西洋思想の散歩道 |
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◆◇◆「思想の世界」Vol.2◆◇◆◇◆◇◆◇◆◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
No.136 2005.03.12
西洋思想の散歩道
-A Promenade of Western Thought-
K. Wiseman 著
Assisted by Mai O.
◆◇Presented by K`s Community◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
読者の皆さんへ:
お変わりありませんか。
週の初めからインフルエンザで発熱し、3日ほどダウンしていました。熱
で、身体の節々が痛み、独居のつらさをつくづく味あわなければならず、な
んともひどい日々でしたが、その間に、「しだれ梅」がきれいな花を咲かせ
ました。春も、もうすぐです。
先日、皇太子が記者会見で子どもの教育について、米国の教育学者である
ドロシー・ロー・ノルトの詩を引用され、「このようなことを自然に学んで
いけるとよいと思っています」と結ばれて、「自然に学んでいける」という
のが素晴らしいと思いました。
ドロシー・ロー・ノルトは、子どもを取り巻く教育環境に、「励ますこと、
寛容であること、賞賛すること、公正であること、友情、安心、大きな愛情
で抱きしめること」をあげて、精神的環境の重要性を訴えますが、「批判ば
かりされた子どもは、非難することを覚え、殴られて大きくなった子どもは
力にたよることを覚える」というの本当だと思います。あるいは、「寛容に
出会った子どもは忍耐をおぼえる」というのも、本当にそうだと思います。
寛容も忍耐も、共に、「愛の業」に他なりません。
この詩が皇太子の記者会見で紹介されてよかった、と思っています。子ど
もへの虐待や子殺しが、毎日、新聞に掲載されるような状況の中で、たくさ
んの人たちが、この詩の言葉を聞いたでしょうから。
閑話休題。啓蟄が過ぎ、三寒四温の言葉の通りに春の日差しを感じること
が多くなりました。僕もそろそろ冬眠から目覚めければならないなぁ、と思
っています。
では、、現代の教育論(その9 教育環境の整備−3−)です。
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第4章 人間と教育
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7.まとめとしての現代教育論(その9 教育環境の整備−3−)
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<その9 教育環境の整備−3−>
「学校」というのは、教育の主要な環境のひとつです。今日では教育=学校
というように思われがちですが、学校は教育環境のひとつなのです。しかし、
その問題は別のところで述べることにし、ここでは、「学校の環境」について
考えることにしましょう。
学校という制度は、古代社会ですでに始まっていますが、それ以前にも、共同
体が形成されるとすぐに、共同体の成員になるための教育が行われましたし生
活手段の習得のための教育は必要でしたので、儀式や祭事の場が、共通の教育
環境を提供するものとして位置づけられていました。
古代社会の中で著名なのは、プラトンの「アカデメイア」でしょう。カリキュ
ラムも教授内容も、プラトンの理想に沿ってかなりしっかりと考えられたもの
でした。しかし、プラトンが私財をはたいて設立し、運営したアカデメイアは、
学校と言うより、むしろ、私塾のようなもので、今日のような学校教育制度と
して、学校が位置づけられるようになったのは、まだ比較的新しく、厳密には、
近代以降だと言えるかも知れません。
日本でも、江戸時代に、武家の師弟のための教育機関として、各藩は藩校を
設立し、庶民の教育のための「寺子屋」が起こりましたが、制度として確立さ
れたのは、義務教育を提唱した明治時代以降でした。
日本の学校制度は、それ以後、いくつかの改革的な変遷をたどり今日に至って
いますが、社会が、学校という公教育機関をもつという視点は変わらず、たと
え個人が設立した私立のものであっても、学校は、国家の管理下に置かれてい
ます。
明治になり、それまでの士・農・工・商の身分制度が廃止され、義務教育とし
ての学校制度が制定されるに及んで、教育の門戸が一般に広く開かれましたの
で、学校は、社会的階級上昇手段として広く定着し、その認識と共に学校制度
も整えられていくという相乗効果の中にありました。
