シンクタンク山崎農業研究所が農業を中心として健康・食べ物・人物をめぐる情報を提供し、読者との意見交換をはかる農業カルチャーマガジン
- 最新号:2008-09-04
- 発行周期:隔週刊
- 読んでる人:221人
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『電子耕』No.230-2008.03.21号
発行日: 2008/3/21
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隔週刊「農業文化マガジン『電子耕』」 第230号
−環境・農業・食べ物など情報の交流誌−
2008.03.21(金)発行 山崎農業研究所&編集同人
<キーワード>
環境・農業・健康・食べ物などの情報提供、高齢者と若者、農村と都市の
交流ミニコミ誌。山崎農業研究所&『電子耕』編集同人が編集・発行。
http://www.taiyo-c.co.jp/public_html/yamazaki/yama_index.htm
*************************************発行部数 1346 部***************
□ 目 次 □----------------------------------------------------
<巻頭言> ギョーザの教訓忘るべからず 松坂正次郎
<山崎農業研究所 第128回定例研究会要旨>
(その2) キューバ農業と社会
1)「キューバ農業の変容(5年前の見聞と比べて)」
山崎耕宇氏
<82歳からのメッセージ> 馬とのつきあい・馬耕・軍馬 原田 勉
<まぼろしの青山上水> その6. 水路の維持管理費 安富六郎
<編集後記> 火を操る その2
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<巻頭言> ギョーザの教訓忘るべからず
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「箸つけた オレを見てから 食べる妻」。昨今の食への不安をうたったサ
ラリーマン川柳(第一生命)入選句の1つだが、思わず膝を打った。
今次の中国産ギョーザの“咎め”は、生協の基本哲学とされた「農産物は
“四里四方”内のものを。健全な農地に健全な作物が育つ“身土不二”、地元
産で生きる“地産地消”」に全く相反する“利潤一辺倒”に堕した当然の帰結
と言えよう。JT(日本たばこ産業)に至っては、年々きつくなっている喫煙禁
止の包囲網に困窮しきって、何でもいいから“生きのびる策を見つけよう”と
いう“さもしい根性”のなせるわざと見える。生協といい、JTといい、信念を
捨てて利に走ったと批判されても仕方あるまい。
こうして見てくると、最近の「偽」が、人間が生きてゆくうえで最も大切な
「食」にからむものの多いことがわかる。ミート・ホープ、赤福、船場吉兆か
ら混米コシヒカリ、混米ひとめぼれなど、偽オンパレードである。そして、そ
れらの根源に“とぐろを巻いている”のは、工業製品輸出自由化のための農産
物輸入自由化という政治経済学である。
日本人が食料自給率39%で生きていられるのは、中国から輸入の冷凍食品
(輸入の73%。以下同)、水産物(20%)、農産物(10%)のおかげと言えな
くもない。しかしそのことは「安全」「安心」との引き換えの側面を持つこと、
メリットはデメリットを包含していることを、しっかりと肝に入れておくべき
であろう。ギョーザの教訓忘るべからず。
松坂正次郎
山崎農研会員、「農政と共済」コラムニスト
y.noken@taiyo-c.co.jp
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<山崎農業研究所 第128回定例研究会要旨>
第128回定例研究会要旨―海外農業―
2008年3月1日(土) 太陽コンサルタンツ(株)新宿区四谷三丁目 不動産会
館
参加者 23名
(その2) キューバ農業と社会
(平成19年11月日本キューバ科学技術交流委員会を機会にキューバを訪問し
た当研究員からの報告)
1)「キューバ農業の変容(5年前の見聞と比べて)」
山崎耕宇氏 東京大学名誉教授
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2002年にキューバを訪問しその報告(山崎農研所報No.97)もあるので、そ
の後のキューバについて述べる。米の自給率は50%(2007年)となっているが、
反当収量は日本の1/3である。以前は大型の機械でおこなっていたが、現在は
小規模でしかも高い生産性を示す。おそらく日本型の稲作経営であろうが、今
後どのように育つか注目に価する。
