『電子耕』No.224-2007.12.28号
発行日時: 2007/12/28
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隔週刊「農業文化マガジン『電子耕』」 第224号
−環境・農業・食べ物など情報の交流誌−
2007.12.29(金)発行 山崎農業研究所&編集同人
<キーワード>
環境・農業・健康・食べ物などの情報提供、高齢者と若者、農村と都市の
交流ミニコミ誌。山崎農業研究所&『電子耕』編集同人が編集・発行。
http://www.taiyo-c.co.jp/public_html/yamazaki/yama_index.htm
*************************************発行部数 1335 部***************
山崎農業研究所所報「耕・114号」発行しました!
山崎農業研究所所では会員向け機関誌として「耕」を年4回発行しています。
114号では、電子耕でも紹介した、宮城県丸森町物産センター・なんでもやさ
んの山崎記念農業賞の表彰式の模様や、民俗研究家である結城登美雄さんのお
祝いの言葉などを掲載しました。
〔目次より抜粋〕
(巻頭言)「参加型農村開発」の「参加」を問う◎小泉浩郎
第32回山崎記念農業賞贈呈式
お祝いの言葉:丸森・沖縄1800キロをつなぐもの◎結城登美雄
総会記念講演:地方の再生と内発的発展◎西川 潤
〈特別寄稿〉夕張問題がなげかけているのは何か 関 曠野
〈連載〉畦道・赤トンボのナショナリズム(8) 宇根 豊
会員外の方にも頒価1000円(1部)でおわけしていますので、希望の方は、
y.noken@taiyo-c.co.jp
までご連絡ください。
□ 目 次 □----------------------------------------------------
<巻頭言> 土づくりの現場を訪ねて 熊澤喜久雄
<読者の声> 大山さんから
<山崎農研会員ニュース>
アイガモ水稲同時作の古野隆雄さん、
博士号おめでとうございます。 安富六郎
<82歳からのメッセージ> 想い出の母・その一 原田 勉
<山崎農業研究所第127回定例研究会要旨>
話題提供者2:湘南地域における花き、野菜を中心とした農業経営 林 勇氏
<編集後記> 笹カマボコひとくち=イチゴ1つぶ=ポッキー4本=?
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<巻頭言> 土づくりの現場を訪ねて
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11月のある日、佐原市で三十年近く有機農業を営んでいる林さんを訪ねた。
林さんは有機農業の実践者として知られる小川町の金子さんと同じく堆肥によ
る土づくりを基本としている。
林さんの堆肥は大量に持ち込まれる市の公園を中心とした剪定枝をチップ化
したものに自家の農場野菜残さと養鶏150羽から出る鶏ふんを混和して堆積発
酵させたものである。窒素0.6〜0.7%程度を含む昔風の堆肥が得られる。
この堆肥を毎年10アール4トン程度、春にトラクターで耕起する際に施用を
し、5年に1度、カキ殻を入れて石灰の補給をしている。特別な作物以外は追肥
しない。その結果、有機農業を始めた当初は黄色くなって収穫の少なかったホ
ウレンソウなども現在では何ら差し障りがなく、良く生育するようになった。
広い畑地は柵状に区分され、年間80品目にも及ぶ様々な作物が作り廻しされて
いる。
検土杖(土壌断面の状態を調べるための杖)を差し込むと、表層40cm程度は
黒ボク土でその下に赤土の心土が現れる。作土深は20〜25cm程度と推定された。
植物性の堆肥施用を長年続けた結果、この壌質の作土は有機物を十分に蓄えた、
団粒構造の発達が感じられる麹土とでも表現できるような土になった。
年間4トンの堆肥中の窒素は含有率を0.7%とすると28kgとなるが、これ以外
の肥料がない場合には、マメ科作物などによる若干の窒素富加はあるにしても、
施用された堆肥中の窒素は殆ど完全に吸収利用されているという計算になろう。
ちなみに林さんの家の井戸水は硝酸性窒素が検出限界以下であった。野菜の
品質も良く、愛農学園に学んだ息子さんの経験では植物性堆肥で作った野菜は
動物性厩肥で作ったものより日持ちが良いとのことである。頂いた枝豆はまた
抜群の味であった。
改めて年齢を刻み込んだ土づくりの重要性を認識した一日であった。
熊澤喜久雄
山崎農研会員、東大名誉教授
y.noken@taiyo-c.co.jp
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<読者の声>
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■12/23 大山勝夫さん:電子耕にみる2007年
今年もあと数日となった。読者のひとりとして電子耕、この1年を
巻頭言を中心にふりかえってみたい。
世相を表現する漢字は前年の「命」から今年は「偽」となったそうだが、
残念ながら2007年の世相は食品偽装や政治の偽りの年であった。
