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【聖書】偉大な将軍のお話

発行日時: 2005/9/24

 〓/†/【聖書を開けば・・・】〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓 第254号 〓〓〓

  おはようございます。きょうもご愛読をありがとうございます。
  
  たわわに実った稲穂が、重そうに首を垂れています。
  今年も先日から、隣接する田んぼでも「刈り入れ」が始まりました。
  すでに農協には、収穫されたばかりの米を満載に積んだ軽四自動車が
  次々とやって来ては計量をし(後の詳しいことは分かりませんが)倉
  庫に米袋が貯蔵されていきます。 良い眺めですねぇ。

  今日のメニュー:
  φ(^^ゞ [聖書を開けば] コーナー “偉大な将軍のお話”
  φ(^^ゞ [マメマメ知識] コーナー “アブネル”

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 ■回■  1(^^ゞ  [聖書を開けば・・・]コーナー  (^o^)丿  ■回■
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  王は家来たちに言った。
  「きょう、イスラエルでひとりの偉大な将軍が倒れたのを知らない
   のか。」

       (旧約聖書 サムエル記 第二  3章 38節)
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 ギルボア山付近でイスラエル軍とペリシテ軍とが激しく戦ったとき、イスラエル初代の王サウルは三人の息子たち、ヨナタン、アビナダブ、マルキ・シュアと共にこの山で皆戦死しました。その時、遠くペリシテの地「ツィケラグ」にいたダビデは、イスラエル陣営から逃れてきたという一人の若者によってこの事実を知ることとなりました。

 いまやダビデは、サウル王という大いなる器(追手)の呪縛から解放され、意味なく逃げ回る必要がなくなり、ゆえにこれ以上異邦人の地ペリシテに留まっている理由もなくなりました。かつて預言者サムエルを通して与えられた「神の約束」の実現の時が近づいたのです。約束によれば、イスラエルの二代目王にはダビデが就任する、とされていたのです。サウル王の死をもってようやくその扉が、イスラエル帰還に向かっての道が開かれたかのようでした。

 しかし、事はそうそう簡単に運ぶものではありません。サウル王亡き後もなお王宮にはサウル王家に忠誠を尽くす部下がたくさんおり、また人民の多くも依然としてサウルに対する忠誠を放棄してはいなかったのです。
 中でもサウル王の側近「将軍アブネル」は、生き残ったサウル王4番目の息子エシュバアル(別名イシュ・ボシェテ)を次期イスラエル王に立て、引き続きサウル家による王国支配を考えていました。時にエシュバアルは《40歳》。実は、この数字には信憑性がないと言われているのですが、それはそれとして彼が王として今後十分に活躍できる、まさにこれからという年齢にあったということだけは言えるようです。ところが聖書は、彼の治世はたったの『2年間』であった、とも言うのです。実はここでも数字に関して若干の問題が残るのですが、再びそれは歴史学者に任せることにして、とにかく「意外にも短かった」という事実を知っていただきたいと思います。

 たったの2年間!? 確かに彼の治世はたいへん短い期間でした。何故でしょう? 実はこの点に関するキーマンこそ「将軍アブネル」だったのです。きょうはその彼についてお話したいと思います。

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 サウル王の死によって混乱が続いていたこのとき、サウル家に残された王位継承者はエシュバアルひとりになりました。ただ彼は、自らがサウル家の四男坊であったことから、政治に対してはこれまで直接的に関わっていませんでした。その意味では、サウル王の側近として長らく仕えてきた将軍アブネルの方が、実践的手腕、実力において相当優位な立場にありました。そこでアブネルは、当面の間エシュバアル王の後見役として、彼の背後にあって王の政治を支えていこうと考えていたようです。

 父サウルの死によっていきなり王としての権力と責務を手にしたエシュバアルですが、実際にはその主導権はアブネルの手に握られており、エシュバアルは飾り物の王であったと言って過言ではなかったようです。

 アブネルは、確かに最初は後見役的存在として熱心にエシュバアルに仕えました。しかし実質的権力をその手に掌握していたことから、徐々に彼の振舞いには横暴さが目立つようになりました。アブネルも人の子です。もともと野心を抱く人間としては仕方ないことなのかも知れません。そしてエシュバアル王自身も、彼のそうした言動の変化に徐々に不満を感じ始めていたのでした。

 そんなある時のこと、アブネルは、かつてサウル王に仕えていた「リツパ」という名のそばめに手を出してしまいます。これを知ったエシュバアル王は大いに激怒憤慨し、アブネルを呼びつけて、亡きサウル王に対する背信にも似た彼の行為を厳しく叱責したのでした。
 ところがアブネル本人は「私はあなたとあなたの家に対してこんなに忠誠を尽くし仕えているのに《あの女のことで私をとがめるのですか》」と逆ギレ。さらに彼はエシュバアル王に向かって「こんな些細なことでいちいちうるさくしないでもらいたい」と、自分の破天荒な振舞いに黙認をさえ求めたのです。
 この件でアブネルは、エシュバアル王の「王としての器の小ささ?」に幻滅を感じたのかも知れません。しかしもちろんこれについては、アブネルの側に絶対的非があったことは明白でした。なにしろそれは姦淫の罪なのですから。

