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【殺気ある文学】……見沢知廉を読む

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【殺気ある文学】……見沢知廉を読む vol.3

発行日: 2006/1/25

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  【殺気ある文学】……見沢知廉を読む vol.3

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[H18.1.25]号

「<文学>は、遊戯やツールではなく、まさに<殺気>である。」

「創作のクライマックスに昇りつめる時の作家は、小手先の<技巧>
を超越した一匹の野獣に変身する。自分だけの内面に秘めたトラウマ、
強烈な愛憎の混交、日常性では許されない残酷、暴力、自他の破壊衝
動――を、<真っ白になるまで燃え尽きたい>という一点の夢に集光
して、まばゆい生命の燃焼を演じるのだ。」

 見沢知廉著『日本を撃て』(メディアワークス刊)より

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【殺気ある文学】……見沢知廉を読む vol.3
 「ランスタ」メールマガジン新人賞1位記念特大号

 <目次>
 ■はじめに
 ■メールマガジン新人賞受賞報告(朱斑羽)
 ■回転速度(珊瑚)
 ■勝手に刑務所(結城司)
 ■『ライト・イズ・ライト』を読んで(中村幸雄)
 ■『改造』からの名文引用(たけし)
 ■少年よ、<狂気>を抱け(朱斑羽)
 ■おわりに

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【はじめに】

 新しくメールマガジンに登録してくださいました皆様、真にありが
とうございます。
 このメールマガジンは、見沢知廉ファンクラブ「白血球團」が発行
しています。ファンの視点から、見沢文学を掘り下げて読んでいこう
という主旨です。
 内容は全て会員からの投稿によるものです。見沢作品を初めて読ん
だ、という方でも歓迎します。どうぞ感想文をお送りください。


【メールマガジン新人賞受賞報告】

 「殺気ある文学――見沢知廉を読む」読者の皆様、そしてメールマ
ガジンに寄稿してくださいましたファンクラブの皆様へ嬉しい報告で
す。創刊してまもないこのメールマガジンでありますが、発行スタン
ド・ランスタにおいて2005年12月に「新人賞1位」の栄誉に輝
きました。これもひとえに、ファンクラブの立ち上げにご協力くださ
り、また暖かい声援を送ってくださいました皆様のお陰です。代表し
て深く感謝申し上げます。
 受賞にあたり、運営会社のサイバーエージェント様から賞金壱万円
をいただきました。この賞金は今年の「見沢知廉一年祭」準備資金に
充てさせていただきます。
 今後とも、見沢知廉ファンクラブ・白血球團にご支援ご鞭撻賜りま
すよう、宜しくお願い申し上げます。
 
                  白血球團運営委員 朱斑羽

【回転速度】

by 珊瑚

見沢さんの本を初めて手にしたのはいつだったか。

読んでると其れだけで脳がちかちかする様な快感を覚えた。

自分では形に出来ずもやもやと胸に燻らせて居た何かが、確かに結晶
して居た。

其の物語の絶頂は、頁を手繰る指を焼くかと思われる程煮え滾って居
て一瞬で大好きに成った。

七号病室

読み終わるのが勿体無くて大事に大事にゆっくり読もうとしたけれど、

やっぱりすぐに読んで仕舞った。

面白くて。

あのちかちかする感じは相変わらずだった。

読んでる間は違う時間が流れてた。
(珊瑚)


【勝手に刑務所】(刑務所について)

by 結城司(ゆうき・つかさ)  

 今回は刑務所について書かせて頂く事になりました。でも正直困っ
ています。何故なら私は刑務所に入った事がないからです(笑)

 私は無類のムショ物好きです。出会いは中3の時でした。妹尾河童
さんというエッセイストがいるのですが、河童さんが書いている「河
童が覗いた日本」の中に北海道の月形刑務所がでてくるのです。それ
を読んだ私はみるみる刑務所にはまっていったのです。監獄法につい
ても書かれていて、それもまた面白いのですよ。刑務所について書か
れた本をよんだことがなくても見沢さんの「囚人狂時代」を読んだの
で何となくは知っているという方は多いでしょう。私の部屋にはタイ
トルに刑務所とついた本が沢山あります。内容はたいして変わらない
のですが…

