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ここは地の果てアルジェリア 技術移転奮闘記

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ここは地の果てアルジェリア【第55号】

発行日: 2008/4/10

┏────────┓
│  胃潰瘍か  │
┗────────┛…………………………………………………………………
 アルジェリアに戻り、旅の疲れがまだ癒えない9月はじめの頃、胃がきりき
りと痛みだした。毎日がストレスの連続で、胃に負担をかけていたのは知って
いたが、今まで経験したことのない痛みに不安をおぼえた。

海外の現場といってもこれだけの規模になると日本人の医者、看護婦がいる。
こちらは下請けの従業員であるが、元請が日本の会社なので利用できる。

早速診察してもらった。胃壁にキズがついているが、幸い病状は軽いらしい。
取りあえず薬をもらって休むことをムッシュー・ガリッグに話すと、それはい
かん、養生しなくてはと大げさになり、彼の家で1週間ほど寝泊まりすること
になった。

正直言って私は少なからず驚いた。日本人の間でも、そこまで面倒を見ること
はない。しかも奥さんにも食事の世話など、何かと負担をかけることになる。
しかし持ち前の素直さと図々しさで、その好意を敢えて受けた。

彼らは一見個人主義で他人の面倒など一切見ず、付き合いなど難しいような気
がするが、これは私の思い違いであった。

付き合う前に、まず相手がこちらに興味を持っているかで異なるだろうが、そ
うでない人々とは仕事以外全く話もしない。そうかと思えば、普段から親しく
言葉を掛け、冗談や雑談を交わせる人々がいる。ガリッグ夫妻は後者で、今ま
でも何かと面倒を見てくれた。

その日から早速彼の家に泊まる。家といっても客側が用意した、
70平方メートルほどの2DKの鉄筋コンクリート宿舎の2階である。

玄関はなく、入口の扉を開けるとそこが居間で、表の廊下からも丸見えだが、
不思議と昼間誰もカーテンをしていない。そんな習慣はないようである。もし
かしたら私の記憶違いで、カーテンはあったかも知れないが閉まっていた記憶
はない。

10畳程の寝室とそれに続くバス、トイレがあり、廊下を隔てて6畳の寝室が
私が寝泊まりする部屋で、かつてアミエルや責任者のムッシュー・フォールが
いた部屋でもある。

ガリッグ夫妻は年齢的にも20歳は離れている私を、我が子のように扱った。
食事も家庭的フランス料理で、いつも食べ過ぎた。

食事の制限をする必要はないと医者に言われていた。何でも好きなものを食べ
た方が健康にいいし、回復も早いという。

そんなある晩、その日は特に暑かった。今晩は暑くて眠れないと言うと、エア
コンをかけて寝ればいいという。しかしエアコンはガーガーと音がうるさく、
かえって眠れないと言うと

「オー・ラ・ラー(フランス人が驚いたときいつも発する言葉)
 おまえさんはフランス人以上に難しい人間だなー」
とからかわれた。

その時思った。自分もかなり彼等に影響され、好き嫌いや好みをはっきり言う
ようになったものだ。他人の家にお世話になりながら、わがままな病人という
気がしないでもないが、その時はごく自然な率直な文句だと思った。

1週間が過ぎ、体力も回復して2,3キロ太ったと思われる頃、オランに戻り
今までの生活が始まった。その1週間は彼らとフランス人の生活を知るには、
実に有意義な時だった。


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