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むか(←ウソ)と、むか(←ホント)の(週刊 自転車ツーキニスト250)

発行日時: 2006/6/19

 
 
 
 
 
 
【週刊 自転車ツーキニスト】"Weekly Bicycle Tourkinist"
 むか(←ウソ)と、むか(←ホント)の250号

■むか(←ウソ)の方 エンゾ早川氏と

 例の諏訪サイクルマラソンから1週間。
 私のあまりのヘタレぶりに呆れたのか、茅ヶ崎からエンゾ早川氏がやってきた。「ヒキタのフォームを改造してやる」というのだ。もちろん自転車雑誌の企画なのだが、エンゾ氏も物好きなもんだ。いや、ありがたや。
 エンゾ早川氏とは、茅ヶ崎の自転車屋さんにして釣り人、なおかつ小説家でもあり、売れっ子自転車ライターの、まあ、自転車マニアなら誰でも知ってる、あの人だ。「GIOS」の青いジャージを着て疾走する姿を、自転車雑誌の写真などで見たことがある人も多いはず。
 自転車ファンの一部には「ヒキタとキャラがかぶってる」という人もいるそうだが、そいつぁウソだ。かぶらない。彼は私よりはるかにハードボイルド・テイストなのだ。

 さて、予想通り、そのエンゾ氏にして、私の矯正は至難の業であった。
 ロードバイクのレースに出るのは初めてだったクセに、自転車歴だけは長い私のことだから、ヘンな癖だけがついている。速くない。でも、ふくらはぎの筋肉はついている。
「ヒキタさんねー、そもそも真っ当なフォームなら、ふくらはぎは細くなるもんなんですよ。そういうヘンチクリンなフォームとポジションだから、そうなるんです。だいたいヒキタさんの脚の長さからすると、サドルが高すぎますって」
 エンゾ氏は言う。
 ヘンチクリン? 脚が短い? むか。
 だが、それから丸一日。
 私は東京晴海の公園で徹底的なコーチを受けた。自転車のセッティングもバリバリに変えさせられた(そもそも私はサドルをちょこっといじっただけで、ほぼ工場出荷のセッティングで乗ってたのだ)。ビンディングペダル&シューズも履いた。
 結果、私のフォームは劇的に変化したのだ(←コレはホント)。

 そのハナハダしい変化ぶりは、来月号(8月号)の「BiCYCLE CLUB」誌で見ていただくとして、エンゾ早川氏、遠目にはジャン・レノ。中目にはハードボイルドガイ。近目には浪花のオッちゃん。その実体は……、オモロイやっちゃ、だったよ。
 とにかくエンゾ氏、喋るのだ。
 風貌を裏切る饒舌さ。その上、話している内容が、何だか常識から微妙にズレてる。おまけにヘンな話題に異様に博識。話のツボを心得てて、面白いのだ。
 いや、自転車衆、色々な人がいますなぁ。
 ちょっと前にご紹介した、女豹系ゆきこさんもそうだったが、エンゾ早川氏もキャラが立ってる。こうした個性的な面々のいる業界は伸びるぞ。
 今の自転車業界は、そうした局面にある。GO BIKE !

■むか(←ホント)の方 衆議院第一議員会館にて

 今月16日に行われた自転車活用研究会第一回勉強会ってヤツに出てきたんだが、いやもう、随分と腹の立つことがあった(警察官僚の自転車レーンについての説明など)。
 じゃが、その話の内容は来月号のどこかの自転車雑誌でご報告するとして、ここではまあ、おいとこう。
 その後、腹立ちのエピローグのような、ちょいアングリー事件があったのだよ。

 ま、基本的には、私がマヌケなんだが、勉強会が開かれた議員会館の第4会議室に、携帯電話を忘れてきてしまったのだ。
 あ!と思ったが、どこに置いていたかはハッキリ憶えてる。
 私の席の隣の椅子(空席だった)に、マナーモードにして置いていたのだ。そのまま忘れてきてしまった。
 即座に議員会館に取りに行ったんだが、ココの受付の初老のオジさんがなかなかイカしてた。
「すいませーん、携帯電話の忘れ物、届いてませんか?」
「届いてません」
「あ、そうですか。実はさっきまで第4会議室にいまして、そこに忘れてしまったんです」
 私が言うと、もう会議室を閉めてしまった、という。
「あ、そうですか。大変申し訳ないですが、ちょっと取りに行かせてもらえませんか? 私はコレコレの者で、ついさっきまでそこにいたんです」
 私は身分証などを見せながら言う。
「できません。もう閉めてしまったもので」
 いや、閉めてしまった、って、時刻は19時前。議員会館自体は開いているし、まだ職員も何もほとんどいるんだよ。
「でしたら、大変申し訳ないんですが、ご足労でもあるんですが、見に行ってはいただけませんか? 扉から入って右手の真ん中あたりの椅子の上に置いてあるんですが……」
「もう警備員が確かめましたから、絶対にありません」
「椅子の上も?」
「ありませんね」
 にべもない。だが、ない、ということはほぼ有り得なかった。ついさっきまで私はそこにいたのだ。
 そこでちょっと押し問答があったんだが、次第に私は焦ってきた。その日は金曜日だったため、ここで手に入れないと、週末困ったことになっちまうのだ。

