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インターネットを拠点に「自由な言論」を求め、ニッポン社会における「公共性」の可能性と限界を考える極私的メールマガジン。




【PUBLICITY】1744:読者から〜「相棒 劇場版」の感想

発行日: 2008/5/30

 
 
■■メールマガジン「PUBLICITY」No.1744 2008/05/30金■■


▼そうそう、ジョージ・クルーニーの「フィクサー」も佳作で
したよ(原題は「Michael Clayton」)。

巨大で悪辣な組織に対し、経験知の限りを尽くして挑む個人。
その動機のやるせなさ。完璧な準備と度胸、つまるところ腕一
本で出し抜く、執念の逆転劇。すべてが終わった後の余韻。最
高ですね。

「シリアナ」(Syriana)よりもはるかに後味がよいので(ぼ
くは「シリアナ」の深い絶望を好む)、ジョージ・クルーニー
の社会意識に触れる最初としては、「フィクサー」が一番いい
かも知れない。あ、「スリー・キングス」もいいネ。

しかし、「フィクサー」ってタイトルはよくなかったね。日本
語だと「大物」という印象がへばりついているから、映画の中
身とまるっきり違う印象を抱いてしまう。

タイトルがよくなかったといえば、「シリアナ」はもっとひど
かったけど。でも、「シリアナ」が描いた深く静かな絶望を一
言で言い表すのは、難しい。やっぱり「シリアナ」ですか。

ジョージ・クルーニーの最新作は、「LEATHERHEADS」という1
920年代のアメフトの話だそうだ。うーん、、こいつはどう
かナ。

▼最近はマット・デイモン主演の映画が実に面白かった。CI
Aを描いた「グッド・シェパード」も、殺人マシーンを描いた
「ボーン・アルティメイタム」も、あまりの重量感で、底抜け
に痺れましたがな〜。「敢えて言おう、必見であると」(byギ
レン)。

「シリアナ」も「フィクサー」も「スリー・キングス」も上2
作も、どれもとびきり重い錘のついたテーマを、とびきりのお
金をかけて、一級のエンタテインメントに仕上げている。その
センスを、ニッポン映画界は貪欲に学ぶべきだと思うわけです。

で、再び敢えて言おう、これらのヘビー級選手たちに立ち向か
い得る孤高のジャパニーズ・ドラマこそ、「相棒」であると。

「相棒」は、作品のスケールも大きく、最近のニッポン映画に
ありがちな虚しい破綻を辛うじて免れることができた、稀有な
──何度でも言おう──稀有な映画である。


▼さて、お気楽極楽なデートムービーだと思って「相棒 劇場
版」を観に行ったらえれえ目にあうぜ、ということを先日書い
たが、上映は6月6日までなんですね。それ以降ぐっと減るか
らお気を付けあそばセ。

以下の投稿が北海道の読者から。適宜編集。


−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
Date: Wed, 28 May 2008 17:49:47
Subject: 「相棒」について 

すごくおひさしぶりです。

「相棒 劇場版」、観ました。

「見終わって、すごく不快になる人もいると思う」とありまし
たが、観ているあいだ、僕もそれが気になりました。

驚いたのが、エンドロールが終わるまで誰も席を立たなかった
こと。妙に重苦しい沈黙が、館内照明がつくまで支配していま
した。いや、「重苦しい」と感じたのはこちらの思い入れのせ
いかもしれません。

「もしかしてこの人たち、当時のことを思い出して反省してた
りするんだろうか」なんて思ってしまいました。それは外れて
いるにせよ、作り手のメッセージは強力に伝わったのでしょう


▼ところで、出口に向かう観客から聞こえたのが「字幕付きだ
とは知らなかった、失敗した」という声でした。その回は、聴
覚障害者のための字幕付き上映だったのです。

日ごろ過剰なテロップ付きのテレビ映像を見慣れているせいか
あまり気にならなかったのが、むしろちょっとショックでした。

では、そのうちまた。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−


▼感謝です。ぼくが観たのは新宿コマ近くの映画館だったが、
そこでもエンドロールが終わるまで誰も立ち上がらなかった。
ま、今週末か来週末に映画を観るんだったら、だまされたと思
って観て下さいよ。

そういえば、コマ劇場が今年で潰れるんですってね。待ち合わ
せでよく使ってた「コマ劇場の前で」という一言が、使えなく
なる。「元コマ劇前」とか? やだねったらやだね。仕方ねえ
な、これからは「じゃ、つるかめ食堂前で」にするか(しねえ
よ!)。


▼いただいた投稿の後段の、字幕の話も、非常に興味深い。最
近、NHKの歌謡番組を観たら、歌詞のテロップがすげえ大き
くなっててビックリした。高齢化対策でしょうね。

テロップの頻用、というか濫用の理由は、もちろん高齢化とは
別だろうが、もしかして聴覚障害者のためなのだろうか。それ
なら納得するが、あのテロップのケバケバしさを目にすると、
どうもそうだとは思えない。

鶴見俊輔と筑紫哲也が出演した「時事放談」なんかは、どんど
んテロップを頻発すべき内容だった。再放送しないかな、しな
いだろうね。もっとも、あの内容にテロップを付けてると、画
面の半分以上が用語解説のテロップで埋まっちゃってただろう
けど。

テレビで思い出したが、宮崎県の東国原知事や大阪府の橋下知
事をいろんなテレビ番組でやたらと使うってのは、ありゃ、れ
っきとしたテレビ業界から知事への「便宜供与」じゃないの?

▼ということで(どういうことだよ)、話がとっちらかっちゃ
ったが、くれぐれも「相棒 劇場版」をデートムービーと勘違
いして映画館に行かないように。

最近は、シネコンに着いてから観る映画を決める、という人種
が増えているそうだから、なお危険だ。ま、思わぬかたちでお
互いの価値観を話し合う、いい機会になるかもね。

ニッポンにはジョージ・クルーニーもマット・デイモンもいな
い。ああいうかたちのスターが出て来る仕組みそのものがない
から仕方ないのだが、やっぱり寂しいものだ。


freespeech21@yahoo.co.jp
http://www.emaga.com/info/7777.html
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