 でもついタイトルに「刑務所」の文字がついた本を見ると買ってし
まうのです。それは見沢さんを始め私の周りに刑務所に入った事のあ
る人、あるいは現在入っている人が多いからという理由もあるでしょ
う。

 私は刑務所に行った事がありません。刑務所に行くのが夢です。刑
務所の事をもっと知るには刑務官(囚人?)になるのが一番だ、と思
ったのは一昨年の事でした。当時私は公務員を目指す専門学校に通っ
ていたという事もあり。しかし…私は刑務官にはなれないのです。何
故なら身長が足りないのです。担任に相談しました。「何センチ足り
ないの?」「3.5センチです」「無理だね」…。勿論刑務官を始め
とする警察官などの全ての公安系になれないのです。でももしかした
ら特例で通るかもと思い最近また刑務所に関する本を読み始め、朱斑
羽様に「私、刑務所のアイドルになる!」と言ったらばっさり「女し
かいないだろ」と言われてしまいました、あぁ女子刑務所配属…でも
まぁレズになる女囚は多いですから。

 ところで、確か春と秋に放送される泉ピン子さん主演の女囚のドラ
マをご存知ですか?あれは刑務所ではなくセットでの撮影なのです。
とてもよくできたセットに感心してしまいます!!次の放送を是非観
て下さい、ストーリー的にも面白くお勧めです。

 これから刑務所に入る予定のある方はいますでしょうか?(笑)刑
務所、そこはとても辛い所だと思われるでしょう。そんなあなたにお
勧めなのが花輪和一さん原作の「刑務所の中」です。原作は漫画なの
ですが映画化もされています。主演の山崎努さんが何ともハマリ役!
私の右翼関係の知り合いもこの映画を絶賛していました。そんな彼も
刑務所に行く事になってしまいました…。拘置所にいた時彼に手紙を
出しました。「○○さん『刑務所の中』を絶賛していましたのであの
ようなムショ生活を送れるよう祈っています。」と。要は、ムショ生
活を辛いものにするか楽しいものにするかは自分次第でもあると思う
んですよね。…何かの参考になったでしょうか(笑)あ、これはいつ
だか聞いた話ですが刑務所の中ではどの罪名で受刑する事になったか
によって囚人の中でランク付けされるそうです。詳しくは忘れてしま
いましたが一番馬鹿にされるのが性犯罪だそうです。皆さん性犯罪は
犯さないように(笑)

 刑務所によって収容される囚人の種類が決まっている事はご存知で
すか?例えば見沢さんが入った千葉刑ならLA級(L=執行期間8年
以上の者、A=犯罪傾向の進んでいない者)、八王子医療刑ならM,
P(M=精神障害者、P=心身上の疾患又は障害のある者)などのよ
うに。自分の家族が遠くに入れられる事になってしまったら大変です
ね。ある程度の要望は聞いて貰えるみたいですが。。

 不安は刑務所の中だけではありません。坂本敏夫さんという元刑務
官の方が何冊か本を出しているのですが、その中で刑務所の後遺症を
4つ挙げているので抜粋させて頂きます。!)町を歩けない。!)電車に
乗れない。地下鉄やエレベーターは特に怖い。!)女性と話せない。!)
自主性が欠けてボーっとしてしまう。…です。!)については刑務所で
は何でもかんでも指示待ちなので「支持待ち人間」になってしまうそ
うですね。坂本さんは「囚人は皆、刑務所という巨大なタイムカプセ
ルの中に入っているにだから」と書いています。非常にウマく表現さ
れていますね、とても感心してしまいました。

