西洋思想の散歩道 |
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◆◇◆「思想の世界」Vol.2 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
No.14 2000.12.27
西洋思想の散歩道(第14 回配信)
-A Promenade of Western Thought-
K.Wiseman, O.Mai 著
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読者のみなさんへ:
お変わりありませんか。
高い空から舞い降りた淡雪が空中でふっと消えていく。今年のクリスマスはそ
んな日でしたが、いよいよ年の瀬も押しつまり、あわただしさに追われるよう
になりましたね。
「日々の暮らしは、嫌でもやってくるけど、静かに笑ってしまおう」という吉
田拓郎の『襟裳岬』の文句ではありませんが、静かに笑って年末年始の時の流
れを見てみたい気もします。
歩いている途中で、時々、立ち止まって遠くの山々を眺めます。そしてさらに、
その遥か彼方の悠久の天空に身を移してみます。そこから映る小さな自分自身
と、取るに足らないことで悪戦苦闘している姿を顧みます。そうすると、どこ
からともなく、静かな笑いが湧いてきます。
「正月や冥土の旅の一里塚 めでたくもあり めでたくもなし」と髑髏をさげ
て堺の街を闊歩した一休さんも、自分の人生を静かに笑える人だったのかもし
れません。
自分の人生と人々と時代を静かに笑って見送る。「終わりの時」にふさわしい
態度なのかもしれません。
80歳ぐらいで亡くなった晩年のプラトンも、私費を投じたアカデメイアで教え、
執筆する生活の中でそんな雰囲気を漂わせていたのではないかと、かってに想
像しています。
そのアカデメイアの生徒の中で、最もありあまるほどの卓越した才能を発揮し
た人物、世界に大きな影響を与え、しかしあまり世間の幸福とは縁のなかった
人物、それが、今回から取り上げるアリストテレスです。
新しい年、2001年は「知恵」の年です。緩やかな淘汰が進み、人類の知恵と私
たちの知恵が試される世紀の始まりです。
哲学の巨人アリストテレスの「知恵」を少しのぞいてみたいと思います。
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第1章 宇宙(世界)と人間
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2.(2)理想世界の追求−現実の分析からの世界
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アリストテレスは、紀元前384年にギリシャのトラキア地方の植民都市スタゲ
イロスで、代々が医者の家系に生まれたと言われています。
しかし、早くに両親を亡くし伯父に引き取られ、17〜18歳頃、アテネにあった
プラトンのアカデメイアの生徒となり、以後20年間、そこで学究生活を送りま
した。
60歳を越えた老プラトンが20歳前後の若いアリストテレスにそのすべてを注ぎ
出すようにして教えている姿が想像されます。
アリストテレスはプラトンのイデア論を批判的に継承しましたが、プラトンが
亡くなるまでそこを離れることなく、まぎれもなく、プラトンを尊敬して止ま
ぬ弟子でしたし、プラトンもまた、彼を寵愛したのではないかと思えます。
20年の歳月、これはアリストテレスの全人生の3分の1近くの歳月であり、こ
の歳月の重みを思うと、若きアリストテレスがいかにプラトンに師事したかが
分かるような気がします。
その時だけの一時的な関係しか作れなくなっている現代人には気の遠くなるよ
うな歳月ではないでしょうか。
プラトンの死後、翌年の紀元前348年、アリストテレス36歳の時、彼はアテネ
を離れ、あちらこちらを遍歴しました。かなりの苦労もあったのかもしれませ
んし、自らの生きる場所を求めての遍歴だったのかもしれませんが、詳しいこ
とはわかりません。この遍歴は5年も続いています。
紀元前343年、当時のマケドニアの王フィリッポス二世から息子の家庭教師に
招かれマケドニアに移りました。
この彼の生徒となったフィリッポス二世の息子が、後に世界を統一したアレキ
サンダー大王です。アレキサンダー大王は、元々の資質もありましたが、アリ
ストテレスの教えを受け、彼を尊敬し、彼はその庇護の下で、比較的安定した
生活を送ったようです。
アリストテレスの世界への好奇心は留まることを知らず、アレキサンダーの遠
