>> 記事トピックス一覧 
トップ > ニュース&情報 > ジャーナリズム > 斎藤吉久メールマガジン

斎藤吉久メールマガジンNo.361「日本的多宗教文明の可能性、ほか」

発行日: 2008/1/4



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
斎藤吉久メールマガジン No.361[January 4, 2008]
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


◇週刊(火曜日発行)の「誤解だらけの天皇・皇室」メールマガジンをご支援下さい。下記のmelma!のページを開き、アドレスをご登録の上、ご愛読いただければありがたいです。
 ご感想もお待ちしています。

 今週発行の第12号のテーマは「天皇の年越えの祈り─国と民のために」です。
http://www.melma.com/backnumber_170937/


◇2月3日(日曜日)午後1時から、靖国神社で勉強会があり、歴史問題をテーマに講演します。定員は300名、参加は無料ですが入場券が必要です。先着順ですので、お早めにお申し込みください。
http://www.yasukuni.jp/%7Esukei/page079.html


◇以下の記事について、評価をお願いします。
 評価のフォームはこのメルマガの末尾にあります。
 高めの点数をつけていただけるとたいへんうれしいです。
 また、友人・知人の方にも購読をおすすめいただければありがたいです。


〈〈 本日の気になるニュース 〉〉


1、「四国新聞」1月3日、「誇るべき無節操」
http://www.shikoku-np.co.jp/kagawa_news/column/article.aspx?id=20080103000063

 香川県の地方紙・四国新聞に面白いコラムが載っています。クリスマスを祝い、除夜の鐘をつき、神社に初詣する、無節操といえば無節操だが、この日本人の寛容さが深刻な宗教対立や殺戮を招かずに平和をたもっている。この鷹揚さが世界に広がらないか、というのです。

 ここで主張されていることは日本的な多神教文明、多宗教文明の可能性なのでしょう。

 なぜ日本では古来、諸宗教が共存する文明が確立されてきたのか。コラムは、飛鳥時代に仏教が伝わったとき、在来信仰と外来の宗教が対立せずに共存した理由として、国の支配システムが確立していなかった。すでに確立されていた仏教の体系を利用した。神への信仰も体系がなかった。思想的に民衆を取り込み、支配するために活用した、という奈良国立博物館の説明を紹介しています。

 また、仏教がこれほど広まったのは、仏教自体に他を取り込む性格があったからで、民衆も八百万(やおよろず)の神々を信仰していたから、1つぐらい増えても意に介さなかったのだろうと説明しています。

 コラムの主旨には同意するのですが、このように書かれると、そうかな、と疑問も湧いてきます。

 古代において、仏教伝来後、蘇我氏と物部氏とのあいだで熾烈な争いがあったのは有名で、異教としての仏教が簡単に日本に根付いたわけではありません。

 仏教の受容に大きな役割を果たしたのは聖徳太子ですが、太子の17条憲法の第1条は「和をもって貴しとなし」で、これこそが多宗教文明の宣言であり、同時に在来信仰の確認と見ることもできます。

 しかし日本人の多神教世界はギリシャ神話の八百万とは違います。

 太子の百年後にまとめられた古事記、日本書紀には冒頭、八百万の神々の世界が描かれていますが、日本人がそれらの神々を総体的にまるごと信仰してきたということではなく、それぞれにそれぞれの氏神があり、それぞれの産土(うぶすな)神があり、誤解を恐れずにいえば、民のレベルでは稲荷信仰や八幡信仰など、一神教というべき強固な、それぞれの信仰があったのではないでしょうか。

 仏教の広まりにしても、近世初期に禁教政策を契機とする宗門改め、寺請け檀家制度の発足を見逃すことはできません。人々は仏教を受け入れるというより、キリシタンでないことを証明するために、出生とともに宗門改帳に登録され、所属する寺院の証印を受け、村役人に報告する義務を負うようになったのでした。つまり、仏教の教えの力だけではありません。

 なぜ中世に神仏習合という現象が起き、「十字架に数珠を巻く」ような行為が日本人には平気でできるのか。それは大きな謎ですが、宗教的共存を第一に考えれば、多神教的、多宗教的文明を選択せざるを得ないし、日本は古代においてこの文明を選択してきた、ということだろうと思います。その中心が天皇であることはいうまでもありません。