国営はソ連式での生産であるが、自由米は日本型に変わりつつある。日本型
は重視されていないという話もあったが、次第に日本型が見直され評価されて
いる。今年から自由米として力を入れることになった。日本型とは有機栽培と
小規模作付けである。さらに畜産と結合させて、有機農業を進めたいとの意向
は強い。
もう一つのトピックスとしてサトウキビがある。現在サトウキビはソ連時代
の約50%削減を行っている。しかしそれに変わる農作物を何にするか、問題
となっている。森林にするか、園芸作物、、草地化するか。いずれにしても教
育と医療は国の2大政策であり、それを支える農業(食料自給)は国民的課題
となっている。米は40〜50万トンは輸入である。米の増産は農業の最重要
課題となっている。
(文責 安富六郎・田口均)
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<82歳からのメッセージ> 馬とのつきあい・馬耕・軍馬
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馬とのつきあいは15歳の時からだった。農家の養子になってまず習ったの
は馬耕だった。養父が馬使いの名手で、馬との接し方、使い方から始まった。
春耕は犁で田に水を入れ馬で鋤き起こすのである。
九州は馬耕の先進地であった。東日本によくある馬の鼻面を一人が引き、あ
との一人が鋤く、あのトロイ方法ではない。
私が受けた訓練は一人で馬を操縦しながら犁を正確に保ち、一定の深さで耕
す。そのとき、姿勢が前屈みになってはいけない。背を伸ばし胸を張って、格
好良くしなければならなかった。
毎年地域毎に競犁大会があって、耕深、姿勢、操縦技術など、すべて採点の
対象になっていた。たぶん養父はその規準に基づいて指導していたのであろう。
次は代掻き、これは一族の結いで行うため約1ヵ月、馬を追い回さなければ
ならなかった。これも正確なルールがあった。前作の小麦の刈り株が足裏に刺
さって、しまいごろには疲れて、泣きの涙だった。
二年目から乗馬を習った。村はずれの砂原に馬場があって、そこまで行って
練習するのである。始めのころは良く落とされた。馬は利巧で乗り手を良く知
っている。だから初心のころは何度も落とされ、置き去りにされた。馬は自分
で馬屋に帰って行くのだ。
少し慣れてきて、道路で子どもを一緒に乗せようと引き上げようとしたとこ
ろで落馬して硬い道路上に叩きつけられたこともある。
その後、戦死者の遺族に軍馬が払い下げられた。次の子を産ませるためであ
った。自家の飼い馬が得られたのである。そのころは乗馬も慣れていたので一
里先の本渡の農学校まで遠乗りしたことがある。往復なんらの事故もなかった
が、帰りがけに腹が痛くなった。初めての遠乗りには腹帯をすべきだったので
あるのに後から気がついた。
馬は可愛い。毎日朝、草を刈って喰わせると美味そうに喰う。体にハケをか
けてやったり、水浴びさせると、時には気に入って笑うこともあった。
我が家の馬はやがて種付けが行われ妊娠した。
当時、軍馬は一頭五十円で徴用になった。私は十七才で上京し馬との縁も切
れたが、あの馬は中国に渡ったはずであるが、その後どうしただろうか。戦地
に行った馬は一頭も復員しなかった。
戦後、東京農専で農場実習に馬耕をやったが100人のクラス中、馬耕ので
きる者は4、5人しかいなかった。馬耕の専任講師は先輩の新関三郎先生だっ
た。農林省時代は農政局にいて全国の指導者だった。
旧友の根本芳一や新関先生の息子などほとんどの友は今はこの世にない。
戦争の記録映画を見る度に、あの自家の飼い馬を思い出す。戦時中「愛馬行
進曲」というのがあったが、戦争に動員された物言わぬ馬たちは可哀想だった。
軍馬を思い出す人も少なくなったとむなしい思いがする。
「愛馬行進曲」=愛馬進軍歌(あいばしんぐんか)昭和14年3月
http://yellow.kakiko.com/ouka/3.htm
山崎農業研究所会員・『電子耕』編集同人
原田 勉
tom@nazuna.com
http://nazuna.com/tom/
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<まぼろしの青山上水> その6. 水路の維持管理費
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上水は市街地では暗渠によって給水される。暗渠からの水は武家屋敷、町内
などの井戸状の水溜に流れた。これを呼井戸と称したという。導水路の新設は
大変高価なものであったから個人では出来なかった。水利用には水管理組合が
あって、水利用者に水料金を課したと言われている。
