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【PUBLICITY】1728:TUP「イラク国民の生活実感」2

発行日時: 2008/3/29

 
 
■■メールマガジン「PUBLICITY」No.1728 2008/03/29土■■


▼20代前半の男が、駅前でやたらに斬りつけて人を殺したり
(1人殺して7人ケガ)、18歳の男がプラットフォームで知
らない人を突き落として殺したり、小学6年生の男の子が卒業
式の直後に自宅マンションから落ちて死んだり、ひどい事件が
多いです。

近所のスーパーに駐車してある自動車が突然爆発して何十人も
殺されるような事件は一つもない。

▼さて、後編。立て続けに、マスメディアではほとんど見聞し
たことのない証言が出てくる。

この「イラク戦争」と名付けられた社会破壊にぼくたちは関わ
っているのかいないのか。明確に関わっているわけだが、「私
は関わってないよ」と本気で思ってる人、多いんだろうナ。

こんなことばっか言うつもりはないんだけどサ。忙しいしサ、
「自分の社会」を生き抜くだけでやっとこさだしサ。

まあ、そんななかでも、そんななかだからこそ、だからといっ
て、ニッポンに住んで選挙権を持っている自分が、イラクの悲
惨の一端を担っているという──それは本当にわずかな一端だ
けれども、間違いなく確かな一端を担ってしまっているという
──責任を免罪されるわけではない、という事実を知る、とい
うことは、しようと思えば、出来る。

するしないは、「自由」だ。ぼくは、それを知り、認識した方
が、ぼくの自由が増す、と考えるわけだ。

自分自身が決めた政治判断(選挙で投票する、棄権する、反戦
の行動をする、行動したにもかかわらず戦争を止められなかっ
た現実を受け止める、えとせとら)の影響を受けた「他者」が
いる。

この「他者」との間に如何ほどの「関係」も生まない「自由」
に、如何ほどの「価値」があるだろう。

もちろんそこには、その人にとっての「価値」はあるだろう。
で、ぼくは、そういう「価値」を価値と呼ばないし、そういう
「自由」を自由と呼ばない、というわけだ。

本誌を読んでいる人が、似たようなことを考えているのかどう
かは知らない。


−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
ファルージャ出身のイラク政治アナリスト、マキ・アル=ナザ
ルは、家族ともども外国暮らしを強いられている。2004年
11月の米軍突撃により市街の4分の3が破壊された彼の街に
は、暴力が横行しつづけ、雇用がなく、これといった復興事業
もないせいだ。彼は、イラクに関する欧米主流メディア報道に
対する思いをこう明かしてくれた――

「メディアは、将軍たちや政治家たちのプロパガンダに追従し
てはなりません。真実を求めること、嘘を鸚鵡〈おうむ〉返し
にしないことが私たちの義務なのです。

米軍占領は悪質であり、どれほどメディア宣伝を繰返しても、
占領下イラク国内の混乱は隠蔽できません。私たちは、将軍た
ちや政治家たちが語る真っ赤な嘘を売買する地元や欧米のメデ
ィアを恥ずかしく思っています。2007年上・下半期の比較
は、噴飯ものです。

「ブッシュと配下の英雄たち、(連合軍暫定当局長官L・ポー
ル)ブレマー、(国防長官ロナルド)ラムズフェルド、現在の
ペトレイアスは、国民と世界に向かって、イラクについて常に
嘘をつきました。

米軍兵は日常的に殺されていますし、イラク兵や警官もそうで
す。社会基盤は破壊されています。かつてアラブ世界の大部分
に食料を供給していた国で、いまや飢餓が平常になっています。

制裁下12年間のイラクの国情は現在の半分ほども悪くなかっ
たのは、皮肉なことです。解放された結果、私たちは未曾有の
腐敗に追いやられました」

イラク駐留米軍増派部隊司令官、デイヴィッド・ペトレイアス
将軍は、「われわれとイラク側友人らは・・・・・・引き続き
治安分野を超えて未来を見据え、イラク国民が基本公共サービ
スを改善し、地方市場を復興し、損なわれた社会基盤を修復し
、難民家族の故郷帰還を可能にする条件を生みだすのを支援す
るだろう」と強弁する。

イラク国民は違った知見をもつ。アル=ナザルは次のように現
実的だ――

「500万人のイラク国民が海外や国内で難民化したままであ
るというのに、ペトレイアスは、シリアで飢えていた5万人の
(バグダッド)帰還を祝ってほしいと私たちに望んでいます。

彼が都合よく言い忘れているのは、帰国者たちは自宅が破壊さ
れていたり他人に占拠されていたりするのを見るということで
す。

彼はまた、国家の治安を、学究や技術職ではなく、彼が結成を
許可した民兵団に手渡すということで、誉めてもらいたがって
います。

イラク国民は、治療薬も、電気も、飲料水も、ほんとうの治安
も、行き届いた国境警備も享受していません。それでも、一部
の人士らは、イラクで進行していることが喜ばしいと言うので
す」

