西洋思想の散歩道 |
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◆◇◆「思想の世界」Vol.2◆◇◆◇◆◇◆◇◆◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
No.135 2005.02.05
西洋思想の散歩道
-A Promenade of Western Thought-
K. Wiseman 著
Assisted by Mai O.
◆◇Presented by K`s Community◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
読者の皆さんへ:
寒い日々が続いていますが、お変わりありませんか。
今年は全体的に暖冬と言われましたが、寒い日の寒さが厳しいですね。今
週の前半は、寒波の襲来でしびれるほどの寒さでした。
それでももう、季節の分かれ目である節分が過ぎ、これから、春に向かって
の三寒四温の歩みが始まるのでしょう。大事に育てていました梅の白いつぼ
みが大きくふくらんできました。
年明けから実務に負われるようにして日々が過ぎ、一年の中では一番いや
な思いがする如月になってしまいました。「如月の 風は冷たき ひゅるひ
ゅると鳴り渡る」と、昔、詩ったことがありますが、なぜか、苦手な月で、
だいたいにおいて何をやってもうまくいきません。
こういう時は、身をかがめてじっとしているのが一番なのですが、なかなか
そうもいかないですね。寒梅に習って、身をしゃんと伸ばし、驕ることもな
く、卑屈になることもなく、ただただ、歩き続けるだけです。
寒梅といえば、もうずいぶん以前の寒い夜に、ある城跡の梅林に、夜桜な
らぬ夜梅を見に行ったことがあります。ずいぶんと寂しい夜で、震えながら
白い小さな梅の花に見とれていました。その町を去る一週間ほど前でした。
数えてみれば、あれからもう5年の歳月が流れてしまいました。今度、その
町を訪れ、梅林に出かけ、もう一度、白い梅の花をみながら、謙遜に、身を
ぴんと伸ばして生きることを深く体得してこようと思っています。
では、ずいぶんと間があいてしまいましたが、現代の教育論(その8 教
育環境の整備−2−)です。
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第4章 人間と教育
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7.まとめとしての現代教育論(その8 教育環境の整備−2−)
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<その7 教育環境の整備−2−>
前回、教育の第一の環境は家庭であり、そこでは、子どもに対する信頼と愛
情が必要であり、また、「模範となる存在」が必要であると述べました。すべ
ての学習は「模倣」から始まるのであり、何といっても、子は親を見て育つの
です。
従って、教育環境という観点から言えば、「親自身の学習」と「学びの姿勢」
が重要になります。ずいぶん以前、多くの親たちは、子どもの教育環境を整え
るということで、子ども部屋を作ったり、高価な机を買ったり、あるいは、塾
や習い事に通わせたりしましたが、家庭での教育環境というのは、そうした物
理的なことではなく、親子関係そのもののことに他なりません。
これは、わたしがよくお話しする譬えの一つですが、たとえば、あなたが子
どもと一緒に道を歩いているとします。道ばたに小さな花が咲いていました。
子どもがそれを見つけて、「お母さん、この花はなんていう花?」と聞いたと
します。その時、あなたは、どういう対応をするでしょうか。
ちらりと見て、子どもの問いかけを無視して、「忙しいから、またあとで。」
と答えたり、「急がないと間に合わないから、早く歩きなさい」と言ってしま
うでしょうか。それとも、子どもと一緒にその花を見て、「きれいねぇ」と感
動を共にするでしょうか。あるいは、「よく、見つけられたわね」と言って、
子どもをほめるでしょうか。
この最初の対応の仕方の中に、すでに、子どもの教育環境があるのです。
「あとで」も「早く歩きなさい」も、言うまでもなく、子どもの教育環境とし
ては最悪ではないでしょうか。「あとで」の時は決してやってこないし、子ど
もの発見に対して、別の命令を下すのは、子どもの学習意欲を踏みにじること
になります。子どもの学校での成績が悪いといってしかりつける親は、多くの
場合、このタイプに属するような気がします。
あなたは、そうした対応をする親とは異なって、子どもの発見に感動を現し、
