トップ > アート&カルチャー > 文学 > SF・ホラー・ファンタジー > FT恋愛群像劇【1日5分!空き時間に読む小説】

『敵も味方もどこにいて、何をしてるか判らない』だけどその状況は幸せだと彼は言った…。



地殻変動により変貌してしまった日本を支配する、中王の圧政に立ち向かうべく、暗躍する者達の思惑が交差する。



圧制下で暗躍する小国の王子とその護衛部隊の成長を描くFT恋愛群像劇。



仕事の合間に!勉強のお供に!他人の世界に触れてみよう!がテーマの軽く読める連載小説。 




switch【1日5分!空き時間に読む小説】vol.108

発行日: 2008/1/21

━ 1日5分!空き時間に読む小説 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━

      スイッチ(モラトリアムを選ぶと言うこと)
      【 ジャンル:ファンタジー系恋愛小説 】
          http://shosetsu.uijin.com/

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ Vol.108 2007年1月21日
発行者:作倉エリナ



☆☆───────────────────────────────☆☆

 現在のストーリーは・・・

  続・序章 第五話 続・穴二つ 008/010です。
  
     ストーリーの再確認はこちら(メルマガがかなり先行中)
     go to → http://shosetsu.uijin.com/

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 まえがき
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 はじめましての方、お手にとっていただきありがとうございます。
 以前からお読みいただいている方、本当に本当にありがとうございます。
 
 メイド喫茶に行ってきました。初です。
                            作倉エリナ

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  スイッチ(モラトリアムを選ぶと言うこと) 続・序章
      第五話 続・穴二つ
                          P.008 / P.010

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(前回までのあらすじ)

 何らかのショックにより、現代から500年ほど未来の変貌してしまった時代
 にタイムリスリップしてしまった相原は、王子ミハマの言葉を受け、元の時
 代に帰りたいと願い、出来ることのために、動き始める。
 中王の軍人であるはずのティアスが、オワリ国に現れ、怪我人として収容さ
 れる。暗躍するテッキを後見に持つ彼女に、王子ミハマが興味を持った。

 テツとティアスの仲を疑い、その確証が取れぬままアイハラは悩む。そんな
 中、ティアスの正体がミハマ達にばれるが、ミハマは彼女に「力になれると
 思う」と手を組むことを提案する。
 しかし、アイハラはテッキの言葉を受け、護衛部隊に不信感を抱き始めてい
 た。

(↓以下本文)


第五話 続・穴二つ

08

 朝食のあと、ティアスの部屋に向かった。少し心配していたけど、彼女は
オレを快く中に入れてくれた。
 黒いレースをあしらったコンパクトなワンピースに、ベロアのジャケット。
それに太めのヒールのブーツを身につけていた。普段も柔らかい印象の服は
着ない娘だけど、ケガをしていたせいか、もう少しラフな服装だった気がす
る。オレが心配しすぎてるから、そう見えるだけかもしれないけど。

「どうしたの、急に?」

 オレに、部屋の片隅にあるソファセットの横にある椅子を勧め、彼女自身
はオレに断りを入れてからソファに座った。未だ、体が辛いのだろう。

「いや、今日、どうするのかと思って。ミハマ達に、どんな話するんだろう
と思って。オレにも何か出来ることがあるなら、オレは協力するよ」
「そう」

 笑顔で頷いた彼女は、その表情を崩すことなく、続けた。

「でも、いいわ。あなたにも迷惑がかかる。自分だって大変なんでしょう?
シュウジさんに聞いたわ」
「何を?」
「あなたの話。私に教えてくれたでしょう?それで、私のことを知ったシュ
ウジさんが、昨夜……というか早朝、私の所に来たの。その時、あなたのこ
とも聞かれたわ。彼から何か話を聞いてるかって」
「……オレが楽師のことを知ってるって……」
「そう言う風には聞かれなかったけれど。ここに来てから仲が良いみたいだ
けれど?って。その時、彼の仮説を聞いた。あなたが元の時代に戻れるよう
に、調べてくれているみたいね」

