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【PUBLICITY】1732:「10の最も報じられなかった人道的危機」2
発行日時: 2008/3/31
■■メールマガジン「PUBLICITY」No.1732 2008/03/31月■■
▼今号は長くなった。「10の最も報じられなかった人道的危
機」の一つ一つを紹介するわけだが、数回に分けても、読む人
は読むし、読まない人は読まないだろうし、1回にまとめた。
「国境なき医師団」
http://www.msf.or.jp/
さんに感謝。読みやすいように最初に一覧を出して、あとは順
番に紹介。▼と改行は、いつものとおり随意入れた。
■結核:新薬が試されないまま耐性結核が拡大
■子どもの栄養失調:栄養価に富むRUFの利用拡大が不可欠
■コロンビア:紛争地帯で危険とともに生活
■コンゴ民主共和国:東部で状況がますます悪化
■ジンバブエ:政治・経済混乱で医療制度も崩壊
■スリランカ:内戦で戦火にさらされる一般市民
■ソマリア:戦火を逃れてもなお人道的危機に直面する避難民
■中央アフリカ共和国:武力衝突で苦境に陥る一般市民
■チェチェン:人道危機はいまだ去らず
■ミャンマー:大幅に制限される人道援助
▼最初の二つ(結核と子どもの栄養失調)は地域を越えた問題
、あとの八つはその地域の問題だね。
本誌読者のなかには、これまでこのなかのどこかに行ったこと
のある人もおられるでしょうか。
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■結核:薬剤耐性結核が拡大する一方で、進まない新薬試験
結核は、毎年推定2百万人の命を奪い、9百万人が新たに発病し
ている。人的犠牲の増加にも関わらず、その治療法には1960年
代から進展が見られない。
また今日最も一般的な検査法である喀痰顕微鏡検査は1882年に
開発されたもので、全症例の約半数しか検出することができな
い。結核に関する研究開発には、毎年推定9億ドル(約98億円)
が必要であるが、全世界で2億6百万ドル(約23億円)しか投資さ
れていない。
▼免疫力が低下しているために結核に感染しやすいHIV/エイズ
患者にとっては、既存の結核治療と診断法はなおさら不適切で
ある。さらに、毎年45万人以上が感染する多剤耐性結核(MDR-TB
)の患者や、治療を完了しなかったためにMDR-TBを発病した人
びとにとって、生き残る希望は非常に乏しい。
▼ごく少数の患者がMDR-TBの治療を受けることができたとして
も、その唯一の治療法とは、高価でしばしば激しい副作用を伴
う毒性の高い治療薬を、2年間にわたって毎日服用することで
ある。
アルメニア、アブハジア自治共和国、グルジア、カンボジア、
ケニア、タイ、ウガンダ、ウズベキスタンで国境なき医師団が
行っているプログラムでは、最良の治療条件下であっても、MDR-TB
患者のうち1年半から2年間の治療を完了することができたのは55%
に過ぎなかった。残りの患者は死亡するか、回復がみられない
、あるいは副作用のために治療を中止した。
▼結核流行の最前線で活動している医療スタッフにとって、苛
立ちをさらに高めるのは、最も新薬を必要とするMDR-TB患者に
対して、全ての新薬の試験が行われていないことである。
国際的な結核専門家らは、オープンソース医療誌である「PLoS
Medicine
」に最近発表した記事の中で、標準的な治療では対応できない
薬剤耐性結核の患者を対象に新薬試験を行うよう呼びかけてい
る。この手法は、反結核作用を付きとめ最終的には新薬開発を
促すことに寄与するであろう。
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■子どもの栄養失調:栄養価に富むRUFの利用拡大が不可欠
乳幼児期の急性栄養失調*は、世界の「栄養失調に脅かされる
地域」、すなわち「アフリカの角」(アフリカ大陸東南部)、サ
ヘル地域(サハラ砂漠南縁)、南アジアなどに広範に見られる。