注意力をほめたとします。さて、あなたがその花の名前を知っている場合、そ
の名前を教えるでしょう。そのことによって、子どもはあなたに対して知的信
頼を抱くようになります。親の学習が必要なのは、この点にもあるのです。
しかし、それで終わりでしょうか。もし、それで終わったら、その子どもの
学習は、そこで終わり、その経験はそこで終わるのです。恐らく、その子ども
は、その花の名前をすぐに忘れてしまうでしょう。残念ながら、多くの学習が、
小中学校での学習を含めて、そこで終わるのです。試験が終われば、数学の公
式や英単語をきれいさっぱり忘れてしまうのは、学習がそこで終わっているか
らで、経験ばかり多くて、体験のない人生が始まるのです。
子どもに色々な経験をさせたいといって、色々なところに連れて行かれる方が
おられますが、それを体験化させずに、それで終わると、確かに経験は増えま
すが、子どもは行ったことさえ忘れてしまいます。
学習は、花の名前を教えることで終わるのではなく、実はそこから始まるので
あり、家に帰ってか図書館に一緒に出かけ、植物図鑑を広げ、その花の名前を
確認し、ついでに、その花についての他のことも、一緒に調べていく、という
ことなのです。
あなたが花の名前を知らない場合でも、同じで、知らないことを調べていくと
いう学習の基本的姿勢がそこで体得されていくのです。
家庭での教育環境というのは、そういう親子関係をいうのです。植物図鑑を
買い与え、本棚に並べておくことではなく、一緒にそれを開いていくという環
境を作り出すことを言うのです。幼児教育において「絵本の読み聞かせ」が重
要視されるのも、そうしたことの一つに他なりません。
幼稚園や保育園で、最も重要なことの一つにいつも挙げられるのは、子ども
の教育以上に、親の教育の必要性ですが、それは、端的に言えば、そうした親
子関係の形成なのです。
しかし、日常生活の中で、例えば、子どもと一緒に植物図鑑を開いたり、図
書館に出かけて行くには、ずいぶんと「ゆとり」というものが必要ですね。近
年、小学校で採用された「ゆとり教育」というのは、そうした学習をするとい
うことで、それによって本来の学力をつけるはずでしたが、実情は、「ゆとり」
の意味を勘違いしているところがあるようです。
ある意味では、世界で最も義務教育が進み、高度知的社会となっている現代日
本ですが、教育環境という点からは、親も教育機関も、まだ、未熟なのかもし
れません。親が「ゆとり」をもって子どもを育てることができるような社会環
境が整えられていく必要があるのではないでしょうか。
さらに、もし、子どもが道ばたの小さな花に気づかずに通り過ぎるようであ
れば、気づきを促す語りかけができるようにすることも、家庭における教育環
境を豊かにする一つでしょう。そのためには、親自身の「気づき」が必要であ
り、それ故の学習が必要なのです。
それらの事柄には、経済的な問題、生活時間の問題、地域社会の問題などが
ありますが、要は、「ゆっくりと子どもを育てる環境」を家庭で持つというこ
とに他なりません。経験したことを体験にまで深めていくような知的行為の方
向性を親も子ももつようにするということです。
そしてそれは、幼稚園や小学校の初等教育の在り方でもあるのではないでし
ょうか。
次回は、教育環境としての学校教育について考えてみたいと思います。
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☆1月の後半に体調を壊し、メルマガの発行ができませんでした。雪で、やむ
を得ない、しかし体調にとっては救いとなるような日があり、ずいぶん回復
しました。だいたいにおいて、低血圧で、冬になると冬眠状態のようになり、
よく眠ります。夕食後、少し横になると、もう夢の世界に入ってしまいます。
☆次年度の予定がそろそろ詰まってきているのですが、できるだけ執筆の時間
をとりたいというのは、また、先延ばしになりそうです。無為の時間が、本
当は必要なのですが。
☆今年になって、文部科学大臣が、子どもの学力が低下したので「ゆとりの時
間」をなくすという談話を発表しましたが、発想が安直すぎる気がします。
もう少しよく考えてもらいたいですね。「ゆとり」は「生きた学力」を目指
したはずです。教育に焦りは禁物なのです。
☆外務省の友人が『アフガニスタン戦後復興支援』という本をくれました。新
しい社会の在り方を考えるのにはよい本だと思います。
☆まだまだ寒さが厳しいですね。お気をつけてお過ごし下さい。ではまた。
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