 仕方がないので、知り合いの代議士秘書に連絡して、議員会館の内部から見てもらおうと思った。言うまでもないが、代議士たちの事務所はみなこの議員会館の中にある。
 で、ちょっと離れたところに公衆電話があったんで、そこからかけると、代議士秘書はこう答えた。
「ケータイ忘れたって? あ、そう。だったら受付でそう言えばすぐに取りに行ってくれるよ。何? ダメだって? えーっ? そんなことないよ。そんなのおかしいよ。ちょっと受付の人に変わってよ。なに? 離れたところの公衆電話? 仕方ないなぁ。だったら行ってあげる」
 というようなわけで、彼は受付までやってきた。
 彼がやってくると、受付のオジさんは「はいはい」と応じ、すぐに第4会議室は開いた。
 結果、もちろん携帯電話は椅子の上に置いてあったのだ。

 まあ、なんつーかね、ケータイ忘れた間抜けな私が悪いんだよ。一義的には。
 だがね、この官僚主義というか、杓子定規というか、怠惰というか、事なかれ主義は一体何なのであろう。
 その受付の初老のオジさんは、私を邪魔扱いにしながら、その間、ずうっと知り合いのオバさん(ちょっと美人)と世間話をしてただけなのだ。
 しかも、私が言って「ダメなものはダメ」が、代議士秘書がやってくると「はいはいどうぞ」となる。この見事な変わり身ぶり。
 こりゃ一体なんなんだ?
 イヤダ、イヤだ。このあまりに日本人的なお役人根性。日本人であることがイヤになる黄昏時であったよ。

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【ヒキタ解釈のオススメ本(たまに非オススメあり)

「若者殺しの時代」堀井憲一郎著 講談社現代新書

 タイトルから想像する「現代の若者論」みたいなものとは、全然ちがってた。
 この本は1958年生まれの堀井氏から見た「若者的時代論」とも言うべきもので、70年代から、80年、90年、そして00年代にかけての若者文化の変遷を追うことで成り立っている。曲がり角は80年代。そこで若者は自由に生きることを許されなくなったという。
 一見、便利になるように見えて、何もかもを剥ぎ取られていくばかりの「若者の時代」を、堀井氏はシニカルかつユーモラスな筆致で記していく。不思議なことだが、66年生まれの私にとっても(つまり8歳も違う)、堀井氏の時代論はすぅっと入り込んでくる。
 時代の変わり目は間違いなく80年代にあった。その80年代の本質を「こうだ」と指摘するのではなく、ほのかに匂わせるところが、堀井氏の堀井氏たる部分だ。匂わせるだけで言いたいことは十分伝わる。また、折り返し地点をピンポイントで言うなら、堀井氏は83年だという。私は85年だと思ってる。だが、それはそれ。見解の違いってヤツだろう。
 いずれにせよ、80年代にスタートした、ある種の時代の雰囲気。月9ドラマ、クリスマス狂騒、社会党とNHK朝ドラの凋楽、オタク、ワープロ、などなど。それらはやがて、ポケベル、パソコン、そして、携帯電話に変わり、時代は「ツルツルの灰色の原野」に到達してしまう。
 だが、堀井氏は「だからどうする」とは決して言わない。そこにあるのは「そうだから、そうなんだ」という諦念だけだ。
 あの時代を生きた誰にとってもそうだろう。私にとってもそうだ。
 時代はもう戻らない。これから我々はどこに向かっていけばいいのだろう。読めば分かる。読後感にあるのはスッキリとしていて爽やかな、絶望感だけだ。

 この本はタイトルを付け違えたと思う。
「若者殺しの時代」という言葉に反応して手にとった人は、たぶん「なんのこっちゃ」という感想を抱くだろう。
「1983年の砂鉄、あ、違った、蹉跌」(とかなんとか。堀井テイストを下手にマネしてみました)あたりにしたら、本書はもっと売れたと思う。

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「天下を獲り損ねた男たち(続・日本史の旅は自転車に限る!)」木世(えい)出版社
*昨年12月発売の最新刊。今回はなぜか「奈良・暗峠」「秩父・八丁峠」「北海道・日高峠」と、峠モノが満載。

「疋田智の自転車生活スターティングブック」ロコモーションパブリッシング
「自転車とろろん銭湯記」ハヤカワ文庫
「大人の自転車ライフ」光文社知恵の森文庫
「自転車ツーキニストの憂鬱」ロコモーション・パブリッシング
「日本史の旅は自転車に限る!」木世(えい)出版社
 いずれも好評発売中。ネット内でのご注文はこちらにどうぞ。
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/search-handle-url/index=books-jp&field-author=%E7%96%8B%E7%94%B0%20%E6%99%BA/249-6371737-5693951

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準快速通勤時間短縮に期待しています。日時:2006年6月19日


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発行者プロフィール

ペンネーム : ヒキタ

  • 環境、ダイエットに効果抜群。どなたにもオススメの「自転車通勤」ですが、そのノウハウやポリシーを色々な人にお伝えするメルマガです。 と、思ってたのですが、ただ単に私ヒキタからのバカメールが届きます。ご容赦。

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