『電子耕』No.226-2008.01.25号
発行日時: 2008/1/25
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隔週刊「農業文化マガジン『電子耕』」 第226号
−環境・農業・食べ物など情報の交流誌−
2008.01.25(金)発行 山崎農業研究所&編集同人
<キーワード>
環境・農業・健康・食べ物などの情報提供、高齢者と若者、農村と都市の
交流ミニコミ誌。山崎農業研究所&『電子耕』編集同人が編集・発行。
http://www.taiyo-c.co.jp/public_html/yamazaki/yama_index.htm
*************************************発行部数 1335 部***************
□ 目 次 □----------------------------------------------------
<巻頭言> たらい回し 小泉浩郎
<読者の声> 大山さんから
<82歳からのメッセージ> 一番親しかった友の追憶
<まぼろしの青山上水> その2.水路配置の謎 安富六郎
<編集後記> 農家はなぜ米をつくりつづけるのか
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<巻頭言> たらい回し
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戦後最大の農政改革、複雑で難解な政策が矢継ぎ早に実施に移されている。
例えば、その中心的な施策、品目横断的経営安定対策では、ゲタ交付金(諸外
国との生産条件格差を是正するための補填)とナラシ交付金(収入の変動の影
響を緩和するための補填)がある。また、ゲタには、過去の実績で助成する緑
のゲタ、生産数量で助成する黄ゲタの2足があると言葉は軽いが難解な説明が
続く。
2足のゲタを履き、収入変動をナラせば、経営が安定するというから、生産
現場の具体例で検討した。分からない事が2点出てきた。パンフレットにある
県の担当課に電話をした。内容を説明すると「担当の係と変わります」という。
変わった担当の係に再度説明すると「担当の者が不在、折り返し電話をしま
す」と電話は切れる。30分待っても返事がないので再度電話すると「どうい
うことでしょうか」。また1から説明したところ「国の農政事務所に聞いてく
れ」という。
業を煮やし霞ヶ関農水本省に同様の電話を入れた。ここでもたらい回し、3
人目でやっと説明を聞くことが出来た。行政組織の細分化、担当の専門深化も
良いが、専門以外、担当以外を語ろうとせず、たらい回しである。農家用パン
フレットに書かれているもの位は、担当や専門が違っても、農政を担当してい
るプロとして、説明出来るのは当然ではないか。勉強していないのか、責任回
避なのか。どちらにしても、これで戦後最大の農政改革が可能だとは思われな
い。
今日(1月24日)の新聞、「11病院断られ95歳死亡」「自宅前で救急
車40分待機」の記事。いろいろな理由からの「いのち」のたらい回しである。
一刻も早くプロである医者(専門は違っても)に届けていれば事態は変わって
いたに違いない。命を預かる病院と医者に勉強不足、責任回避はないと信じる。
小泉浩郎
山崎農研事務局長
y.noken@taiyo-c.co.jp
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<読者の声>
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■01/11 大山勝夫さん:地方都市の空洞化に拍車
前号・編集後記で田口均氏が指摘された問題提起に同感。そのことに関連して
私もある雑誌に「大型店の進出と地方の空洞化現象」について掲載した。
数年前、米どころで知られる庄内平野のど真ん中に、複合型大規模商業施設
「アクロスプラザ三川」がオープンした。鶴岡市と酒田市のほぼ中間にある水
田約32haの敷地に30以上の各種テナントが並ぶ。駐車場は1600台以上が収容可
能で、まるで空港を連想させる。
ところで、このような大型ショッピングモールの出現は、都市の空洞化、いわ
ゆるドウナツ現象に一層拍車がかかり、都市中心部の商店街は危機的状況にお
ちいっていることも事実である。
もう一つの問題点は大型デベロッパーの姿勢である。当然のことながら大型店
は利益中心であるから、儲からなくなれば地域住民にお構いなく、さつさと撤