このことは電子耕:巻頭言にも如実に反映している。独断と偏見を恐れず、
それらの課題を分けてみた。
食問題:6編 世相:4編 農業問題:4編 選挙:2編 地球温暖化:2編
災害・環境:2編 郵政民営化:1編 地方格差:1編 バイオ燃料:1編
マスコミ批判:1編 その他となっている。
これらの主張は、まさにこの1年の社会の動きに対して、農と食と環境の分
野からの社会的な貴重な発言であったといえよう。これからも建設的な主張
を展開していただきたい。
最後になったが、原田勉氏の「継続は力なり」との意思を引き継がれ、田口
均氏を中心とした編集に携われる方々のご苦労に対して感謝したい。
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<山崎農研会員ニュース>
アイガモ水稲同時作の古野隆雄さん、博士号おめでとうございます。
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山崎農業研究所は、30年以上にわたって毎年、農業に役立ちながら社会にま
だ十分に評価されていない優れた実践や調査研究に「山崎記念農業賞」を贈呈
しています。
古野隆雄ご夫妻は合鴨水稲同時作の確立と普及を通じて、日本とアジアの農
業に新風を送っていることで、その第21回(1995)を受賞されています(*)。
この後、古野さんは今までやってきたことを学術的にまとめ、このたび、九
州大学に論文を提出し博士号を授与されました。このことは山崎農業研究所と
しても、おめでたいことと思います。
この博士論文「アジアの伝統的アヒル水田放飼農法と合鴨水稲同時作に関す
る農法論的比較研究」を、かって現地にお邪魔した時のことを思い出しながら、
さっそく読ませていただきました。
内容のすばらしさは、(1)アジアの伝統的な技術を世界的視野に立って解析
し、わが国の風土にあった合鴨水稲同時作技術を編み出したこと、(2)自然の
中の物質循環を通して、環境にマッチした持続的な農業生産方式であること、
(3)ヨーロッパの三圃農法に匹敵する高度な生産方式として「同時作」という
土地利用体系を実現したことにあると、思いました。
以上のように古野さんの農業への情熱と新しい試みを一つの技術にまとめ上
げた努力に敬意を表したいと思います。
*山崎農業研究所 所報「耕」 No.70 (1996 )
山崎農研会員 電子耕編集同人 安富六郎(専門:農地工学)
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<82歳からのメッセージ> 想い出の母・その一
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母シヨは、明治21年8月25日、熊本県天草郡本渡町 吉盛由三、チカの
三女として生まれた。
吉盛由三は金銀細工師で、根付けなど細工を得意とし、時には肥後象眼も行
った。
シヨは明治40年11月24日熊本県天草郡佐伊津村 原田留太郎に婚姻入
籍した。
ここで長男・勝武、次男・武留(夭折)、三男・卯三男、長女・シズエ、次
女・ナカエ(夭折)、四男・司人士、五男・勉、三女・芳香をもうけた。
つまり、五男の原田勉が私である。大正14年3月21日に生まれ、現在
82才になる。はるかに70年前、物心ついた10才位のころからの母の想い
出を語ることになる。
一番の衝撃は昭和8年3月18日午前2時頃、父留太郎が自裁したことであ
る。
母はその時48才、私は8才であった。当時は、何で死んだのかわけもわか
らず、涙も出ず、只呆然として、母が、駐在巡査に話をしていた姿だけが記録
に残っている。
その他は湯灌を手伝っているとき父の背中を流したこと、葬式の時、庭一面
に座り込んで拝んでいる村人が異常に多かったことだけである。村人に敬愛さ
れていたことはあとで知った。
母は街から来た嫁として、敬愛される反面、村の女たちからは敬遠され、ひ
がめで見られていた。
それは、未亡人になってから忽ちあらわれた。母は家業の精米所を従業員に
支えられ、維持していたが、米の担い売りをしに村中を廻った。村の女の冷や
やかな眼の中、幸い漁師の部落で歓迎された。
父の死のとき、長男の勝武は、前年結核で死亡。あとには18を頭に5人の
子どもが残された。
父の死は借金返済のための保険金自殺とわかったのは、後のことである。一
家は窮乏のどん底にあった。そこで母の担い売り、姉の日雇い出稼ぎなどでし
のいだ。
三兄の卯三男は病弱の為、精米業の手伝いも充分でなく、姉のシズエは高等
科一年のとき、満州チチハルに女中奉公。父の死に目にもあえなかった。
私は小学3年生、時には、かまどの火をくべたり、風呂たき、にわとり小屋
の掃除などを手伝った。
かまどの前でつくねんとしている時、母は、無口になった私をいぶかって、
何か心配ごとでもあるかと聞いた。
また、町に担い売りに行って帰りが遅いときは峠まで迎えに行った。母を心
配する気もあったが自分がさびしかったからである。
それを母は親孝行と思ったようで喜んだ。
(つづく)
山崎農業研究所会員・『電子耕』編集同人
原田 勉
tom@nazuna.com
