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シンクタンク山崎農業研究所が農業を中心として健康・食べ物・人物をめぐる情報を提供し、読者との意見交換をはかる農業カルチャーマガジン




『電子耕』No.216-2007.09.07号

発行日: 2007/9/7




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隔週刊「農業文化マガジン『電子耕』」  第216号
−環境・農業・食べ物など情報の交流誌−
2007.09.07(金)発行      山崎農業研究所&編集同人
<キーワード>
環境・農業・健康・食べ物などの情報提供、高齢者と若者、農村と都市の
交流ミニコミ誌。山崎農業研究所&『電子耕』編集同人が編集・発行。
http://www.taiyo-c.co.jp/public_html/yamazaki/yama_index.htm
*************************************発行部数  1317  部***************
□  目  次    □----------------------------------------------------
<巻頭言> 地震災害と防災訓練 大山勝夫
<速報 32回山崎農業賞・33回総会記念講演>
2007年7月7日(土)太陽コンサルタンツ(株)会議室
山崎記念農業賞受賞対象:宮城県丸森町「大張物産センターなんでもや」
(4)お祝いの言葉   民俗研究家・結城登美雄氏
          (「みんなで出し合い育てる“なんでもや”」その3)
<82歳からのメッセージ> 竹内浩三の詩「骨のうたう」(2) 原田 勉
<編集後記> 地震・雷・火事・台風?
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<巻頭言> 地震災害と防災訓練
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 諺に、恐ろしいものとして<地震、雷、火事、おやじ>と言う。地震がその
第一に挙げられているわけだが、今年7月の中越沖地震でも、その恐ろしさが
見せつけられた。

 連日の新聞やテレビ等による報道であるが、家屋の倒壊等で少なくない数の
死者の発生、原発での火災などのトラブル、道路や鉄道での一部不通。そして、
水道・ガス・電話回線での損壊と機能の喪失が、住民の生活面ばかりでなく、
産業活動に関わる面でも少なからざるダメージとなったこと、等である。

 少し立ち入って言及すれば、被災者にあっては、例えば水道の断水からトイ
レ使用の不自由、食中毒を心配する食生活などを余儀なくされている。産業活
動では、自動車関係の備品製造企業の操業の一時停止など、影響の大きいこと。
農業や食品産業でも、農村集落排水施設の損壊、酒造会社での被害などが伝え
られている。
 
 こうした大きな地震災害は、めったに起こるものではないとは考えるものの、
小さな地震を感じるのは珍しいことではない。不幸にして、災害を伴うような
クラスの地震等に見舞われたとき、一般住民にあってはどう行動したらいいか。
その日々の備えとして、地域において防災ないし減災のための訓練を実践する
ことの大事さが考えられる。

 自分の居住する町内会(約940世帯)でも、この6月下旬であったが、初め
ての取組みとして、その第一歩とも言うべき初期的訓練を実施した。市の消防
本部等の協力を仰ぎ、消火器を使っての消化訓練、煙ハウスを使った煙体験な
どのプログラムである。

 防災の日(9月1日)には例年市町村など上位の主催者による規模を大きく
した総合防災訓練のデモンストレーション行なわれる。今年もそのような取り
組みが各地で行なわれたが、こうした取り組みに関心を寄せ現場に足を運ぶこ
とが、いざ災害の発生に遭遇した際の行動に、いくぶんなりと役立つものを多
くするのではないだろうか。