イラク国民は、アメリカ当局者らがいう成果と前進を信じたい
のはやまやまだが――わが身を災難に囲まれては――無理な話
だ。

バグダッド在住のクルド人教育顧問、37歳のサミー・タヒル
は、ペトレイアス、その他による用心深いが強気の主張に対し
て、次のような評定をくだす――

「イラクでは、いかなる公共サービスにも改善が見られません
。それどころか、いまや私たちはもっと悪い状態にあり、ビル
を塗装して、見栄えをよくする仕事に舞い戻っています。クル
ディスタンは、いまだにイラク南部や中部からのイラク人難民
でいっぱいです」

これに関して、マフリーは次のように書く――

「もともとイラクを破壊したのは、将軍たちであり、基本公共
サービスにはなんの改善も見られない。例えば、バグダッドの
大部分では、この2週間ばかり、執筆の時間に停電だ!」

ハッサン教授も、同じような見解をこう書く――

「2003年の軍事作戦の終了時に、アメリカ人が破壊しのこ
したもの、それを彼らは過去4年間で破壊しつくしたのであり
、イラク人家族の難民化について、その状況を生みだしたのが
占領軍とその任命政府であるという単純な理由により、彼らが
なにかしたがっているとは、私には思えません。

「この大量難民移動を引き起こしたのは、宗派間の暴力なので
すが、これを主導したのは米軍とその同盟軍であり、それも、
米国の計画にもとづき、それに宗派の利害を大きく反映したま
ま公布された“新”イラク憲法にもとづいて、イラク社会を分
断するためでした。

占領軍は、各地域に対する命令、支配、制圧を容易にするため
に、イラクを宗派や民族別の小さな地域に分割したいのです。
占領の主目的は、イラクと中東地域の石油生産と油田を支配下
に置くことです。難民家族の発生も、彼らにとっては許容しう
る副次的被害なのです」

タヒルは、こう伝える――

「2007年末の強襲まで、子どもたちはいつも学校に通って
いました。米軍が町や村を攻撃したいくつかの地域で、子ども
たちを通学停止に追いこんだのは、主として軍事作戦でした。

ブッシュは2003年からこのかた同じことを言ってきました
が、イラクでは、状況が常にどんどん悪化してきました。彼と
彼の将軍たちは、戦争を継続することによって、イラクと米国
とをともに破壊しています。

アメリカ経済は戦費を支えきれないでしょうし、イラクは完全
に破壊されています」

コンドリーザ・ライス国務長官は、1月15日にバグダッドを
電撃訪問したさい、昨年の米軍「兵力増派」が配当を生んでお
り、イラクにおける「私の臨場そのものによって、この勢いを
後押しする一助になれる」と発言した

マフリーは、米軍の存在とそうした「配当」についての嘆きを
次のように語る――

「アメリカ人は、イラクになされたことを気にしていないよう
だ。連中は、戦争犯罪人であるブレマーを最高勲章で飾りたて
た(2004年12月、ブッシュは自由勲章[*]をブレマー
に授与)。

ペトレイアスのような戦争犯罪人や他のブッシュ政権高官らに
も、米国の兵士たちやわが国民が殺されているときに、嘘をつ
いた功績により同じ勲章を授与してもいいではないか?」

[国家の保安に対する貢献など、すぐれた功績に対して文民に
授けられる最高勲章]

一方、タヒルはこのような警告を発信する――「あらゆる米国
の政治家やアメリカ国民の大多数は(上院議員)マケインと同
じ考えかたをしているようです。だが、彼らはイラクが日本や
韓国であると考えるべきではありません」

マフリーも同意見だ――「そういう指導層が彼らの国の歴史の
最終ページを書くのだろう。そのような策士たちをアメリカ国
民が選びつづけるなら、彼らの国の破局が間近に迫っているの
が目に見えるようだ」

ハッサン教授は、彼女の同胞の多くほどには手厳しくないとし
ても、占領が容赦なく長引き、アメリカの大統領選挙戦が加熱
しているときに、イラク国民の多くが明確に抱いている心情を
次のように述べる――

「たいがいのアメリカ人は、イラク侵略の背後にある真の動機
、そして、その戦争が彼らにおよぼす現在および将来の結果を
見抜いています。私の知っているアメリカ国民は、親切で思慮
深く、分別があります。

彼らはこの戦争を終わらせるために必要な手を打つだろうと私
は信じています。彼らは、いまでは、これはアメリカ国民の戦
争ではないと知っています。これは石油会社の戦争なのです。
では、どうして石油会社の欲得のために彼らの若い男女を犠牲
にしなければならないのでしょうか?」

米中央軍の前総司令官ジョン・アビザイドは、現在、みずから
フーヴァ研究所客員フェローを務めているスタンフォード大学
[*]で、米国主導の侵略と占領に関して講演し、「もちろん
、狙いは石油であり、これを否定することはできません」と聴
衆に語った。

