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『電子耕』No.227-2008.02.08号

発行日: 2008/2/8






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隔週刊「農業文化マガジン『電子耕』」  第227号
−環境・農業・食べ物など情報の交流誌−
2008.02.08(金)発行      山崎農業研究所&編集同人
<キーワード>
環境・農業・健康・食べ物などの情報提供、高齢者と若者、農村と都市の
交流ミニコミ誌。山崎農業研究所&『電子耕』編集同人が編集・発行。
http://www.taiyo-c.co.jp/public_html/yamazaki/yama_index.htm
*************************************発行部数  1337  部***************
□  目  次    □----------------------------------------------------
<巻頭言> 食品の安心安全 安富六郎
<82歳からのメッセージ> 吉永小百合の映画『母べえ』を見る 原田 勉
<まぼろしの青山上水> その3.忘れられた堀 安富六郎
<編集後記> こんな状態つづくわけがない
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<巻頭言> 食品の安心安全
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 子どものとき「うまいの、まずいの」男は言わないといわれたものだ。昭和
の初めの時代には何時も腹が空いていて、食べ物であれば何でもうまかった。
このように「食べ物音痴」であることを前置きしておく。

 最近、農文協から送られてきた雑誌を見たら、食品添加物についての記事が
載っていた。これを読むと、驚くほど多くの添加物が加工食品に使われている。
現在、外食する人は毎日多くの食品添加剤も食べていることになる。その添加
薬品の数の増大、食事回数などにも依るが、最近の摂取総量は増えているとい
う。とくに外国から長時間かけて船で輸送される農産物はあらかじめ薬で処理
されるであろうから、輸入物の場合には大いに気になる話である。人体に無害
な添加物や薬品などはあり得ないと思う。

 食品賞味期限の書き直しなどが新聞沙汰になる。コンプライアンスとかいう
話も出てくる。何のことかよく理解できない。どうしてこんな厳密な賞味期限
があるのだろうか。家内は呟いている。むしろ製造月日を知りたいという。あ
とは消費者の自己判断でよいのではないか。なるほどそうかも知れない。しか
し輸入食品には厳しい注文になろう。

 ファミリーレストランで働いていたアルバイト学生に聞いたことがある。商
品は賞味期限切れのあとは廃棄される。もったいないから、これをもらいたい
と言ってもくれなかったそうだ。食料自給率の40%にも満たないわが国で、
さらに40%位は廃棄されているというニュースも読んだ。たしかにもったい
ない話だ。 戦後の食糧難時代を体験した自分には、このような現在の食品へ

法的対応は空虚に聞こえる。

 外国からの強制に近い牛肉の輸入問題でも同じような矛盾を感じるが、食べ
物は心理的な安心感がなくては同じものでも、美味しさは異なろう。いまBSE
はどうなったか。偽りのない安心できる対応をまず考えるべきだ。机上の空論
よりも安心安全が大切だ。

安富六郎
山崎農研会員 電子耕編集同人
y.noken@taiyo-c.co.jp

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<82歳からのメッセージ>  吉永小百合の映画『母べえ』を見る
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 1月30日、映画を見てまず思い出したのは、昭和18年上京してまもなく、予
備校に通っていた時、駒込病院角の交番に呼び止められ、氏名年齢住所を聞か
れて、「指先を見せろ、煙草を吸っていないか。この非常時にぶらぶらしてい
るのは何事か、え?予備校だ?ウソだろう」通学証を見せてやっと解放された
が、頭に来たことおびただしい。しばらく勉強もできず、東京って嫌なところ
だな、非常時って恐ろしいものだと思った。

 その後も、一年の間に8回も捕まった。氏名も住所も分かっているのに、何
度も咎められるとはどういうことかと思うが反抗できない。権力の末端までか
くのごとくだった。

 映画も見て、今は常識になっているが、治安維持法って何てひどいことだろ
う。微罪で拷問され、留置場に入れられ、死に至る病になっても放置される例
さえあった。


 この映画は、監督山田洋次さんもいうように「1940(昭和15)年から1941
(昭和16)年にかけての東京の郊外のつましい家庭が舞台です。間もなく太平
洋戦争が始まろうとする、あの絶望的な時代を懸命に生きる人々の、愛に溢れ
た笑いや悲しい涙を、そっとスクリーンに写し取りたい、そしてあの戦争で悲
しい思いをした人々、さらには今さえもなお戦渦に苦しむ人たちすべてに想い
を馳せながらこの作品を作り上げたい、と念じています」