http://nazuna.com/tom/
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<山崎農業研究所第125回定例研究会要旨>
第127回定例研究会要旨―都市化の中での農業経営=基本戦略(その1)
2007年12月8日(土) 太陽コンサルタンツ(株)会議室 参加者23名
〔講演要旨〕
2.湘南地域における花き、野菜を中心とした農業経営
林 勇 氏 神奈川県秦野市、秦野市農協・園芸技術顧問
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報告者の居住する秦野市は、湘南地域のうちでも西部に位置している。西の
丹沢山系に接する区域は山間部であるが、平坦部は古くからの畑作園芸地域で
あり、市の人口が現在約17万人と増加している中にあっても、高レベルのしっ
かりした園芸農家がいくつも数えられる。
初めにその事例であるが、花き作の農家ではバラやカーネーションなどを中
心に、多様な経営が見られる。「土にこだわり、品質にこだわり、コストにこ
だわるバラ作り44年」、「ロックウール栽培、アーチング仕立てでの銘柄バラ
生産」、「新品種導入、バケット低温輸送などへの先駆的な取組みのバラ栽
培」、「ハイレベルの生産技術によるカーネーション等の生産と自家直売所で
の有利販売」、「カーネーション、ガーベラ、キンギョソウなど多品目の自家
生産と仕入れを組み合わせた自家直売を展開」、といった経営事例である。
野菜作の農家では、「養液栽培での高濃度トマト生産」、「施設野菜と露地
野菜での多品目(トマト、キユウリ、ホウレンソウ、カボチャ、タマネギ苗な
ど)生産」、「施設野菜(トマト、キユウリ)と露地野菜(いろいろ)、野菜
苗、柿」、といった経営事例である。
秦野市農協は、大型農産物直売所“じぱんず”を2002年11月にオープンした。
最近1年間の売上げは7億円を超え、しかも地場産品率が70%以上で活気に溢れ
ている。ここへの生産物の出品で、野菜では定年帰農者や女性農業者などの新
たな野菜生産者たちの活躍が目立っている。一方、花きでは上記の経営事例等
の専業農家の夫人たちが、特にフラワーアレンジメントでの出品で大活躍をし
ている。
(文責:石川 秀勇)
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<編集後記> 笹カマボコひとくち=イチゴ1つぶ=ポッキー4本=?
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答えはご飯1杯分の米の値段である。
久しぶりに学生時代の友人たちに会い、日本の農業の話、それも米作の話にな
った。「日本の農業」などと大きな言葉づかいはもともと性にあわないのだが、
友人たちの話を聞きながらオヤ? と思った。
よりよい品質のものをより安くつくるのが産業としての農業の役割である、と
言うのだ。
言葉としてはわからないではない。しかしすでに米の値段は、上記のようにイ
チゴ1つぶていどなのである。
こう言うと、値段が高くとも売れる米をつくればよいという反論がかえってき
そうだが、それにも限度があるだろう。極端にいえば、高いから作る・安いか
ら作らないという論理でいけばずっと前に日本の米づくりは破綻しているので
ある。そうならなかったのはなぜなのか。あるいはそれほど高くなくてもいい
から来年またつくってみようと思う値段というのはどのくらいのものなのか。
「鳴子の米プロジェクト」ではこの1杯20円の米を24円にしようという試
みに取り組んでいる。というか、「笹カマボコひとくち……」はこの「鳴子の
米プロジェクト」の方に教えていただいた話である。
割に合おうと合わまいとも自分が大事だと思えば行動するたくさんの人たちに
今年も会うことができた。そういう人たちとの出会いはわたしにとっての宝も
のである。希望と勇気を与えてくるそういう人たちに来年もまた会えればいい
なと思う。
鳴子の米通信・鳴子の米プロジェクト
http://narugo.gozaru.jp/naruko-kome1.html
2007年12月28日
山崎農業研究所会員・田口 均
y.noken@taiyo-c.co.jp
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たいことを具体的に。
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次回 225号の締め切りは01月07日、発行は01月10日の予定です。
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★『メールマガジンの楽しみ方』発売中
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書名:岩波アクティブ新書45『メールマガジンの楽しみ方』
著者:原田 勉 定価:735円 発行日:2002年10月4日
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