【聖書】下僕の進言
発行日時: 2005/8/20 〓/†/【聖書を開けば・・・】〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓 第249号 〓〓〓
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そのとき、ナバルの妻アビガイルに、若者のひとりが告げて言った。
「ダビデが私たちの主人にあいさつをするために、荒野から使者たち
を送ったのに、ご主人は彼らをののしりました。あの人たちは私たち
にたいへん良くしてくれたのです。私たちは恥ずかしい思いをさせら
れたこともなく、私たちが彼らと野でいっしょにいて行動を共にして
いた間中、何もなくしませんでした。私たちが彼らといっしょに羊を
飼っている間は、昼も夜も、あの人たちは私たちのために城壁となっ
てくれました。
今、あなたはどうすればよいか、よくわきまえてください。わざわい
が私たちの主人と、その一家に及ぶことは、もう、はっきりしていま
す。ご主人はよこしまな者ですから、だれも話したがらないのです。」
(旧約聖書 サムエル記第一 25章 14−17節)
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当時のダビデは、自分に向かって放たれた追手から逃れるべく、いつ終わるとも知れない放浪生活を余儀なくされていました。が、そんな彼であるにもかかわらず、人徳のゆえでしょうか、それともサウル王に対して何らかの不満を抱いている人々が加わったためでしょうか、ダビデにつき従う兵士の数は徐々に増し、いつしか600人を超えるまでに膨れ上がっていました。
いまや大所帯となったダビデたちでしたが、ここにきて、その長である彼を大いに悩ませる重大問題が生じました。何だと思います? 答えは「食糧調達問題」です。
どうやって600人にも及ぶ従者たちを養うか。どこから彼らのための「日々の糧」を調達するか、ということです。
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ダビデたちがある荒野に滞在していたときのことでした。実はそこには、羊や山羊を数千頭規模で所有し放牧している「ナバル」というたいそう裕福な人がおりました。ある時、この人物がカルメルという場所で「羊の毛の刈り取りの祝い」という祝い事をしているとの情報がダビデのもとに寄せられました。
そこでダビデは、数名の使いを彼のところに遣わし、幾ばくかの祝福のおこぼれにあずからせて欲しい、と言わせたのです。というのも、当時ダビデたちが、放牧されている彼所有の羊や山羊の群れを外敵から守っていたからで、報酬というか、いわゆる見返りとして何がしかの誠意を見せてはもらえまいか、とダビデは期待したのです。ダビデはそれによって何とか当座の食糧調達を図ろうと考えたのでした。
ところがナバルの返事はたいへんつれないものでした。そればかりか、サウル王の元から逃亡中であるダビデの事をすでに知っていたナバルは、皮肉とも取れるひどい言葉をもってダビデを非難し、使いの者たちを空手で追い返したのです。ナバルは言いました《ダビデとは、いったい何者だ。この頃は、主人のところを脱走する奴隷が多くなっている。私のパンと私の水、それに羊の毛の刈り取りの祝いのためにほふったこの肉を取って、どこから来たかもわからない者どもに、どうしてくれてやらなければならないのか》と。主人ナバルの愚かさと軽率さがことばに現われた瞬間でした。
使いの者からナバルの返答を聞いたダビデは大いに憤慨し、力ずくで食べ物を奪い取るべく、ただちに400名の部下たちと共に自らも剣を帯びて、ナバルのもとへと出かけたのでした。
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ときに、ナバルに仕えていた下僕のひとりが、ダビデたちの行動に事態の深刻さを悟り、大急ぎでこの事をナバルの妻アビガイルに注進したのでした。
