朝日社説子にかなり疑義の(週刊 自転車ツーキニスト258)
発行日時: 2006/8/7
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┏━┫ 週刊 自転車ツーキニスト "Weekly Bicycle Tourkinist" ┣━┓
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朝日社説子にかなり疑義の258号
■おや? 「自転車ツーキニスト」って?
本日(8月7日)付の朝日新聞に「自転車大国 - マナーを説くだけでなく」と題された社説が載った。ヒキタ的に「でへへ」なのは、次の一節だ。
自転車の台数はこの30年で倍増し、8600万台を超えた。中国、米国に次ぎ世界第3の自転車大国だ。
安い中国製品が増えたのに加え、環境意識や健康志向の高まりが後押しした。通勤に自転車を使う「自転車ツーキニスト」はもはや珍しくない。
自転車ツーキニストという言葉が、朝日の社説に載ったよ。こりゃもう流行語大賞まであと一歩じゃな(←百歩程度だろ)。私としてはなんだか嬉しいよ。
ってね、ただし、その嬉しさはかなり中ぐらいなり……、というのか半分以下であって、話はこの社説が内容を伴っていればのことだ。というのは、実のところ、内容には疑義を挟まざるを得ない部分が、かなり多いのだよ。残念なことながらね。
詳しくは実際に読んでいただければ分かるんだが、この社説を書いた論説委員氏は絶対に自転車に乗らないタイプの人だ。視点が常に「クルマから」。
そもそもが、この社説の一番最初は、次の言葉から始まる。
車を運転しているときに、路肩をふらふら走る自転車を見ると、ハラハラする。
うん、そうか。でも論説委員氏は実際にそう思ったんであろうか。
「いかにも朝日的だなぁ」と感じてしまうのは、こういう表現だ。
■自転車はワルイ子、自分はイイ子、なのかな?
自転車は「路肩をふらふら」で、自分は「ハラハラ」。
私はウソだと思う。
ふらふら走る自転車が、そうそう路肩にいるだろうか? そりゃ中にはいたりもするだろうが(例の逆走バカとかね)大まかなところ、車道を走る自転車は確固たる姿で走っているはずだ。「ふらふら自転車」は大抵の場合、歩道にいるのである。それに対して、自分は「ハラハラ」している……か。良心的だね。でもホントのところは違うでしょ。正直になりなさい。「邪魔だな」と思ってるはず。
それを裏付けるかの如く、次のような記述がある。
軽車両扱いの自転車は、車道を走るのが原則だ。しかし、車の妨げになるうえ、自転車にとっても危険がある。
こういうところに、筆者の本音は出る。
車道を走るのが原則。それはいい。だが、その原則に現状が追いついていないのは「自転車にとって危険」だからだ。百歩譲っても「自転車にとって危険なうえ、車の妨げになるから」だろう。順番が違うのである。
その上、このような記述すらある。
そもそも自転車が車道や歩道を間借りして走っている状態が危ないのだ。
自転車についての交通行政を語る際に、いの一番、いっとう最初に理解しなくてはならないのは「自転車は車道を間借りしているわけではない」ということだろう。
自転車には最初から車道を通行する権利があるのである。
我々はクルマの通行を妨げているのではなく、クルマの方が我々の通行を妨げているのであり、我々を危険にさらしているのだ。
道路はそもそもシェアしなくてはならないのであって、クルマが車道を占拠している現状がおかしいのだ。
ここの部分が分からないと、ヨーロッパの事情などアタマっから、理解が不能であろう。これまた、その証拠と言うべきか、当該の社説には、一番最後あたりに「オランダと英国」を自転車先進国として並び称している部分がある。
言うまでもなく、欧州各国の中でオランダは自転車最先進国であるが、イギリスはそのまったく逆、最後進国の一つなのである。
こういう根本的な誤解を見ても「とほほ」を感じざるを得ない。
知りもしない例をあげたいならば、せめて「オランダとドイツ(またはデンマーク、フィンランドなど)」などとすべきだろう。
ちょっと話がずれた。
要するに私が言いたいのは、自転車は「クルマに遠慮しながら、車道を通る存在」などではなく「車道の左端は、本来クルマの方が自転車に譲らねばならない」ということだ。
■本質的な理解がないから……
この社説、いいことも書いているのだ。
町を走る車のうち、半分近くは5キロ未満の移動に使われる。これが自転車に代われば、渋滞や事故も減る。
その通り。
ところが一方で、名古屋市や広島市が「植栽やカラー舗装を使い、歩道を自転車用と歩行者用にはっきりと区別することを始めた」ことを高く評価する。
……。
だから、歩道を分けても意味ないんだってば。
