『施設長の資格』〜障害者施設の舵取り指南 |
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■■『施設長の資格』■■ 〜障害者施設の舵取り指南〜
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━Vol.54 2008/05/01
今回もご購読ありがとうございます。
ベネトンやフェラーリといったF1の超一流チームのテクニカルディ
レクターだったロス・ブラウンが昨年11月にホンダF1レーシング
チーム代表に就任しました。ロス・ブラウンはインタビューに答えて
「私がやりたいのは、どうやれば自分たちの力で優れた結果に辿り着
けるのかということを、一緒に働く人たちに伝えることだ。彼らが正
しい結論に辿り着くのを助けるために、どんなツールがいるのか、ど
んなシミュレーションをやればいいか、どんなアプローチが必要かを
教える。包括的な分析やアプローチができていない場合は、より良い
方法を教える。組織やチームが発展し、個人の理解力が成長すること。
それを助けることが私の存在価値だと思っている」(赤井邦彦・Honda
Magazine 2008 Spring p25より引用)と言っています。
組織のトップが具体的に何をめざせばよいのかの指針を示している名
言です。
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★★☆ 本日の内容 ☆★★
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本日の内容は
1 労働契約法が新設されたことを知っていますか?
2 「お客様」という呼称について
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★★ 労働契約法が平成20年3月施行されました ★★
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平成20年3月1日から施行された「労働契約法」は、雇用のルール
を明確化と仕事と生活の調和への配慮を目的とする民法の特例法です。
社会福祉の現場では、経営の先行き不安から正職員ではなく臨時職員・
パート職員の採用へシフトしていると聞きますが、職場におけるスタ
ッフ採用は、現場におけるサービス提供の基本要素であり、スタッフ
のマンパワーこそ福祉サービスそのものといえるのですから、新しい
法律の理念を十分理解し見方にするという考えが必要です。
法律のポイントは、(1)労働契約は、労働者と使用者が対等の立場
で合意し締結または変更すること。使用者は、労働者に提示する労働
条件および締結しまたは変更した労働契約の内容について労働者の理
解を深めること。ただし就業規則がある場合は、就業規則に定める労
働条件が労働契約の内容となる。
就業規則を見直して、必要な見直し(労働条件の変更)をするときは、
労働者と合意できるように努力をし、その内容を十分に周知徹底する。
(2)労働者と使用者とは、合意によって労働契約の内容である労働
条件を変更することができる。使用者は、労働者の合意なしに一方的
に就業規則を変更し、労働者の不利益になるような労働条件の変更は
できない。ただし変更後の就業規則を周知する、変更が合理的である
場合はこの限りではない。
なお合理的であるかどうかは、労働者の受ける不利益の程度、労働条
件変更の必要性、労働組合等との交渉の状況により総合的に判断され
る。
(3)出向、懲戒や解雇に権利の乱用があってはならない。権利の乱
用とは、出向においては、対象労働者の選定から見て必要性があるか
どうか、懲戒においては、労働者の行為の性質および態様から見て合
理的客観性があるかどうか、解雇においては、客観的に合理的な理由
があり社会通念上相当であるかどうか、から判断されます。
なお「合理的の判断を勝手に拡大解釈すること」が「権利の乱用」と
されるので特に注意が必要となります。
(4)有期労働契約については、やむを得ない事由がないときは、そ
の契約期間が満了するまで労働者を解雇できない。必要以上に短い期
間の労働契約を定めることによって労働契約を反復更新しない。法律
では更新の反復の回数制限はないが、限度はあります。
非正規職員については、個別労働条件が異なることが多いので、個別
の労働契約を締結し、必ず書面にしておくことが大切です。
有期雇用の労働者についても、解雇の際の解雇予告は必要です。契約
期間満了が当然の解雇とはなりません。
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☆ 改正パート労働法も4月1日施行 ☆
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「短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律(パート労働法)」
が、改正され4月から施行されました。
この改正法の主なポイントは以下のとおり。
(1)パート職員が、正職員と就業の実態が同じときは、正職員と均
等な待遇をすること。
(2)パート職員ということではなく、職務内容や成果などによって
賃金を決めること。
(3)労働条件を明示すること。
この改正法の理念は当たり前といえば当たり前のことです。正職員で
あってもパート職員であっても同じ仕事をするならば同じ待遇をとい
うことですから。
ところが実態としては、同じ仕事であっても人件費削減の観点からパ
ート職員採用で待遇を抑えることがなされています。このような経費
削減策が安易に採られていたとすれば、早急な見直しを求められるこ
とになります。
もっとも何をもって「同じ仕事」と判断するか、は難しいところです。
ところが法律というものはそもそもが「基本的人権の尊重」のために
あるものですから、判断に迷うときは国民の権利擁護のためを第一義
に考えるものなのです。ということはこの場合、パート労働者の権利
が優先されると考えるべきです。
「正職員とパート職員が同じ仕事をするならば同じ待遇」というとき
に、使用者は、客観的に合理的な理由なく「異なる仕事だから」とい
