【PUBLICITY】1698:「ちりとてちん讃」の続き
発行日時: 2008/1/27
■■メールマガジン「PUBLICITY」No.1698 2008/01/10木■■
▼紅白歌合戦で平井堅が歌い終わった次に、美空ひばりの「愛
燦々」の映像が流れた。平井堅ももちろん歌が上手なんだが、
映像で観る美空ひばりの歌が、他の出場歌手と比べて(比べる
なって)段違いに上手かったので(当たり前だよ)、笑ってし
まった。
あんな歌手は、ぼくが生きている間にはもう二度と生まれない
のかも知れない。
紅白が終わった直後の「ゆく年くる年」、岐阜・白川村、明善
寺の吹雪の映像には想わず「すげえ」と声を上げてしまった。
撮ってる人の気魄を感じましたよ。
▼いい番組が多すぎるからいちいち書かないが、やっぱりNH
Kはガンバッてるね。最近書いたなかでいちばん反響が多かっ
たのも、「ちりとてちん讃」だった。ま、道理ですナ。
これからの予定は
第14週 瀬戸際の花嫁 1月4日-5日
第15週 出る杭は浮かれる 1月7日-12日
第16週 人の振り見て我が塗り直せ 1月14日-19日
第17週 子はタフガイ 1月21日-26日
第18週 思えば遠くへすったもんだ 1月28日-2月2日
後半も、ぶっとばしてほしい。
▼ところで、ついに朝日新聞の文化欄に「ちりとてちん」が大
きく紹介された(1月9日付「観流」)。記事を書いた大西若
人記者は、絶讃というより、ベタボレですナ。しかし視点は鋭
い。
まず、
「時計代わりにならぬ充実度」
という見出しが素晴らしい。ぼくはXビデオステーションで観
てるから、この生活感覚に思いが至らなかった。「ちりとてち
ん」の面白さを表現するのにはほぼベストの表現ではなかろう
か。「充実度」ってのがなんともカタいけど。
そういえばNHKのブログにも、泣けてしまい化粧ができない
とか、見入ってしまって遅刻してしまうとか、わがままな意見
が載っていた。
「観流」にも、面白すぎて目が離せないのが「「時計代わり」
になりえず、視聴率が芳しくない理由の一つだろう」との指摘
が。そっか、そういう視点もあるか。大西記者は書く。
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すべてを備え、すべてに意味がある。それぞれがそれぞれとこ
まやかにつながり、伏線となり(何週間もたってから伏線と気
づくことすらある)相関図は網の目状に。しかもそれらが落語
家を目指す、という本題と重なる。この「全体性」には驚くほ
かない。
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んー、そうそう。さらに、「が、最大の驚きは」と続く。
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最大の驚きは、ヒロインが、同姓同名の美少女同級生に対する
劣等感を抱いているのをはじめ、すぐに後ろ向きになることだ
ろう。「おもてなしの心」を唱え、いつも前向きの前作「どん
ど晴れ」のヒロインとは大違いだ。
しかし、劣等感やねたみが生きる力になることは少なくない。
つまり、実に普遍的なのだ。
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▼へー。ヒロインが後ろ向きな性格であることはたくさんの人
が指摘しているが、ぼくは「あほぼん」の再来に喜んでいて、
「後ろ向き」がそれほど大きな価値だとは思っていなかった。
それだけNHKの朝ドラは、前向きなヒロインばっかりだった
ってことか。
しかし、前作の「どんど晴れ」が貶されまくりだが、あのヒロ
インも可愛かったよねえ。こんな傑作の前だったおかげで、お
気の毒さまだ。めげるなよ!(誰に言ってんだ)
▼ぼくが考える「ちりとてちん」の素晴らしさは、先にも書い
たが、撮影(黒川穀)と脚本(藤本有紀)、それらを生かす演
出(伊勢田雅也)だ。
そして物語の根本を為す主人公の人物設定を、知ってか知らず
か(ぼくは絶対に“確信犯”だと睨んでいるが)、松竹新喜劇
で藤山寛美が確立した「あほぼん」の系譜に連ねたところだ(
そういえばきょう(9日)の「ちりとてちん」にも「あほぼん
」という科白が使われていた)。
「ちりとてちん」は、新しいかたちの「人情喜劇」を生み出す
挑戦だ。制作統括の遠藤理史と脚本の藤本有紀は、いったいど
ういう話し合いをしたのか。実に興味深い。フリースピーチで
聞きたいくらいだ。誰かがどこかの雑誌でやるだろうけど。
▼さて、グーグルで「ちりとてちん」で検索すると、なんと2
頁目の9番目くらいに「マスメディアとつきあう12の方法」
が引っかかるようになっていてビックリ。
(ちなみに「チャップリン映画祭」で検索すると、なんと2番
目に出てくる。これは素直にうれしい! しかし、「電通」と
「ワールドカップ」で検索すると、未だにぼくのエントリが筆
頭にきていてゲンナリ。)
なにをどうすればそうなるのかわからないのだが、2頁目に引
っかかる効果は大きく、ブログにアクセスする人の検索ワード
も「ちりとてちん」が急増。さすがにおそるべしNHK。
でも、ぼくが映画とかテレビについて書いた文章そのものが少
ないから、せっかく訪れた読者をリピーターにできない。もっ
たいないが、どうでもいいっちゃあ、どうでもいい。
▼ドラマの視聴率なるものが、如何にドラマの質と関係ないか
は、「ハゲタカ」で充分に実感した(そういえば2007年末
に、まさかの再々放送をやっていた。さもありなん)。だって
「ハゲタカ」、7%だったんですもの。
さらにNHKだから、視聴率の悪さが「ちりとてちん」の脚本
の流れを変えることもまず無かろう(映画第1作までは素晴ら
しく、第2作で堕落してしまった「踊る大捜査線」は、テレビ
ドラマの途中で視聴率が良くなかったから、危うく青島と雪乃
さんのラブストーリーになるところだった)。
つまり「ちりとてちん」の大団円は、藤本有紀の腕一本にかか
っている。これほどの脚本は、三谷幸喜にとっての「笑いの大
学」のようなもので、そうそう書けないものだと思う。藤本有
紀は今、全身で脚本家冥利を味わう日々ではなかろうか。風邪
を引かないでね。
と、ここまでで8kb。うーん、あっというまだ。
freespeech21@yahoo.co.jp
http://www.emaga.com/info/7777.html
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