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シンクタンク山崎農業研究所が農業を中心として健康・食べ物・人物をめぐる情報を提供し、読者との意見交換をはかる農業カルチャーマガジン




『電子耕』No.239-2008.07.24号

発行日: 2008/7/24






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隔週刊「農業文化マガジン『電子耕』」  第239号
−環境・農業・食べ物など情報の交流誌−
2008.07.24(木)発行      山崎農業研究所&編集同人
<キーワード>
環境・農業・健康・食べ物などの情報提供、高齢者と若者、農村と都市の
交流ミニコミ誌。山崎農業研究所&『電子耕』編集同人が編集・発行。
http://www.taiyo-c.co.jp/public_html/yamazaki/yama_index.htm
*************************************発行部数  1283  部***************
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読者の皆様へのお知らせ
山崎農業研究所のメールアドレス
y.noken@taiyo-c.co.jp
は7月31日をもって閉鎖されます。
新しいアドレスは号外をつうじてお知らせさせていただきます。
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□  目  次    □----------------------------------------------------
<巻頭言> 固定種野菜の復活に務める「野口のタネ」野口勲氏 石川秀勇
<山崎農業研究所 第33回山崎記念農業賞贈呈と総会記念講演要旨>
<83歳からのメッセージ>  (伯母から観た戦中の私・その2)
              徴用工と初年兵あわれ 原田 勉
<編集後記> 賑やかな宴
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<巻頭言> 固定種野菜の復活に務める「野口のタネ」野口勲氏
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 去る7月12日(土)、今年度の山崎記念農業賞の表彰式が行なわれ、「野口
のタネ」/ 野口種苗研究所代表の野口勲氏に表彰状が贈呈された。固定種の野
菜品種の復活に努力を傾注されている氏の活動は、既に相当に知られた存在と
もなっているが、更なる輪を広げた推進を願ってのことである。贈呈された表
彰状の文面をここに記させていただくと、次のようである。

 「地方野菜や伝統野菜は、個性的な形質を子から親へと引き継ぎ、地方の食
文化を豊かにしてきました。「野口のタネ」野口種苗研究所はその固定種を日
本各地や世界に求め、維持・増殖に努めると共に全国に販売し、それぞれの風
土に生命力に満ちた野菜の定着を進めてきました。
 遺伝子組み換え・一代雑種の開発・普及が世界的に普及し、品種の単一化、
栽培の画一化、味の均質化が進んでいる中、種子から農業や食べ物の本来のあ
り方を提案しています。
 ここに、その先導性と実行力に敬意を表し第33回山崎記念農業賞を贈呈しま
す。」

 全国各地の種苗店で売られていた野菜のタネは、かってはほとんどが固定種
であった。それが、1970年頃からF1(一代雑種)品種に主流を取って代えら
れている。F1品種は、生長の均一性や揃った外観などの点で出荷用野菜とし
て優れているが、食べ物としての大事な味については、個性の弱いものが多い
など、豊かさを失わしめているきらいがある。また、F1品種では、生産者は
タネの供給を種苗メーカーに頼らざるを得ないこともある。

 野口氏の願いは、固定種は長期にわたって旬の味、伝統の味をあじわえ、せ
めて家庭菜園や自給用には向いていることを、栽培者が広くその理解をもつよ
うになってほしい。そして、販売した固定種のタネが、栽培者により一部は自
家採種もされて、それぞれの風土にあった新たな固定種(新品種)として定着
していく、生命をつなぐ種でありたい、というものである。更にいえば、その
未来の野菜は、生命力に満ちあふれ、それを食べた人がより健康になる。そう
いう、農業や食べ物の本来のあり方をも提案されている願いであり、農業関係
者はもとより、広く消費者・市民等の皆さん方にも、理解と共鳴の輪の広がっ
ていくことが望まれる。

石川秀勇
山崎農業研究所会員、千葉県野田市在住
y.noken@taiyo-c.co.jp

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<山崎農業研究所 第33回山崎記念農業賞贈呈と総会記念講演要旨>
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2008年7月12日(土)
北新宿図書館内生涯学習室
参加者 25名
1.第33回山崎記念農業賞贈呈式
  受賞: 野口 勲 氏(野口のタネ/野口種苗研究所
2.―総会記念講演――地域自治の基本は循環的自治
               高橋 彦芳氏   長野県栄村 前村長
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1.第33回山崎記念農業賞受賞 野口 勲 氏(野口のタネ/野口種苗研究所)

野口氏のことば=現在、市場の多くの野菜には固定種が少なくなり生育速度、
品質の均一性などで優れている一代限りのF1種が主流となっている。これは本
来の作物本来のもつ姿、風味などから、かけ離れたものである。

 固定種とは何世代もかけて選抜淘汰が行われ、遺伝的に安定した品種である。
これに対しF1種とは、人為的に交配させた雑種第1世代の交配種で形質は一代
かぎりの品種である。

