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『電子耕』No.217-2007.09.21号

発行日: 2007/9/21




*********************************************************************
隔週刊「農業文化マガジン『電子耕』」  第217号
−環境・農業・食べ物など情報の交流誌−
2007.09.21(金)発行      山崎農業研究所&編集同人
<キーワード>
環境・農業・健康・食べ物などの情報提供、高齢者と若者、農村と都市の
交流ミニコミ誌。山崎農業研究所&『電子耕』編集同人が編集・発行。
http://www.taiyo-c.co.jp/public_html/yamazaki/yama_index.htm
*************************************発行部数  1320  部***************
□  目  次    □----------------------------------------------------
<巻頭言> 学校給食と米国の食料戦略 松坂正次郎
<速報 32回山崎農業賞・33回総会記念講演>
2007年7月7日(土)太陽コンサルタンツ(株)会議室
(5)総会記念講演
   「地域の再生と内発的発展――新しい豊かさの獲得に向けて」
   早稲田大学名誉教授・台湾研究所顧問  西川  潤氏
<82歳からのメッセージ> 映画『怪談』の原作案内「真景累ヶ淵」原田 勉
<編集後記> 学校給食といえば……
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
<巻頭言> 学校給食と米国の食料戦略
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 現在の学校給食制度が始まったのは戦後、1946年のことである。戦争による
農業の荒廃や家庭の経済崩壊で、国民全体が飢餓状態におかれた。このため、
米軍占領側が、日本政府の要請を受けて、ガリオア(占領地救済政府基金)の
援助を開始。これによって、トウモロコシ、小麦、脱脂粉乳などによる学校給
食が開始された。

 当時アメリカは戦争終結で貯蔵食料の始末に困り、ハドソン河に輸送船を停
泊させて倉庫代わりに使っていた。この貯蔵食料を日本の学校給食に供し、将
来、米国産農産物の販路拡大につなげる戦略・戦術として活用したのである。
現在の日本の食料自給率41%も、その通り道によってつくられたものとみてよ
いだろう。

 『電子耕・第214号』で私は「食育」についてふれた。学校給食の成り立ち
を考えれば、「食育」は米国の食料戦略に抗することにつながるともいえるか
もしれない。が、そんな堅苦しいことをいわずとも、まずは、各家庭の再建の
ために、あたたかい「家庭の食卓」をしっかりと築くことがなによりも大事だ
ろう。

松坂正次郎
山崎農業研究所会員、「農政と共済」コラムニスト
y.noken@taiyo-c.co.jp

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<速報 32回山崎農業賞・33回総会記念講演>
2007年7月7日(土) 新宿区四谷3−5不動産会館3F
(太陽コンサルタンツ(株)会議室)   参加 30人
山崎記念農業賞
受賞対象:宮城県丸森町「大張物産センターなんでもや」
(1)受賞者挨拶    代表・中村次男氏
(2)活動の報告1   店長・佐久間憲治氏
(3)活動の報告2   会計・伊藤暉郎氏
(4)お祝いの言葉   民俗研究家・結城登美雄氏
            (「みんなで出し合い育てる“なんでもや”」)
(5)総会記念講演
   「地域の再生と内発的発展――新しい豊かさの獲得に向けて」
   早稲田大学名誉教授・台湾研究所顧問  西川  潤氏
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
要旨
(5)総会記念講演
   「地域の再生と内発的発展――新しい豊かさの獲得に向けて」
   早稲田大学名誉教授・台湾研究所顧問  西川  潤氏

 なぜグロバリゼーションか? いま世界はグロバリゼーションに翻弄されて
いる。世界的な格差拡大が進んでいる。東京は一点集中化し、地方は地盤沈下
している。現在の経済構造は国際的で、あらゆる社会現象、文化も疫病も国際
化している。

