『施設長の資格』〜障害者施設の舵取り指南 |
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■■『施設長の資格』■■ 〜障害者施設の舵取り指南〜
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━Vol.45 2007/12/15
今回もご購読ありがとうございます。
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★★☆ 本日の内容 ☆★★
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本日の内容は
「工賃ステップアップ事業」事業報告書 珠玉のヒント6 です。
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★★「工賃ステップアップ事業」事業報告書 珠玉のヒント6 ★★
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平成18年度国庫補助事業・障害者自立支援法調査研究プロジェクト
「工賃ステップアップ事業」の事業完了報告書が全国社会福祉協議会・
全国社会就労センター協議会(セルプ協)から発表されました。
全国6ヶ所の授産施設がモデル事業実施施設となり、セルプ協が事業
推進委員会を組織してこの事業の推進を図ったものです。
この報告書の中にちりばめられた珠玉のヒントの紹介シリーズの6回
目です。
コンサルタントが、福祉関係者以外の視点で授産施設に実際に入って
その状況などについて感じたことを問題提起したことのまとめに今回
は耳を傾けたいと思います。
▽▽▽ ここから引用 ▽▽▽
[2つの機能、会計の違い]
●授産会計と福祉会計(施設会計)という異なる2種類の会計がある
ことにより、施設の方針や目標が不明確。
●「施設経営存続」と「工賃の向上」とが、時に相反する課題となる。
●施設の職員は、職業指導能力よりも、生活指導員的役割を強く意識
しているところが多い。
●民間企業の顧客は一般市場顧客のみであるが、福祉施設では「利用
者とその家族」「一般市場顧客」という施設からみてサービスの方
向性が異なる2種類の顧客が存在する。
[意識改革]
●職員が工賃アップをあまり望んでいない。利用者・家族も工賃を欲
しがらない。
●現状を変えず、今までどおりに固執。
●家族が望まなければ、就労は必要ないという考え方の誤り(真のノ
ーマライゼーションについて議論が必要)。
●事業収益が給料に直結しない施設職員。
●法人理事会ですら、施設理念を離れ、授産を二の次に考え、施設の
社会的使命は「保護・養護サービス」と考える傾向も大きい。
△△△ ここまで引用 △△△
コンサルタントが実際に授産施設の現場を見て感じたことがまとめら
れています。なかなか手厳しい感じもします。
複数の会計基準があることにより、目標設定が不明確である、という
指摘があります。会計とは、以前にも書いたのですが、そもそもが
「実績の記録と分析」の手段です。会計分析により、過去の実績を分
析できますが、ここのことによってそのまま将来の目標設定ができる
と考えるのは短絡過ぎます。
もしもそうであるならば、会計事務所からの報告項目の中に「望まし
い今後の目標」などというものがあるはずです。実際にはこのような
ものはありません。
会計がしっかりできていれば、目標がしっかり立てられるというのは
「迷信」です。目標を立てるためには、会計分析結果が必要ではあり
ますが、会計がしっかりしていても目標を立てられない人はたくさん
います。
会計分析とは別のところに、目標を設定する能力・スキルがあります。
このことに気づかないと、会計事務所に無駄な費用を支払うことにな
ります。
さらに重要なことは、会計処理がきちんとできないから目標設定でき
ない、などという逃げ道を知らず知らずのうちに作ってしまうことに
なるのです。
当然、目標設定ができない理由のなかに複数の会計基準があるからと
考えてはいけません。
それをいうなら「複数の会計基準を使い分ける能力は必要であり、こ
の能力は目標設定をする能力と通じるものがある」ということです。
社会福祉法人を含む企業の社会的責任として、会計を明確にし、とき
には公開しなければなりません。そのための統一的基準として「会計
基準」があるわけですが、複数の会計基準の存在による混乱は現場に
重い負担をかけています。このことに対する改善要求は続けていく必
要があります。
しかしそれでもこのことを、目標設定不調の理由にしてはいけないの
です。
つぎに「民間企業の顧客は一般市場顧客のみであるが、福祉施設では
「利用者とその家族」「一般市場顧客」という施設からみてサービス
の方向性が異なる2種類の顧客が存在する」という指摘にも多少注意
が必要です。
民間企業の顧客は、一般市場顧客のみではなく、株主(または、当該
会社に資金を貸し付けしその返済能力維持を見守る金融機関、会社の
安定発展を願う従業員や取引先等)がいます。決して福祉施設だけが
重い枷(かせ)をはめられているわけではありません。
株主への配当は、銀行への利息返済と同様に非常に重要な要素であり、
企業が不祥事を起こすのはこのためといっても過言ではないのです。
ニュースでは同族会社(つまり家族やグルーブで株主の多くを占めて
いる会社)の不祥事が大きく取り上げられますが、構造としては、一
般消費者より株主の利益を優先した結果の不祥事です。なぜこのよう
な不祥事が後を絶たないかというと、株主への配当で資本調達するし
くみだからです。
民間企業の社長(CEO)は、事業を繁栄させ、一般消費者に受け入
れられ、その結果として大きな収益をあげて、その中から次期投資資
金と配当金(と銀行返済金)を確保する