 このF1化が進むと地方野菜・伝統野菜も規格化されて、本来の地方野菜の特
徴としての変化のある品種がなくなる。固定種を守り、普及させることは地域
の風土にあった野菜を守ることであり、本来の野菜の姿を取り戻すことにつな
がる。今までやって来たことが認められてうれしい。
(文責 安富六郎・田口 均)

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<83歳からのメッセージ>  (伯母から観た戦中の私・その2)
              徴用工と初年兵あわれ
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 甥(筆者)は上級進学が病気などで思うようにゆかず予備校通いを続けてい
たが、昭和十八年十二月、中島飛行機武蔵野製作所に徴用され、田無運転工場
に配属された。はじめは昼間通勤であったが、十九年春ごろから三交替制と
なり四日に一日は日中休みで本郷・動坂町に帰った。

 ある日、朝食のあと涙を流している。問うても何も答えない。やがて語った
のは、工場の思いがけない実態だった。

 先輩工員の熟練者は元海軍か陸軍の整備兵経験者。すごく真面目な人もいる
が、中にはアル中もいる。平気でガソリンで作業服の洗濯をする。当時「ガソ
リンの一滴は血の一滴」と言われていたときだ。

 それにエンジンの部品の品質が悪くなってか技術が落ちたのかエンジンテス
トに合格するのは半数以下になっている。これで戦争に勝てるのか。僕は早く
戦場に行きたい。こんな腐った世の中から抜け出したいと私の膝に泣きつく始
末。

 私(伯母)は男の子を育てたことがないから、どうしたらよいか分からない。
ただ背中をさすってやるだけだった。

 やがて甥は過労がたたり肺浸潤と診断されて一ヶ月の軽作業に移った。だが
健康を回復すれば、また三交替の重労働。その時現役召集令状が来た。肺結核
の既往症があるのに、と不安だったが、本人は至って元気。別れの前に武蔵野
を散歩した。征きて帰らぬ人となるだろうことは二人とも口には言わねど、心
では分かっていた。静かに抱いてやるだけだった。足下は落ち葉がカサカサ鳴
る秋だった。

 
 四国松山の航空教育隊で整備兵の訓練を受けている便りがあった。初年兵は
通信もままならない。時々ペンネームで無検閲のハガキが来た。「何々さんが
おばんによろしくと伝えてくれとのことでした。彼は苦しい中でもがんばって
いるようです」という具合に。

 あとで話を聞くと初年兵は、毎日私的制裁を受け、三月の検閲が終わるまで
一日として殴られない日はなかったという。

 それでも中隊の将校の中には、学徒出身らしいひとが個人面接の時、「恋人
はいるか、いるなら大事にしろよ」というひともいたという。

 僅かな光が見えるようだった。やがて甥は、気の弱いところもなおり、中隊
序列一位という成績で内地に残り、教育係になったという知らせが届いた。中
隊の八割は朝鮮に渡ったという。戦後帰った者は三分の一だったこともあとで
分かった。

(伯母から観た戦中の私・つづく)

山崎農業研究所会員・『電子耕』編集同人
原田  勉
tom@nazuna.com
http://nazuna.com/tom/

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<編集後記> 賑やかな宴
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巻頭言ほかであるように、7月12日、山崎記念農業賞表彰式が行なわれた。表
彰者は野口のタネ・野口種苗研究所の野口勲氏である。総会などもふくめすべ
てのスケジュールが終了したのち、懇親会の場がもうけられた。

懇親会はちかくの焼鳥屋で行なわれた。飾らない雰囲気が功を奏してか、会は
例年以上にもりあがり、出席者たちが歌を唱和するような場面もあった。宴も
たけなわとなった頃、野口さんが、「一言!」といってやおら立ち上がった。

「わたしは若い頃、手塚治虫氏のプロダクションで働いていました。手塚氏に
こんなことを言われたことがあります。『野口君、酒を飲むのだったら銀座で
飲みなさい。銀座には一流のお客さんが来ます。そういう一流の人たちと交流
することが君を育てるのです』。今日わたしは、あえていえば三流のお店で、
しかし皆さんのような一流の方たちといっしょにたのしい、たいへんうれしい
お酒を飲むことができました。そのことを天国の手塚先生に誇らしく報告した
いと思います!」

会員の末席を汚すわたしが一流かどうかはそうとうあやしいのだが、それにし
ても、なんとも賑やかな、そして爽やかな宴であった。そして野口さん、あら
ためまして山崎記念農業賞受賞おめでとうございました。

追記
表彰式の模様については野口のタネ・野口種苗研究所のHPで紹介されています。
http://noguchiseed.com/

2008年07月24日
山崎農業研究所会員・田口 均
y.noken@taiyo-c.co.jp

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