アビザイド将軍の評言が出たのは、連邦準備制度理事会の前議
長アラン・グリーンスパンが回顧録に「世間周知のこと、イラ
ク戦争の狙いはおおむね石油であると認めるのは政治的に不都
合であることが、私を悲嘆させる」と書いてから、ほぼ1か月
後のことだった。

米国内の多くの者たちが、ブッシュ政権高官らや(民主、共和
両党の)大統領選主要候補たちと同調して、イラク占領という
惨事の大きさを把握することを拒みつづけている一方で、イラ
ク国民はこのような贅沢を許されていない。

占領の初年、私のイラク滞在中といった初期のころ、私が会っ
たイラク人は概して、米国政府の政策とアメリカ国民の願いと
を躊躇せずに区別していた。

時がすぎ、ナジャフ、ファルージャ、アル=カイム、サマラ、
ラマディといった街に対する野蛮な米国の軍事作戦のあと、ア
ブ・グレイブのあと、ハディサのあと、彼らの国土の社会基盤
のほぼ完全な破壊と社会機構の破砕のあと、私は占領に疲れた
イラク国民がその線引きを止めるようになったのを目にしはじ
めた。

最近、バクバの住民(メディア接触に対する報復を懸念して匿
名を希望)が、私のイラク人同僚アーメド・アリに次のように
語った――

「治安の欠如は、占領の直接の結果である。アメリカ人は何千
マイルもの海を渡って、私たちの家を壊し、私たちの国民を殺
しにきた。彼らは私たちのあらゆる災難の原因だ」

バクバ出身の商人、アブ・タリクは、米軍は意図的にイラクの
社会基盤を破壊したと信じている。彼はアリにこう語った――

「アメリカ人は、電力網、給水所、工場、橋、幹線道路、病院
、学校を破壊し、建物を燃やし、国境を開いて、他国人やテロ
リストが容易に入国できるようにした。こういうことをすべて
する人間は、人間性に欠けています。私はアメリカとアメリカ
人を憎む」

もうひとりのバクバ住民、アブ・タイセールは、イラク国民の
敵意をこのように要約して語った――

「占領が始まったばかりのころ、イラクの人びとは地域におけ
る米軍の戦略に気づいていなかった。彼らの戦略は破壊と殺戮
にもとづいています。彼らは野望を達成するためにはなんでも
やる。

いまでは、米国の微笑の背後には憎悪と暴力があることをイラ
ク国民は知っている。彼らは、他者を暴力的といい、テロリス
トと名指すが、彼らがイラクや他の国でやっていることは、テ
ロの起源であり、精髄なのだ」

退職教師、ジャラル・アル=タエーは、イラク国民がこれまで
にも増して信じているらしいことについて、次のようにアリに
語った――

「バクバでは、人びとはアメリカ人に激しい憎しみを抱いてお
り、大勢の住民が米軍の敵になった。ディヤーラ地方の住民は
、米軍と(バグダッド)政府に虐げられ、不当に扱われている
。状況を改善するためには、米軍は当市を市民の自治に委ねる
べきだ」


[筆者]
ダール・ジャマイルは、独立ジャーナリスト、
新刊書“Beyond the Green Zone: Dispatches from
 an Unembedded Journalist in Occupied Iraq”
(Haymarket Books, 2007)《1》
[仮題「グリーン・ゾーンのかなたに――占領下イラクに滞在
する自由取材ジャーナリストからの速報集」]の著者。

これまでの4年にわたり、ジャマイルは、占領下イラクのほか
、レバノン、シリア、ヨルダン、トルコから報道してきた。彼
は、トムディスパッチ・コム、インター・プレス・サービス、
アジア・タイムズ、フォーリン・ポリシー・イン・フォーカス
に定期的に書いている。また、サンデー・ヘラルド、インディ
ペンデント、ガーディアン、ネーション誌、その他の刊行物に
寄稿している。それに、独自サイト「ダール・ジャマイルの中
東通信」《2》を開設し、彼の全記事を掲載している。
http://www.amazon.co.jp/dp/1931859477 《1》 
http://www.dahrjamailiraq.com/ 《2》

[ダール・ジャマイル記事バックナンバー]
速報722号 2007年7月26日配信
「Eメールが伝えるイラクの地獄絵」
http://groups.yahoo.co.jp/group/TUP-Bulletin/message/747

[原文]
Tomgram: Dahr Jamail, Missing Voices in the Iraq Debate
Tomdispatch.com., posted January 27, 2008
http://www.tomdispatch.com/post/174886
Copyright 2008 Dahr Jamail

[サイト紹介]
トムディスパッチ・コム――抗主流メディア毒常設サイト:
http://www.tomdispatch.com/ 
9・11後の私たちの世界を深く理解し、私たちの帝国的な世
界が現実にどう動いているのかを明確に認識したい人たちのた
めの評論の場
主宰・編集者トム・エンゲルハート: 
http://www.tomdispatch.com/p/about_tom 
寄稿者一覧: http://www.tomdispatch.com/p/guest_authors
コンタクト:
http://www.tomdispatch.com/contact/tom_engelhardt

[翻訳]井上利男 /TUP

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