ここは地の果てアルジェリア 技術移転奮闘記 |
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┏─────────┓
│ フランスの食卓 2│
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「ところでぼくは思うんだけど、世界の有名な料理というのはかなり残り物の
料理ではないかという気がするんだけどね」
「フランス料理でいえばカスレという豆料理や、シュー・クルートという酢漬
けのキャベツに寄せ集めのソーセージ類はアルザス地方の代表的な料理だね。
ドファン地方のグラタン・ダフィノワなんかも、じゃがいもとチーズの残り
物で作ってこれがいける」
「あれなんか、冬には暖かくて美味しいわよね」
と誰かの奥さんが口を挟む。
「世界にはまだまだある。炒飯なんかも残り物のご飯にクズ野菜を混ぜて炒め
たものだし、チャンポン、八宝菜、混ぜご飯、ポトフーにボルシチなどみん
なそんなたぐいに思える」
「そうだそうだ、おまえさんの言うとおり。普段の生活でもあの色々混ざった
サラダが美味しかった、といっても2度と同じ物が出来ないときの悔しさは
ときどきあるよなー」
「ところでこのお肉、とても柔らかいし、なんと言っても焼き方がいいね。
うん、とっても旨い。料理の名前をいくら覚えても、美味しい料理の一品
にはかなわない」
「あらそう、口がうまいわね、じゃまた今度作るから食べに来てちょうだいね」
かくしてまたまた美味しい料理を予約できたようなものだ。
そうしてここ1週間ほどの出来事をあれこれ情報交換すると話題はつきる。
誰も話をしない一瞬がたまにあり、そんなとき誰かが
「天使が通り過ぎていく」とかいって、次の話題が出る。
いよいよ話すことがなくなったらどうするか。皆、自分の十八番ともいえる小
話を披露するのが毎度のことである。お喋りのモーリスの十八番は×(ばつ)
という題で、もう2,3回聞いたが、何度聞いても面白い。彼独特の言い回し
と間の取り方が絶妙である。
さてその十八番が始まった。
「ある時にな、トトという8つくらいの男の子がいてな、学校の図画の時間に
先生が課題を出したんだ。
『皆さん、今日はカタストロフという題で、絵を描いてもらいますよ。
身の回りで起こった事、あるいはテレビや雑誌で見たどんなことでも
いいですから、世界の悲惨なこと、破滅、災害など絵にして下さい。』
クラスのみんなはな、戦争や竜巻、列車事故の様子などを描いていた。
が、一人トトは画用紙一杯に×を描いたんだ。若くて美しいその先生は、
トトに訊いた。
『トト、それはどうしたの。みんな色々すごいことを描いてるけど、
トトのは×一つじゃないの。』
そこでトトは言ったもんさ
『でもね先生、このあいだ家ではもうひどかったんだよ。
この×ひとつで家中がメチャクチャになっちゃった。』
『どういうことなの。先生にちゃんと説明してちょうだい。』
『高校生のお姉さんがいるんだけどね、毎月カレンダーに×をつけて
いたんだ。』
『それで?』
『それが先月の前の月で×はお休みになって、先月もやはり×はなかった
の、そしたらそのことでお父さんが怒りだして、お姉さんを追いかけて
ひっぱたいたんだ。お姉さんは泣いて逃げ回るし、家中大騒動で、椅子
や机はひっくり返るし皿は割れて床は水浸し、お母さんはわあわあ泣く
し、もうあれ以上のすごいことはなかったよ。ぼくは世の中ひっくり返
るかと思っちゃった。』
その女教師は顔を真っ赤にしてうつむいてな、なにも言えなかったらしい
よ」
一同爆笑。
私の十八番の小話もある。
「あるバーのカウンターにな、たいそうな身なりをした男が拳を上げ、
皆に説教めいたことを言ってるんだ。
『人生はな、とにかくもらうよりやらなきゃいかん。やってやってとことん
やる、これが成功につながり、自分も幸せの道が開けるんだ。
もらっちゃいかん』
そこに来た新顔が、隣の男に尋ねたんだ。
『へーおどろいたね。ありゃ一体どなたさんかね。神父か銀行家とでも
いったところかな?』
訊かれた方の男は答えた。
『いいや、あいつは昔ボクサーだったんだ。』」
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