 物語は、1940年2月、東京に暮らす野上家では、その夜も夫の滋(板東三津
五郎)と妻・佳代(吉永小百合)、2人の娘たちが家族揃った最後の晩餐にな
るとも知らず……。翌早朝、ドイツ文学者である滋が、治安維持法違反で検挙
される。政府批判につながる反戦を唱えたというのだ。怯える家族を残して、
刑事に連れ去られる滋。

 警察署長をしていた父・久太郎(中村梅之助)に猛反対された結婚だったが、
佳代は後悔したことはなかった。夫への尊厳と愛情を胸に、しっかり者の長女・
初子と天真爛漫な次女・照美の成長を楽しみに、つましくも、明るく前向きに
暮らしていたのだ。野上家ではお互いを「父べえ」「母べえ」「初べえ」「照
べえ」と愛称で呼び合う仲睦しい家族だった。

 しかし、突然夫を奪われた日から、波乱の日々が始まった。

<ここから物語詳細の記述になります>


 不安と悲しみを募らせる野上家に、滋のかつての教え子である山崎徹(浅野
忠信)が訪れてくる。山崎は調べてきた面会手続きについて佳代に伝え、涙を
浮かべて励ました。………山崎の助言を受けて、佳代は何度も検事局や警察署
に通い、桜が満開の頃、ようやく滋と面会が叶う。それから間もなく拘置所に
移され、定期的な面会や手紙のやりとり、差し入れが許されるようになった。


 佳代は小学校の代用教員として一家の生計を支える。仕事と家事に追われる
毎日の中、滋の妹・久子(檀れい)が折りにふれ顔を出し、手伝いに来てくれ
た。

 夏休みになると叔父の仙吉(笑福亭鶴瓶)が奈良から上京してきた。変わり
者でわが道を行く性格の仙吉は、贅沢品撲滅運動を行っている婦人運動家たち
と一悶着を起こしたり、家で初子にデリカシーのない発言をして怒らせてしま
う。しかし、佳代は仙吉のあけっぴろげな率直さが心の救いなのであった。し
かし、その仙吉もやがて奈良に帰っていった。生活の足しにするようにと、大
事にしていた金の指輪を置いて……。

 1941年、滋は改心すると誓う転向上申書がなっていないと検事に突き返され、
「国賊」と非難された。

 父・久太郎が上京してきた。娘婿が思想犯として逮捕されたことによって公
職を辞した久太郎は離婚しろと佳代に迫る。しかし、どんな苦境に立たされよ
うとも、佳代の滋を想う気持ちは、一点の曇りもない。ついに久太郎から勘当
を言い渡されてしまう。


 1941年、日本軍はハワイ真珠湾を攻撃、ついに太平洋戦争が始まった。

 1942年、1月ますます激しくなる戦況のなか、野上家に一通の電報が届いた。
滋の死の知らせである。………やがて山崎も応召。

 そして野上一家は戦後もたくましく生きて行く。

<あらすじ ここまで>


 見終わって、明るくなってもしばらく、じっと座っていた。涙が流れるのを
そのままにして……。


 原作は、次女・野上照代さん(長年に渡り黒澤明監督のスクリプターを務め
た)のノンフィクション「父へのレクイエム」(改題・現『母べえ』)である。

 この作品は、吉永小百合の代表作として後世にに残るものであろうと思った。
戦中庶民の母の代表の姿であった。


原作:『母べえ』
野上照代 著 / 中央公論新社 / 価格:1,155円(税込)
http://www.amazon.co.jp/dp/4120038955/

映画『母べえ』公式サイト
http://www.kaabee.jp/

映画「母べえ」 吉永小百合さんが演じる「あの頃」の母・インタビュー
http://secondlife.yahoo.co.jp/hobby/special/080124/

『母べえ』檀れい インタビュー
http://movies.yahoo.co.jp/interview/200801/interview_20080124001.html

『母べえ』インタビュー:浅野忠信
http://feature.movies.jp.msn.com/interview/080121_b_1.htm

『母べえ』完成会見
http://www.cinemacafe.net/news/cgi/report/2007/12/3033/


山崎農業研究所会員・『電子耕』編集同人
原田  勉
tom@nazuna.com
http://nazuna.com/tom/

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<まぼろしの青山上水> その3. 忘れられた堀
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 青山上水の取水口遺構を探すために大木戸(四ッ谷4丁目交差点)周辺を歩
く。いまは大木戸の古跡の一部は新宿通りの御苑大木戸門側に記念碑として残
されている。残念なことに青山上水については明確なものを見いだすには至ら
なかった。新宿一帯は戦後、地下鉄、道路トンネル、道路付替え工事など、原
形をとどめぬほど、大変化をしているところである。