収してしまう。具体的な事例をあげよう。JR鶴岡駅前にあった大型店はテナン
トもないまま取り壊され空き地となってしまった。また、郊外の大型書店は経
営不振で閉店に追い込まれる始末。
そこで気になるのは、ショッピングセンターの開設当初は地域住民に利便性を
もたらすが、それによって従来から地元で馴染んできた個人商店が次々に廃業
に追いやられる。その後、大型店は利益をがっぽり得て、採算が合わなければ
撤収とくる。残された地元住民、とりわけ高齢者はどうなるか。まさにその責
任は田口氏が指摘するように、大型デベロッパーとそれに乗った住民側にある
のではと思った。
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<82歳からのメッセージ> 一番親しかった友の追憶
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2008年の正月は哀しみの中に明けた。親戚の友が二人亡くなった。ひとりは
1月3日、もうひとりは1月8日だった。ともに同じ年齢だったし話相手だったの
に、二人も失うことは辛いことであった。
そのうち1月8日に亡くなった親友は、17才の齢から同じ家に住み、兄弟のよ
うに叔父叔母に育てられた仲だった。
昭和17年、彼は叔父の建築工務店で働きながら夜間工業学校に学び、私は予
備校に学びながら工務店のアルバイトをしていた。当時建築中であった世田谷
のお邸の建材を二人でリヤカーで運んだり、現場見廻りの仕事をした。
昭和18年、彼は肋膜で江戸川の自宅で療養し、私は18年12月に中島飛行機に
徴用された。
昭和19年、二人とも19才で繰り上げ徴兵検査を受けた。共に結核の既往症が
あったため第三乙種合格で入隊することになった。
彼は6月に佐世保から中国内モンゴルのフフホトで初年兵教育を受け、その
後中国縦断作戦に従って南下、敗戦は南昌で迎えた。その間、食料不足に悩ま
され何度か死ぬ目にも遭った。幸い無事に昭和22年復員して工務店に復職した。
私は19年12月に四国松山の航空教育隊に入り、敗戦は仙台の飛行学校であっ
た。徴用で中島飛行機で働いていたおかげで内地勤務で命を拾った。20年の12
月軍関係学校から農林高等専門学校に転入学試験を受けて合格。叔父の家から
通学した。
22年彼が復員してからまた同居生活が始まった。学校が休みの時はまたアル
バイトで建材運びなどを手伝った。工務店の同じハッピを着て上棟式に出るこ
ともあった。
卒業後は私は就職し、彼は叔父の下で建築業に専念した。しかし朝鮮戦争後、
日本は急激に景気が悪くなり、建築業も倒産が続いた。
昭和29年にはついに叔父の工務店も倒産。叔父は隠遁し、借金ことわりや残
務整理に苦労したのは彼だった。長い苦闘の中、ようやく叔父と彼は合同工務
店を再開、彼が中心になって発展させた。
この間彼は、戦地でマラリアに罹った後遺症で何度も発作を起こした。また
肺結核で左肺上葉摘出の大手術を受けた。これが原因で後に肺気腫に悩まされ
続け、死因にもなった。
彼は、叔父夫妻と血縁は無い。一番縁の遠いのにもかかわらず、倒産以来同
居して病気の世話をし続け、夫妻の最期まで看取ってくれた。
しかも死後の法事も彼の手で行われた。
本来ならば甥の私が面倒みなければならないのに、と思うと、彼になんと礼
を言っていいか分からない。
彼に最後に会ったのは、12月18日、病院で食事中だったが、自分では身体も
動かすことが出来ない程だった。今まで何度も入院したが、いつも気力旺盛で
何度も切り抜けてきた。
最後もその気力に期待したが、ついに1月8日帰らぬ人となった。
彼は常に正義感が強く、不正を憎み、政治の悪いことに憤慨していた。老後
はともに電話だけの交流であったが、同じ考え、同じ志を確かめあった。
友よ、君は死んではいない。跡継ぎの若者や娘達は君を忘れない。忘れられ
ない人はいつまでも生きている。
その跡継ぎの若者達に、君の在りし日の姿と清き志を伝えて行こうと思う。
2008年1月20日
山崎農業研究所会員・『電子耕』編集同人
原田 勉
tom@nazuna.com
http://nazuna.com/tom/
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<まぼろしの青山上水> その2.水路配置の謎
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江戸時代初期の古地図(明暦3年1657、寛文10年(1670)、貞享時代(1684
〜)など)を見ると、すでに青山上水計画の時点で新宿甲州街道周辺には家が
