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5分でわかるデジタル家電のABC Vol.041

発行日: 2008/6/7

5分でわかるデジタル家電のABC Vol.041
【宇宙では熱が逃げにくい・・・衛星の謎2】
発行:2008.06.07 02:00
配信数:231部
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【目次】
1.ハンダ
2.人工衛星の熱
3.特殊フィルム
4.ヒートパイプ
5.まとめ
6.次回予告
7.編集後記
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【1.ハンダ】

X君
「それにしても、人工衛星って宇宙を飛んでいるんだから、
これは考えてみると、すごいことですね」


「放射線の影響もあるし、真空、無重力だしね」

X君
「そんな環境の中で動いている電子機器があるということを
全く考えていませんでした」


「無重力で思い出したけれど、小さなゴミがあると、
それがフワフワと浮いて、電子機器に影響を与えることがあるから、
人工衛星を製造するときには、内部にゴミがないように対策をしている。

例えば導電性の物質、金属(ハンダくず等)のゴミがあると、
それが宇宙空間で電子機器内部を漂って、
ショートし電子機器が壊れることがある。
ハンダくずに注意するのは地上で使用する機器も同じだけどね」

X君
「ハンダくずって、聞いたことはありますが、
あまり詳しくありません。
いったいどんなものなんですか?」


「まず、【ハンダ】というのは
電子機器のリード線などをつなげる接着剤の役割をするものだね。
数百度の高温にすると溶ける性質があるよ。
電子機器の基板を見ると、
リード線部がテカテカ光った銀色の物質で繋がっているのが見えるよね。
これが【ハンダ】なんだ」

X君
「では、【ハンダくず】とは何ですか?」


「電子機器を組立作業するときに、
ハンダの小さな破片が飛び散ることがあるんだけど、
その破片をハンダくずと呼ぶことがある」

(余談ですが、昔のハンダには鉛が含まれており、
場合によっては環境破壊に繋がるため、現在では対策がなされている。
例:鉛フリーハンダ

しかし、鉛フリーハンダは、使いにくい。綺麗に仕上げるのが困難)

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【2.人工衛星の熱】

X君
「聞けば聞くほど、宇宙って過酷なんだなと思います。
電子機器って、宇宙だと壊れそうな感じですね」


「特に、半導体は、放射線や熱に弱いからね。
宇宙空間は、電子機器にとっては過酷な環境なんだね」

X君
「前回、ディレーティングや放射線防止の話も出ましたが、
熱に弱い半導体は、
宇宙空間で故障しないような対策をしているのでしょうか?」


「うん、しているよ。
熱が逃げやすいような筐体の設計をしているし、
できるだけ発熱が少なくなるような回路にしている。
それから、面白いところではヒートパイプというのがあるよ」

X君
「ヒートパイプって、熱い管?」


「熱を伝える管のことだよ。
人工衛星内部(正確に言うと、パネルの内部)にこの管が通っている」

X君
「人工衛星には管まで通っているのですか?」


「宇宙空間だと地上に比べて、
太陽光が当る方向は温度がより一層上がるし、
日陰になる方は、温度がより下がるからね」

X君
「宇宙空間では空気の対流がないから、
ヒートパイプを使って無理やり対流させるのですね」

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【3.特殊フィルム】

今回は、人工衛星の特殊技術を一部ご紹介しましょう。

宇宙空間には空気がありませんから、空気による対流がありません。
太陽光が当るところと、陰になるところでは、温度がかなり違います。

電子機器は、温度が上がりすぎると品質が低下しやすいため
(特に半導体は熱暴走して壊れることもあります)温度を下げる必要があります。

先ほどX君と話をした「ヒートパイプ」は、温度を下げるのに効果的です。

ここでは、「ヒートパイプ」の話の前に、
まず、衛星表面を覆っている金色のフィルムの話をしましょう。

人工衛星の写真を見たことがある方はご存知だとおもいますが、
衛星表面に金色のフィルムが貼ってありますよね。

これは多層インシュレーション(MLI)といいます。
(MLI:Multilayer Insulator)

カプトンフィルムにアルミを蒸着したものと、
テフロン製の断熱ネットを重ね合わせたものですね。

MLIは衛星表面の断熱材として使用されています。


それから、OSRというものもあります。
(OSR:Optical Solar Reflector)

OSRは、ガラス状の溶融シリカ(透明)に、アルミを蒸着したものです。
これは、太陽光を反射するのが目的で、
さらに、衛星内部の熱を宇宙に放射(輻射)する役割も果たしています。

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【4.ヒートパイプ】


先ほどX君と話をしたのが【ヒートパイプ】でしたね。

ヒートパイプは、熱を伝達するための管です。

衛星内の熱い部分から熱を奪い取り、
冷たい部分に熱を送っています。

ヒートパイプは毛管現象を利用しています。
パイプの内側に細い溝(「ウィック」と言う)をたくさん作ってあり、
液体が流れやすくなるような構造になっています。

このパイプには、アンモニアなど熱伝導率のよい物質が使われます。

つまり、ヒートパイプは以下のような仕組みで熱制御をしています。

1)熱源部で内部の液体が蒸発して気化。このとき熱を奪う。
2)気化された後、蒸気は低温部へ移動し、そこで液体に戻る。
3)液体が毛細管構造を通って、高温部へ移動。そこでまた気化。

→この繰り返しです。

人工衛星では、特にパワーアンプ(電力増幅器)で発熱が大きく、
パワーアンプの熱を逃がすのにヒートパイプが使われています。

空気のない宇宙空間では、
ファン(扇風機)を使うことができませんから。

ちなみに、「地上の電子機器」は熱を逃がすのにファンを使うことが多く、
これが騒音の原因の一つになっています。
パソコンも、ファンの音がうるさいと感じることもありますよね。

ファンを使えない宇宙空間では、電子機器の発熱を抑えるために
さまざまな対策を実施しているのですね。

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【5.まとめ】

宇宙空間は地上とは異なる特殊な環境のため、
電子機器もそれに対応したものになっている。

1.無重力状態で、金属片が存在すると浮遊し、
電子機器ショートなどの影響を及ぼすことがある。
ハンダくずを含め、金属片が無くなるように管理している。
(顕微鏡で目視確認する)

2.宇宙空間には空気がないので、対流による熱放射がない。
そのため衛星表面に特殊なフィルムを付け、
断熱や熱放射の手助けをする。

3.またヒートパイプというものを衛星パネル内部に通すことで、
熱を逃がすような仕組みももっている。

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【6.次回予告】

次回は衛星放送の続き。

その後は、こんな感じでいきたいと思います。

テレビ(ワンセグなど)
携帯電話、無線LAN、WiMAXなど。
ビデオ、CD、DVD。
FeliCa(Suica、Pasmoなど)
(予定は未定です)
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【7.編集後記】

もう6月になりました。月日が過ぎるのはとても早いと思います。

最近は忙しさが増してきて、毎日のように終電での帰宅です。
忙しいときは、あっという間に時間が経ってしまうように感じます。

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