 また、刑務所で気になるのは「食」ではないでしょうか。クサイ飯
とよく言いますが別にご飯自体が臭い訳ではないのです。房の中にト
イレがあるからなんですね。ご飯自体は美味しいとか。毎年お節料理
を楽しみにしている囚人も多いみたいですからね。あとは慰問の時の
お菓子とジュース(コーラだったかな)。ご飯は米:麦が7:3が基
本です。少年院や体の調子によっては変わってくるのですが。少年院
には成長期の子達が沢山いますからね。私は麦飯大好きです。納豆麦
飯、たまらない…。それに毎日3食出てくるなんて天国ではないです
か!1人暮らしで生活が不規則な私は1日1食が当たり前。入院中1
日3食が辛くてご飯をこっそり友達にあげていました。次第に1日3
食がたのしみになってくるのですがね。そういえば私がどうしても退
院したくて吐いた言葉は「八王子医療刑務所より辛いよ!」でした。
父親には「お前は八王子医療刑務所に入った事があるのか」と言われ
ましたが…煙草を吸う方。禁煙できますよ。鑑別所に入っていた友達
がいるのですが見事に煙草をやめられました。禁煙にはもってこいの
場所ですね。

 さて、今回私は自分の趣味の世界に皆さんを引きずり込もうとこの
文章を書いている訳ですが(笑)刑務所に少しでも興味を持ってくれた
なら幸いです。私事ですが、結城司はエセ右翼少女であります(笑)
冒頭に挙げた妹尾河童さんの「河童が覗いた日本」には皇居の事とか
も書いてあるので是非読んで見て下さい。私を見沢さんの本に導いて
下さったのは河童さんの本なんですよね。あの月形刑務所の話、皇居
の話を読んでいなかったら今の私はないでしょう。あの本が私を右翼
に導いたのです。本屋さんで右翼関係の本を探すという行動にからせ
たのです。そこで出会ったのが「天皇ごっこ」だったのです。本は色
々な出会いをもたらしてくれます。私のこのくだらない文章も皆さん
に何かを与える事ができたらとても嬉しいです。

 追記…素人が書いた文章なので多少刑務所について誤りがあるかも
しれません。ご了承下さい。
(結城司)


【『ライト・イズ・ライト』を読んで】

by 中村幸雄(なかむら・ゆきお)

 祭りについて

 今となれば偶然。夢舞台とはこのことか?80年代を生きる過激な若
者たちのやわらかで楽しそうな顔が目に浮かんできそうだ。著者は自
らを回顧しているようだ。なんとゲーム、同棲、キャバレーなど都市
ではごくあたりまえの典型的な空間のなかに、「活動家」がさまよう。
管理社会の21世紀から見れば、ありえない不気味ともいえる光景であ
る。

 7月、見沢氏とおぼしき書きこみを掲示板で見つけたことがあった。
「もっとでかい祭りがしたくないのかよ」とあったが、本書を読んで
意味がやっとわかった気がした。

 確かに、世界にまで拡大される「祭り」は自己満足を超えて崇高な
事業になる可能性をもつ。それが一方で神風特攻隊やナチスのユーゲ
ントたちを生んでしまった結果は認めねばなるまい。が、近年はここ
までグローバルな自慰文化が商品が浸透してしまった。我々はテクノ
ロジーによる死の文化・制御・反復強迫にとらわれつつ誰もが日々生
活している。となれば、実は「祭り」の再考に迫られている時代でも
ある。夢や遠大な目標などという「偉大なもの」が、狩猟生活の本能
が否定されつつあるのだ。政治や経営でも目に見えないおおまかな戦
略というものが無視されている。

 ある夫が苦しくなる家計と子供の将来について考えていた。しかし
妻に「あなたなに幻についてマジに考えてるの」と一蹴され、目に見
えるものにしろと怒られた。自分がばかだったと思った。そして会社
ではやれ目に見える成果主義だ時価会計だと迷っていた新制度を新た
に導入した。結果A社独自の人間関係が崩れた。社員が育たなくなっ
た。一方家では貯蓄を直接投資に切り替えてポートフォリオを組む。
本来は挑むべきわからない未来というものを計算する、割り出す。そ
んななかで満足は得られないがささやかな快感に日々襲われた。少し
楽しくなってきた。考え方も変わってきた。情報を握らず行動するの
は馬鹿げている、負け組だという。よしこれで今後10年の家計の見通
しがたったぞ、さあサラリーマン増税でも何でも来い。パパは偉いだ
ろと毎日自慢するようになった。

