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斎藤吉久メールマガジン
発行日: 2008/2/91、「ロイター」2月8日、「フランスが新基本条約『リスボン条約』を批准、5カ国目」
http://jp.reuters.com/article/worldNews/idJPJAPAN-30232220080208
3年前は国民投票で欧州憲法を否決したフランスでしたが、今回は議会がEUの新基本条約「リスボン条約」の批准案を可決しました。
フランスといえば、大革命によって王権を打倒し、カトリックを国教の座から引きずり下ろし、共和制を打ち立てました。近代民主主義のお手本のように賞賛されるフランス共和制は、人種や民族、宗教に関わりなく、均質で平等な「国民」によって構成される「国民国家」です。
そのため徹底した同化政策が採られ、小学校の段階で「市民教育」が義務づけられているようです。「共和制」「宗教と世俗の分離」「フランス文化一元主義」の国家原則を受け入れ、フランス人になりきることが求められるのです。
革命の原理は、王制や宗教のみならず、フランス語方言を撲滅したほどに地方文化を否定し、ユネスコの無形文化遺産の登録制度導入にも、応酬評議会の欧州地域少数言語憲章への署名にも消極的にさせたといわれます。
しかし欧州統合、急速なグローバル化、多宗教化の進展という現実のなかで、フランス共和制の国民国家、世俗主義、中央集権という国家原理は再検討を迫られていると指摘されます。
サルコジ大統領は内相時代、すでに政教分離法を見直し、イスラム教のモスク建設に国の支援を可能にすることを提言していましたが、今度は、国民投票の実施を求める野党の要求を退けて、国会の採決でリスボン条約を受け入れました。
フランス革命以来の国是が大きく変わろうとしているようです。
2、「AFPBB News」2月8日、「『英司法にイスラム法の一部導入を』、カンタベリー大司教発言に論争」
http://www.afpbb.com/article/life-culture/religion/2348042/2614091
国教制を採るイギリスの、ほかならぬ国教会の最高指導者である大主教が「イギリスの司法制度にイスラム法の適用は避けられない」と発言したというのですから、論争が起きるのは当然でしょう。
けれども、前にも書きましたように、イギリスの国教制度は、イングランド、ウェールズ、スコットランド、北アイルランドすべてにおいてカトリックから分派したイギリス国教会を国教としているわけではありません。たとえばスコットランドはプロテスタントの長老派教会が国教とされています。
つまり以前からイギリスは国教会制を採りつつ、宗教多元主義を認めてきたといえますが、最近では多元国家と位置づけるまでになりました。その背後には移民の増加があることはいうまでもありません。
人口6000万人のイギリスに、イスラム教徒は160万人におよびます。これに対してイギリス国教徒は2500万人と圧倒的ですが、420万人のカトリックと比較しても、ミサに預かる信者の数ではおよばないほどに衰退しているという指摘があります。
要するに、もともと国教会制それ自体が多元主義を認めているうえに、イギリス国教会の教勢の衰退がある。カンタベリー大主教の発言は、多元主義を旧約聖書を共有するイスラムにまで積極的に拡大しようという発想なのかとも想像されます。
しかし考えてみると、これも以前、書いたことですが、日本であれば、儒教原理と仏教理念が融合した聖徳太子の17条憲法を持ち出すまでもなく、古代からすでに一貫して多元的、多宗教的文明を築いてきたのに対して、一神教に基づくキリスト教文化圏では今ごろになって異教文化の導入が模索されています。
以上、本日の気になるニュースでした。
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