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switch【1日5分!空き時間に読む小説】vol.115

発行日: 2008/3/24

━ 1日5分!空き時間に読む小説 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━

      スイッチ(モラトリアムを選ぶと言うこと)
      【 ジャンル:ファンタジー系恋愛小説 】
          http://shosetsu.uijin.com/

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ Vol.115 2007年3月24日
発行者:作倉エリナ

☆☆───────────────────────────────☆☆
  今号は「続・序章 第六話 続・穴二つ 005/010です。
☆☆───────────────────────────────☆☆

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 まえがき
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 
 はじめましての方、お手にとっていただきありがとうございます。
 以前からお読みいただいている方、本当に本当にありがとうございます。
 
 2週間ぶりくらい(適当)の本編です。みなさまご無沙汰してました。
 とても長いです。



 短くて面白い文章を書けるようになりたいよ。努力中。

 何とかどこかで遅れを挽回したいです。
                            作倉エリナ

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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  スイッチ(モラトリアムを選ぶと言うこと) 続・序章
      第六話 続・袖振り合うも多生の縁
                          P.005 / P.010

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(前回までのあらすじ)

 何らかのショックにより、現代から500年ほど未来の変貌してしまった時代
 にタイムリスリップしてしまった相原は、王子ミハマの言葉を受け、元の時
 代に帰りたいと願い、出来ることのために、動き始める。

 暗躍するテッキを後見に、中王の軍人であるはずのティアスがオワリに現れ
 る。彼女は深夜、テツと密会をしているようだが、その確証が取れぬままア
 イハラは悩む。しかし、彼女に信頼されていることだけを支えに、護衛部隊
 に正体の知れてしまった彼女の味方でいようと決意する。
 しかし、シュウジ達の口から語られる彼女の真実に近付くたび、不安が増大
 していく……

(↓以下本文)


第六話 続・袖振り合うも多生の縁

05

「あなたの兄君は、今、東の果てにいると言うことですか?国は?」
「お前、ちょっと黙ってろ、先走りすぎだ」
「シュウジさん、立って、テッちゃんと代わってください。テッちゃん、殿下
の隣に座って!」

 業を煮やしたイツキさんがシュウジさんを引っ張る様子を、ミハマは苦笑い
しながら見ていた。ソファの後ろで、シュウジさんの隣に立つイツキさんの手
には、手綱が見えるようだった。
 仕方ないといった顔で、主の隣にサワダが座る。二人が並んで座っている姿
が、何だか妙な感じだった。

「あはは。シュウジさん、私の国に行けば、もっと面白いものが見られるわ
よ?」
「国?墓になっているというのにですか?確かに、あなたの兄君がいると言う
ことは、未だ国として……」

 サワダに振り向かれた上で睨まれ、イツキさんに抓られながらも、彼はソファ
の背に手を置いて身を乗り出す。またミハマに怒られそうだけどな。

「残っていると言えば、残ってる。あの国は、中王にとって残しておかないと
いけない国なのよ、未だね」
「それは、西の果ても同様と言うことですか?と言うことは……」
「わざと、進軍をしなかったって言う可能性もあるね。そして、東の果てだけ
を押さえた。君を中央に連れてくることで」

 やっぱりミハマは怒ってるような気がした。シュウジさんがあんなにテンショ
ン上がってるのに、わざわざ間に割って入るくらいだから。

「私が生まれたときには、あの国は既に『魔を統べる国であり、魔物のいる国』
としてニホンでは認知されていた。兄の話では、今の中王に『変わる』前にも
そう認知されていたと聞いてるわ」
「あなたの兄君は今おいくつなのですか?ご存じの通り、こちらにいては、大
陸の情報は歪んだ形でしか入ってこない。魔を統べる一族と言われるだけで、
人の形を成していないと思っている者もいるくらいですからね」

 シュウジさんの言葉に、当のティアスは苦笑いを浮かべただけだった。オレ
達の代わりに、イツキさんが再び彼を抓ってくれていた。

「情報が操作されている、良い証拠だわ。ティアスがあの空から来る魔物のよ
うには見えないもの。ですよね、殿下」
「そうだね」

 そう言ったイツキさんも、黙ったままこちらの様子を伺っているミナミさん
も、不愉快そうな顔をしている理由が判らなかった。ティアスに対する疑いも
あるのだろうけど。

「化けてるだけかもよ?だって、魔を統べるし、操るんだから。魔を生み出す
西の果てと、東の果ては、密接な関係にあるんだから」
「君が化けてようが関係ないよ。そんなことは、君の国に行けば判るし、行か
なきゃ判らない」