 こういう時代になった。これが悪いとはいわない。だが私は9年文
句をいわれても10年目に金鉱を掘り当て魚の確実な漁法を見つけた
祖先を敬いたい。家族を見返して幸せにした昔のパパを見習いたい。
男が得意な戦略、夢、祭りなどのモデルは、時間も場所も見通しは立
ちにくい、そもそもよくわからないものだ。信念をもって見えないも
のを規定し開拓していかねばならなかった。原始人はそうして女子供
のいる家を後に、狩に出かけたり移住計画を熟考したりした。でも最
近は金儲け主義にみるように、長い目でものを作る絵画的行為や、長
い目で失敗にも耐え育てるという農業的行為が忘れられている。長期
的展望と密接に関わってくるものとして祭りごと(政)があった。

 失われた祝祭はいまや小さくなった。近代では博物館・デパートに
閉じることとなったと社会学者は言う。現代社会では何であろうか。
映画館、ライブハウス、海外旅行、イベントのトークくらいか。が見
沢作品は大きい姿を創り出そうとする。

 本書は祭りにあふれている。しかもごくありふれた生活と結びつい
ている形で。さらに特筆すべきは、お祭りが日常と混ざり合って調和
していることなのだ。日常と祭りの差異が都市中で戯れている。バル
トの「ストリップ嬢が脱ぐか脱がないか」に関する命題の構造と似通
ってくる。彼女が裸という衣装を着る様に、「見沢まつり」は田村の
言(parole)で日常という衣装にまで高められていく。

 維新革命について
 
 20世紀を終始貫いていた病気ともいえる闘いは資本主義対社会主義
であった。初期は社会主義の教えに多くの者が賛同したものの後には
ひたすら資本主義の豊かさにおされ衰退し枯渇していった。世紀末に
は「敗北」ともなずけられた社会主義。だが社会・共産主義者たちが
抱きつづけてきた夢、150年の知的武装の歴史、それはついに維新
革命の理想に委ねられた。よりによって国粋主義者に委ねられるとは!
田村は演説により歓喜の渦に巻き込まれている。彼の演説・言説
(discours)とともに歓喜できるものたちは他にも必ずいることだろう。
いにしえの病的な武装のための知識をいまこそこの国のために使うこ
とができるのだから。そこには右も左もない。さらに市民運動家も小
説家も自由に入ってきて楽しく暴れられる。ライトイズライトの世界
が広がっているのだ。なぜ正しいと言えるのか?−なぜならこの国を
自らの足で立たせるために、共闘するのだから。そして彼らはまず日
本の戦後YP体制打倒を唱え、結果各国も民族自決=自主の原理を貫
通する必要があると説く。右翼は、わが国の誇りをとりもどすために。
左翼は自主的な民族国家を建設するために。両者が叫び合うも協力す
る姿が思い浮かばれる。思想観念を追うだけでも、楽しい作品である。
(中村幸雄)

【『改造』からの名文引用】

by たけし

(引用開始)
 人間が最も美しいと感じるもの、最も汚いものと感じるもの、それ
を突き詰めれば、結局は人間に帰る、といつか田村は言った。それ以
外に美醜を嗅ぎ取ったなら、それは無意識のうちに人間と比較してい
るだけだ、と。その言葉は実証的にその時私の想像力のカプセルの中
で、汚い塵や排泄物や死体や粘液、綺麗な筋肉や瞳や睫、などのデコ
レーションに飾られた体躯のイメージに変換された。−−−−シーメ
ールは、美しいのだろうか?よけい甘く感じさせるために少量の塩を
巧みに入れる和菓子と同じく、シーメールはギリシャ神話のパーンの
ように、最も醜い一点を狡猾に混入することで、和菓子的な至高の淫
猥の甘美を勝ち取っているに違いない。
 当然、男達の脈拍と昂奮は、エロスの核融合に被曝して昂まり満ち
た。自律神経に、大政治パッション映像並みの強烈な機銃掃射を叩き
込まれて、泥酔した。
 精神の腕立てふせで脳細胞ををすっかりシェイプアップさせてしま
った坂本が、ぱん、とプリンタで打った世界地図をデスクの上に震え
るように叩きつけて、吠えた。「世界維新新政府の首都は、神国日本
だ!」
 何の障害もなく、性のエロスから政治のエロスに、細胞移植してし
まう可愛い男達。シーメールへの昂奮をそのまま政治に引き摺って、
世界維新政府の世界政策をシャウト始める。いつもこの伽話的な誇大
妄想的な会議が大き過ぎた面白く、甘く見詰めたり軽薄な質問をして
しまう私も、今日はちょっとシーメールの衝撃波で、その精神と子宮
が一緒に仲良く心中して呆然とパンチドランカーになって、躰がぺた
っと坐って絨毯と解ける蕩け合ってしまっていた。
(引用終了)
  
