『敵も味方もどこにいて、何をしてるか判らない』だけどその状況は幸せだと彼は言った…。
地殻変動により変貌してしまった日本を支配する、中王の圧政に立ち向かうべく、暗躍する者達の思惑が交差する。
圧制下で暗躍する小国の王子とその護衛部隊の成長を描くFT恋愛群像劇。
仕事の合間に!勉強のお供に!他人の世界に触れてみよう!がテーマの軽く読める連載小説。
- 最新号:2008-09-28
- 発行周期:毎週月曜定期
- 読んでる人:8人
- 創刊日:2007-01-07
- Score!:-点
- コメント数 : 0
- メルマガID:165386
- バックナンバー:全て公開
- 発行者サイト:あり
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switch【1日5分!空き時間に読む小説】vol。119
発行日: 2008/6/2━ 1日5分!空き時間に読む小説 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━
スイッチ(モラトリアムを選ぶと言うこと)
【 ジャンル:ファンタジー系恋愛小説 】
http://shosetsu.uijin.com/
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━Vol.119 2007年6月2日
発行者:作倉エリナ
☆☆───────────────────────────────☆☆
今号は「続・序章 第六話 続・穴二つ 007/010です。
☆☆───────────────────────────────☆☆
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まえがき
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
はじめましての方、お手にとっていただきありがとうございます。
以前からお読みいただいている方、本当に本当にありがとうございます。
これから通常配信です、と言った舌の根も乾かぬうちに、このざまです。
申し訳ないです……(もう謝るしかできません)
作倉エリナ
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スイッチ(モラトリアムを選ぶと言うこと) 続・序章
第六話 続・袖振り合うも多生の縁
P.007 / P.010
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(前回までのあらすじ)
何らかのショックにより、現代から500年ほど未来の変貌してしまった時代
にタイムリスリップしてしまった相原は、王子ミハマの言葉を受け、元の時
代に帰りたいと願い、出来ることのために、動き始める。
暗躍するテッキを後見に、中王の軍人であるはずのティアスがオワリに現れ
る。彼女は深夜、テツと密会をしているようだが、その確証が取れぬままア
イハラは悩む。しかし、彼女に信頼されていることだけを支えに、護衛部隊
に正体の知れてしまった彼女の味方でいようと決意する。
しかし、シュウジ達の口から語られる彼女の真実に近付くたび、不安が増大
していく……
(↓以下本文)
第六話 続・袖振り合うも多生の縁
07
ティアスは彼らを、いや、彼を見つめているように見えた。ミハマか、サワ
ダか、オレの位置からではその視線の先を追うことは出来なかったけれど。
あっちはあっちで、いい年こいたおっさんを含めて、ぎゃあぎゃあと騒ぎな
がら話し合いらしきものをしていた。
「冷静な判断を、姫……」
「冷静?」
ちら、っと隣に立つニイジマを確認してから、彼女は再び彼らに視線を戻す。
今度は、彼女が明らかにサワダを見ていたことが確認できた。
結局、ここでもオレは、サワダに彼女をとられてしまうってことなんだろうか。
「いつだって、冷静だけどね」
「冷静じゃないやつは、みんなそう言うんだ」
それにしても、ホントに上司に向かって失礼なやつだ。
「冷静なら、どんな判断をするというの?」
「どうだろう。今、オレ達の動きは止まったままだ。この膠着状態から抜け出
すために、何か策を打った方がいいというのは理解できる。だけど、その策が、
