バカのままである(週刊 自転車ツーキニスト241)
発行日時: 2006/4/25【週刊 自転車ツーキニスト】"Weekly Bicycle Tourkinist"
バカのままである241号
■イヤだね、少年犯罪は
岐阜・中津川の事件だ。15歳の少年が13歳の少女を殺した。昨今、もうその程度じゃ誰も驚かない。
だが、今回、見るにいたたまれないというのか、何といえばいいのか……、なのが、少年と少女が書いていたブログの内容だ。「制服の第2ボタンを」だとか「青いジャージが」の手合い。正直申し上げて、私はもう恥ずかしくて見ていられない。
確かにあったよ、我々の中学時代にだってね。「制服の第2ボタン」なんてのは、25年前からあった。恋愛ごっこというか、何というかに、胸ときめかした(汗)こともあった。誰もが似たような経験はあることだろう。ああ、恥ずかしい。
その手のこっぱずかしいリビドーが、殺人事件に化ける。
あー、やだやだ。たぶん当該の中学校とか高校では、ワケのワカラン甘酸っぱくも黒い噂が駆けめぐってるはずだ。
おまけに、昨今は、セックスの低年齢化が進んだこともあって、恥ずかしさも3ランク上。なにしろ容疑者側の少年は15歳にして2歳の赤ん坊がいるというのだ。母親はといえば、こちらはこちらで、16歳。子供は施設に預けているのだそうな。
あー、ほんとやだ。繰り返しになるが、ハタで見てても、もう恥ずかしくてならん。事件自体は悲しい出来事だが、その動機や経緯が何ともいたたまれない。翻ってご遺族にとっては悲しみもひとしおだろう。こんなバカげた理由(動機はまだ未解明だが、交際のもつれ、なんてのが容易に想像できる)で娘が死にいたったからだけじゃない。娘もそのこっぱずかしいゲームの登場人物の一人だったことも、間違いなく事実だからだ。
■子供であること、バカのままであること
子供の事件が悲しいのは、ある意味、未熟のまま、すなわちバカのまま死んでしまうからだ。誤解があると困るので、あえて言っておくが、子供がバカであることは決して悪いことじゃない。子供が未熟なのは当たり前のことだから。
だが、バカから脱皮することなく、その先を知らず、バカのさなかに死んでしまうのは、やはり悲劇と言わざるを得ないだろう。
もっと人生ってヤツは深くて豊かで、そんな中高生が想像できるような薄っぺらなモノじゃない。それを知らずして、いわばバカのままにして死んでしまう。そこが切ない。
ずいぶん前、新潟の中学生が不良仲間に焼き殺される事件があった。悲惨な事件だった。
後日、事件現場に行くと、花束や寄せ書きなどが並べられていた。寄せ書きの中のひとつには、女子生徒による次のような文言があった。
「○○(被害者の名前)がいなくなってさびしいよ。以前、私にコクってくれたよね(愛の告白をしてくれたよね、の意)、わたしはあの時××君と付き合ってたから、断っちゃったけど、本当は○○のこと3番目に好きだったんだ……、云々かんぬん」
そして、この後、この女子生徒の、誰が好き、誰がどうした、の話が延々と続くのだが、そこから見えてくるのは、彼女の自己陶酔の姿しかない。ああ、もう書いてて恥ずかしい。
真面目な話、この手の少年少女の陶酔感ほど恥ずかしいモノはないね。そして、その陶酔感は「退屈な日常を壊してくれた」こういう時に限って発露するわけだ。ああ、もうヤダ。
この同じ事件現場には、○○君がこの銘柄が好きだったからと、「線香代わりに」煙草が手向けられていた。
どう見ても、ただの吸い殻に見えた。
こうした子供たちが全国的に増えているのは間違いなく事実だろう。
そして、その奥に……、ちょっと話は飛ぶようだが、生まれ始めた「格差社会」の影を見るのは、必ずしも私だけじゃないはずだ。
そのことについて、あえて詳しく述べようとは思わないけれど。
■突然、筋肉少女帯
で、突然、筋肉少女帯、つまりは大槻ケンヂ氏なんだが、彼はそういう少年少女の陶酔感に冷や水を浴びせかけるのがうまいね。私は結構好きです。というのか、かなりファンです。曲調も好き。
今回の話は、深夜の自宅でアルバム「レティクル座妄想」を聞きながら、徒然なるままに書きました。彼は、そういう女子高生的陶酔感を突き放して見る目を持ちながら、同時にそれ自体を愛してもいる。
スゴいスタンスだと思う。
*今回、なんだか論旨がわかりにくいな。ま、私なりに自主規制をしてるわけですよ。これでもね。
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【ヒキタ解釈のオススメ本(たまに非オススメあり)
「空中ブランコ」「イン・ザ・プール」奥田英朗著 文藝春秋
前者は大ベストセラーとなった直木賞受賞作。後者はその前編。
例によってベストセラーになりすぎると読みたくなくなるという私であって、前作「イン・ザ・プール」が文庫になったんで、ようやく読んでみた。
激面白い。こりゃオススメだ。
軽妙かつ濃厚で、面白く、飽きさせず、それぞれにテーマ性まできちんと存在する(同じ舞台の短編集なのです)。ものすごくよくできたエンターテインメント小説集。読んでる間「次は?」「次は?」の連続で、読み終わるのがもったいないほどだった。
奥田英朗氏といえば、私にとっては「邪魔」「最悪」などの、リアル・ノワールの作家、という印象だったんだが、うまいもんだなぁ、こういうのを書かせても。脱毛、いや脱帽。
主役の精神科医「伊良部」のキャラが立ちまくりで、なかなかよろしい。
前に聞いた話では「藪医? いや、名医? 破天荒な医師が、現代社会で病んだ人々を治していく」みたいなことだったんで「あー、よくテレビドラマなんかに出てくるようなタイプね、一見、滅茶苦茶なように見えるアル中医者みたいなのが、実は人情派だったりするんだろ?」程度に思っていた。
それが違う。いいぞ、伊良部は。バカで、マザコンで、勝手で、場が読めなくて、愛せないが、愛せるぞ。
どんな伊良部かは読んでのお楽しみ。読むべし。マジメにオススメ。
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「天下を獲り損ねた男たち(続・日本史の旅は自転車に限る!)」木世(えい)出版社
*昨年12月発売の最新刊。今回はなぜか「奈良・暗峠」「秩父・八丁峠」「北海道・日高峠」と、峠モノが満載。
「疋田智の自転車生活スターティングブック」ロコモーションパブリッシング
「自転車とろろん銭湯記」ハヤカワ文庫
「大人の自転車ライフ」光文社知恵の森文庫
「自転車ツーキニストの憂鬱」ロコモーション・パブリッシング
「日本史の旅は自転車に限る!」木世(えい)出版社
いずれも好評発売中。ネット内でのご注文はこちらにどうぞ。
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http://japgun.infoseek.ne.jp
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