 見沢氏のエネルギー
  
 『改造』では、見沢氏には珍しく性的描写がある。ただ、一般的な
男女の性を描いただけではなく、シーメールの関することと、政治の
エロス性を描いている。情熱、パッションが必要であるという点で、
恋愛も政治も共通点がある。見沢氏は、おそらく恋愛よりも政治をや
っているときの方が情熱をかきたてられたのであろう。二・二六事件
の磯部浅一が、革命は楽しい、もう一度革命をやってみたいといった
旨の発言をしているところ、見沢氏も同様に政治に情熱を燃やし、エ
ロス性を感じていたに違いない。そのエネルギーを源として、作家と
して文学活動をしていたのであろう。
(たけし)


【少年よ、<狂気>を抱け】

by 朱斑羽(しゅ・はんう)

 私が初めて見沢知廉の文章に触れたのは、週刊プレイボーイの誌面
の隅の小さなコラムだ。当時はまだ高校生で、夜中のコンビ二で大人
の雑誌を買うのにもひどく勇気が要って、やっとの思いで買ったそれ
を隅々まで読んでいた。初めて女性のヌードを見たのもこの雑誌で、
そのときの鮮烈な感動をはっきりと憶えている。なぜか90式戦車の
グラビアも載っていたりして、見沢知廉の小さなコラムは松山千春の
人生相談と並んで毎週毒を放っていた。最初に読んだのは、ある若き
政治活動家を描写する記事で、そのフレーズは独特のリズムを持って
いた。お前ら、どこどこの駅前に行ってみろ、リーゼントの若者が激
しく天才的なアジを飛ばしているぜ!もうすぐ、動乱の時代がやって
くるぞ!覚悟しろ!…みたいな感じで、暗い学校生活に絶望していた
私は一発で痺れた。2001年の米国同時多発テロのときはまた凄か
った。おっと!とんでもないニュースが飛び込んできた!やっぱりテ
ロは面白いぜ!という調子。近代史に関する本を読み漁ってすっかり
反米右翼少年になっていた私は、瓦解するワールド・トレード・セン
ターのテレビ画像をみて歓喜に打ち震えたバカだったわけだが、見沢
知廉のように率直な反応をメディアで表明してしまう人間も稀有であ
ったから、完全にその名は私の内部に刻まれた。

 そして新潮文庫の『天皇ごっこ』を手にとることになった。その物
語は監獄から始まる。昭和天皇の崩御に恩赦を渇望する囚人達のドタ
バタ劇である。作家じしんをモデルにした主人公は、右翼でありなが
らそれを待ち望む。そして、崩御―――。

  <田村は、いよいよ選ばれたる者への天寵だと全身に鳥肌
   を立てて感動し、頭の中をジークフリートのモチーフが
   駆けめぐり、地球はやっぱり自分を中心に回っていると
   感じて、すくっと立って天を仰いだ>
                   (『天皇ごっこ』第一章)

 どうです、カッコイイでしょう。しかし恩赦(減刑)は出ない。つ
いに田村は殉死を図るが、それも失敗。監獄は、見沢文学の重要な柱
だ。ベストセラー『囚人狂時代』も『天皇ごっこ』に負けないほど情
報量の多い作品だった。ちなみに文庫版『天皇ごっこ』はページの下
に脚注がついていて、一冊読めばかなり勉強になる「お得」な本。先
日ホリエモンが東京拘置所に収監されたが、堀の向こう側というのは
凄まじい世界であることが、見沢文学でいやというほどわかる。私は
見沢作品に触れることで、絶対に刑務所にだけは入りたくないと思っ
たものだ。