 シュウジさん、ホントに動いてくれていたんだな。疑ったようなこと言っ
ちゃって悪かったな……。

「それはまた別だよ。オレは……多分大丈夫だから」
「ホントに?心配だな」

 やっぱりティアスは優しい。

「大丈夫だって。今日、オレも話を聞いていて良いって、ミハマに言われて
る。だから」
「……ミハマが、私に味方を付けようとしてくれてるのも判る。だけど、そ
れはあなたが感情的に私の味方をしてくれていても、立場は中立だから。あ
なたが私のために動いてしまったら、あなたまで彼らの敵になりかねない」

 そう言って彼女は立ち上がり、オレを部屋から出るよう促した。彼女も一
緒に部屋を出たかと思うと、廊下をオレと反対方向へ歩いていった。元老院
のある方へ。
 元老院といえば、サワダの父親であるサワダテッキがいる。ミハマがあか
らさまに敵視をする、政治的にも感情的にも彼の敵。だけど、彼女にとって
はここにいるための大事な後見人であり、中王を介してつながっている男。

『伝えて。「しばらく動けないから、2週間後に彼の合図で動く」と。「そ
れまでに連絡を取れる体制を整備して」』

 彼女にそうとはっきり確認したわけではないけど。だけどおそらく、あの
時ニイジマ達に伝えようとしていた、あの伝言が示す「彼」って言うのは、
サワダ議員のことだろう。

『あの方とはきちんと話されているのですか?時期が早すぎる』

 だけど、彼と彼女たちは、連携がとれていない。だからこそティアスのあ
の態度だったわけだ。
 彼を探れば、何か判るかもしれないって思うけど……正直怖い。オレは彼
に目を付けられてるわけだし、そこを利用すればって思うけど。思うけど、
オレには無理だ。あいつらですら、あんな態度なのに。出来れば、関わりた
くない。だけど、彼女のためには何かしたいのに。

「アイハラくん……だったね?どうしたの?こんな所で」

 出た!この人も神出鬼没!! オレの名前すらうろ覚えのくせに、親しげ
に彼は話しかけてきた。オレと微妙な距離を保ったまま、廊下を挟んで壁際
から。

「……いえ……」

 こんな所と言えば、こんな所だ。ティアスの部屋の前だなんて。彼も、彼
女に用でもあったのだろうか。それとも……。

「ちょうどよかった。君と話をしたいと思ってた」

 やっぱり。そんなに彼はオレに近付いているわけでもないのに、なのに逃
げられない。蛇に睨まれた蛙って、多分こんな気持ちなんだろう。イズミ対
サワダのケンカよりも、この人一人分の威圧感の方がある気がする。種類は
全然違うけど。すごく怖いわけでもないけど。
 いや、いいタイミングじゃないか。オレしかできないぞ?この人に突っ込
むのは。

「あの、オレ……ちょっと……」
「君、あの子のことを最初から知ってたみたいだけど?」

 オレ、断ろうとしてたのに!有無を言わさず話を始めるか?!しかも直球!
いきなり!

「どうして?」
「えっと……知り合いに似てて……その……」

 なんて説明したら良いんだよ。楽師のことを知ってるって、この人にもば
れたらまずいだろうし。ホントのこと言って、信じるとも思えないし。

「彼女は顔を隠していたのに?似てるも何もないだろう?王子が拾ったって
言うのも、おかしな話だし」
「いえ、あの、オレをここに連れてきたのは、サワダ……あの、息子さん
でっ!」

 変な汗が止まらない。
 落ち着け、落ち着け!別にそんな怖くないはずだろうが。口調も穏やかだ
し。彼はしゃべり方も冷静だし。怖い顔してないし。見かけだって、細っこ
いし、小綺麗な顔だし。別にオレには後ろ暗いことなんてないし。むしろこ
の人の方がそう言うのはいろいろ持っていそうじゃないか。何でオレがこん
なに怖がらないといけないんだよ。
 でも、彼の穏やかな表情からは判らない、何かがオレにプレッシャーをか
ける。
 
