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斎藤吉久メールマガジンNo.400「軍が侵略者とは限らない」

発行日: 2008/5/31

 四川大地震のあと、巨大SNSの日記に「自衛隊を被災地に派遣したら」と書いたら、実現しそうになったのには驚きました。毎日新聞などはおとといの社説で「隣国として最大限の支援を」と社説で訴えました。

 自衛隊の派遣というと、安穏な生活を送っている人からは想像できないのですが、被災者にとってはあれほど心強いものはないのだそうです。

 いつだったか、長崎、雲仙、島原を取材したとき、被災した地元の人が「沖合に自衛艦がやってきたのを頼もしく思った」と感慨をこめて語ったのを思い出します。

 衣食住のほかに、医療を提供し、避難誘導し、災害復旧まで一貫して取り組むシステムを持っているのは、わが国では自衛隊しかありません。

▽「日本軍の侵略」に対する「強い拒否感」?

 しかし、いみじくも毎日の社説が指摘したように、自衛隊の中国派遣は、実現すれば歴史的な出来事でしたが、「戦前の旧日本軍による侵略の歴史から、中国国内に依然として自衛隊に対する強い拒否感がある」と指摘されています。そして、その理由から結局、実現は見送られることになったようです。

 それ見たことか、というわけですが、「侵略の歴史」「拒否感」という割り切りには、少なくとも私は違和感があります。「侵略」を中国がいいだしたのは古いことではないし、実際、中国人の目から見ても「侵略」とは言い切れない歴史があるからです。

 たとえば、「緑の連隊長」と呼ばれた吉松喜三陸軍大佐などはその典型といえます。戦時中、中国大陸を転戦しながら、日中の戦没者の慰霊と平和を祈願しながら、緑化を推進した軍人です。

▽慰霊と緑化のための植樹

 昭和15年7月、吉松は野戦病院で絶対安静を強いられていました。中支戦線で被弾し、重傷を負ったのです。病床で心に浮かぶのは戦死した部下たちのことだったといいます。

 ある日、砲弾がとどろくなか、美しい讃美歌が聞こえてきました。外を見ると、緑の木立のなかで白人や中国人の尼層が歌っていたのでした。

 「そうだ。緑だ。兵士の心をなごませ、亡き戦友の御霊(みたま)を慰めるのは緑だ。戦没者の慰霊と荒廃した中国の緑化のために植樹をしよう」

 退院後、将校たちに「興亜植樹の即刻開始」を宣言し、植樹が始まりました。破壊ばかりが戦争ではない、建設の伴わない破壊は聖戦ではない、と吉松は考えたようです。転戦するたびに荒野に木が植えられ、戦死した兵士の名札がつけられたといいます。

 孫文の命日には中国人捕虜たちにも記念の植樹をさせました。捕虜たちはニコニコしながら、柳の挿し木にスプーンで水をかけたのだそうです。

▽功績を認めた中国

 植樹ばかりではありません。吉松は士官には中国語を学ばせました。道路を整備し、上下水道を引き、公会堂を建設し、お寺や教会、学校を修復し、住民と融和しました。

 終戦どころか、復員の日まで植樹は続けられ、植えられた木の数は百万本を超えるといわれます。敵将はその功績を認め、帰国する吉松に「国父孫文先生の肖像額」と感状を与えたといわれます。

 37年、内蒙古の人民委員会から吉松に手紙が届きました。

 「あなたの植えた木が6メートルほどに伸び、青々と茂手います。私たちの友好が幾山河を越え、心と心がつながり、世界平和が実現されますように」

 手紙を握りしめながら、吉松は男泣きに泣いたと伝えられます。


□2 お知らせ

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