 ミハマは彼女を真っ直ぐ見つめた。その顔に笑みは浮かんでいなかった。

「魔を統べるということは、魔を操ることが出来る。それがどの程度かは判ら
ないけれど、君の国のどの程度の人がそれを出来るか判らないけれど、それは
確かだと言うことだ」

 ミハマに圧倒されたのか、彼女は黙って頷く。彼の周りにいる者も、誰も何
も言えない。もちろんオレも。

「東も西も、このニホン、いや中王にとって重要だからこそ、情報操作をされ
た上でこの国から隔離された。そしてその国を自身の思い通りに動かすため、
適当な名目をつけて東の果てに中王は進軍、君は中央にやってきた」
「そうね」
「おかしくない?」

 彼は、彼の護衛部隊を見渡し、最後にオレ達を見た。

「人質って言うけれど、顔を隠してはいるけれど、君は何で中王軍にいるの?」
「殿下、やはり彼女は……」

 ミナミさんが立ち上がり、ミハマのそばに駈け寄ろうとするが、それを彼は
笑顔で制した。

「……なあ、ティアス。そんな突っ張った言い方するけどさ、ホントは無理矢
理なんだろ?中王に無理矢理連れてこられて、協力させられてるんだろ?ティ
アスが魔物を操れるから、国をたてに、強力を無理強いさせられてるんだろ?」

 彼女の腕を掴み、そう聞いても、応えてくれなかった。ティアスだけでなく、
ニイジマですら。ここはお前がフォローに入らなくてどうするんだよ。
 ティアスは何も悪くないし、そう考えたら、自然じゃないか。彼女は悲劇の
姫君で、それで良いじゃないか。

「軍にいる必要も、理由もない」

 ミハマは、ティアスのことを好きなんじゃないのかよ。何でそんな突き放す
ようなことをするんだよ。……サワダは?

「……そうだな。敵じゃないのか?」

 今まで控えめに彼女をフォローしながらも、黙って様子を伺っていたサワダ
が、やっと口を開いたかと思ったら、彼女を突き放すような疑問をぶつけてき
た。

「オトナシ……あの男は私に部下をくれ、場所をくれ、チャンスをくれた」

『カズキ元帥は、彼女から魔物について情報を得ていたのではないでしょう
か?』

 中王が自分に好機をくれたと言う、彼女の言葉も行動も、やっぱり矛盾だら
けだ。だけど、彼女より矛盾だらけなのは……

「やっぱり、オレにはあの中王が何を考えているのか、全く判らないよ。君が
望むにしろ望まないにしろ、君が人質だというのなら、軍にいる必要はない。
かつて、前中王の姫が軟禁されていたように、あの広場で飼い殺せばいいだけ
だ」

 ミハマの隣で頷くサワダ同様、オレにも中王の考えは判らなかった。

「あの男は矛盾を孕んでいた。でも、彼は何も危険がないと思っているかもし
れない。私をただ飼い殺すことも、軍に置くことも、あの男には同じなんでしょ
うね」

 自身の存在の小ささを、彼女は嘆くようにそう言った。

「軍にいることを望んだのは、君なんだ」
「ええ」

 彼女を真っ直ぐ見つめる彼を、彼女は見つめ返す。睨み合っているのとも、
恋人が情熱的に見つめ合っているのとも違う。穏やかで重い見つめ合いだった。

「私が望んだ。ただ、捕らわれたまま、何も出来ないまま、国が墜ちていくの
を待つのはいやだった。私には、『果ての王族』としての責任がある」
「軍に入らなくても、責任は果たせそうですけどね。そんなこと言ったら、う
ちの王子も前線に立たなくてはいけなくなりますよ」
「オレは別に良いのに」

 ミハマの嘆きを、サワダが一瞥する。話を振ったシュウジさんは、溜息と苦
笑いを零すだけ。

「でもよかった。やっとホントのことを言ってくれて」
「ホントのこと?」
「君の意志を、聞きたかった」

 微笑むキラキラ王子。それで良いのか?オレは、不安になったぞ?だって、
ホントにティアスから意志なんて聞けたのか?自分を追いつめた中王をどうし
たいとか、国をどうしたいとか、そう言う話じゃないのか?
 ティアスは悲劇の姫君だ。オレは彼女を判ってやれる。だけど、彼女が味方
にしたいと言った、この人達にそれが通じたのか?疑ってたし未だ疑ってる可
能性があるのに、そんな簡単に結論出されても。

