていたんで、つかの間の命の洗濯でもあった。
 首都圏に在住の人は、一度、行ってみることをオススメする。明治神宮外苑は、都心には珍しい緑のオアシスだし、今の季節、自転車で巡って気持ちがいいしね。
 場所は次の通り。

http://www.meijijingugaien.jp/seitk/seitk.html

 さて、私としては、次はどこに行こうかな。
 何となく行きたいと思って、何となく行けなかったところといえば……。
「地下鉄博物館」とか「塩の博物館」とかかなぁ。どなたか「東京都内でここが穴場だぞ」ってトコ、ご存じあります?

■今週末の自転車イベント(関西)

 さて、私が理事の一人を務める「自転車活用推進研究会」からのお知らせであります。
「自転車レーンを整備しよう」ということで、全国各地、サミダレ式に開催中の「自転車DO!」イベントですが(先月、大分でやったヤツね)、今度は、今週末10/15(日)に大阪・堺市にて「自転車DO!カフェ in 堺」と銘打って開催されます。

 開催場所は、下記の2箇所。
 いずれも自転車好きとして知られる「自転車DO!」会長・なぎら健壱氏、および、自転車ツーキニスト・ヒキタ(私のことだ)のトークショーが中心となります。

★(第1回ステージ)11:30〜  堺市役所前・特設ステージにて(無料)
★(第2回ステージ)15:00〜  自転車博物館(シマノの例のヤツです)3Fホール(博物館入館料300円)

 第2回ステージに参加ご希望の方は、下記のアドレスにへお申し込み下さい。

info@ecomile.jp

 ちなみに自転車活用推進研究会では「自転車DO!メールマガジン」への寄稿大歓迎!とのこと。問い合わせは上記のメルアドと同じくであります。よろしくー♪

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【ヒキタ解釈のオススメ本(たまに非オススメあり)

「下流喰い - 消費者金融の実態」須田慎一郎著 ちくま新書

 私は前々から思っていたのだ。
 いわゆる「格差社会」ってヤツの最大の原因は、小泉政権でもなければ、ニート&フリーターという掴み所のない部分でもない。間違いなく「消費者金融(以後「サラ金」)」の全盛にある、と。
 もともと「格差」ってヤツは、前から存在するのだ。
 国のシステムが、自由主義、市場経済を標榜する限り、それは当然だといえる。だが、現代において、その格差をことさらに広げているのは、間違いなくサラ金であろう。
 サラ金でカネをつまんで、結局のところ、そのカネの30%近い利子を払う。借りてる期間が1年を超えるなら、それ以上だ。これは消費税5%どころの話ではなく、つまりは、サラ金で借りてモノを買う人は、3割ものハンディキャップを背負いながら、買い物をしてるわけだ。もともとの収入が低いのだから、これでは格差がさらに拡がるのは当たり前ではないか。
 富む人にとっては、カネがカネを生む。その逆に、貧しい人(サラ金からカネを借りる人)は、カネがカネを消費する。これがサラ金全盛の中の「格差拡大の構図」だ。

 その様子をつぶさに取材し、地べたの視点からサラ金業界を撃ったのが、この本。
 取材の内容は「網羅的」というよりは、むしろ「ピンポイント」に近いが、それが逆にリアル感を増幅させている。サラ金に金を借りる、というのはこういうことだ、というのがよく分かる。
 昨今、問題視され始めているように、大手のサラ金業者が「秘密で生命保険に入らせる。焦げ付いたら、それで借金を返す」などというのは、むしろ最初から当たり前だった。この業界において、生命などまったく重くない。

 取材が進めば進むほど、業界の構図というものが次第に浮かび上がっていく。
 サラ金ビジネスのコアは「金を借りる客を『負のスパイラル』の中に追い込み、必然的に破滅させていく」というところにある。その繰り返しの中でしか、会社は維持、成長できない。
 その状況は「日榮」「商工ファンド」など、以前話題になった、いわゆる「商工ローン」となんら変わらないものだ。
 客を大切に維持していく、などという発想はほぼゼロ。必ず客は「生かさず殺さず」か「破滅させるもの」であり、借り手の不幸の結果、業界は太っていく。
 最近になって、業界は「借りすぎに注意」なんつってるが、本音を言えば、借りすぎたって構わないのだ。利子が払えなくて自殺でもしてくれたなら、生命保険で元利ともに保証されるんだから。
 著者が「悪魔のビジネスモデル」と称する所以だ。

 ただし、この本には唯一にして無二の欠点が存在する。
 その欠点とは、ずばり「著者の顔」だろう。
 須田さんはねぇ……。典型的なヤクザ顔だから(笑)。
 消費者金融を追及する本なのに、書いてる本人が、ヤミ金業者にしか見えない。こりゃ困ったことだ。
 須田さん、私は満更知らない人ではないんだが、とりあえず書店店頭のPOPポスターに自分の顔写真を載っけるのはやめた方がいいと思うぞ。私も他人のことを言えた義理ではないんだが。

 あ、ただし、そのヤクザ顔が取材の中で役立つ瞬間もないわけじゃなかった。
 新宿歌舞伎町「おんな市」のルポの部分だ。
 風俗業者が、借金まみれの女性を買い取り(債務とともに、だ)ソープランドなどで働かせるという、さながら人身売買そのものが行われていることを描いたパートなのだが、須田氏はその場に潜入し、半裸の女性が当たり前のように値定めされるのを目の当たりにする。
 もしも周囲に「こいつ、ジャーナリストだっ」なんてバレたら、まさに命に関わる、ってな状況だが、須田氏はバレない。次々にステージに上がっては降りていく借金女たちと、業者たちの意外に冷静な様子を、リアルにスリリングに描いている。
 きっと「おんな市」に入るには、彼の顔、巨体、ファッションセンスは大いに役だったことであろう。
「で、お客人は、どこの組からおいでで?」とか目つきの鋭い、おアニいさんに言われちゃったりしたかもしれない。
 笑いごとじゃないんだが、笑ってしまう。

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「天下を獲り損ねた男たち(続・日本史の旅は自転車に限る!)」木世(えい)出版社
*昨年12月発売の最新刊。今回はなぜか「奈良・暗峠」「秩父・八丁峠」「北海道・日高峠」と、峠モノが満載。

「疋田智の自転車生活スターティングブック」ロコモーションパブリッシング
「自転車とろろん銭湯記」ハヤカワ文庫
「大人の自転車ライフ」光文社知恵の森文庫
「自転車ツーキニストの憂鬱」ロコモーション・パブリッシング
「日本史の旅は自転車に限る!」木世(えい)出版社
 いずれも好評発売中。ネット内でのご注文はこちらにどうぞ。
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/search-handle-url/index=books-jp&field-author=%E7%96%8B%E7%94%B0%20%E6%99%BA/249-6371737-5693951

【自転車通勤で行こう】
http://japgun.infoseek.ne.jp
バックナンバーはこちら。
http://www.melma.com/mag/03/m00016703/
 
 
 
 
  
 

 
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発行者プロフィール

ペンネーム : ヒキタ

  • 環境、ダイエットに効果抜群。どなたにもオススメの「自転車通勤」ですが、そのノウハウやポリシーを色々な人にお伝えするメルマガです。 と、思ってたのですが、ただ単に私ヒキタからのバカメールが届きます。ご容赦。

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