 社会的にマネー(貨幣)は余っている。だから、大きなビルができ、購買力
があおられる。アメリカの国際的貿易赤字は黒字国である中国や日本などによ
るアメリカへのマネーの還元(投資)で支えられている。アメリカもこれで儲
け、マネーがマネーを生むという不安定な経済にある。アメリカドルへの信頼
が裏切られれば、株が大量に売却され、世界経済は恐慌になる。

 世界的には1980年には南北格差1:10が現在は1:20となった。わ
が国でも地方都市の商店街はさびれる。日立市では商店街は沈滞した。いまま
では地方にも力があり、中央からの支援があったので持ちこたえられた。これ
がなくなったって、中央と地方の分業体制の格差が進んでいる。構造改革が進
むほど貧富の差が大きくなる。

 農業がもっとも大きな影響を受ける。地方にとってこれがチャンスにするた
めには補助金に頼らない地方分権にある。この内発的な活力をいかに作るかが、
問われている。これには「地方」でなく「地域」となることだ。その地域の魅
力的個性に何を考えるか。人材の確保。女性への正当な評価、外国人の活用な
どがある。

 80年代には一村一品運動が盛んであったが、90年代には農産加工が加わ
った。モノカルチャ→知識集約型→付加価値→生産物多角化→サービス化→人
づくり→世界へと飛揚する、という構図があろう。生活に対する満足度は「物
質的豊かさ」と「心の豊かさ」とは逆の関係にあることが、いろいろの調査結
果から分かっている。この両面を豊にすることが大切だ。

 外国の事例を見る。環境対策には中国の植林を含めた生態農業地域の創設事
業があるが、政府主導だけでは限界がある。台湾では歴史文化を掘り起こし、
下からの活力を大切にしている。タイでも都市農村の格差は進行しているが、
この是正のために「森林保全運動」を「心の豊かさ運動」と一緒に進めている。
村の坊さんが村人を物心両面で助けている。彼らは農村に入って社会の争いの
もとになるマネーの功罪について考えさせている。一村一品運動から始めてい
るが、その主力は住民参加型であることが成功へのカギと言われている。

 農村発展は内発的な力によって行われ、住民参加のもとで環境保全の達成に
成功している。自分たちが主導する中で世界との関わりを意識し、外部資源を
取り入れて発展させることが台湾、タイの事例で見られる特徴である。多様な
価値観を取り入れた地域発展は物・心の豊かさを大切にした内発的力にある。
わが国でも同じことが言える。このような新しい豊かさをもった農村発展を期
待したい。

(文責 安富六郎・田口均  詳細は山崎農業研究所報「耕114号」)

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<82歳からのメッセージ> 映画『怪談』の原作案内
              三遊亭 圓朝「真景累ヶ淵」
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 去る8月4日から全国ロードショーになった『怪談』いう映画がある。
 
 この原作が、初代三遊亭圓朝(三遊亭円朝)の「真景累ヶ淵(シンケイカサ
ネガフチ)」である。これは「牡丹燈籠」と並ぶ圓朝の代表作で、針医兼高利
貸の皆川宗悦が貸金の催促へ行って酒乱の旗本深見新左衞門に斬り殺されるこ
とに始まる。宗悦には娘志賀と園という姉妹があり、深見新左衞門には新五郎
と新吉という兄弟があった。この者たちが仇敵と知らずに情痴に狂い、悪事を
重ねるという因果因縁が複雑に絡み合う怪談話である。

 詳しくは、岩波文庫「真景累ヶ淵」にゆずるが、読んでみると現代の長編時
代劇のように面白い。落語の人情噺であるが私は浅学でこんな怪談というのは
初めて知った。

 三遊亭圓朝という人はどんな人であったか。
 本名を出淵次郎吉(いずぶちじろきち)といい天保十年(1839)江戸湯島切
通しに生まれた。父の長藏は、二代目三遊亭圓生の弟子で芸名を橘屋圓太郎と
いった落語家だった。