征の度に、世界各国から動物や植物を集め、観察し、研究を続けました。これ
が今日の動物園や植物園の始まりだと言われています。
しかし、この安定した生活も8年しか続きませんでした。アレキサンダーの死
後、その息子たちによって3つに分裂した王国の争いを避け、アリストテレス
は、紀元前335年にアテネに戻ります。
そして、アテネで、その師プラトンと同じように、「リュケイオン」という学
校を創り、多岐に渡る研究を指導しました。アリストテレス49歳でした。
アリストテレスは博識です。その取り扱った分野は、学問のすべての分野であ
ったといっても過言がないくらいです。彼は、各領域で示唆に富んだ考察を展
開しました。そして、それらを総合したのです。
一人の人間の中にこれほどの広くて深い知識と総合力があるのかと思えるほど
の統一のとれた知性を持っています。
しかし、リュケイオンでの学究生活も12年しか続きませんでした。紀元前323
年、アテネを中心にしたギリシャの諸都市で反マケドニアの気運が高まり、か
ってマケドニアでアレキサンダー大王の家庭教師をしていたアリストテレスは
マケドニア側の人間として告発されました。
彼は自分の講義ノートとリュケイオンの運営を友人のテオフラストスに託し、
母の故郷であるカルキスに逃れましたが、翌年、62歳でその生涯を終えました。
彼が設立したリュケイオンはその後も長く続き、友人に託された彼の遺稿は、
彼の死後200年近く経ってから、当時のリュケイオンの学頭アンドロニコスの
手によって編纂され、公刊されました。
これが後の『アリストテレス著作集』の原型です。その量は膨大で、この膨大
な著作を前にすると、彼がリュケイオンで過ごした日々が、いかに思索と著作
の日々であったかが忍ばれます。49歳から始まったそれらの日々は、彼の集大
成の日々であったのです。
プラトンと過ごした20年を除いて、アリストテレスの人生は波乱の人生でした。
そしてその中で、極めて現実的な視点で世界とものごとを見、その観察に基づ
いて思索を続けました。
それ故、彼の世界観も科学的観察に基づいて現実的です。
次回、そのアリストテレスの世界観について触れてみたいと思います。
ではまた。
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☆今回は、アリストテレスの生涯を簡単にたどってみました。哲学者はただ座
ってものごとを考える人のように思われるかもしれませんが、時代や運命、
社会に翻弄される一人の人間であることに変わりはありません。
☆アリストテレスは「行動する哲学者」だったような気もします。彼には息子
があり、その名を冠した彼の「倫理学」が『ニコマコス倫理学』とも言われ
ますが、どんな女性と結ばれ、どんな子であったのか、残念ながら僕は知り
ません。
☆プラトンとアリストテレスは哲学の双璧をなします。それは今日でも変わら
ないと、僕は思っています。現代のものを含めたあれこれの哲学は、そのど
ちらかの傾向に分類されると思うからです。
☆次週は発行曜日が3日に当たりますので、お休みです。次回の配信は、10日
(水)の予定です。良いお正月をお過ごし下さい。
☆ご質問、ご意見、ご批判、感想、励まし、何でもお寄せ下さい。できるだけ
僕なりのご返答を差し上げるつもりです。このメルマガから議論が生まれる
のは、とても素晴らしいことだと思います。
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い。
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【近況】
クリスマスにネット上で讃美歌つきの素敵なカードを送っていただきました。
ありがとうございました。
「34丁目の奇蹟」は起きませんでしたが、淡雪が降りました。「はかなさ」
がひとしおでした。
お正月から仕事で京都に行く予定です。寒いでしょうね。また「年明け早々
にミーティング」と電話がありました。「バカヤロー」と言いたいのですが、
「飯の種、飯の種」と思って、「分かりました」と言ってしまいました。
バカヤローなのは僕でした。
お雑煮と黒豆、これが僕のお正月料理の好物ですが、仕事以外は「食う、寝
る」の繰り返しですから、少し太るかもしれませんね。
今日、図書館で借りられるだけの本を借りてきて、これでお正月の準備が整
いました。僕の場合は簡単なものです。
良いお正月をお迎え下さい。では、来年また。
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