【PUBLICITY】1723:「衣食住」、そして「知」。あるいは人間の条件
発行日時: 2008/3/7
■■メールマガジン「PUBLICITY」No.1723 2008/03/07金■■
▼イージス艦の事故にしても、「アメリカ」で三浦元社長が逮
捕された「ロス事件」再沸騰にしても、全体観なき報道の感が
ある。話がどんどん些末な方へ、細かい方へと流れる。ありが
ちだぁね。必ずしも意識的なわけではない。だから「流れる」。
▼政府は、「国家」という全体をとらえられていない=国家観
がないのかも知れない。捜査している人も、報道している人も
、とらえられていないのかも知れない。しかし、全体観が見え
たうえで、わざと些末な方向に走っている、走らせている場合
もあるかも知れない。
▼「国家」という全体をとらえるためには、国家【を含む】全
体を観る眼を持たなければならない。
それは、世間から超絶したものの見方というわけではない。そ
れは、ぼくにとっては、国家から弾き飛ばされた人を──圏外
の人を──予め惨めに描いてしまう眼とは、正反対の眼だ。
「(国家を含む)全体」の像(かたち)は当然、人によって違
う。人生観、宗教などが相俟って、何を信じるかに拠る。だか
ら、国家こそ全体、の人もいる。
なかには、「国家を支えているもの」──例えば「社会」──
を見失い、結局は国家自体を見失ったり、国家に喰われちゃう
人もいる。ひどいのになると、自分が国家に喰われていること
自体に気づかない人もいる。
▼いま、社会の危険があるとすれば、それは国家像を覗く「窓
の一つ」に過ぎないマスメディアが、覗いている当人にとって
の「全体」になっている点に存するのではなかろうか。
また、このように言えるかも知れない。そもそも、マスメディ
アから見える「全体」だけで判断できるような問題にしか、人
々が興味関心を抱かなくなっている、と。
全体観の組み立て方そのものが、マスメディアによって機制さ
れているのだとしたら、これは本人には極めて自覚しにくい。
▼そんなバカなことがあるかと思う人もいるだろうが、実際に
いろいろな事件、出来事を通して見えてくる国家像を、ぼくた
ちはマスメディアを通してしか観ていない。知り得ない。
うまい例えが思いつかないが、ぼくは、生まれて初めて野球場
でプロ野球を観た時に、すごく感動したことを覚えている。そ
れまで、テレビ中継でしか「ナイター」を観た事がなかった。
野球の試合を「この眼」で観るとは、なんて素敵な体験なんだ
と感動したのだ。それは、試合の良し悪しに関わらなかった。
その試合は平凡な試合だった。
「この眼」で観る。そのこと自体が素晴らしいと感じたわけだ
。サッカーを観た時も、バレーボールを観た時も、テニスを観
た時も、要するに足を運んで観戦したとき、どれも同じように
感じた。
テレビカメラを通してだけ観るということと、球場内の選手の
動きを自由に見つめることができるということと、この自由度
の違いは、比較することすらできない圧倒的なものがある。
このあまりにも単純な事実に驚いてしまうほど、狭いものの見
方しか、ぼくは持っていなかったわけだ。
▼この感覚は、衣食住にまつわる体験にも通じるところがある。
この手で炒めた野菜炒めを食べたときの喜びは、既製品を食べ
たときの喜びとは、全く違う質の喜びだった。その野菜炒めが
旨いかどうかが問題ではないのだ(旨かったけど)。「この手
」がうれしいのだ。
「衣」も「住」も同様だ。そして、衣食住と同じようにぼくた
ちに必要で、自然で、あまりに自然すぎて無意識の裡に漬かっ
ている「知」の世界でも、同じような「質」の違いが生じるの
ではないか。
衣食住、そして知。「知る」ということ。この文章を読んでい
る人が、この生活を営み続けるうえで絶対に避けて通れない、
「人間の条件」が、ぼくの目の前に明滅している。
freespeech21@yahoo.co.jp
http://www.emaga.com/info/7777.html
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