う理由を持ち出すことはできないと考えるべきであり、むしろ同じ仕
事をする以上、同等のスキルを身につける「社員教育」「人材教育」
を「受ける権利」として保障することが不可欠であると考えるべきな
のです。
だからこの教育を受ける権利を放棄するパート職員がいたとすれば、
その方には同じ待遇を保証することはできないということになるので
す。
なぜなら、憲法においても、第12条で「この憲法が国民に保証する
自由及び権利は、国民の不断の努力によって、これを保持しなければ
ならない」とあるとおり、自らの権利を守ろうとする人の権利を守る
というのが権利擁護の基本姿勢だからです。
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★★ 「お客様」「顧客」という呼称について ★★
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法に基づく障害者支援施設を利用する人を「利用者」「入所者」とお
呼びすることが多い。
この呼称について改めてサービス事業者の立場から考えてみたい。改
めてというのは福祉サービス提供事業者以外のサービス提供事業者の
目で、ということです。もちろん福祉サービス事業者が未熟で、その
他が優秀という簡単な構図で判断はできませんが、「福祉は……」
「教育というものは……」「そもそも医療は……」といった特権意識・
特別意識のようなものはできうる限り排除して考える必要があります。
経済学では財とサービスという区分がありますが、いわゆるサービス
を提供する業種には福祉・医療・教育をはじめとして通信、放送、運
輸、交通、ホテル、金融、飲食から旅行、娯楽、理美容、行政サービ
スに至るまで多岐にわたります。
サービス対価を「料金」と呼ばない業種、対価を負担しサービスを受
け取る者を「お客様」「顧客」と呼ばない業種に着目すると「福祉」
は「医療」「教育」とともに間違いなくリストアップされます。
福祉サービスの本質に公共性があるので、たとえば同じサービス産業
の娯楽業(映画館とか遊園地とか)のように収支バランスや経営効率
優先の指向はできませんが、であるならば当然顧客満足の指向はむし
ろ(収支バランスや経営効率を度外視して)優先しなければならない
ことになります。
現実はこのあたりにずれと誤解があります。すなわちそもそも民間企
業が参入しない(利潤追求型企業の参入を許すべきでない)産業に公
共の財源を投入するのは、人にとって必要欠くべからざるサービスで
あることの証拠です。そのサービスを避けて通れない人がいる証拠で
す。顧客を顧客として遇せない遊園地がつぶれても顧客(一部投資家
などは別だが)は困らないのですが、そのサービスを受けざるを得な
い顧客が、弱みを握られてしまうサービスに直面すると本当に困るこ
とになります。サービス提供者が、代替サービスがないことへの認識
や使命感をもたないとサービスの品質を維持することは困難になり、
顧客だけが憂き目を見ることになります。
だからこそ、顧客を顧客として遇することが至上命令である業界や代
替サービスが多くあり顧客が選択肢をたくさん持っている業界に学ぶ
姿勢が大切なのです。サービスの品質維持に命をかけ顧客満足を常に
追求する業界に学ばなければならないのです。
そしてその業界を超えなければならないのです。
従来「利用者」として呼んできた人をいま改めて「お客様」「顧客」
とお呼びしたい。
もしもこの呼び方がなじまない、そぐわないと感じるならば、それは
なぜなのかと考える契機とすべきです。サービス対価を負担する人に
対し、対価を受け取る者が「お客様」と呼べないはずはないのです。
そして目の前の障害者を「お客様」とお呼びしたときに、自然に自分
たちの提供するサービスがお客様にとってよいものかどうかが見えて
くるのです。
収支バランスや経営効率を度外視までしても取り組める福祉サービス
が、自企業の生き残りをかけてサービスの品質維持や顧客満足を常に
追求する業界の提供するサービスより、優秀であって当然なはずです。
※ たとえ福祉サービスを直接受けられる方に向かって「お客様」と
呼びかけられなくても、サービス提供スタッフ同士の会話の中で
は使えるはずです。
※ 呼びかけるときには「お客様」よりも「内藤様(個人名でお呼び
すること)」の方が一般的には上質のサービスです。
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★★ 編集後記とお知らせ ★★
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今回もここまでお読みいただきありがとうございました。
お読みいただいてのご感想、ご意見を下記メールアドレスにお寄せく
ださい。結構一方的に配信していますので、メールをいただけると力
が出てきます。お読みいただけているなと安心できます。
akira.naito@dream.com
障害者自立支援法による制度・枠組みの中で力強く施設運営を進める
には、積極的な目標設定とまず第一歩を踏み出すことが必要だと感じ
ています。
人生のいろいろな場面で第一歩を踏み出したエネルギーをこのメルマ
ガに集めたいのです。
あなたの声をお待ちしています。
このメルマガは「施設長の資格」というタイトルですが、「施設長・
管理者」だけにむけて書いているわけではありません。むしろ若手・
中堅の施設職員の方に向けてメッセージを発しています。
あなたがたとえ施設長でなくても、もし自分が施設長ならばどういう
行動を取るかということを常に考えていることが重要です。
そして「施設長になる」という明確なビジョン・志をもっている職員
の方だけが将来「施設長・管理者」になれるのです。
ですからこのメルマガでは、障害者支援の一線で日々苦闘しているま
じめな職員の方々で将来施設長・管理者になりたいと本気で考えてい
る方にその資格を身につける情報をお届けします。
そうです。あなたのために あなたにお届けします。
このメルマガをぜひあなたのお友達にもご紹介ください。購読の登録
方法はこのメルマガの最後に掲載してあります。
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