 アブネルは大きな考え違いをしていました。徐々に膨れ上がったおごり高ぶりが、いつしか彼自身を主客転倒の立場に導いていたのです。彼は後見人でしたが王ではありませんでした。この件のみならず、彼はすべてにおいて、エシュバアル王の上からものを言い、指図する立場にある者ではなかったのです。 しかしアブネルはこの一件で相当頭にきていたらしく、結局これがきっかけとなって、彼はサウル家を見限る決心をしたようでした。考えてみれば、ほんの些細なことなんですけどねぇ。人の心って、ホント分からないものです。

 彼は事をすぐ実行に移しました。すなわちアブネルは、直ちに使者をダビデのもとに遣わし「この国のすべてをあなたの手に移すための協力をさせてほしいのですが」と驚きの申し出をしたのです。当時ダビデに味方する勢力としては、逃亡時からずっと行動を共にしてきた約600人の部下とユダの一部の人々しかおりませんでしたから、今回のアブネルの申し出はダビデにとって願ってもないことでした。

 それに現実問題として、ダビデは、サウル家との間で血を流すことは避けたいと考えていました。近い将来自分がイスラエルの二代目王に就任するにしても、無血で、平和裏に政権の移行が成就することを心から願っていたのです。その意味でもダビデは、もしアブネルの工作が成功するなら、サウル家にとって、イスラエルにとって、もちろん自分自身にとっても「すべてがうまくいく」ことだったのです。
 
 別の角度から見るとき、たしかにアブネルの今回の行動は「サウル家に対する裏切り行為」でした。ダビデにしても、ある意味然りです。エシュバアル王を現政権から追い払うことになるのですから。
 ただ、その動機と過程が如何であれ《サウル家から王位を移し、ダビデの王座をイスラエルとユダの上に堅く立てる》とのダビデに対する神の約束は、こうして着々と果たされていくのでした。

 サウル家に対する背信行為、エシュバアル王には将軍アブネルの行動がそう映ったことでしょう。しかし「神のご計画の成就」という観点から見る時、彼は図らずも神の御心の計画をその通り従順に実行した人物でもあったのです。 人はいつの時代、どこにあっても、結局は神の御手の中で生き、動き、存在していることを教えられます。その後の歴史に大きな影響を与えることになるかも知れない「人の心の動きの不思議」には、こうした神の御手の働きが隠されているのでした。

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 さて、サウル家からダビデへの政権移行のために、将軍アブネルはこれまでサウル家を支持してきた人々に掛け合い、直談判を通して奔走しました。その働きの甲斐あって、大方の勢力が血を流さずに「ダビデを王として迎えること」に同意を示してくれたのです。彼の懸命の働きにより、ようやくダビデ王誕生のお膳立ては整い、あとはいよいよ「その時」を待つのみとなりました。

 ところがそんな矢先でした。ダビデに仕えるツェルヤの子ヨアブとその兄弟アビシャイによって将軍アブネルが殺される、という事件が起こりました。その動機は「報復・復讐」でした。実はギブオンでの戦いで、ヨアブの兄弟アサエルがアブネルに殺されていたのです。このアサエルの死については、実は不可抗力によるものでしたが、しかしヨアブたちはその事実を知りません。ですから彼らはその後もずっと「機会さえあれば敵討ちを」と心に誓っていたのです。

 サウル家に仕える将軍アブネルが主君ダビデに急接近して来たことに「ある種の警戒感」を抱いたヨアブたちは、そこに「身内の死に対する復讐」という思いも加わって、ある時ダビデには内緒でアブネル殺害を実行したのでした。

 今回自分のために働いてくれた将軍アブネルを、突然こんな形で失うことになったダビデの驚きと悲しみには、たいへん深いものがありました。しかもそれがダビデの腹心ともいえるヨアブによって起されたことでしたから、思いはさらに複雑でした。(ちなみに、ダビデにとってのヨアブの存在は、エシュバアルに対するアブネルの立場と同様だったといえるでしょう。ダビデも自分で告白して言いました。『私は王ではあるが、今はまだ力が足らない。ヨアブたちのことは、私にとっては手強すぎる』と。)

 せっかく人々の心がイスラエル統一へと傾き始めたその矢先に、第一功労者であるアブネルをダビデの側近が殺してしまうなんて・・・。もしこれが原因で、再び人々の心がダビデを離れ「元の木阿弥」となってしまう恐れがないとも限りません。これはダビデにとって、実に頭の痛い出来事であり、まことに口惜しいアブネルの死となりました。

 おそらくダビデは内心において「ヨアブたちについては、早急に何らかの手を打たなければ」と感じたことですが、しかしその彼が具体的にしたことと言えば、ただ次のことでした。すなわち、ダビデは神に委ね祈ったのです。《主が、悪を行なう者には、その悪に従って報いてくださるように》と。