 しかしながら、その選択はけっして日本人の先輩特許ではありません。

 たとえば、古代エジプトの時代、ナイル川のほとりで生まれたといわれる唯一神信仰の流れを引き継いでいるキリスト教には、宗教家たちはけっして認めようとはしませんが、多神教的要素がいくつも指摘できるでしょう。三位一体論しかり、聖人信仰しかりです。キリスト教信仰にはケルトやローマの信仰が習合しています。

 もっといえば、第二次大戦後、キリスト教世界では諸宗教との対話を積極化し、多宗教化を進めています。たとえば、イギリスの戦没者追悼記念式には諸宗教の宗教者が参加します。アメリカのワシントン・ナショナル・カテドラルで行われた9.11同時テロ犠牲者の追悼ミサでは諸宗教の祈りが捧げられました。

 四国新聞のコラムは、いい意味での日本人の無節操、鷹揚さが世界に広まらないか、と訴えていますが、世界ではもうすでに「無節操」化が進んでいます。いや、日本に遅れること千数百年、今ごろになって、というべきでしょうか。


2、「東亜日報」1月2日、「胡錦濤主席、文化大革命を『10年内乱』と強く批判」
http://japanese.donga.com/srv/service.php3?biid=2008010241398

 12月17日、共産党中央党校で演説した胡錦濤主席が、「文化大革命は党と国家と人民に深刻な挫折と損失をもたらした10年の内乱」と強く批判したのだそうです。

 突然の文革批判は、経済格差の拡大などを理由に、改革開放およびその成果を否定し、改革開放以前への回帰を一部の長老たちが主張しているからなのだそうです。

 新たな権力闘争に発展するのかどうか。


3、「朝日新聞」1月4日、「国際社会復帰に意欲、リビア、議長国に就任。新安保理」
http://www.asahi.com/international/update/0104/TKY200801040032.html

 昨年の国連総会で安保理の非常任理事国に選出され、今年からその任に当たるリビアが初っぱなから議長国に選ばれたのだそうです。

 記事によれば、70年代に非常任理事国を勤めたことがあるリビアですが、その後、孤立化の道を歩み、90年代には安保理の経済制裁下にあったのですから、事態の急変には目を見張るものがあります。

 なお、外務省のプレスリリースによれば、日本は昨年の夏、議長国を勤めました。1998年の春以来のことでした。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/17/rls_0801c.html

 外務省の別の資料によれば、1951年の平和条約調印で国際社会に復帰し、56年に国連に加盟した日本が非常任理事国を務めたのは58年の選出以来、9回で、ブラジルと並ぶ最多だそうです。

 安保理の議長国はその規則により、メンバー国が英語のアルファベット順に従って、1カ月交替で務めることになっているようです。リビアの公式の英語表記は、Great Socialist People's Libyan Arab Jamahiriya (大リビア・アラブ社会主義人民ジャマーヒリーヤ国)のようで、アルファベット順では15のメンバー国(常任理事国5、非常任理事国10)の筆頭だったということでしょうか。

 朝日の記事は短い記事なので、議長選出の仕組みまで書かれておらず、議長国になったのがニュースなのか、安保理入りしたのがニュースなのか、分かりづらいところがありますが、安保理のメンバーになれば自動的に議長国になるルールだとすれば、昨年の総会での選出段階で議長国就任は予想されていたことで、いまさらの感なきにしもあらずです。


 以上、本日の気になるニュースでした。

----------------------------------------------------------------------

 このメールマガジンは、名刺交換させていただいた方々などに、お送り申し上げました。

 たいへん不躾ではございますが、不要の場合はどうぞ破棄していただければと思います。またその旨、お知らせいただければ、今後は送信を控えさせていただきます。

 なお、「斎藤吉久メールマガジン」は第10号から「melma!」より配信されています。URLは http://www.melma.com/backnumber_158883/ です。