毎年、5才未満の子ども5百万人が栄養失調に関連した疾患で命
を落としている。
▼近年になって、栄養価が高く、そのまま食べられる栄養食品
(ready-to-use food:RUF)という効果的な製品が登場し、急
性栄養失調の子どもを救うことができるようになった。
RUFは、速やかな回復に必要なビタミンや栄養成分を豊富に含
んだ、ミルクやピーナッツをベースにしたペースト状の食品で
ある。冷蔵保存や調理を必要としないため、重度栄養失調の子
どものほとんどを自宅で治療することができる。しかしRUFは
まだ、必要とする子どもたちのごく一部にしか未だ行き渡って
いない。
▼国境なき医師団は、RUFを必要としている国々で継続的に購
入し利用できるよう、世界中の資金拠出者に支援を呼びかけて
いる。RUFはまた、早い段階で用いることにより、子どもが急
性の栄養失調に陥るのを予防できる可能性も秘めている。
栄養失調が頻発する地域で、軽・中度の段階で栄養失調を治療
し、重度への進行を防ぐには、幼い子どもを対象とした国際的
な食糧援助プログラムにRUFを取り入れる必要がある。
▼国境なき医師団は2007年、ニジェールで食糧が不足する季節
に、約6万2千人の子どもを対象に、改良されたRUFを補助食品
として取り入れた栄養失調予防のための試験的なプログラムを
開始した。このプログラムは、同国内で栄養失調が多発する地
域のひとつにおいて、急性栄養失調の増加防止に役立った。
最も治療が必要な重度栄養失調の子どもたちへのRUFの利用の
緊急拡大を呼びかけるとともに、MSFは、子どもたちがまず栄
養失調に命を脅かされる状態に陥らないよう、RUFの補助的な
活用をさらに進めていく。
※栄養失調とは、個人の栄養の必要に対し、質・量的に食糧が
不適当な状態である。慢性的な栄養失調は成長の遅れを特徴と
し、また急性栄養失調は、身長に対して明らかに体重が不十分
であることを特徴とする。重度、中度という用語は急性栄養失
調の程度を表すために用いられる。この2つの段階は医療上の
緊急事態にあたり、効果的で迅速な対処が必要となる。
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■コロンビア:紛争地帯で危険とともに生活する
コロンビアの主に麻薬取引の支配を巡る衝突によって激化して
きた数十年にわたる内戦が、ときにメディアの関心を引くこと
があるにしても、内戦が一般市民に与えている影響が注目され
ることはほとんどない。
政府軍、民兵組織、反政府軍が支配地域を拡大するため戦火を
交える中、長年にわたり380万もの人びとが避難を強いられ、
コロンビアはスーダンとコンゴ民主共和国(DRC)に次いで世界
で3番目に国内避難民が多い国としてランクされている。
コロンビアの地方部の約半分を武装した民兵組織が支配し、道
路を通行不能にすることにより一般住民は医療を受けることが
できず、子どもたちは強制的に徴兵され、敵対勢力との共謀の
疑いをかけられた人びとが殺害されている。一方で、同じ人び
とが政府軍からは民兵組織との「共謀」を疑われ、その結果冷
酷な報復を受けることも多い。
▼人びとはかろうじて衣服だけを持ち出して命からがら自宅か
ら逃れ、主要都市部のスラム街に身を潜める。しかし、仕事と
住居を求めてスラム街に到着した人びとを迎えるのは、逃げて
来たものと同じくらいに身を脅かす状況である。
新たな生活の場は、十分な設備もない粗末で過密な小屋である
。このような生活環境では呼吸器感染症や下痢が発生しやすい
が、医療ケアを受けることはほとんどできない。また、棄てる
ことを余儀なくされた家に安全に戻れる人もほとんどいない。
国境なき医師団はコロンビアの32県のうち13県で活動を行って
おり、孤立している地方部では移動診療や常設の診療所を通じ
て医療を提供している。
また、避難民が集まっている都市部でも活動を行っている。チ
ームは予防接種、リプロダクティブ・ヘルス(性と生殖に関す
る健康)、救急サービスなど多岐にわたる医療ケアを行い、暴
力の被害者には心理ケアを提供している。
