プロを目指す学生たち〜学生時代にできること〜 |
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├┼┨ ETIC.mailmagazine 〜プロを目指す学生たち〜 ┠┼┼┼┼┼┤
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├┼┼┼┼┼┨ 2008.01.07 Vol.166-1 (全3話) ┠┼┤
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┃ ■■ 〜本気で生ききったと思える人生を歩むために〜
┃ ■■
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┃ □ 岩本 悠(いわもと ゆう)さん
┃
┃ □ 所属
┃ 隠岐國 海士町 人間力推進プロジェクト
┃
┃ □ プロフィール
┃ 1979年 東京に生まれる
┃ 1998年 東京学芸大学 教育学部へ入学
┃ 2000年 一年間アジア-アフリカへ流学し、NGOなどでインターン
┃ 2002年 一年間シドニーへ留学し、トヨタ自動車などでインターン
┃ 2003年 『流学日記』を出版し、ゲンキ地球NETを設立
┃ 2004年 大学を卒業し、ソニーで人材育成やCSRに従事
┃ 2005年 『こうして僕らはアフガニスタンに学校を作った』出版
┃ 2006年 島に移住し、持続可能なまちづくりと人づくりに従事
┃
┃ 【本号のポイント】
┃ 世界20ヶ国を回り、ピラミッドの頂上に登ったり
┃ 途上国の国際協力活動に携わるなど活発に活動してきた岩本さん。
┃
┃ 大学在学中にその体験記を出版し、本の印税で
┃ アフガニスタンに学校まで建ててしまう。
┃
┃ そんな誰もがうらやむような経験をしてきた
┃ 岩本さんだが子どもの頃は実はいじめられっ子。
┃ 使いっ走りのような存在だった。
┃
┃ 本号では岩本さんがどのような幼少時代を送り
┃ どのように自分自身を変えていったのか、
┃ その知られざる成長の軌跡を探っていきます。
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┃●第1話: 元服
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┃○第2話: 筋斗雲に乗って
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┃○第3話: 自分の武器をひっさげて!
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〜第1話〜 元服
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■■ 強さへの憧れ
■■
「おい、岩本、喉が渇いたからジュース買ってこいよ!」
また僕か…と内心つぶやくが、
愛想笑いをしながら買いに走った。
世界中を旅して廻ったり、アフガニスタンに学校を建てたりと
アグレッシブに見える岩本だが、子どもの頃はリーダーだった
わけでなく、実はいじめられっ子だった。
クラスでも目立つタイプではなく、家でミニ四駆をいじったり
「ドラゴンボール」などの漫画を読んだりするのが好きな
内気な子だった。
小学校高学年から本を読むようになり、
戦国時代の武将や、幕末・明治維新の志士たちの
逸話をむさぼり読んだ。乱世に命を賭して戦い
死んでいったサムライ達の生き様に、強く憧れた。
ただ現実は、小さな学校の中で起きる小さないじめや
力関係におびえ、従順に従うしかできなかった岩本であった。
■■
■■ 初めての武器と見せかけの鎧
■■
中学校に入って英語の授業を受けるようになった。
初めての外国語に岩本の好奇心がピクりと反応した。
この意味不明な言語を使いこなせるようになるために
英語で日記を書いてみようと思った。
いざノートに向かってみるが、当然中学1年生の英語力では、
文章など到底書くことができない。まずはIやYouなど
分かる単語だけ英語を使い、あとは日本語で書くようにした。
日記を書き始めて不思議な変化が起き始めた。
悔しさや怒りもふくめて自分の内に溜まっている感情を
文字にして吐き出すことで、気分がすっきりし
前向きに考えられるようになっていったのだ。
日記という、自分自身を飾らずに表現し、
ありのままの自分と深く向き合える。
自分との対話の場所を見つけた。
いつしか英語の勉強だったことは忘れて
日本語で毎日ノートいっぱいに日記を書く岩本がいた。
また、日記を通して自分自身と向き合うだけでなく
身の回りの物事を客観的に観察、分析できるようになっていった。
「どうしてそういったことが起きるのか、
それなら次同じことが起きないようにするにはこうしよう」
一つ一つの事を振り返り、捉えなおしていった。
そうすることで
「今日もまた一つ学べた。
この体験のお陰でまた一歩成長できた」
嫌な出来事もポジティブに意味づけできるようになっていった。
たとえば、書いていくうちに気づいたことがあった。
それは中学校の中には既にはっきりとした権力の
ヒエラルキーとグループがあり、その階層ごとに
共通の行動様式があるということだ。
いじめられるような人達は同じような人達と
一緒にいるし、流行を気にせず、「ダサい」。
いじめっ子たちはいじめっ子同士でグループを作り、
共通のファッション誌などを読み「イケテる」。
だったら自分も服装を変え、所属するグループも
変えていけばいじめられなくなるのではないか。
そう思った岩本は、イケテる連中が読む雑誌を読み