 とにかく私は初めて読んだ見沢文学『天皇ごっこ』の随所に戦慄し
、仰天し、酩酊した。いま読み返しても、その輝き、その新しさに変
わりはない。最高傑作と呼ばれる所以であろう。
 さて、本稿の目的は作品評ではなく、私は私にとっての見沢知廉を
書きたいのだった。私にとって、文学と現実の境界線はあいまいだっ
た。私は中学生の頃に三島由紀夫の小説を読み漁り、自分も小説の主
人公のようになりたいと妄想する少年で、勉強が嫌いなのにエリート
校に進学したいと思ったり、小説を書いたこともないのに作家になり
たいと思ったり、勇気がないのに英雄になりたいと願っていた。そん
な私にとって、自分じしんを物語のモデルにできてしまう見沢知廉は、
まさしく自己を同一化させたくなるような人だった。私が14歳のと
きのことだ。同じ中学三年生の少年が社会を震撼とさせた。彼は酒鬼
薔薇聖斗と名乗って大人達に宣戦し、捕らえられ、彼を解剖した大人
たちはさらに震え上がった。そして同世代による猟奇殺人は続発し、
自殺者も連日報じられる。私には人を殺す度胸も、自殺する蛮勇もな
かったが、心の奥底で世界の滅亡を望むていどの思春期ではあった。
高校進学に失敗し、郊外の私立校にかろうじて拾われたが、高校生活
の前半は暗澹たる日々で、それを救ってくれたのが見沢文学だった。
本屋でみつけた『日本を撃て』にある、<私の深い絶望は、白い紙に
赤い血が染みて行くように容赦なく、全能の神としての自己を否定し、
自己を人類の白血球、と規定した>という一行は、社会不適応者と思
い悩んでいた自分の迷いを吹き飛ばすのに充分すぎるほどの「一撃」
だったのだから。それからの私は、周囲の友人達が見違えるほどに豹
変し、赤面症まで癒えた。そしていつの日か世界を救い覚醒させる「
人類の白血球になるのだ」という指標が、私の核となった。

 ああ、見沢知廉よ。あなたはなんと罪深い人だ。あなたは少年に危
険な夢を見させ、そうして自分だけが忽然とかき消えた。私はあなた
の見果てぬ夢に背を押されて、幻の動乱に身を投じようとし続けるこ
とでしょう。
(朱斑羽)


【おわりに】

 このメールマガジンは毎月25日頃の配信です。たまに遅れること
もありますがご容赦ください。寄稿はバンバン受け付けます。今月の
結城司のように見沢知廉にかこつけて自分の趣味を語るのもありです。
しかし変な子ですね。刑務所が趣味だなんて。いつまでもその純粋な
心を忘れないでいて欲しいものです。
 そんな20歳の夢見る乙女・司さんがブログを開設しました。マゾ
にして右翼少女・司の全貌を見たいかたはこちら
           →http://blog.livedoor.jp/tsukasa_y_le/
 ※ちなみに18禁!※

 ファンクラブの珊瑚さんに無理矢理お願いして、私もミクシィ(招
待制のコミュニティサイト)に登録しました。しかし!友達がいませ
ん。……。誰か友達になってください。そして見沢知廉や維新革命や
刑務所やアングラやらの話をしましょう。(と、言いつつウェブサイ
トの更新が疎かになってしまう……。)
 珊瑚さんの詩的なブログはこちら
           →http://blog.livedoor.jp/sango_sixx/
(朱斑羽)

 寄稿はこちら↓
 http://chiren.sejp.net/mail.html

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 発行責任:見沢知廉ファンクラブ【白血球團】運営委員会
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 【白血球團】見沢知廉ファンサイト [http://chiren.sejp.net]
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 このメールは送信専用です。お問い合わせは[chiren@sejp.net]

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