コロンビアの内戦が50年以上にも及ぼうとし、各武装勢力が支
配拡大の手段として一般市民を標的にし続ける中、多くのコロ
ンビア人は日常生活が銃や恐怖に支配されていなかった時代が
あったことすら記憶していない。
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■コンゴ民主共和国:東部で状況がますます悪化
2007年に報道されたコンゴ民主共和国(DRC)関連のニュース
は、北キブ州東部で現在発生している人道上の危機にはほとん
ど言及していない。
数十年ぶりに民主的な選挙が行われてから1年以上がたち、紛
争に支配されたこの地域にようやく安定がもたらされると期待
されたが、北キブ州では武装勢力間の衝突が続いている。
国連の平和維持部隊である国連コンゴ民主共和国ミッション
(MONUC)の支援を受ける政府軍は、今では反政府勢力の指導者
ローラン・ンクンダと真っ向から戦火を交えている。マイマイ
派やルワンダ反政府勢力である民主解放軍(FDLR)のフツ族反
乱勢力など、多数の武装グループが戦闘に加わっている。
▼2006年には数十万の人びとが家から逃れ、その多くが数度に
わたる避難を余儀なくされた。避難した人びとはしばしば森林
地帯に隠れるが、食糧や基礎的な医療へのアクセスもなく、常
にさまざまな武装グループからの攻撃という脅威にさらされて
いる。
医療ケアを受ける手段が限られるなか、DRCの避難民は栄養失
調、マラリア、呼吸器感染症、難産などの容易に治療できる病
気に対して次第に弱くなっていく。
2007年、ルチュルと北キブ州の首都ゴマではコレラが流行した
。国境なき医師団(MSF)チームは増加する医療ニーズを満たす
ため活動を強化したが、戦闘と情勢不安のために、人道援助従
事者が人びとに援助を届けることは困難を極める。治安が悪い
ために多くの道路が寸断され、立ち入ることの出来ない地域は
広範囲にわたる。
DRCの紛争において特に懸念される問題は、性的暴力の発生率
が極めて高いことである。北キブ州において、MSFは2007年1月
から10月の間に2375人以上の性的暴力の被害者を治療した。
▼北キブ州とは異なる対立構図で紛争が続くイトゥリ地方では
、15万の避難民が未だに家に戻れずにいる。極度の困窮に苦し
むこれらの人びとは攻撃や搾取の脅威にさらされている。
同地方の中心都市ブニアのボンマルシェ病院では、MSFは過去4
年間で7400人の性的暴力の被害者を治療した。その3分の1以
上は、この1年半のうちに受け入れた患者である。
またMSFは2007年、同国南部の西カサイ州で発生したエボラ出
血熱の流行など、他地方における病気の流行にも対応した。
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■ジンバブエ:政治・経済面の混乱が引き起こす医療危機
失業の蔓延、驚異的なインフレ率、食糧不足、政情不安が2007
年を通じてジンバブエを蝕み続けた。1200万人が住むこの国か
ら、近年約3百万人が近隣諸国に避難したと言われている。
かつてアフリカ南部では最も充実していると見なされていた同
国の医療制度は、政治面や経済面の問題の重圧の下で現在崩壊
の淵に立っている。
▼その影響が最も深刻に現れるのが、推定180万人のHIV/エイ
ズ患者である。現在、延命効果のある抗レトロウイルス(ARV
)治療を早急に受ける必要がある患者のうち、4分の1弱しか
この治療を受けていない。そのため週当たり平均3千人が死亡
している。
国家のエイズ対策プログラムの規模が拡大され見込みも薄い。
訓練を受けた医療従事者は国外に逃れ、政府のHIV/エイズ治療
プログラムは申し込み超過の状態にあり、ARV薬の供給がない
ためにプログラムの拡大も阻まれている。燃料価格や運賃も高
騰しているため、病院や診療所に通うことができない患者も多
い。
▼ブラワヨ、タショロトショ、グウェル、エプワースおよびマ
ニカランド州のさまざまな場所で運営しているプログラムを通
