ここは地の果てアルジェリア 技術移転奮闘記 |
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│ 第17号 2006.06.28 │
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│ ここは地の果てアルジェリア 技術移転奮闘記 │ 永尾良一 │
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│ ☆私こと普通の日本人が、スイスの企業に雇われ外人部隊となって
│ アルジェリアの工場建設現場に行き、現地の生徒を一から教育する
│ ノンフィクション物語です。
│
│ ☆上司も同僚も外国人、生徒はもちろんアルジェリア人、
│ 日本人は私たった一人でした。
│
│ ☆生活習慣や観念が違うヤイとの暮らしに、
│ 日本人としての私は、しばしば苛立ちを感じていた。
│ しかしやがてお互いに干渉せず、仲良くやっていくようになった。
│
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│『ん』で名が始まる同僚│
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しりとり遊びで単語の最後に『ん』が来ると負けるように、『ん』で始まる
言葉は日本語にほとんどない。いや、方言にはいくつかある。『んだ』と言え
ば『そうです』、『はい』の意味だというのは東北では常識である。
だが驚いたのはアルジェリアの現地採用講師で、彼の名は、
ムッシュー・ンガンドウと言った。
例によってヤイがどこかで見つけたうちの一人で、その頃ちょうど数学の講師
が不足していたことからムッシュー・ガリッグに引き合わせたところ、採用と
なって数カ月間働くこととなった。彼はコンゴかザイール出身と思われるが、
付き合ってみるとやはり典型的なアフリカの人間だなと感じた。
ここでいうアフリカ人とは普通我々がイメージする黒人で、西アフリカや中央
アフリカの人々を指している。黒光りする肌で、笑っているのか、怒っている
のかはじめはよく分からないが、我々以上に表情豊かである。明るくてものご
とにこだわらないのは良いが、おおむね時間や約束にルーズである。
モーリス、テレーズの家に昼食を食べに行っていた頃、仲間四人、同じ車に乗
り合わせて昼休みは往復していたが、彼はいつも遅れてくる。それが少しずつ
遅くなるので、ある日たまりかねた私は彼に言った。
「もう少し早く来てくれないかな、俺達みんな午後の授業に遅れるんだ」
彼はそれに対して猛烈な口調で反論した。
「俺は何も待ってくれとは頼んでないぞ!」
「・・・」
何を言っているのかわからない。ただ唖然とするばかりである。
「俺は誰にも待ってなんて頼んでない!」
ひとり興奮して勝手に怒鳴り散らしている。
一同呆気にとられ、返す言葉もなかった。その後ほとんど誰とも付き合わず、
私とも言葉を交わすことはなかったので物事にこだわらない根っからの脳天気
でもなかったようだ。ただはじめの頃は、ヤイと私と彼、それに彼らの友達が
よく集まってはお喋りをしたものだった。
ちなみに『ん』で始まる名前は彼の国では珍しくない。
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│ アルジェリア人医師 │
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ムッシュー・ガリッグが一度病気になって寝込んだときがある。どんな病気
か忘れたが、そのときヤイの友人ということで、アルジェリア人医師が診察に
来た。ヤイからいわせれば単にそこらで知り合った人の友達といい、特に深い
付き合いではない。一応診察らしきことをしたが、薬を置いていった。
病気はその後良くなったが、何度か出入りするうちに、どうも本当の医者では
ないらしいことをヤイが聞きつけ、それから疑いだした。
「自称医者」に医師免許をみせるように、私たちは彼に迫った。しぶしぶみせ
た免許に一同唖然とした。それは、名前の部分を切り貼りしたと思われる、た
だのコピーだったのである。
そして分かったのは、実は看護士の資格もない介護人として、どこかの病院で
働いているようであった。ただ、彼が診察し、話をしているときは、いかにも
医師のように振る舞っていたが、真相が分かるととたんにうさん臭くみえ、
誰も相手にしなくなり、いつしか消えていった。
当時アルジェリアにいる外国人のほとんどが石油や天然ガスと関係し、石油で
は儲かることも知っていて、金回りのいい外国人は、いつも何らかの形で狙わ
れる。
ところが、もう一方では、外国人はお客様という考え方があり、これは日本と
少し似ている。国内旅行では、何度親切にされたか知れない。そこでの彼らは
仕事上付き合うアルジェリア人とはまったく別の面を持っていた。
しかし、町中で親しげに声をかけてくる者に、まともな者はいない。いつぞや
ヤイとオランの街に行ったとき、街角で声を掛けてくる、五十歳頃の紳士がい
た。
何事かと思ったら、この付近で車が故障したという。大事な約束があり急ぐの
でタクシー代を少し都合してくれないかという。ヤイには私の知り合いのよう
な調子で話し、私にはヤイの知り合いのような口調で話す。
二人で顔を見合わせ目配せをした後、彼を無視して早々に立ち去った。
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─《★編集後記★》──────────────────────────
どこの国に行っても怪しげな連中や金目当てに近づいてくる連中がいるもので
す。以前東欧圏を旅行したときには「チェンジマネー?」といって外貨特にド
ル目当ての連中が寄ってきました。
ここアルジェリアでは街中でそうした声を掛けてくる者はいませんでしたが、
ちょっと親しくなるとやはりそのての頼み事がすぐにきます。
中には一時帰国だというと、あれを買ってきてくれこれを買ってきてくれと人
の良い日本人はカモにされてしまいかねません。
きっぱりと「ノー」といってところで、ああやっぱりダメか、程度にしか
考えていないのが彼らです。
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最後までお読みくださりありがとうございます。
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編集・発行 永尾良一
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