彼らとは思えない」
「どうして?」
「手に余る」
「そうかしら?」
「未知数だ」
「それはトージの判断でしょう?それがあなたが私に求める『冷静な判断』っ
てやつ?」
ニイジマは黙ってしまった。そして、言いにくそうに目をそらしながら、し
どろもどろに話し始めた。
「つーか……完全なる、その、冷静な判断を求めるって言うのは、やっぱ無理
があると思う。あんたはひどく人間くさいし」
「人間だもの、当たり前でしょ。失礼ね」
「人間は、理性だけでは判断なんかできやしない。計算や合理主義だけで何か
をしようだなんて、無理な話だ」
「当然でしょ?」
「だからこそ、オレ達はあんたについてる」
サワダ達から視線を移し、怪訝そうな顔でニイジマをみつめる。
「今更、どうして自分自身を説得しようとしてるの?いやなら降りればいい」
「いや、想定外っつーか……なんていうか、心配になる」
そう言ってニイジマが見たのは、彼の主ではなく、サワダだった。
「決まったか?」
見られてることに気づいたのか、そう聞いてきたのはサワダだった。ミハマ
もこちらを見ていた。
「……決まったか、って……」
「ミハマの意志が固まっている以上、こちらはその部分が揺らぐことはないで
すからね」
シュウジさんはニイジマの疑問を、「ミハマの意思」という言葉だけで片付
けてしまった。
「現場に落としこむのは、われわれの仕事ですから。判ってますね?」
「意味わかんないし。オレに喋るなってこと?」
「あんた、最近余計なこと言い過ぎなんですよ!自由に動きたいんなら、少し
はおとなしくしてなさい」
こっちはこっちで、王子様は王子様扱いされてないし。でも、誰も止めに入
らないって事は、そういうことなんだろうな。
「大丈夫だよ。このままじゃいけないと思ってるから、君たちも動いてるんだ
ろ?それはオレたちも一緒だよ。その目的は違っても、たまたま方向が同じと
ころを向いていたくらいに考えればいいんじゃないのかな」
「そんな簡単なことじゃないでしょう?」
「巻き込むつもりだったんだろ?」
「そうだけど」
彼女の心変わりの原因は、彼らにあるのは明白だ。
『だけど、やっぱりダメだよ。誤魔化して、巻き込もうと思ってた。でも甘え
るわけにはいかない。そんな風に思ってくれてるのに』
彼女は、彼の思いを知って、巻き込んではいけないと、そう言ったのだから。
「何か心配?巻き込もうとか、甘えないとかオレたちと君たちは、そんな関係
でもないでしょう?君の部下は、君が感情的になりすぎていることを心配して
いるのに」
ミハマはみんなで騒いでいただけかと思ったのに、ニイジマとティアスの会
話をしっかり聞いていたらしい。意外と侮れない。
「感情的ではないよ。申し訳ないと、考え直しただけ」
「どうして?君は重たいと言ってくれたけど、そんなことは、オレ達にしかわ
からない。たとえば……」
話を続けようとしたミハマを、隣に座るサワダがとめ、代わりに話し始めた。
「オレの父親、サワダテッキと創世記メンバーの関係の話?端にうちの王子様
が、思った以上に本気だったからって、気後れしたわけでもないだろう?」
いや、気後れしてるって。ティアスは……ホントはやさしいいい子なんだっ
て。絶対こいつ誤解してるって。
大体、サワダはこんなときばっかりずるいんだよ。このタイミングで、どう
しておまえが父親の名前を出すんだよ。
気持ち悪い。サワダのずるさが、妙な割り切りが。なのに、周りがみんなサ
ワダに気を使ってることが。その気づかい気遣いに、おまえは気付いているよ
うで、本当の意味では気付いてないんじゃないのか?それを、ティアスも、ミ
ハマも、どう思ってるんだ?
なんか、サワダって、結構いいやつだと思ってたのに、ただの大ボケのドン
カン野郎なんじゃないだろうか。
「まあ、ゆっくり考えてよ。なんとなく、状況もわかってきたし。時間がない
のは、多分オレ達ではなく、君達だし」
あっさりと、いつもの穏やかな笑顔でそう言い放った王子様は、その台詞の
重さを本当はどこまで理解しているのだろうか。彼女を追い詰めていることを
自覚して、その台詞を吐いていること……わかってるか、わかってるよな、ミ
ハマなら。わかってて、この状況でリリース?今まで、何のかんのと言いなが
ら、追い詰めたり突き放したりしたくせに。これって自然なのか?