下僕は事の経緯を話し、続けてこう言いました。『事態は急を告げる最悪の状況です。今すぐ、あなた様の為すべき正しい事を判断して、それを行なってください』『このままでいけば、ご主人をはじめ、大勢の者が殺されてしまいます』と。さらに彼は、大胆にもこう付け加えたのです。《ご主人はよこしまな者ですから、だれも話したがらないのです》と。
もう少し詳しく説明的に言い換えますと、つまり彼は主人の妻アビガイルにこう言いました。『ご主人様はたいへん強情なお方で、他人のことばに耳を傾けようとするやわらかい心を少しもお持ちではありません。まして私のような下僕がご主人様に忠告を申し上げたなら、ますます心をかたくなにされ、そればかりかきっと進言した私自身をお叱りになることでしょう。ですから正直申し上げて、私はこのことでご主人様と真正面から話をすることができません。それは私だけでなく、ほかの下僕たちも同様です。ですから、あえて誰もご主人様とは話をしたがらないのです。』
本来ならこのような大事は真っ先に主人であるナバルに話すべき事です。しかしこの下僕が言うように、ナバルという人間はたいへん頑迷で、強情で、また偏狭的ものの見方しかできない人物だったようですから、彼としては「言うだけ無駄になるかも」と判断したのです。
おそらくこの下僕は、普段からもイヤというほどこの点についての経験をしていたに違いありません。ですからこのときも即座に「言うだけ無駄だ」と判断して、あえてナバルにではなくその妻アビガイルに事態の重大さを伝えたのだと思われます。それに、たしかに聖書は《彼女は聡明であった》と記していますから。
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ところで、ナバルのようにいつも自己中心的で、強情且つ頑迷な人間って、最近意外と私たちの身の周りで大勢見かけませんか。そんな最悪な人物が「私の上司にいます」って言う人はいませんか。あるいは、実はあなた自身がこのタイプ、な〜んてことはないでしょうね?!
もしあなたが誰かから「あの人には何を話しても無駄よ」と言われ、初めから相手にされない存在だとしたら、何と寂しいことでしょう。良いことも悪いことも、何もかもあなたの耳には届かないなんて、考えるだけで辛く、寒〜くなってきます。
そんな人間になってしまう原因はどこにあるのでしょう? 実は『へりくだる心』に欠けていることにあるのです。これは、常にトップを歩むワンマンタイプの人が陥りやすい症状で、彼が「自分こそがベストだ」と思っているうちは、決して積極的に他人に耳を傾けることをしません。相手を批判したり批評することはあっても、他者を認めるとか受け入れるという立場をとることがなく、ほとんど相手の考えを、いいえその存在すらを無視するのです。こういう人にとっては、あくまで自分が是であり、相手は常に非。まさに相手の言葉は「聞くに及ばず」なのです。
下僕が事の危急を『主人ナバル』にではなく『その妻アビガイル』に告げたことは、少なくとも彼女はナバルとは違い、こちらの言い分に耳を傾けてくれる。ゆえに彼の注進も決して無駄に終わることはない、との期待によるものでした。聞く耳をもって現状を正しく把握・認識さえしてもらえれば、彼女の聡明さがきっとこの危機を打開してくれるに違いない、と彼は信じ期待したのです。
聞く耳を持つ人に対しては、当然語る側も誠意と熱意をもって語ることができますし、たとい少々言いにくいことではあっても、大胆に話す勇気も与えられます。それは相手の心の深さを信じてのことであり、また互いの求める事柄が建設的なこと、共に益する共通の目的に向かってのことだからです。
聞く者と話す者の関係が、たとえば上司と部下、主人と下僕、先生と生徒、親と子などのように、ある種上下関係にある場合には、求める結果を良い方向へと導くために、普段に倍して互いの心に『へり下り』を必要とすることを教えられます。
ナバル自身は頑迷で行状の悪いよこしまな主人でしたが、良い妻と良い下僕とに恵まれ、その彼らの存在ゆえに地上で祝福の幾ばくかを味わうことが許されました。しかし結局彼は、その頑迷さのゆえに神によって裁かれ、自らの愚かさの中で滅んでいきました。その後、残された彼の妻と仕えていた下僕たちは、これまで以上の祝福にあずかり地上での生活を続けたのでした。ちなみにナバルの妻、聡明な女性と言われたアビガイルは、その後ダビデの妻となりました。