「上水」の管理責任は幕府にある。上水供給には上質な水質を保持し、安定
供給の責任を伴う。その維持管理に管理人を置いたほどである。これは幕府の
財政力、権力をも象徴するものであったろう。水路見回り、水路補修など暗渠
の維持費は大きい。土水路といえども維持経費は高額である。維持管理費には
どれくらいの経費を見込まれるだろうか。
当時の資料は見あたらないので、同じ規模の三田上水の事例で想像しよう。
三田上水は青山上水とともに廃止(1722)されて農業用水として農民に引き継
がれた。その利用管理経費を明治時代の三田用水組合資料から見ると、明治33
年(1900)には上水維持管理費として2,344円の計上、出費である。
当時、三田用水組合農民の賦課金は反当年10銭8厘であったから、約100ha
程度の水田では維持管理費を出すことは無理である。水車約束金や商工業用水
からの多額の収入によって初めて出来たのである。
この維持管理費は、当時の事務員日当約30銭、事務所書記日当は約50銭との
記載から、年間約4500〜7800人分の人件費に相当する金額だろう。江戸時代で
は実質はもっと多くの人数に対応するかも知れない。上水では用水と異なり、
これ以上の維持費 がかかったであろう。
同じく 明治33年、三田用水組合の西郷家への給水量と賦課金(電子耕206号、
2007年)、および生活水量から推定すれば、1人当たり年間数厘〜1銭の水料
金を見積もることが出来る。この水料金から維持管理費を算出すると、少なく
とも十万人以上の利用者を必要とする。青山上水掛かりに、これほどの人がい
ただろうか。
さらに三田用水規模の青山上水に掛かる水田を100ha程度と仮定したとき、
維持費には利用者からの水料金、水田への賦課金、水車約束金などの特別な徴
収を必要としよう。地域に農産加工産業のない青山、麻布あたりでは水車台数
は多かったとは思えない。これでは水利組合を作れる状況は出来そうにない。
以上のことを考えると、上水維持管理費は幕府の大きな財政負担となってい
たとしても不思議はない。維持管理責任を農民や庶民に負わせておけば財政の
責任はない。このように推測すれば「上水」から「用水」への転換は幕府財政
困窮の苦肉の策であったことになろう。
安富六郎
山崎農研会員 電子耕編集同人
y.noken@taiyo-c.co.jp
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<編集後記> 火を操る その2
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数年前から「ちびっこ探検隊」という環境NGOに家族で参加している。
ちびっこ探検隊
http://www.seiko-osp.com/private/sekigu/
主として未就学児童とその家族を対象に、さまざまな自然体験を通して、身近
な自然の存在と価値を伝えることをめざしているNGOである。
その「ちびっこ探検隊=略称・ちび探」で今年は「パパ探」をしようではない
か、という話が出ている。
子どもたちを通じて知り合った縁をオヤジたちも生かさない手はない、なにか
いっしょにやることでオヤジたちも新しい世界を発見できるのではないか、そ
うすることでこの縁をふくらませるのではないか、というねらいがそこにはあ
る。
そのとっかかりとして考えられているのが、春の野草パーティーで、焚き火を
つかってオヤジたちだけでなにか一品つくってはどうかというのものだ。
前号の編集後記で、イラストレーターの大内正伸さんの囲炉裏を中心にした山
里暮らしを伝えるブログ「神流アトリエ日記(2)」を紹介した。
神流アトリエ日記(2)
http://star.ap.teacup.com/tamarin/
大内さん流のパンやチャパティづくりなどはオヤジたちもおおいに楽しめそう
だ。そして、いささか(いや相当)話がとぶのだが、それは、今日高度に管理
化された「火」を自分たちの手に取り戻すことにもつながるのではないか。
2008年03月21日
山崎農業研究所会員・田口 均
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となっております。投稿される方はこちらのアドレスにお願いします。
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書名:岩波アクティブ新書45『メールマガジンの楽しみ方』
著者:原田 勉 定価:735円 発行日:2002年10月4日
発行所:岩波書店 ISBN4-00-700045-X
まえがき・目次・著者紹介・注文方法はこちら
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