「ミハマ、そういうわけにはいかないでしょうが。あなたはよくても、状況も、
彼女達も、そして我々もそれは……」
「大丈夫だよ。ここであったことを、ここにいる人間が、一切口外しなければ
いい。たったそれだけのことだ。彼女はさっき、口外しないと言った」
「……ですが」
といって、シュウジさんが助けを求めるために視線を向けたのは、なぜかニ
イジマだった。
「しないよ。できるわけもない。わかってるでしょう?」
「そうだね。これは『取引』だ」
まるで針で指されたような痛みを背中に感じた。これが、「背筋が寒くなる」
ってやつなんだろうか。ミハマはあの穏やかな表情のままなのに、彼の言葉は
いつもどおり重く温かいのに、なのに、彼の言葉がオレに重圧を感じさせる。
隣で聞いてるオレがそうなんだから、それを向けられた彼女はどう思ったの
か。
「まだ、納得できない?」
彼女は、黙って彼を見つめていた……だけに見えた。彼を見つめたまま、頷
いた。
「ずるいな、ミハマは。意外とうそつきなんだもの。……違うか、うそつきな
わけじゃない」
彼女の独り言のような言葉に、彼は微笑を返すばかり。
「言わないだけだ。ねえ、ミハマ。あなたにとって大事なのはいったい何?世
界が見たいとか、そんなこと、本当はどうでもいいんじゃないの?私のこと……」
どうでも良くはないんじゃないのかな?どうでも良いのに、危険を冒してま
で動こうとするというのなら、そのほうがよっぽど意味がわからないし。それ
もひとつの理由のような気がするし。確かに、彼女を助けたいって言う思いが
先だと思うけど。
だけど、彼女のため、なんていったら、彼女は引いてしまう。なんと言うか、
めんどくさいな。
……今オレ、めんどくさいって思った?
「うん。どうでもいいかな、多分。ティアスは多分、オレを誤解してる。オレ
は別に、君の国がどうとか、君の家族がどうとか、本当のところはきっと、ど
うでもいいんだよ。そんな高尚な人間でもないし。自分と、自分の回りのこと
しか考えられない、ごくごく普通のちっぽけな人間」
自分のことなのに、まるで他人のことを言うように突き放した。
「そう?どう、ちっぽけ?ホントにそうなら、動く理由がないもの」
「どうして、立派な理由がある。オレは、自分と自分の回りのことしか考えて
ないって言ったろ?オレには守るべきものがある。この小さなコミュニティを
守るために、オレは動く」
彼の言う「コミュニティ」がなんなのかは明白だった。
家族でもない、国でもない。王子様は、自分と、自分の護衛部隊がすべてだ
とそう言った。
思ったよりくだらなくて、思わず笑いそうになってしまったのを必死に隠し
ていた。
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次号は・・・
スイッチ(モラトリアムを選ぶと言うこと)続・序章 第六話(全七話)
P.008/ P.010
vol.120 は2008年6月9日発行です。お楽しみに!
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現在このお話と対になる学園ものシリーズを携帯でお送りしています。
そちらもぜひご覧ください。
http://mini.mag2.com/pc/m/M0056277.html
mobile wing of fragment http://shosetsu.uijin.com/
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あとがき
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もう、転職、めんどくさいなあ……(だめ発言)ジョブホッパーとか罵られ
るし
愚痴から始まってしまいましたが、今後もこんなペースかもしれません。
しかし、やっと序章の終わりが見えているので、何とか、進めていきたいと思っています。
サイトの改修計画とかもあるのですが、なかなか手がつけられていません。
以下も是非、ご覧くださいませ。
「小説家になろう」
天に向かって唾を吐け! http://ncode.syosetu.com/n7361a/
switch【モラトリアムを選ぶと言うこと】http://ncode.syosetu.com/n2034b/
今号も、お読みいただきありがとうございました。
また次号もおつきあいください。
作倉エリナ
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