従って、学校の教育環境として、まず、有用な知識と技術が習得できる環境を
整える、ということが挙げられたのです。
これは、今日も、ますます強く学校の教育環境の物理的条件としてあげられて
おり、最先端の技術と知識を取得し、その社会的有用性の高低によって学校教
育が評価されますので、学校は、その環境整備のために多額の費用と時間を使
っています。
たとえば、大学における研究設備や先端情報システムを用いての教授方法が可
能な設備の設置も、もちろんですが、幼稚園などでも、早期の外国語の習得、
コンピューターの操作を習得するための設備などを整えようとするところが、
つぎつぎと生まれてきました。基礎教育の分野でも、そうしたシステムの導入
が求められています。
また、「快適な教育環境」ということで、広くて美しいキャンパスが求められ、
カフェテラスが作られたり、キャンパスでの生活環境を快適便利にするための
各種のサービスが提供されたるするようになりました。キャンパスの中を都市
の生活空間と同じように整え、しかも、公園や緑地などの自然環境を整備し、
「より快適な環境」の整備が志向されたのです。
学校のこうした物理的環境についても、国は、学校設置基準を設け、その指導
に当たっていますが、設置基準には、1クラスあたりの学生の人数や教室の広
さなどが、細かに規定されています。
教育の物理的環境はできる限り良いものである方がいいに決まっています。落
ち着いてゆったりした雰囲気の中で、最先端の知識と技術が学べるにこしたこ
とはありません。1クラスあたりの人数も、以前は40人程度の基準でしたが、
恐らく、20人程度がいいように思います。
しかし、こうした学校の物理的環境の整備のためには、学校は莫大な資金を必
要とし、税金を含めた教育費の割合はかなりのものになっています。そして、
こうした教育費の高騰は、教育の機会均等の権利を奪い、貧富の差が、そのま
ま教育の差になりかねないところまで来ています。
だが、教育環境の物理的条件は、教育の必要条件ではありません。物理的環
境は整えられることにこしたことはありませんが、教育の本質とは無関係で、
教育は、教えるものと学ぶ者がいれば、どのような状況下でもなし得るのです。
近代幼児教育の父とも言えるルソーは、野外における自然観察や遊びなどの生
活空間そのものを教育の物理的環境にしました。どんなに立派な机や椅子、た
くさんの蔵書をもつ図書館、最新のパソコンなどの電子機器がそろったり、広
い教室やキャンパスがあったところで、それらの物理的環境と教育の本質は無
関係なのです。
教育は、人間と人間の対話によって行われる極めて人格的な業ですので、教育
の環境というのは、学校においても、人間そのものに他なりません。
従って、学校の教育環境にとって不可欠なのは、教師の資質と学ぶ者の熱意に
他ならないのです。そして、現代の教育にとって、これが最も問題ではないか
と思います。
教師の脂質に関しては「教師論」として論じられますが、学校は、整えられた
物理的環境の善し悪しではなく、教師の善し悪しによって立ちもし、倒れもす
るのです。
では、学校の教育環境の中で最も重要である教師は、いったい、どのようにあ
るべきなのでしょうか。
次回は、そのことを少し考えてみたいと思います。
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☆学校が広いキャンパスをもち、キャンパス内で生活できるように都市機能を
持って、それが都市を作るというのは、欧米では歴史的に起こってきたこと
です。日本の学校も、欧米志向型の教育環境を考えますので、その方向で進
み、地方自治体でも経済効果をねらった大学の誘致ということが行われたり
しました。
☆しかし、国土が狭く、土地の値段が高騰している日本では、都市環境の中で
の教育環境を考えた方が良いのではないかと思います。日本の大学は、資本
の論理そのものに従ってマンモス化してきましたが、本来は、もっと小さく
ても良いのではないかという気がします。
☆教える者と学ぶ者の顔と顔が見えるような小さな学校がよい、と思うのです
が、どうでしょう。
☆ここでは、初めは今回取り上げたような物理的環境について述べるつもりは
ありませんでしたが、「学習用品」というのが、あまりに商業ペースで横行
し、学校も、その内実ではなく物理的な周辺環境を売りにするような傾向が
あまりに強くあるために、少し、触れてみました。
☆初春の候とはいえ、まだまだ寒さが厳しい日があります。お気をつけてお過
ごし下さい。ではまた。
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