 また、 iza:イザ! (「斎藤吉久のイザ! ブログ」)でもお読みいただけるようになりました。
http://izasaito.iza.ne.jp/blog/

 お知らせ、その1。10月から斎藤吉久の「誤解だらけの天皇・皇室」メールマガジンがスタートしました。どうぞご登録の上、ご愛読ください。
http://www.melma.com/backnumber_170937/

 お知らせ、その2。「正論」11月号に掲載された、木下量煕司祭様と共同執筆の「信仰を忘れた聖職者たち」をアーカイヴズに載せました。
http://homepage.mac.com/saito_sy/religion/Menu105.html

 お知らせ、その3。紀伊國屋書店からDVD「伊勢神宮─森から生まれた祈り」が発売中です。地球環境論の視点から伊勢神宮を見つめる、これまでにない特色ある作品です。私も企画製作に協力しました。ぜひお買い求め下さい。
http://bookweb.kinokuniya.co.jp/guest/cgi-bin/wshosea.cgi?W-NIPS=A-00470179

 お願い。このブログ(メールマガジン)へのご意見、お問い合わせは、お名前を名乗ってからお願いします。匿名のメールなどにはお答えできませんので、ご了承ください。

----------------------------------------------------------------------

発行 オフィス斎藤吉久,  SAITO Yoshihisa Office

「斎藤吉久Webサイト」は http://web.mac.com/saito_sy/
「斎藤吉久アーカイヴズ」は  http://homepage.mac.com/saito_sy/Menu28.html
「お友達タイムズ」は
http://homepage.mac.com/saito_sy/otomodachi/Menu45.html
「リンク集」は
http://web.mac.com/saito_sy/iWeb/SAITO%20Yoshihasa%20Website/LINK.html
「斎藤吉久のイザ! ブログ」は http://izasaito.iza.ne.jp/blog/


 
このメルマガの読者になる
規約 
>> メルマ!の会報誌もお届けします
ブックマーク: はてなブックマークに追加del.icio.usに追加Buzzurlにブックマークニフティクリップに追加ライブドアクリップに追加Yahoo!ブックマークに登録My Yahoo!に追加Add to GoogleRSS

このメルマガを読んでいる人はこんなメルマガも読んでいます

宮崎正弘の国際ニュース・早読み
 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析
ブルテリアメルマガ ブラジリアン柔術&総合格闘技情報
ファイターズショップブルテリアが発行する、ブラジリアン柔術と総合格闘技の情報を中心に、格闘技ウェアの新作入荷情報等発信。
ブルテリアメルマガ ブラジリアン柔術&総合格闘技情報
ファイターズショップブルテリアが発行する総合格闘技やブラジリアン柔術の情報を中心に格闘技ウェアの入荷情報をお届けします。
PrintJapan.com DTP/印刷の掲示板・BBS更新情報メール
DTP/印刷関係の掲示板・BBSの書き込みや更新を毎日メールで配信するサービスです。対象の掲示板・BBSは以下の通りです。 ・DTP駆け込み寺掲示...
斎藤吉久の「誤解だらけの天皇・皇室」
日本のように君主制を採用する国は世界的に少なくありませんが、神話の世界につながるほど古い歴史を持ち、国の歴史とともに、1つの王朝が連綿と続いているの...


この記事へのコメント


コメントを書く
コメントはありません。

おすすめキャンペーン

利息が気になるあなたへ
オリックスVIPローンカードなら
<<年率5.9%〜15.0%、利用可能枠最高500万円>>
ゆとりのカードローンです。
←お申込みはこちら

スポーツNEWS速報!

その他ニュース 相次ぐ食品偽装 消えた年金達

メルマガデータ

  • メルマガID : 158883
  • 創刊日 : 2006-04-13
  • 最新号 : 2008-07-09
  • 発行周期 : 不定期
  • バックナンバー: 全て公開
  • 発行者サイト: あり
  • 読んでる人 : 397人
  • コメント数 : 58
  • Score! : 95点
  • >> 月間ランキング

発行者プロフィール

ペンネーム :


このメルマガの読者になる

規約に同意する



このメルマガの最近の記事


このメルマガの最近のコメント


このメルマガのバックナンバー


注目情報


新着記事トピックス