 新宿内藤町、新宿御苑周辺の地形図(国土地理院)を見ると、甲州街道
(旧)は台地の上を通っている。関東ローム台地には迷彩服の嵌め絵のような
独特な形の谷津が広がっている。玉川上水の吐水門はこの台地の甲州街道(新
宿御苑前道路東西)の南側にある。その吐水門からの水は堀を流れて千駄ヶ谷
から渋谷方面の谷津に通じていたことが分かる。

 古地図(1772)を見ると堀の流れに水車が描かれていることから、水量も安
定していたのであろう。新宿御苑内の東南には小川と溜池があった。堀の水は
この小川と合流して渋谷川の源流となっていた。溜池の一部は現在も御苑内の
庭園池として残っている。当時はその周辺には水田もあり、玉川上水からの吐
水は堀を通してこの溜池に影響を与えていたと思われる。しかし、この溜池が
上水の貯留池として利用された形跡はない。

 この堀はいまは空堀になっていて一見、上記の谷津の頭(谷地頭)のように
も見える。しかし吐水門、堀周辺には谷地頭特有の地形として、なだらかな落
ち込むような斜面はなく、地形図をみても斜面または埋立てられた形跡もない。
このことから、この堀割は人工による素堀の水路である。堀の幅は約5m、堀
の深さは約2m、底面は平坦、一定の矩形断面で下流につながっている。原形
からはかなり変形したと思われるが、昔のおもかげを残している。

 青山上水はこの堀の最上流端にある吐水門から取水されていたが、上水路は
この堀の東側を100m範囲の距離で並行している。一般に水を効率よく目的地ま
で運ぶには屈曲の少ない短距離輸送が望まれる。このことを考えると、吐水門
をこの堀の下流に設けて、ここから青山上水を取水すれば、距離短縮効果だけ
でなく貯水ダムとなって、安定した水供給を可能にしたのではなかろうか。

 現在、堀の最上流の吐水門堰のあった場所にはビルが建っている。堀の一部
は御苑柵、あるいは御苑西通りの千駄ヶ谷方面への坂を下った所の小橋から見
ることができる。青山上水は吐水門に始まっていたので、この堀は遺構の一部
であろう。新宿のど真ん中にある「忘れられた堀」である。新宿玉川上水の水
流復活計画には、ぜひこの堀の歴史も重要な遺産として残しておきたいものだ。

安富六郎
山崎農研会員 電子耕編集同人
y.noken@taiyo-c.co.jp

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記事の訂正
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電子耕224号の「第127回定例研究会要旨―都市化の中での農業経営=基本戦略
(その1)」の記事中に誤記がありました。

(誤)秦野市農協は、大型農産物直売所“じぱんず”
(正)秦野市農協は、大型農産物直売所“じばさんず”

読者の皆様ならびに関係者の方々にお詫び申し上げます。

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<編集後記> こんな状態つづくわけがない
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先日(2月2日)、田んぼの生きもの調査プロジェクト主催「田んぼの生きも
の調査全国シンポジウム」を聞きに行った。そこで記念講演をされたのが農民
作家の山下惣一さん。タイトルは「農と食の未来を見つめて」である。

山下さんは、いまのように外国に頼りきっている日本の農と食に未来はないと
いう。そのことを山下さんは、食料の生産地から食卓までの輸送量に距離を掛
けたフードマイレージという考え方で説明された(単位:t・km トン・キ
ロメートル)。

この国の輸入食品の平均輸送距離は1万5000キロ。なんと東京から南アフリカ
のケープタウンまでの直線距離に相当するという。ちなみに食品総輸入量は
5800万トン(2001年)だから、フードマイレージは、5800万トン×1万5000キ
ロ=約9000億トン・キロメートルと、気が遠くなるような数字になる。

それだけではない、と山下さんはいう。食料をつくるには水が必要だから、食
料を輸入することは水を輸入することでもある。食料輸入大国の日本は水輸入
大国なのだが、これは輸出国の水資源の酷使につながる。さらに、食料生産に
は肥料もいるが、大量の食料輸入=肥料輸入によって、土に戻らない・戻さな
い肥料分、とりわけ窒素が国内にたまるおそれもある。

「こんな状態がつづくと考えるほうがおかしいでしょう」

作家活動を始めて40年になる山下さんが、なんとしても伝えたい、説き明かし
たいのは「この国に農がなくてはならない理由」だという。「そんなの言うま
でもないでしょう」と言いたい気持ちをぐっとこらえて、最近のぎょうざ事件
のことを考えてみると、「安くて安全ならば外国から買えばいいではないか、
この国でつくることはないのではないか」と考える人がずっとふえつづけてき
た、その結果がいまなのではないかと思えてならない。

2008年02月07日
山崎農業研究所会員・田口 均
y.noken@taiyo-c.co.jp

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