じて、国境なき医師団は3万3千人のHIV/エイズ患者に無償で医
療を提供している。
また、治療を受けている全患者数のほぼ10分の1に相当する1万2
千人がARV治療を受けている。しかし、より多くの人びとを治
療しようとする国境なき医師団の努力は、訓練された現地医療
従事者の不足、ARV薬を処方する資格の制限、現地入りする外
国人派遣スタッフに対する行政上の要件の厳格化により妨げら
れている。
▼これらの問題に加えて、ジンバブエでは水・衛生設備が劣化
していたり、全く整備されていない場合があり、健康上の影響
が広がりつつある。2007年になって、首都ハラレと国内第2の
都市ブラワヨの住民の間には下痢が流行した。
南アフリカとの国境付近で難民が襲われ性的暴力を受けたとい
う報告に示されているように、国外に避難する試みも危険に満
ちている。たとえ国境を越えたにしても、難民は医療をほとん
ど、あるいは全く受けられないことに脅えながら暮らさなけれ
ばならないかもしれない。
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■スリランカ:内戦で戦火にさらされる一般市民
政府軍と反政府勢力「タミル・イーラム解放の虎(LTTE)」の
武力衝突に挟まれ、スリランカ東部と北部に住む一般市民は恐
怖の中で暮らしている。
スリランカは約25年の間、停戦と戦闘を繰り返すこの紛争に苛
まれ続けている。しかしながら、世界の関心がこの紛争に向け
られることはほとんどなく、特に紛争地域で暮らす人びとが蒙
る人的被害が注目されることは少ない。
▼爆弾による暗殺、殺戮、地雷攻撃、自爆攻撃、拉致、強制的
な徴兵、強奪、移動の制限、不法逮捕によって、スリランカの
日常生活はますます危険と隣り合わせになっている。人道援助
を求める数十万の人びとは、2006年8月に大規模な戦闘が再発
してからというもの、避難生活を余儀なくされている。
このような困難な状況は、人道援助団体に対する不信と疑惑が
支配する風潮により、さらに混迷を増している。その結果、人
道援助が次第に制限され、生存のために必要な緊急援助を受け
られなくなった一般市民が影響を受けている。
▼このような人道援助に対する敵対は、紛争の前線に近い地域
から医療従事者のほぼ全員がいなくなり、病院にもはや負傷者
を治療するための人材がなくなった時期と重なった。
2006年末に撤退を余儀なくされた後、国境なき医師団は現在ポ
イント・ペドロ、バブニヤ、キリノクチ、マンナールで医療、
産科、外科治療を提供している。
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■ソマリア:戦火を逃れてもなお人道的危機に直面する避難民
ソマリアの内紛は今年、過去15年で最悪に近いレベルにまで激
化したが、世界で最も困難かつ過酷なこの人道上の危機のひと
つに対する支援と関心は減少しつつある。
▼米国やEUなどからの国際支援を受けるエチオピア軍や暫定連
邦政府軍は、イスラム法廷会議の残党など、さまざまな武力勢
力と衝突した。戦闘により無数の一般市民が犠牲となり、また
首都モガディシオから数十万の人びとが避難した。
2007年、国境なき医師団(MSF)はモガディシオ市内の複数の場
所で活動を強化し、また首都近郊のアフグーエでは推定20万人
の避難民が限られた食糧、水、住居を求め、過酷な状況で避難
しているため、緊急対応プログラムを開始した。
モガディシオに留まっている人びとの多くは、布の切れ端やビ
ニールシートを屋根にした仮設キャンプで、極度の暴力にさら
されながら生き延びている。
▼16年にわたる内戦で健康指標は世界でも最悪のレベルに落ち
込み、推定寿命が47才といわれるソマリアで、効果的な独自の
援助プログラムを運営する国際援助組織はほとんどない。
MSFは1991年からソマリアでの活動を行っている。2007年には
活動を拡大し、現在はソマリア南部・中部11地方のうち10地方
でプログラムを運営している。
しかし、多年にわたって、特にモガディシオ地域では、治安問