「よかったら、もう少し聞かせて欲しい。君がどうしたいか。オレに何か出来
ることはないか」
『ミハマ』

 サワダとティアスが、同時に彼に声をかけた。少しバツが悪そうな顔を見せ
た二人に、彼は微笑んだまま応える。

「オレは君の力になりたい」

 まるで告白のような彼の言葉に、彼女は俯いた。照れながら。
 昨日「力になる」と言ったときには伝わらなかった彼の思いが、やっと彼女
に届いたようにも見えた。だけどオレはやっぱり、綺麗な映画を見せつけられ
ているような気分だった。

「異論はないだろ?」
「殿下がおっしゃるなら、いたしかたありません。時間が経てば判ると言うこ
とでしょうから」
「あら良いじゃない、はっきりして」
「まあ、今さら何を言ったって、聞きやしないし、だれも逆らう気がないです
からね。シンの反応も、大体予想つきますし」

 隣で頭を抱えるサワダを除いて、彼の護衛部隊は彼に逆らう気はなかったよ
うだ。多少の文句はあったようだが。

「ありがとう。君たちが味方になってくれることは心強いよ。味方に引き込め
れば、とも思ってた」
「……姫?何言って……」

 ニイジマ同様、オレも言葉にならなかったが、彼女を止めようとした。そん
なこと言ってどうする気だよ。

「だけど、やっぱりダメだよ。誤魔化して、巻き込もうと思ってた。でも甘え
るわけにはいかない。そんな風に思ってくれてるのに」

 ミハマから目を逸らす彼女は、やっぱり照れているように見えた。確かに、
あんな風に見つめられたら、オレだって照れちゃうけど、その反応はちょっと
無いぞ!?生々しさがないからと油断してたけど……。

「シュウジさん、さっきあなたが言ってた『仮説以前』の話。してもらっても
良いかな?それって、この国の成り立ち、果ての国と中王の関係じゃない?」
「え?ええ。しかし、あくまで……。いいでしょう。地殻変動後のこの星は不
安定でいつ崩れ去ってもおかしくない状態だったものが、奇跡的にもっている。
それは実は東の果て、西の果て、中央の3点のバランスがとれているときだけ
であるという話です。しかしこれは、あくまで記録に残った事象を照らし合わ
せた結果から導き出したもの。他の可能性の方が高いでしょう。特に、昔のこ
とは、どこまでが事実か判りませんしね、今の状況では。イムラ先生の持って
いたデータですから、それなりに信頼できるとは思いますが」
「良い線いってるよ。このリストに載ってる人が二人いたら、そこまで行き着
くんだ。意外と、このブラックリストは的を射てるのかもね」

 思い出したように、サワダはティアスに携帯を返した。シュウジさんに「覚
えた?」と聞いてから。あんなにたくさん名前が並んでるのに、覚えれるのか?
この短時間で。

「『中王』と二人の『果ての王』がこの不安定な世界を支えている。だから『
果ての国』は滅ぼされない。だけど今の中王は、あの国を生かさない」
「ティアス……」

 彼女の声は震えていた。泣いてはいなかったけれど。

「君たちに責任があるわけじゃないのに、そんなの重すぎるでしょう」

 彼女には兄しかいない。その事実よりも、重くのしかかる責任が、彼女を震
えさせているのだろうか。


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 次号は・・・
  スイッチ(モラトリアムを選ぶと言うこと)続・序章 第六話(全七話)
                            P.006 / P.010

      vol.116 は2007年3月31日発行です。お楽しみに!

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 現在このお話と対になる学園ものシリーズを携帯でお送りしています。
 そちらもぜひご覧ください。
 http://mini.mag2.com/pc/m/M0056277.html
 mobile wing of fragment http://shosetsu.uijin.com/


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 あとがき
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 胃の痛みは未だ治らず。どうやら遺伝のようです。そんな遺伝はいらないけ
 れども。
 以前もらった薬が、明日で無くなります。薬を全部飲んだのに、未だ胃が痛
 かったら、次は胃カメラ飲まされるらしいです。

 最近の胃カメラは、小さくて飲みやすいとは言うけれど、やっぱり怖いもの
 は怖い、小心者の自分です。
 だって、顔中の穴という穴から液体が出ると言うじゃありませんか(どこか
 らの知識だ)



 では前回に引き続き、近況報告+お詫びでございます。

 私事で大変恐縮ですが、今現在、実は転職活動中でばたばたしてます。(spits
 の更新が停滞しているのもそのため)時間の流れが多少ゆっくりになってし
 まいますが、今しばらくの間、ご理解いただければ幸いです。

 以下も是非、ご覧くださいませ。
 「小説家になろう」
 天に向かって唾を吐け! http://ncode.syosetu.com/n7361a/
 switch【モラトリアムを選ぶと言うこと】http://ncode.syosetu.com/n2034b/

 今号も、お読みいただきありがとうございました。
 また次号もおつきあいください。
                          作倉エリナ

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

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