服装を変え、そしてクラス替えのタイミングで、
今の自分より「階級が上」のグループに入るように
していった。
するとだんだんいじめられなくなっていき、
次第にイケテる集団の中に入れるようになっていた。
その頃の岩本にとって、日記は自分との対話をするための、
初めて手に入れた武器であり、イケテる服装は弱い自分を
守るための鎧だった。
■■
■■ 惨敗
■■
高校に入ると、強くてカッコいいという定評の
ラグビー部に入った。スポーツに打ち込みつつ
オシャレで、遊びも知ってる、そんな高校生活が
カッコいいと思っていたのだ。
3年間、自分なりに一生懸命練習をした。
強くなりたい、自分に負けたくないという想いを胸に
グラウンドを何十週と走り、何百本とタックルの練習をした。
3年の秋の最後の大会。
試合終了後のホイッスルがグラウンドに鳴り響いたとき、
岩本は緑の芝生が広がるグランドで膝をついてわんわん泣いた。
試合に負けたから泣いたわけではない。
結局この3年間自分は自分に勝てなかった、
そんな想いからあふれる涙だった。
3年間それなりに練習をしてきた気になっていた。
でもそれは結局「それなり」でしかなかった。
早朝でも休日でも、もっと時間を作って
もっと練習はできたはず、毎回の練習も
もっと本気でやれたはず。
もっとやれたはずなのにやらなかった自分。
やってるつもりになっているだけで
本気になりきっていなかった自分。
悔しかった。
燃え尽きていない自分が情けなかった。
こんなかっこ悪い生き方は二度としたくない。
本気で生ききったと思える人生を生きたい。
胸の焦げつく想いでいっぱいだった。
■■
■■ 志のかけら
■■
部活を終えた岩本の目の前には、
大学受験が差し迫っていた。
岩本の家はそんなに裕福ではなかったので
親からは国公立の大学にしか行かせられないこと。
もし私立や浪人がしたければ自分で学費を稼いでいくこと、
仕送りもできないことが伝えられた。
そんな岩本が自分の進学先を探そうとしたとき、
中学の頃から考えていた一つの職業が思い当たった。
岩本は中学校の頃からよく自分が死ぬときのことを考えていた。
人生の最期に
「この人生で自分は何をやってきたのだろうか」
そう問いかけたとき自分はなんと答えるだろうか。
自分が死んだとき、何かを世に遺したい。
自分だから出来た、自分にしか出来ない何かを遺したい。
そんな想いを抱いていた。
例えば、パン屋さんになるとする。たくさんパンを作って
食べてもらう。でもパンはどんなに美味しくて食べたら
なくなってしまう。残らない。
例えば、電車の運転手。時間通りに駅から駅へと人を運ぶ。
でも自分じゃない誰か他の人が運転しても、同じように同じ時間に
電車が駅に着く。それは自分じゃなくてもできること。
中学生だった岩本は知っている職業の中で
自分は何が良いか考えていったときに
色々な仕事が浮かんでは消えた。
しかし一つだけ消えなかった職業があった。……教師だ。
教師。知識を教えるだけなら誰にでも出来る仕事かもしれない。
けれど小中学校の先生は子どもと接する時間も長く、知識だけでなく
人間性の部分に大きな影響を与える。
そうした人間性や生き方はその教師の人間性や生き方によってこそ
伝えることができるものである。
そして、教え子に引き継がれた「生き方」は、
その子の一生に大きな影響を及ぼし続けるものである。
その教え子が大人になった時に周囲やその子どもたちに
与える影響の伝播を考えると、自分が死んだ後も自分の影響が、
教え子達を通じて社会全体に広がっていく。
吉田松陰が松下村塾を通して維新の志士を輩出し
その教え子達によって明治維新が成し遂げられたように、
教師は生き方を伝え、世に残す事ができる仕事である。
中学生の岩本はそう考え、その頃から自分は学校の先生に
なりたいと思った。
そこで、家から通える国立大学で、教員免許が取れるところ
という選択軸でみていくと、学芸大学しか思い浮かばなかった。
「僕はもうここしか受けない。
自分の生き方を後悔しないために、本気で勉強をしてやる」
時は11月。受験には間に合わなさそうだが
岩本はエンジンフル回転で机に向かった。
■■
■■ リベンジ
■■
3年間の部活で自分自身に勝てなかった、そのやりきれなさで
いっぱいだった岩本の目の前には受験があった。
「もう二度と本気でやらなかったことを後悔したくない」
その一心で岩本は目の前の受験勉強に向かった。
「勉強に集中したいから」と彼女に一方的に
別れを告げた。
二学期が終わると、外の光を見ると外出したくなるからと
部屋中のカーテンとブラインドを閉め、お風呂とトイレと
食事のとき以外は部屋から出ずに、篭って勉強を続けた。
そのまま年が開け、センター試験前の登校日。
久々に家の外に出るとあまりの光のまぶしさに
目があけられなかった。
自転車で学校に行く途中、頬に当たる風があまりに気持ちよく
涙が止まらなかった。生きている実感を全身で感じていた。
それくらい自分を追い込んでいた。
そんなとき
「これだけ本気で頑張ってる俺って、 カッコイイ…」
そんなふうに、思っていた。
第1話終わり
(文中敬称略)
___________________________________
『次号予告』
ラグビーでの経験から、本気にならない生き方を痛切に後悔。
その悔しさをバネに受験へ向かい、大学に入学した岩本。
その大学生活の不安と、自分を探すための世界20ヶ国の旅、
そして岩本の人生を変えたアフリカでの衝撃の出逢いに
迫っていきます。
次号もお見逃しなく!
第2話 『筋斗雲に乗って』につづく
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