題のためにより多くの患者のもとに赴けないことにMSFは大き
な苛立ちを感じている。2007年8月には、紛争に関わるすべて
の当事者に対し、医療従事者の安全を守り、モガディシオ市内
および近郊地域の人びとが医療にアクセスできるよう呼びかけ
た。
▼キスマヨからガルカイヨにかけて点在する全てのMSFの病院
では、基礎医療から産科・外科治療におよぶ医療サービスを提
供しており、連日看護師と医師が栄養失調、結核、カラアザー
ル(内蔵リーシュマニア症)、コレラ、戦争による外傷の治療を
行っている。
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■中央アフリカ共和国:武力衝突の狭間に捕らわれる一般市民
2005年末に始まった、中央アフリカ共和国(CAR)北部におけ
る政府軍とさまざまな反政府グループとの戦闘により、大規模
な避難が起きている。
同国北西部では、村々は襲撃、略奪、焼きうちを受け、人びと
は周辺の荒涼とした森林に逃げ込むことを余儀なくされ、医療
へのアクセスも大幅に制限されている。一般市民は、道路沿い
に出没する強盗による暴力の犠牲にもなっている。
▼2007年、国境なき医師団(MSF)は現地医療施設への支援を行
い、北西部のカボ、バタンガフォ、パウア、カガ・バンドロ、
マルコウンダ、ボギラやその周辺、また北東部のビラオとゴル
ディルで一次医療ならびに二次医療を提供した。
1月から8月にかけては10万件以上の診察を行い、数万人がマラ
リアやその他の困窮した生活環境に起因する感染症の治療を受
けた。その多くが5才未満の子どもであった。
▼威嚇行為や政情不安により、MSFは頻繁に移動診療を急遽中
止せざるを得なくなり、最長8週間にわたり人びとが医療を受
けられなくなることもあった。
2007年6月にはMSFの海外派遣スタッフであるエルザ・セルファ
スが反政府軍の銃撃を受けて亡くなったため、MSFはCAR北西部
における活動を長期にわたって縮小した。
3万人近くが、この北西部における暴力により隣国のカメルー
ンへ避難することを余儀なくされ、食糧、住居、医療援助がな
く苦しんでいる。今年、この難民の子どもたちの間で、憂慮す
べき高い率で栄養失調が発生し、MSFは栄養治療援助を行った。
これに加え、補助食糧の配給も行った。また4万5千人以上がチ
ャド南部に避難し、MSFは同地域の病院で難民キャンプおよび
現地の人びとに対し援助を提供した。
▼CAR北東部の人口約4万5千人のバカガ州の一部では、反政府
グループと政府軍が衝突し、数千人が住居や村を破壊され家を
追われた。多くの人びとは近隣の森林に逃げ込んだ。
この地域では医療がほぼ全く受けられないため、MSFはビラオ
とゴルディルの常設診療所と移動診療を通して困窮する人びと
に援助を行った。
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■チェチェン:紛争が去っても残る重大な人道援助ニーズ
北コーカサス地方のチェチェン共和国において、ロシア政府と
反政府勢力の間で起きた最も激しい戦闘が収束してから4年近
くが過ぎた。近隣のイングーシ、ダゲスタンの両共和国へ避難
した数十万もの国内避難民はチェチェンに帰還している。
同時に、10年ほど前には無差別爆撃の舞台となっていた首都グ
ロズヌイでは復興が進み、共和国の空港も再開した。しかし、
コーカサス地方は未だに非常に不安定であり、チェチェン周辺
では戦闘が増加し、大規模な軍の駐留が続いている。
▼拉致、消息不明、暗殺、爆撃がイングーシ、北オセチア、ダ
ゲスタンの各共和国で続いている。チェチェン国内では、一般
市民にとって治安状況は現在でも不安定である。
危険は、散発する銃撃戦に巻き込まれることから重装備の軍用
車両による交通事故にまでわたり、最近では後者が外傷を負う
原因となることが多い。
基礎医療、特に産科と婦人科の医療が非常に不足しており、た
とえ医療が提供できる場合でも、帰還して貧困にあえぐ多くの
人びとの手には届かない。
