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プロを目指す学生たち〜学生時代にできること〜

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【ETIC.】プロを目指す学生たち〜プロフェッショナルな生き方

発行日: 2005/11/23

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├┼┨  ETIC.mailmagazine  〜プロを目指す学生たち〜 ┠┼┼┼┼┼┤
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├┼┼┼┼┼┨    2005.11.22   Vol.124-3 (全3話)     ┠┼┤
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┃ ■■ 〜プロフェッショナルな生き方〜
┃ ■■
┃ 
┃ □ 和田 剛 (わだ つよし)さん

┃ □ 所属
┃   「go-works」

┃ □ プロフィール
┃   1974年生まれ。東京都出身。
┃   大学卒業後、写真の専門学校に通う。
┃   その後、アサツー・ディ・ケイ写真部入社。
┃   27歳のときに独立し、
┃   現在はフリーカメラマンとして活躍している。  
┃  
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┃○第1話: カメラマンへの道
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┃○第2話: 自分が商品
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┃●第3話: プロって何?
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      〜第3話〜 プロって何?
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 ■■
 ■■ 山奥で見つけたプロ
 ■■


  一つ目の取材は、「株式会社いろどり」だった。


  徳島県上勝町。
  そこは人口約2200人で、
  その約半数を65歳以上が占めるという
  たくさんの木や草花が生い茂る山奥にある農村だ。


  「えっらい遠くへ来たなぁ…。こんな山奥でほんとに大丈夫か」。


  最初は、そんな印象しかなく、
  これから始まる取材が少し不安になった。


  いろどりの事業は、
  農協の指導員として上勝町に赴任してきた横石さんが、
  料理に添える葉や草花などのツマモノの需要に気づき、
  町の高齢者を活かす事業として将来性を確信したことに始まる。


  横石さんの取材が始まった。
  和田も、ファインダーを覗き込みながら、話を聞く。
  ファインダー越しに見る横石さんは、
  ニコニコしながら、今日に至るまでの様々なエピソードを話してくれた。


  商品として何が求められているかを知るために、
  痛風になるまで料亭に通い続けたということ。
  出荷者一人ひとりに自分の生み出す商品の意味を理解してもらうために、
  料亭の料理人を招いて講習会を行ったり、
  出荷者を実際に高級料亭に連れて行き
  草花がツマモノとして活躍する現場を体験してもらったということ。


  もっと成果を上げるためにはどうすればよいか。
  どうすれば、出荷者の中心である高齢者の人たちに
  笑顔で働いてもらえるか。
  そのために、横石さんは常に新しいことを考え、
  納得のいくまで行動し続けていた。


  「この人ものすごいクリエイティブだなぁ。
  こんなすげぇ人が徳島の山奥にいたんだ」。


  和田の抱いた取材への不安は、すぐに消え去った。
  横石さんの話を聞きながら、夢中でシャッターを切った。
  そして話を聞く中で、
  この事業の中にある、いろんなものの「関係性」を読者に伝えるには
  何を撮ればいいのかを考えた。


  「出荷者が笑顔で働けないと意味がない」。


  そんな横石さんの信念のもとに立ち上げられたこの事業は、
  現在では年間2億円以上を売り上げる。
  その影で、彼はいつも出荷者である高齢者たちのことを考えている。
  話を聞くうちに、生き生きと働く高齢者たちの姿や、
  横石さんと出荷者の強くて深い人間的なつながりから
  いろどりの商品が生まれていることが、
  この事業の最大の特徴であることが見えてきた。


  「よし、作品の柱はこれで決まりだ」。


  横石さんと縁側で並んで笑っている出荷者のおばあさん。
  おばあさんのしわの入った優しい手から、
  一つ一つ包装される草花たち。

  
  和田は、横石さんではなく、
  あえて出荷者のおばあさんを中心に写真を撮った。
  取材に同行し、その場の雰囲気を感じ取り、
  さらに、自分の頭を使って考え抜いたからこそ
  撮ることのできた作品だった。


  写真を撮り終え、取材先を後にする。


  「これから俺は、こんなすごい人たちを撮っていくんだ」。


  最初の取材で、そんな期待感いっぱいになった。


 ■■
 ■■ 吹雪の中で3時間
 ■■


  そしてもう一つ、
  和田の印象に強く残っている取材場所がある。


  北海道グリーンファンド。
  市民が日頃の生活の中で、風力発電などの自然エネルギーの普及に
  貢献できる仕組みを開発しているNPO法人である。


  3月の北海道。
  厳しい寒さに加え、その日は吹雪いていた。


  その日はスタッフのスケジュールが合わず、
  和田一人で取材することになった。


  事前に、東京のスタッフからは、
  オフィスの写真を撮ってきてくれれば十分だと言われていた。


  しかし、和田は風車を撮ることにこだわった。


  「風車はグリーンファンドを象徴するものだ。
  関係性ってことを考えたら、風車の写真は絶対にはずせない」。


  周りが反対する中、
  和田は一人吹雪のなかを突き進んだ。


  視界3メートル。
  寒さに耐えながら3時間。
  手足の先がかじかんでくる。
  しかも、「寒さでカメラの調子が狂うのではないか」
  と内心ヒヤヒヤでいっぱい。
  それでも和田は、じっとシャッターチャンスを待った。