□□ 聖書の言葉 □□
あなたがたはわたしのすべての忠告を無視し、
わたしの叱責を受け入れなかった。
それで、わたしも、
あなたがたが災難に会うときに笑い、
あなたがたを恐怖が襲うとき、あざけろう。
・・・・・・・
わたしの忠告を好まず、
わたしの叱責を、ことごとく侮ったからである。
(旧約聖書 箴言 1章 25−26、30節)
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頭をやわらかく
先日、片道約二時間をかけ兵庫県有馬にある『玩具博物館』へ行ってきました。そこには、私の世代にはたいへん懐かしいブリキ製のオモチャや、世界的に有名なくるみ割り人形、煙だし人形等など、精巧にできた木製の手作りオモチャが大小様々に種類も豊富に展示・紹介されています。
夏休み中のことでもあり、館内はさぞかし「大人連れの子ども?」でごったがえしているかと思いきや実際はそれほどでもなく、けっこうゆったりと全体を見ることができました。ただし、オモチャで遊ぶことのできるプレイルームは、当然のことながら大勢の子どもたちが喜びはしゃぐ声で賑やかでした。
が、そんな彼らの中で、時には子どもそっちのけで「黙々と」しかも「結構マジで」ある遊びに夢中になっている大人の姿が・・・。それは通称『ひみつ箱』と呼ばれる、いわゆる「からくり箱」のコーナーでのことでした。
それは、知恵の輪ほどきのように「仕掛けを解きながら箱の蓋を開ける」という、わずかばかりの頭脳と要領を必要としたオモチャで、どちらかと言うと大人の方に人気があるようでした。
傍で見ている子どもの手前、親父の威厳をかけてそうそう簡単にはギブアップできないと悪戦苦闘している方が一人おられました。その背後で「係りのお兄ちゃん」がしきりに説明したそうな顔をして、先ほどからじっと彼の手元を見ています。そんな二人の姿が私にはこっけいで、気がつけば私までが二人に付き合って、ずっとその場に立ち尽くしていました。
その部屋には6〜7個の異なる種類のからくり箱が置いてあり、自由に触っていいのでした。実はこのお父さんは「最後の一個」を残して、ほかはすべて開けられていたようです。このとき、ぼくのお父さんは今度も必ず開けてくれる、そう信じる子どもの期待を裏切りたくないと彼は必死だったのでしょう。また、子どものいる前でかっこ悪い自分を見せられるか、とも思っていたことでしょう。
でも、開かないのです。押しても、引っぱっても、叩いても、落としても、どうしても開かないのです。
たまらず「係りのお兄ちゃん」が言いました。「ヒントを出しましょうか」
「ヒント?ですか」余計な口出しをするな、と言わんばかりの顔で答えるお父さん。「考えてみてください。ここにあるからくり箱すべてに共通していることは何でしょうか」「ウ〜ム、共通していることねぇ・・・?」「一目見ただけでは、どこが開け口なのか判らないことです」「???」「これまでのように開け口が必ず正面にあるとか、上にあるものだとかの常識は全部捨ててください。」
それからしばらくこのお父さんはごちゃごちゃとからくり箱を触っていましたが、でもやっぱりダメで、開きませんでした。とうとうあきらめて箱をテーブルに戻そうとその手の力を抜いたときでした。何と箱の底が外れたのです。「ありゃ?!」 係りのお兄ちゃんはここぞとばかりに、得意満面の笑みを浮かべながら再度詳しい説明をしてくれたことは言うまでもありません。
お父さん、何事にももっと頭をやわらかくして接しましょうね。
大人の常識は、すべてに万能ではないのです。
からくり箱から、大切な事を教わった一日でした。
〓〓☆★ つうしん ★☆〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓
《聖書を読みましょう》
これこそ悩みの時のわが慰め。まことにみことばは我を生かす。
みことばはわが足のともしび、わが道の光です。 (詩篇より)
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