 この祈りは、後の時代(ソロモン王の時)に確かに成就することになります。聖書にはこのように記録されています。《ヨアブが理由もなく流した血を、私と、私の父の家から取り除きなさい。主は、彼が流した血を彼の頭に注ぎ返されるであろう。彼は自分よりも正しく善良な二人の者に撃ちかかり、剣で彼らを虐殺したからだ。彼は私の父ダビデが知らないうちに、ネルの子、イスラエルの将軍アブネルと、エテルの子、ユダの将軍アマサを虐殺した。二人の血は永遠にヨアブの頭と彼の子孫の頭とに注ぎ返されよう。》(旧約聖書列王記第一 2章31−33節)この後ヨアブは、直ちにソロモンの部下によって殺されたのでした。

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 ダビデはアブネルの死を悼んでこう歌っています。《イスラエルでひとりの偉大な将軍が倒れたのを知らないのか。》《愚か者の死のように、アブネルは死ななければならなかったのか》と。ダビデがどれほど彼の死を口惜しく思っていたことか、よく分かります。

 しかしアブネルの突然の死で一番困ったのは、やはり何といってもエシュバアル王と後に残された王家の人々ではなかったでしょうか。いろんな意味でイスラエル統治をアブネル将軍に任せ頼っていた彼らが、彼の反逆的行為とその死によって、一瞬にして拠り所を奪われてしまったわけですから。宮中では、失意と混乱の中で次なる勢力争いが展開していたのではないかと思われます。

 事実この後エシュバアル王は、自分たちの将来だけを考える二人の部下バアナとレカブの兄弟によって「昼寝中」を襲われ、殺されてしまうのでした。
 サウル王家によるイスラエル統治の幕切れは、このように実にあっけない形で訪れることになりました。

 さて主君エシュバアルの首を手土産に、意気揚々とダビデのもとに下って行った愚かな二人ですが、その後の彼らがどうなったか、その終りについては、ダビデの性格とこれまでの経緯から考えて、皆さんにも十分察しがつくことと思います。

 今回、サウル家からダビデの手に王座が移されるについては、いろいろな人物の介在とその死がありました。が、特にアブネル将軍に関しては、彼がダビデに対抗する勢力でありながら、イスラエル王国統一に向けての貴重な礎石になったことを覚えておくべきだと思います。

 □□ 聖書の言葉 □□

     主はすべてのものを、ご自分の目的のために造り、
     悪者さえもわざわいの日のために造られた。

           (旧約聖書 箴言 16章 4節)

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             アブネル

 アブネルとは「父はともしびである」あるいは「ネルは父である」との意味で、彼の父ネルは「サウル王のおじ」に当たります。

 アブネルは若い頃からサウル王の側近として宮廷で仕え、最終的にはサウル軍の将軍、すなわち司令官の地位にまで出世しました。その彼がダビデと面識を初めてもったのは、ダビデがペリシテ人戦士ゴリアテを倒して武功をたてた時でした。

 ダビデがサウル王のもとを逃れて逃亡生活に入ると、アブネルはその討伐隊に加わり、サウル王と共に執拗にダビデを追跡しました。サウル王にとってアブネルはまことに忠実な部下でした。

 サウル王亡き後は、先にも紹介したように、その子エシュバアルをイスラエルの王に擁立し、サウル家によるさらなる統治を図ろうとしました。彼は「マハナイム」という町でその旗揚げを興しますが、ダビデはこれに対抗するかのように「ヘブロン」で、ユダの人々と共に立ち上がったのでした。
 以後、サウル家とダビデ家との間で激しい戦闘が展開することになるのですが、この時期のアブネルにとって最大の敵が「ダビデ軍の将軍ヨアブ」でした。彼との戦いは七年続いたとあります。

 ある事がきっかけとなり、アブネルは遂に主君エシュバアルと袂(たもと)を分かつことになります。が、その後の彼は、イスラエル統一に向けてダビデの側につき、サウル側勢力との交渉を行ないながら、和睦のために人力を尽くすのでした。
 
 彼の死については、最期までアブネルを信用できなかったヨアブの思い違いと、兄弟の復讐のためという動機が原因でした。
 ダビデはアブネルの死をいたく悲しみ、弔いの歌を歌いました。またアブネルの死後、サウル家は急速に衰退の一途をたどりました。

   参考資料: 人名辞典(教文館)  新聖書辞典(いのちのことば社)

 〓〓☆★ つうしん ★☆〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓 

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ペンネーム : Anthrowpos

  • 滋賀県大津市在住のキリスト教プロテスタント系牧師です。日曜礼拝と祈祷会および聖書学び会を三本柱に、自宅にて毎回集会をしています。私の願いは、一人でも多くの方がまことの神様を知ってくださることです。そのためにも小冊子・チラシなどを配布し、地域の布教活動に取り組んでいます。

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