西洋思想の散歩道 |
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◆◇◆「思想の世界」Vol.2◆◇◆◇◆◇◆◇◆◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
No.141 2005.08.06
西洋思想の散歩道
-A Promenade of Western Thought-
K. Wiseman 著
Assisted by Mai O.
◆◇Presented by K`s Community◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
読者の皆さんへ:
脳が溶け出すほどの暑い日々が続いていますが、お変わりありませんか。
家のすぐそばに何本かの木があって、毎朝、蝉が「暑いぞ、暑いぞ」と言っ
て元気よく鳴きます。蝉時雨も、疲れた朝には騒音にしか聞こえないのですが、
生命の育みの懸命な姿に、時に「あはれ」を感じますね。
7月の間、近所の商店街で土曜夜市というのをやっていたのですが、最後の
土曜日に買い物のついでに少しだけのぞいて、観葉植物を一鉢買ってきました。
毎年ひと鉢づつ買ってくるのですが、なかなかうまく育ってくれません。留守
をすることが多くて、その間に枯れてしまったり、水をやりすぎて根腐れを起
こしたりで、ちょっとの不注意で枯らしてしまいます。我が家の観葉植物は、
まったく、人間のようです。
自分自身の身体もそうだなぁと、つくづく感じています。このところ毎日、と
ても眠くて、朝も昼も夜も睡魔に襲われます。今年はちょっと無理をしてきた
ので疲れがたまっているのかも知れませんね。もっとも、スポーツのTV観戦
をしているせいでもありますが。
ともあれ、生活を建て直して、暑さを乗り切りましょう。良い夏を祈念して
います。
では、、現代の教育論(その13 教育環境の整備−5−「生徒論(2)」)
です。今回は、学びの深化と拡大を取り上げます。
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第4章 人間と教育
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7.まとめとしての現代教育論(その13 教育環境の整備−5−2−)
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<その13 教育環境の整備−5−「生徒論(2)」>
学んだ事柄を深化させ、それを発展させていくことは「学ぶ」ということの
基本的な姿勢に他なりません。学んだことを「記憶する」ということと「深化
させる」ということは、全く別のことです。
昨今の「学習」が「暗記」という作業にすり替わってきたのは、教えられる知
識の量が膨大になってきたことや記憶力を試すようなテストによる点数至上主
義による悲しい現実ですが、「学習」は「暗記」とは無縁の知的作業に他なり
ません。
たとえば、「understand」という英単語を学んだとします。これを、「理解す
る」と覚えて、「understand=理解する」と暗記することは、まだ「学習」で
はなく、単なる機械的な作業を脳で行っているに過ぎないのです。「学習」は、
「understand」が、なぜ「理解する」という意味をもっているのか、この言葉
が表しているのがどういう状態や状況なのか、この言葉の構造はどのようにな
っているのか、「アンダー・スタンド」と発音される時の音の響きは何を表す
のか、などを考えていくところから始まるのです。
そこから、この言葉が「under+stand」という二つの言葉の合成であり、それ
ぞれの単語は「下に」と「立つ」であり、「下に立つ行為」を表していること
がわかり、「understand」は、「謙遜になる行為」そのものを表していること
が理解されます。つまり、英語の「理解する」は「謙遜になる」ことに他なら
ないのです。あるいはまた、「under」や「stand」の一語一語の理解を深める
ことも必要で、「under」は、おそらく、ある事柄を基準にしたら、その基準
よりも「下方、マイナスの方向」を指し、「stand」は物事が「スッと立って
いる状態を表すのでしょう。「理解する」ためには「立つ」ことが必要なので
す。
そこから、たとえば、日常でよく使われる慣用句で「I can not stand.」(我
慢できない)という言葉がありますが、「立つことができない状態」を「我慢
できない」という風に表現することや「忍耐」を「立つこと」とする言語思想
が理解されていくような学習の発展が起こります。
その他、いちいち事例は挙げませんが、これらのことは、他の英単語や漢字、
数学などの基礎学習から他の諸科学のすべての学習に言えることでしょう。ひ
とつひとつのことをこのように学んでいく時、そこで得られる知識が生きたも
のとなるのです。しかし、このような学びをするには、時間がかかります。だ
からこそ、学習には「ゆとり」が必要なのです。
学ぶ者が、こうした学びの深化と発展を行う時、学んだ事柄は自己自身の知
識となって生かされていきます。そして、生きた知識というのは、それがどの
ような抽象的な概念であれ、極めて実用的なものなのですから、ベーコンが語
ったように、「知は力」として働くのです。
さらに、学びの深化と発展の作業の中で必要なことは、学んだ知識の具体化
と普遍化を行うという作業です。知識は、すべて、具体的な事柄から立ち上が
ってきたものですから、知り得た事柄が成り立ちうる条件や状況をきちんと限
定する必要があり、その知識の限界と成立条件を具体化する必要があります。
1+1=2が、いつでもどこでも成り立つのではなく、これが成り立つのは、
いくつかの条件が必要なのです。
そして、こうした限界と成立条件を知ることは、そこから知識の普遍化を生み
出していきます。「普遍的な真理の探求」は、こうして始まるのです。
教える者と学ぶ者が、こうした知的な作業を共同で行う時、そこに教育の基
本的関係が生まれます。
残念ながら、現在の日本の学校教育では、幼稚園から大学院に至るまで、こう
した学びの深化と発展が行われずに、競争原理に則った暗記教育や知識の詰め
込み教育が行われていますが、「知のゆとり」がないために、そこで学ぶ多く
の知識が死滅していくのが現状です。
忘却は人間の特徴であり、また、素晴らしい能力の一つでもありますが、学ん
だ知識が、あまりにも簡単に忘れ去られ、数学の公式や英単語など、その最た
る例で、なんのための学校教育かわからなくなっています。
人は、生きるために学ぶのであって、学びはそれ以外の何ものでもないこと
を明瞭に自覚すること。それが、学ぶ者としての生徒論の本質でしょう。
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☆「教育」について、ずいぶん長く描いてきました。人間と教育について書き
始めたのは2004年の2月ですから、もう1年半近く、この問題を取り上げて
きたことになります。いつもながら、もうすこし掘り下げる必要があるので
すが、ここではいくつかの問題を概観するだけにし、次回から第5章として
知識と言語の問題を考えてみたいと思います。
☆知識の基本的問題は、「人間にとって知識とは、ついには何なのか」という
ことであり、その知識の本質である言語については、近年、言語学のめざま
しい発展がなされてきました。
☆言語学は人間の言語構造の分析から始めますが、それはまた、優れて解釈学
や哲学の問題でもあります。
☆次回から、例によって、その当たりをぶらぶらと散策したいと思っています。
☆暑いですねぇ。「暑い、暑い」と言っても涼しくなるわけではありませんが、
つい、言いたくなります。
☆よい日々を。ではまた。
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関連HP「思想の世界」 http://homepage.mac.com/berdyaev/
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