 彼も七歳の時、小圓太と名乗って江戸橋の寄席に初出演したが、その後紙屋
に奉公したり浮世絵を学んだりしたが、やっぱり落語家で身を立てることにな
り、十七歳のとき圓朝と改名。真打となった。やがて自ら工夫して芝居がかり
の道具噺をはじめ、その派手な高座ぶりによって、次第に人気を得た。

 そのころ師匠の圓生を中入り前の出演者に頼んでいたが、その圓生、なぜか
常に先をくぐっては圓朝の用意した噺を横取りして、あとにあがる彼を苦しめ
た。

 やむをえず、彼は自ら筆をとって、「累ヶ淵後日の怪談」という新作を試み、
これを高座にかけて、その障害を切り抜けた。これがその後多くの人情噺を創
作させる機縁を与えた。

 こうして二十六歳のとき両国の昼席の真打ちになることを得、引き続きその
席に出勤して名声を確立させた。

 維新の混乱のあと、明治の時勢の変遷について早くも何事か感じ、弟子の圓
楽に三代目圓生を襲名させるとともに従来の道具噺に使用した道具一式を譲り、
おのれは断然、扇一本の素噺に転向した。そして次々と新作を試み、高座に自
演したのち、その速記を新聞に連載したり、一冊にまとめて刊行して、世間か
ら、異常な歓迎を受けた。

 圓朝はつまり、話術家として卓越していたと同時に作家としても超凡だった
のである。

 かくして彼は、一代の名人と仰がれ、彼によって落語界の機運は全般にわた
って興隆した。

 没年は明治三十三年(1900)、享年62歳であった。辞世として「目を閉じて
聞き定めけり露の音」残して。


三遊亭円朝著 「真景累ヶ淵」岩波文庫
http://www.iwanami.co.jp/.BOOKS/31/8/3100320.html
http://www.amazon.co.jp/dp/4003100328/
■定価 945円(本体 900円 + 税5%)
■2007年3月16日
http://www.iwanami.co.jp/moreinfo/3100320/top.html

映画「怪談」公式ホームページ
http://www.kaidan-movie.jp/
主演:尾上菊之助・黒木瞳 監督・中田秀夫(『リング』)
2007「怪談」製作委員会

インターネットの電子図書館、青空文庫(無料)
http://www.aozora.gr.jp/
作家別作品リスト:三遊亭 円朝
http://www.aozora.gr.jp/index_pages/person989.html
真景累ヶ淵(しんけいかさねがふち)
http://www.aozora.gr.jp/cards/000989/files/350.html


山崎農業研究所会員・『電子耕』編集同人
原田  勉
tom@nazuna.com
http://nazuna.com/tom/

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《誤植の訂正》
第216号の目次に誤植がありましたので
訂正させていただきます。
(誤)<巻頭言> 地震災害と防災訓練 大山勝夫
(正)<巻頭言> 地震災害と防災訓練 石川秀勇

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<編集後記> 学校給食といえば……
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学校給食というと思い出す1枚の写真がある。

歴史の教科書などにものっていると思うのだが、戦後、学校給食が開始された
直後に撮られた写真である。そこには、食器をかかえるようにしている食べて
いる子どもたちの姿が写っている。大事に大事に給食を食べている子どもたち
がそこにはいる。

食べものが粗末にされるようになったと言われるようになって久しい。が、食
べものが粗末にされるというのは、食べ方がぞんざいになるということでもあ
り、さらにいえば、食べものの作り手や食べものを生み出す土や水の軽視がセ
ットになっている。

飢えの時代から日本はとうの昔に抜け出している。そういう時代に、食べもの
の大切さ、食べるということの大切さをどう感じたらよいのか、大人であれば
子どもたちにどう伝えればよいのか。その鍵のひとつは、巻頭言で松坂さんが
言われている「あたたかい家庭の食卓」の作り直しにあるのではないか。

2007年09月20日
山崎農業研究所会員・田口 均
y.noken@taiyo-c.co.jp

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次回  218号の締め切りは10月01日、発行は10月04日の予定です。

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