のが仕事ですから、実際に収益が上がらなくなると「日付を変更した
り」「産地をごまかしたり」して収益を確保し、その結果不祥事を引
き起こす(人が一部にはいる)のです。
ここで指摘したいのは、民間企業は単純だけれど、福祉の現場は複雑
で大変なんだ、という考え方はあぶない、ということです。
授産施設は、授産事業で収益を上げて、工賃支払い能力を発揮して、
高い工賃を支払うことで「工賃収入を手にすることで幸せな人生を築
いていきたい」と希望する障害者とそのご家族に幸せを届けるサービ
スをするのです。
一般市場顧客へのサービスと福祉サービスは同心円上のサービスです。
サービスの方向性が異なることはないのです。
授産施設だけが大変なことをしているのではありません。あなたの隣
にいる民間企業でも同じような苦労をしています。みんな同じように
苦労しながらもやっているのですから、あなたにも当然できるのです。
つぎに意識改革に関連して「事業収益が給料に直結しない施設職員」
について考えてみましょう。
直結しないのだからモチベーションが上がらず、高い意識を抱き続け
ることが困難であり、その結果、高い工賃が支払えていない、という
分析でしょう。
では事業収益が給料に直結している人は誰でしょうか? いうまでも
なく障害者です。工賃を受け取る人です。施設職員は、自分の働きが
自分には跳ね返らず、利用者に跳ね返っていることに気づく必要があ
ります。もちろん施設長もそのことに気づく必要があります。
だから、がんばりましょう、という簡単なことではなく、ここでは、
次のように考えてみませんか。
つまり、施設職員の給料が事業収益に直結していなくて本当によかっ
た、という点はどこにあるか? ということです。
たとえば授産事業で製造した商品が売れても売れなくても自分の給料
に反映しない施設職員が「本当によかった」と安心できる場面を思い
浮かべてください。
もちろん最高の感動のシーンは想定以上に高い工賃を支払うことがで
きたときかもしれませんし、困難な納期を利用者とともに完遂したと
きかもしれません。
現実的には、商品が売れなかったことについて責任をとらなくていい
ことです。商品は売れれば、お金に姿を変えますが、売れ残るとゴミ
になってしまいます。在庫は損失の山に変化するのです。それでもそ
の損失を自分でかぶる必要はありません。
だからこそ、だからこそ取り組まなければならないのは「改善」と
「新規事業の開発」なのです。いまよりよくするには「動く」必要が
あります。動いた結果、失敗しても怖くはないはずです。
事業収益が給料に直結している人は、おいそれとは動けません。ひと
は今の収入が減る危険性のあることにはトライできないものです。転
職にしてもそうです。
事業収益が給料に直結しない施設職員とは、チャレンジによるリスク
を最高に保証された職員と読み替えるべきです。
だから、このような施設直員に対して、自分の働きの結果が利用者に
跳ね返るのだからがんばりましょう、というのではなく、リスクは保
証するから失敗をおそれることなくチャレンジをしよう、というべき
です。施設長に対する期待は当然そうではないでしょうか。
「昨日までとは異なることをしよう。このことが安心してできるよう
に給料を保証している。たとえ今より工賃が下がることがあってもい
いから、昨日までとは違う何か『新しい』ことを今日もしよう。その
チャレンジを利用者とその保護者に伝えていくしくみを我が施設では
確実に作り上げていこう」
施設長であるならばこのような問いかけを施設職員にしていく必要が
あると思います。
コンサルタントの「現状を変えず、今までどおりに固執」という指摘
については、このような意味合いで理解すべきではないでしょうか。
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★★ 編集後記とお知らせ ★★
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今回もここまでお読みいただきありがとうございました。
「人材確保に向けて」コーナーは、福祉人材フェア(合同面接会)が
今後予定されていますので、その結果を含めて次回ご報告します。
また障害者就労に関連して今年の実雇用率1.55%が11月20日
に厚生労働省から発表されました。このことに関連した報告もまた次
回にします。
お読みいただいてのご感想、ご意見を下記メールアドレスにお寄せく
ださい。結構一方的に配信していますので、メールをいただけると力
が出てきます。お読みいただけているなと安心できます。
akira.naito@pamindoh.com
障害者自立支援法による制度・枠組みの中で力強く施設運営を進める
には、積極的な目標設定とまず第一歩を踏み出すことが必要だと感じ
ています。
人生のいろいろな場面で第一歩を踏み出したエネルギーをこのメルマ
ガに集めたいのです。
あなたの声をお待ちしています。
このメルマガは「施設長の資格」というタイトルですが、「施設長・
管理者」だけにむけて書いているわけではありません。むしろ若手・
中堅の施設職員の方に向けてメッセージを発しています。
あなたがたとえ施設長でなくても、もし自分が施設長ならばどういう
行動を取るかということを常に考えていることが重要です。
そして「施設長になる」という明確なビジョン・志をもっている職員
の方だけが将来「施設長・管理者」になれるのです。
ですからこのメルマガでは、障害者支援の一線で日々苦闘しているま
じめな職員の方々で将来施設長・管理者になりたいと本気で考えてい
る方にその資格を身につける情報をお届けします。
そうです。あなたのために あなたにお届けします。
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