建ち並び、その後も町並みの大きな変化はない。なかでも新宿四ッ谷は宿場街
として人家の密集した繁華街だ。青山上水の水路配置は三田上水(1664)、千
川上水(1696)と比べ、なぜか地形よりも既存道路への依存が強い。
玉川上水は甲州街道沿を東方向に流れていた。その開削水路は新宿四谷大木
戸の水番屋(水管理所)で終わっている。管理所の周りには垣根があって、そ
の垣根の外へ玉川上水路からの余水吐水路は南に延びていた。そこに吐水門
(余水吐け)があって、余水はこの吐水門から渋谷方向の谷津に放流されてい
た。
青山上水の既設道路への依存傾向を確かめようと古地図と照合しながら水路
跡を辿る。水路は一旦、甲州街道(一部新宿通り)に沿って、四ッ谷方向に数
十メートル東進する。
そこから街道を右折し、直線の路地(南北)に入り、南に200〜300mほど進
む。さらに左折して東進するが、この路地はカギ型(クランク状)で直線では
ない。水路は忠実に既設路線をたどって現在の大京町→外苑東通り(左門町)
まで至っている。この路地は350年以上ほとんど変わっていない。驚くべきこ
とだ。
水路は外苑東通りを南進して青山方面へつづく。この通過した取水口から左
門町までの通路を現在の微地形図に対応させると、低地を横切っている。低地
は水路敷設の難所であり、暗渠にした場合も再び開渠にするには工夫を要する
ところである。一般に低地を通る水路は洪水にも弱く、優れた選択ではない。
玉川上水からの吐水門について見よう。「上水記」の四ッ谷大木戸からの吐
水門周辺水路の原図をみると取水口の位置は示されていない。この周辺図から
判断すると、余水は常時、下流の谷津に流れていたので、取水口は出来るだけ
上流側に設けたものと思われる。すると取水口は吐水門の上流側にあったこと
になろう。
青山上水の取水口には構造上、角落しのような堰を要する。すると堰のため
にその内外に水頭差が少なくとも数十センチは出よう。その分水を再び高位に
ある甲州街道側に寄せたのは既設道路のために無理をしたのだろうか。
甲州街道側には江戸城方面にへの小水路がすでにあったから、はじめからそ
こから分水して、通路をすこし変えれば、低地を通過することなく上水を地形
に沿って流せたのではなかろうか。
以上のことを考えると水路配置にはかなりの無理が感じられる。水路に叶っ
た設計をなぜしなかったのであろう。僅かな市街整理と水路改修をすれば、既
存道路に規制されずに水路は、もっと改善されたはずだ。これがはじめに感じ
た上水への印象である。
安富六郎
山崎農研会員 電子耕編集同人
y.noken@taiyo-c.co.jp
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<編集後記> 農家はなぜ米をつくりつづけるのか
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電子耕224号の編集後記で、もうかるもうからないでいえば日本の米づくりは
すでに破綻しているのではないか、といささか過激な(?)文章を書いた。
それにしてもと思うのである。1ha程度の米づくりであればほとんど手元には
残らない。機械を買い換えたりすればすぐに赤字である。米価も下がる一方で
あるのに(10年ほど前、60kgで2万円以上ほどしていたのが、今は1万数千円
である)、補助金も限定された大きな農家にしか支払われないような方向に変
わっきているのに、なぜ農家は米をつくりつづけるのか。
しかしそう考えること自体が農家のものの考え方とずれているのだろう。
「家族が喜び、家族が安心して食べる食べ物を育てる、その小さいけれども畑
があるというのは、何よりもまず安心の元になるのだということを、そして楽
しく生きるのならまずあたい(家庭菜園)をもちなさい、ということを沖縄の
おばあ・おじいから学んだように思います」。
これは民俗研究家の結城登美雄さんの言葉である。家庭菜園と米とでは話がち
がうよという人もいるかもしれないが、社会がどう変わろうとも農家が米をつ
くりつづける理由はあんがいこのあたりにあるのではないかと思う。
日本の米づくりなどというから話が見えなくなるのである。家族の暮らしの安
心の元としての米の自給。この思いがあるかぎり農家は米をつくりつづけるの
ではないか。
2008年01月24日
山崎農業研究所会員・田口 均
y.noken@taiyo-c.co.jp
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