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斎藤吉久メールマガジン

発行日: 2008/2/10

▼君が代訴訟判決

 先日、東京地裁で、東京都に賠償を命じる、君が代訴訟の判決がありました。

 報道によると、卒業式の君が代斉唱で起立しなかったため職務命令違反の処分を受けた教職員がその後、退職後の再雇用を申請し、これに対して都教育委員会が不合格としたことについて、違憲だと訴えた元教職員の言い分を、地裁は「採用権の逸脱で違法」と認めたのだ、と伝えられます。

 判決文を入手していないので、正確なことは申し上げにくいのですが、原告らを支援しているグループのホームページに載った「判決の詳報」などによると、職務命令が違憲だとした原告の主張については退け、再雇用の選考について、「積極的に式を妨害したのではない」「過去には不起立でも採用された」「たった一回や二回の不起立で勤務成績を不良と判断している」など判断したようです。

▼対立する朝日と産経の社説

 例によって、というべきか、朝日と産経の社説が対立しています。朝日は「都教育委は目を覚ませ」、産経は「徹底指導を妨げる判決だ」という具合です。

 朝日の社説には、「私たちはこれまで社説で、『処分をしてまで国旗や国歌を強制するのは行き過ぎだ』と主張してきた。様々な歴史を背負っている日の丸や君が代を国旗・国歌として定着させるには、自然なかたちで進めるのが望ましいと考えるからだ。今回の判決は都教委の強制ぶりを戒めたもので、評価したい」とあります。

 一方、産経は、「卒業式と入学式は年に一度しか行われない。子供たちが国旗と国歌に対して敬意を払う心とマナーを育むための数少ない機会である。教員の不起立がたった一度であっても、それは重大な職務命令違反である」と批判しています。

▼反天皇論の活性化

 両者のキーワードは「強制」と「マナー」でしょうか。つまり君が代斉唱が人間の内面の問題に踏み込むのか、あくまで儀礼行為なのか、という問題で、これについては、昨年2月の君が代伴奏最高裁判決が、ピアノ伴奏を求めた校長の職務命令は思想・良心の自由を保障する憲法に反しない、という初めての憲法判断を示し、一定の解決を見ています。

 今回の判決も最高裁判決を踏襲し、職務命令に関する原告の訴えは退けられているのですが、メディアは「様々な歴史を背負っている」君が代を歌わされる、つまり「天皇の歌」を「強制」されること、要するに、「様々な歴史」を問題視したいようです。

 国旗国歌法成立から10年近くにもなるのに、このような議論が延々と続いているのは、裁判闘争を含めて、天皇制反対派が反天皇の議論を活性化したいからなのでしょう。

▼ある革新政党の戦略

 思い起こせば、平成10年の暮れに発行されたある新聞社系の月刊誌は、各政党や主要メディアに対して日の丸・君が代に関するアンケートを実施しました。

 これに対して、ある革新政党は「問題解決には法律で根拠を定める措置が最低限必要」とする新見解を明らかにしました。続いてこの政党の代表者は「日の丸・君が代を国旗・国歌として扱うのには反対だが、国民的な議論のうえで私たちが少数であれば、国旗・国歌として採用することはやぶさかではない」とあたかも法制化を誘うかのような発言をし、その十日後、首相は法制化の検討を指示したのでした。

 しかし、まさに法案成立の当日、同党系列の教職員組合は「国旗・国歌」強制反対、学校行事への定着化を許さない、とする声明を発表したと伝えられ、政党の機関紙は自分たちが「少数」ではないことを強調したうえで、以前から匂わせていた将来の国旗・国歌の変更を宣言したのでした。

 法制化から10年にもなろうかというのに、国旗・国歌論争というかたちの反天皇制運動が収まらないのは当然というべきでしょう。


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