グロズヌイ市内や周辺の診療所で、国境なき医師団(MSF)と現
地のチェチェン人医師は、これらの地域に住む人びとに肺、腎
臓、循環器疾患などの慢性疾患が高い確率で見られるのを目の
当たりにしている。
▼さらにMSFチームは、何年にもわたり暴力や避難生活にさら
されてきたことにより、心理社会的ケアのニーズが広く存在し
ていることも確認している。
イングーシやチェチェンの臨時宿泊センターに滞在する避難民
を対象にしたMSFの調査によれば、インタビューを受けた人び
とのほとんどが、不安、不眠、うつ状態に苦しんでいることが
判明した。
▼チェチェンの紛争は、同国の結核管理システムにも被害をも
たらした。MSFは、人口40万人をカバーしている複数の結核病
院を支援し、これに対応している。
また紛争を生き延びた人びとの多くは、今でも生活に支障をき
たす傷跡のケアを必要としている。MSFはそのようなニーズを
少しでも満たすため、2006年からグロズヌイ第9病院で再建外
科治療プログラムを運営している。
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■ミャンマー:大幅に制限される人道援助
1962年に軍事政権が実権を握って以来、世界から隔絶され続け
ているミャンマー(旧名ビルマ)の人びとは抑圧と放置の影響
に苦しんでいる。
2007年9月に民主化を求めてデモ行進をした僧侶たちに対する
弾圧は、長きにわたり苦しむこの国の人びとに世界中の関心を
集めたが、一般のミャンマー人が日々の生活で耐え忍んでいる
事柄を開示させるには至らなかった。
▼貧困に苦しみ、マラリアやHIVの高い感染率に直面しながら
、国民に対して医療支援はほとんど与えられていない。現政権
の予算のうち、医療サービスへの割当はたった1.4%である。
膨大なニーズが存在するに関わらず、同国内で活動する人道援
助団体はほとんどなく、現地で活動する団体も、独立性や中立
性を維持しながら活動をすることは困難である。
その上、援助資金を提供する外国政府や組織は、軍事政権の支
援に繋がりかねないプログラムに資金を出すことを嫌う。
国内を移動するために必要なビザ取得に時間がかかり、その結
果、緊急事態への対応が不可能になり、またニーズの調査も困
難を極める。
カレン族やモン族の反政府グループが関与している武力衝突が
繰り返されているタイ東部との国境付近など、いくつかの地域
では、政府による制限が国境なき医師団(MSF)などの人道援助
活動を停滞させている。
医療サービスが大きく欠如している西部のラカイン州では、MSF
は2006年に21万人のマラリア患者を治療した。ロヒンギャ族と
して知られるラカイン州のイスラム教徒は、特に不安定な環境
で生活している。
政府から市民権を奪われたこの民族は、さまざまな形の迫害を
受けている。MSFはコレラの人びとに基礎医療とHIV/エイズ治
療を提供している。
▼政府のHIV/エイズ流行への対応の遅れにより、この病気がさ
らに拡大する結果となった。MSFはヤンゴン、ラカイン、カチ
ン、シャンの各州で包括的なHIV/エイズ治療プログラムを提供
しているが、これらは需要のごく一部を満たしているに過ぎな
い。
延命効果がある抗レトロウイルス(ARV)治療を臨床的に必要
とするミャンマー人患者の数に関する信頼性の高い情報が少な
い中、国連が36万人と推定するHIV感染者のうち、ARV治療を受
けているのはわずか1万人であると考えられている。MSFはその
うち8千人にARV治療を提供している。
結核などの合併症に苦しむ患者で治療を受けられる人数はさら
に少ない。その結果、国連の推定では毎年2万人がHIV/エイズ
により命を落としている。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
freespeech21@yahoo.co.jp
http://www.emaga.com/info/7777.html
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