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ここは地の果てアルジェリア 技術移転奮闘記

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ここは地の果てアルジェリア【第73号】番外編6=ローラン

発行日: 2008/8/28

 




                           ┌──────────┓
                           │ 第73号 2008.08.28 │
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│  ここは地の果てアルジェリア 技術移転奮闘記      │ 永尾 良一 │
┗─────────────────────────────┴───────┛

│ ☆私こと普通の日本人が、スイスの企業に雇われ外人部隊となって
│  アルジェリアの工場建設現場に行き、現地の生徒を一から教育する
│  ノンフィクション物語です。

│ ☆上司も同僚も外国人、生徒はもちろんアルジェリア人、
│  日本人は私たった一人でした。

│ ☆ヒッチハイクにはいろいろな思い出がある。
│  番外編ナタリーに続き、ローランのお話を綴りましょう。

┗────────────────────────────────────────…
 *:...:*:..:*:..:*:..:*:..:*:..:*:..:*:...:*:..:*:..:*:..:*:...:*:..:*

┏───────────┓
│ ローラン(その1) │
┗───────────┛…………………………………………………………………………………
 またまたヒッチハイクの話題で恐縮であるが、これを書かずにはいられなかった。

あれはフランス南西部、ボルドーとトゥールーズの中間くらいにある、
小さな大学都市ポーにいたころの話である。
当時仕事を探しており、履歴書をフランスの企業に数通送ってみたところ、
パリの事務所から面接の通知を受け取った。

急いで支度をし、リュックに着替えと本とラジカセ(いまや死後に近いが
ラジオとカセットテープのプレーヤである)を入れ、
ポーの町外れまで歩いてそこからパリまでのヒッチハイクをやりはじめた。

今はヒッチハイク事情は分からないが、当時はけっこううまくいって、
パリまでの800kmを1日でたどり着いたりしたものだ。

そのときも、そんな期待ではじめたが、
なんと金髪の女の子が私の50mほど先でヒッチハイクをしているではないか。
待てよ、その子と一緒にヒッチハイクすれば車が止まってくれる確率はぐんと増す。
そんなことを考えながら近寄っていった。

えっ?女の子じゃない?なんと小学校5、6年生くらいの男の子ではないか。

Bonjour(こんにちは)。君ひとり?

Oui(うん)そうだよ。お兄さんは?

ここから会話がはじまる。
きけばなんと一人で、パリまでヒッチハイクをするのだという。
日本にたとえるなら青森にいる小学生が一人で上野を目指そうというのだから尋常ではないし、
ど根性とかいうレベルの話ではない。

なんか訳ありだが詮索しても仕方がない。
こちらはとにかく早くパリに着けばいいので、パリについたらおさらばである、と思っていた。

金髪で青い目の少年はどこかエキゾチックで幻想的でもある。
ただ言っていることがやはり子供であるが、プライドだけは高い。
それに頭もいい。
こちらが冗談を言うとすぐそれに反応してくるし、冗談の理解度も優れている。

いっしょにヒッチハイクをやろうという提案にすぐ乗ってきた。
たぶんいい保護者、連れ合いができたとでも思っているのだろう。
それに子供連れのほうが車を走らせている側から見れば止まってあげたくなるに違いない。

効果はすぐに現れた、ポーからボルドー方面へと向かう。
ヒッチハイクで乗せてくれた人々は珍しがってどういう関係かと訊いてくる。
東洋人と金髪のかわいい小学生である。正直にさっき知り合った他人と答える。

ところでその子はLaurent(ローラン)という名まえだった。
そうしたヒッチハイクの運転手とローランとの会話から、ローランは家出少年のようだとわかる。
なに!おれは家出少年の手助けをしているのか?と思ったが後の祭りである。

変な事に関わりあいたくないが起きたことは仕方ない。
パリにはお父さんが住んでいて、ある飛行機会社のお偉いさんらしい(たとえばエールフランスの重役?)。

さすれば今どきひそかに捜索願が出されて、おれはその子を引きずり回している誘拐犯か。
しかし明らかに言えるのは、家出ほう助ではない。などと考えながらもヒッチハイクは続く。

やはり思ったとおり、乗り継ぎ、乗り継ぎはうまくゆき、予想よりかなりはやく、
な、なんとその日の夜にはパリに着いた!
少しおなかもすいたのでバゲットを買って二人で分けようと提案したが
その代金1フランなんぼも持ってないという。

えっ?!?!?

ぶったまげた。みごとに一銭もないのである。な、なんという坊主だ。
それでよく800kmものヒッチハイクを思いつくよなぁと私もかなりあきれた。

しかたがない、バゲット(フランスパンの小型のやつである)を買って半分はあげることにした。
パリ市内に入る前に乗せてくれたマダムは親切な人で、いろいろ話をしているうちに、
今夜の宿はどうするのという話になった。

私の知っているのは駅の待合所で野宿である。夏だから寒くもない。
それを聞いていたマダムは、よければおうちに泊まりなさいといってくれた。
パリのど真ん中である。豪華な億ションではないがこじんまりしたアパルトマンに住む普通の人である。
泊まる条件に、何も構うことができないので朝起きたら出て行ってくれというものであった。

それでも我々は感謝して、朝その家を出るときに感謝の印として、鶴の折り紙を作って出た。


 *:...:*:..:*:..:*:..:*:..:*:..:*:..:*:...:*:..:*:..:*:..:*:...:*:..:*
─《★編集後記★》─────────────────────────────────
当時はヒッチハイク全盛の時期で、といっても語学の練習と交通費を浮かせるという
一石二鳥の事をやっていただけで、今そんなことができるのか分からない。
でも毎回違う人の車に乗せて貰って楽しかった。

ポンコツの軽から高級乗用車まで。あるときはメルセデスベンツというのもあった。

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最後までお読みくださりありがとうございます。

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編集・発行 永尾良一
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