  そして、長い時間待つ中で、和田はあることに気がついた。


  「近くを通る地元の人たちはみんな、風車を見上げて歩いている」。


  その光景は、和田の自信を確信へと変えた。


  「やっぱり俺の判断は間違ってなかった。
  東京ではみんな下向いて歩いているのに、
  ここでは風車があることでみんな上を向いて歩いている。
  風車には人を惹きつける何かがあるんだ。いいものを撮らないと」。


  それから数分後。
  あれだけ吹雪いていた空が嘘のように、
  澄み切ったきれいな青空が見え始めた。
  目の前に見えるのは、
  青い空の中にそびえ立つ、真っ白な風車。


  チャンスと思った和田は、子どもみたいにはしゃぎながら
  シャッターを切りまくった。
  青空が見えたのは、ほんの20分程度だったが、
  風車の写真だけで、500枚撮った。


  取材は、移動などを含めるとほとんど一日仕事で、
  体力も時間も必要以上に奪われた。


  はたから見れば、東京のスタジオで写真を撮っていた方が、
  楽なように見える。
  しかし、和田には自分の写真を楽しみにしてくれている人たちがいた。
  プロデューサーやライターをはじめとするたくさんのスタッフたち、
  そして何より全国各地の取材先の人々が、
  常により良いものを目指して頑張っている姿を見てきた。


  「絶対に、妥協はできない。
  妥協したら、楽しみにしてくれている人や頑張っている人たちを
  裏切ることになってしまう」。


  Address the smileの取材を通して、
  プロとしての仕事に対する責任感や納得のいくまで諦めない気持ちが、
  さらに強くなった。

  
 ■■
 ■■ プロフェッショナル
 ■■


  「プロとアマチュアの違いって、何ですか?」


  インタビュアーの質問に、和田はこう答えた。


  「例えば、夕日の写真を撮るとする。
  アマチュアの人でも偶然良い写真が取れるかもしれないけど、
  俺には、偶然なんてないよ。
  そこに日が落ちるから、俺はいるっていうくらい
  ちゃんと考えて、狙って撮ってる。
  それには、物とか技術とかは関係ないんだよね」。


  今やデジタルカメラや高価なカメラ機材は世の中に溢れ、
  キレイな写真は誰でも撮れるようになった。
  マニュアル本を見れば、どんな写真も撮れてしまう
  という錯覚に陥る人もいるだろう。


  しかし、それってプロなのだろうか?


  和田は、プロになった今だからこそ
  がむしゃらに写真を撮ろうとする「気持ち」が大事だと言う。


  人に何かを感じ取ってもらえるような、
  自分にしかできない作品を撮りたい。
  そのために、いつも自分の頭で考えながら、シャッターを切る。


  「どうすれば、もっと良い作品が作れるか。
  どうすれば、人を喜ばせることができるか」。  


  高価な道具でもなければ、小手先の技術でもない。
  時間や体力を惜しむことなく、
  自分の頭で考え抜き、
  自分が納得するまでは諦めない気持ちが必要なのだ。
  今の自分に満足し、成長することを止めてしまったら
  プロの世界では生き残っていくことはできない。


  自分の撮った過去の作品を見て、和田はこう言う。


  「この頃の写真、まだまだ甘いんだよね」。


  もっともっと良いものができるはず、と常に上を求め続ける和田。
  そんな絶えず進化し、変容し続けるカメレオンのような人。
  どんな世界でもプロと呼ばれる人はそういう人なのだろう。


  プロカメラマン、和田剛。
  5年後、10年後、
  彼はどのような変化を遂げていくのだろうか。


  終わり
  (文中敬称略)
___________________________________

  【編集後記】
  

  最後までお読みいただきありがとうございます。
  11月20日号を担当いたしました、ライターの小磯亜矢子と申します。
  今回の和田さんのお話いかがだったでしょうか?
  
  今回取材させていただいた和田さんの活躍されている世界は、
  多くの読者の方にとって
  これまで未知の世界だったのではないでしょうか?

  取材を通して、カメラマンという職業独特の難しさを知るとともに、
  「プロフェッショナル」という、どの業界にも通じるキーワードが
  強く印象に残り、このように執筆させていただきました。
 
  和田さんの常に成長しようとする姿勢や、
  自分にしかできないことを追求して
  決して途中で妥協しない高い意識から、
  プロと呼ばれる人たちの真髄を教えていただいたような気がします。  

  どんな業界にいても、どんな仕事をしていても、
  自分の頭で考えることを放棄せず、
  自分にしかできないことを納得するまで追求したら、
  一人でも多くの人に
  何かを感じてもらえるようなプロになれるかもしれない。
  私自身、そんなことを考えながら原稿を書いていました。
    読者のみなさまはいかがだったでしょうか?  

  最後に、大変お忙しい中、いつも快く対応してくださった和田さんに
  心からお礼を申し上げます。
  本当にありがとうございました。


                        ライター:小磯 亜矢子
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