「どうしたんですか?」

 オレと彼の間に入ってくれたのは、反対方向へと歩いていったはずのティ
アスだった。

「元老院の方に伺ったら、こちらだと」
「君に用があってね。たまたまアイハラくんがいたから、少し話をしていた
だけだよ」

 彼女はオレに苦笑いをして見せ、盾にでもなるようにオレの前に立った。
オレのこと、心配してきてくれたんだ。

「何のお話?」
「聞こえていたろう?気になっただけだよ。それとも、言えないようなこと?
後見である私に」

 脅迫めいた彼の台詞に、彼女は溜息をつく。

「この子は、500年前の世界からタイムリープして、ここに来たんですっ
て。その世界に私や私の部下や、オワリ王子の護衛部隊の名前も同じそっく
りさんがいたんですって」

 突然の彼女の台詞に、さすがのサワダ父も呆気にとられたような顔でオレ
達を見ていた。

「それで?」
「私や彼らのそっくりさんの写真を、この子は持っていたの。驚くほど似て
るんですって。それで、私が顔を隠していても判ったって言うの。だけどそ
んな話、あなたは本気に出来る?」

 そう言われるとそれはそれでショックですけど。けど、ティアスがオレを
サワダ父の目から遠ざけるために、そう言っているのは判る。だって、彼女
はオレの話を(正確にはシュウジさんの力で)信じてくれたから。だから今
の彼女とオレの関係も、秘密を共有していた期間もあったわけだから。

「するよ。ただ、君の言葉では信用できないかもしれないけど」

 彼は、ティアスを見ることなく、笑顔でオレに近付いてきた。

「本当?」

 念を押す彼の笑顔に、オレは黙って頷くことしかできなかった。

「驚いた。オトナシと同じコトを言ってるんだ、君」
「……どういうこと?オトナシが?ユウトと同じコトって?」
「おっと。余計なことを言ったかな?ああ、でも、オトナシと会わせてみる
のも面白いかもね。君たちの話が一致したら、お互いの話に信憑性が出てく
るわけだから。聞いてみたい。オレ達は、タイムトラベラーを目の前にして
るわけだ。SFだな」

 邪気だらけの笑顔で言われても、不愉快なだけですけどね。余計なこと言っ
たかな、なんて嘯くくせに、どうでも良いって顔してる。いや、事態を引っ
かき回して楽しんでるようにも見えるかな。
 ティアスの2度目の溜息が、事態を悪化させてしまったことを物語ってい
た。

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 次号は・・・

  スイッチ(モラトリアムを選ぶと言うこと)続・序章 第五話(全七話)

                         P.009 / P.010

      vol.109 は2007年1月28日発行です。お楽しみに!

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 現在このお話と対になる学園ものシリーズを携帯でお送りしています。
 そちらもぜひご覧ください。
 http://mini.mag2.com/pc/m/M0056277.html
 mobile wing of fragment http://shosetsu.uijin.com/


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 あとがき
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 昨今の執事流行りも何のその、今さらメイド喫茶を初体験してきました。
 話には聞いていましたが、体験すると全然違っていましたね。

 とりあえず、白飯に胡麻と梅干しとメイドさんカードで600円はぼったく
 りだと思いました。て言うか、いろいろすごすぎて、文章として晒すことが
 出来ません。怖かった……。
 
 では前回に引き続き、近況報告+お詫びでございます。

 私事で大変恐縮ですが、今現在、実は転職活動中でばたばたしてます。(spits
 の更新が停滞しているのもそのため)時間の流れが多少ゆっくりになってし
 まいますが、今しばらくの間、ご理解いただければ幸いです。

 以下も是非、ご覧くださいませ。
 「小説家になろう」
 天に向かって唾を吐け! http://ncode.syosetu.com/n7361a/
 switch【モラトリアムを選ぶと言うこと】http://ncode.syosetu.com/n2034b/

 今号も、お読みいただきありがとうございました。
 また次号もおつきあいください。
                          作倉エリナ

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