そもそも「5km未満の移動をクルマから自転車に置き換えることで、渋滞や事故が減る」として推奨することと矛盾があるでしょうが。しわ寄せを歩道に押しつけて、クルマは渋滞がなくなって良かった良かった、とでも言うつもりなんだろうか。
弱者の味方、の朝日の社是(なのかな?)にも反するぞ。
朝日新聞社という新聞社は、一見「反権力」に見えながら、非常にエリート意識が高く、その心根は政府、官僚などと一致することが多い。これは17年間同じマスコミの中にいての率直な印象だ。
別にそのこと自体は悪くないと思っている。クオリティペーパーを自認するならば、そういうこともあってしかるべきだろうと思う。みんながみんな「日刊ゲンダイ」のようになっても仕方がない。
だが、それならば、エリート新聞社としてやらねばならないことは、政策なら政策、物事なら物事を精査し、それらについて本質的に理解することなのではないか。
その点、この社説は自転車行政に対する本質的な理解をまったく欠いている。
結果、この社説は警察庁の主張するワカランチン自転車政策を追認するかのような内容になり、実際として表題の「マナーを説くだけでなく」の「だけでなく」どころか、何も言ってないに等しいものとなった。
警察庁の作った専門家の検討会について「ぜひ斬新な手だてを考えてもらいたい」なんて書いてある部分もある。
だが、この人の納得する「斬新な手だて」は、必ず自転車にとってマイナスにはたらく手だてであると思う。本気で思うのだが、朝日の豊富な資金力で、一度ヨーロッパに出張してみて、しっかり自転車行政について学んできて欲しいものだ。
社説のラストは次の通りだ。
歩行者も車も、自転車を迷惑がるだけではもったいない。知恵を絞り、お互いに気持ちよく走ったり歩いたりできるようにしたい。
迷惑がるだけではもったいない……、か(溜息)。
書いた本人が、まったく自転車に乗らない人、というのが、よく分かるでしょ?
■前号の「お茶」
前号「暑いなぁの257号」で「お茶をがぶ飲みしちゃうのだ」みたいなことを書いたんだけど、炎天下でのお茶はあまりよろしくないのだそうな。お茶(特に濃いお茶)は利尿作用があるんで、脱水症状のもとになるとのこと。
考えてみれば、その通りだな。
読者からの指摘です。ありがとうございました。暑いときには「水」。または「麦茶」「スポーツドリンク」。利尿作用のある茶や麦酒(当然だ)は、オススメできませぬ。私のマネをしないこと。よろしくー♪
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【ヒキタ解釈のオススメ本(たまに非オススメあり)
「1972 青春軍艦島」大橋弘著 新宿書房
写真集。
以前ここにもとりあげたことがあるが、私はなぜか軍艦島が好きなのだ。
長崎市の沖合に浮かぶ炭坑の小島。最盛期には5000人もの人々がここに住んでいた。正式名称を端島という。
前回とりあげた写真集は「廃墟」としての写真集であって、それはそれで静謐で奇妙な美しさがあるのだが、本書は72年、すなわち軍艦島がギリギリ現役だった頃の写真集である。
著者は20代の頃、半年だけではあるが、その炭鉱労働者の一人だった。
その目で切り取った炭坑島の風景(炭坑そのものはまったく写っていない)。最も印象的なのは、働くオバちゃんたちだ。
懐かしい昭和、力強い昭和がモノクロの迫力で見るものをうつ。
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「天下を獲り損ねた男たち(続・日本史の旅は自転車に限る!)」木世(えい)出版社
*昨年12月発売の最新刊。今回はなぜか「奈良・暗峠」「秩父・八丁峠」「北海道・日高峠」と、峠モノが満載。
「疋田智の自転車生活スターティングブック」ロコモーションパブリッシング
「自転車とろろん銭湯記」ハヤカワ文庫
「大人の自転車ライフ」光文社知恵の森文庫
「自転車ツーキニストの憂鬱」ロコモーション・パブリッシング
「日本史の旅は自転車に限る!」木世(えい)出版社
いずれも好評発売中。ネット内でのご注文はこちらにどうぞ。
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/search-handle-url/index=books-jp&field-author=%E7%96%8B%E7%94%B0%20%E6%99%BA/249-6371737-5693951
【自転車通勤で行こう】
http://japgun.infoseek.ne.jp
バックナンバーはこちら。
http://www.melma.com/mag/03/m00016703/
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