石川 秀勇
山崎農業研究所会員、千葉県野田市在住
y.noken@taiyo-c.co.jp

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<速報 32回山崎農業賞・33回総会記念講演>
2007年7月7日(土) 新宿区四谷3−5不動産会館3F
(太陽コンサルタンツ(株)会議室)   参加 30人
山崎記念農業賞
受賞対象:宮城県丸森町「大張物産センターなんでもや」
(1)受賞者挨拶    代表・中村次男氏
(2)活動の報告1   店長・佐久間憲治氏
(3)活動の報告2   会計・伊藤暉郎氏
(4)お祝いの言葉   民俗研究家・結城登美雄氏
            (「みんなで出し合い育てる“なんでもや”」)
(5)総会記念講演
   「地域の再生と内発的発展――新しい豊かさの獲得に向けて」
   早稲田大学名誉教授・台湾研究所顧問  西川  潤氏
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(4)お祝いの言葉   民俗研究家・結城登美雄氏
          (「みんなで出し合い育てる“なんでもや”」 その3)
 先に活動報告2の中で伊藤さんから、丸森の商店が次々と消えていく、頼み
の農協すら撤退する、売り上げ8万円/日もあっても採算が取れないという理
由である。これが、暮らしの場として何が、どのような考えが必要かを考える
きっかけとなった。今回受賞された代表の中村さん達から、このような事態の
打開に何とかしたいということを聞いた。これに私は沖縄の共同店の話を思い
出した。そして研究会での沖縄の100年も続いている共同店の話をした。

 沖縄の最初の共同店は明治39年(1906)、本島最北の国頭村の奥集落
にできた。これは村民の共同出資で村民による共同経営でその利益は地域に還
元される。この共同店は購買機能と販売機能を併せ持っている。運営はすべて
皆の協議による。沖縄では買い物にツケがきく。これは金が入ったときに支払
うという信頼の掛売り制度である。この「ゆいまーる」の精神で、大張でもで
きないか、ということになった。

 この考えをもとに、宮城県丸森の大張集落では7割の人の賛同を得て、開店
資金を集めることができた。これは共同の精神があってこそ、できたことだ。
そこで大張の共同店では、いろいろな自らの工夫の取り入れた商品開発を試み
たことは、すでに説明があった。沖縄との関係では、3/21日に沖縄では一
番茶がとれるので、これを大張で同時発売をする。ユズとワカメなど、特産物
の交換もしている。

 沖縄では客は店の人とすぐ懇意になれる。気軽に話仲間になることで客が再
び店に来る。こんなことを体験した。共同店に何回か買い物に行った。そこの
店のおばあさんは話し好きで、そのうちに、一杯飲むか、と言ってビールをも
ってきた。共同店ではビールは定価売りである。沖縄でも量販店があり、その
ような店では安く買えるため、共同店の売り上げは伸び悩んでいるのだが、お
ばあさんは「高いビールがうまいんじゃ」と笑いながらすすめてくれながら話
を続けた。

 このように人と話することを大切にするのが沖縄の人である。人とのつなが
りはたとえ村を出ても忘れないで、いろいろな形で協力してくれる。これが
「ゆいまーる」の精神である。大張でも同じで人との付合いを大切にする。話
せる相手が増えることで、客も増える。地域外からも来るようになった。

(4)「てーげー」とは、こせこせせずにアバウトで行くこと。物事は60点
で満足しよう。100点をむりに望まない。村の将来についても「てーげー」
で考える。これも、「むら」を支える大きな力である。このような「ふるさ
と」を愛する気持ちが共 同店を支えている。われわれが昭和30年ころに持っ
ていた感覚をいまの沖縄の人が持っている。大張の共同店もこの沖縄の人の考
えを今持つことで持続的に発展できると思う。

 受賞おめでとうございます。
 −おわり−
(文責 安富六郎・田口均  詳細は山崎農業研究所報「耕114号」)

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<82歳からのメッセージ> 竹内浩三の詩「骨のうたう」(2)
              ふるさとの風や こいびとの服や
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 竹内の詩は、詩と散文の中間的な形をとった文章が多い。ここでは岩波現代
文庫に収められた、竹内浩三著・小林 察編による「戦死やあわれ」の中から
紹介しよう。

三ツ星さん

私のすきな三ツ星さん
私はいつも元気です
いつでも私を見て下さい
私は諸君に見られても
はづかしくない生活を
力一ぱいやりまする

私のすきなカシオペア
私は諸君が大すきだ
いつでも三人きっちりと
ならんですゝむ星さんよ
生きることはたのしいね
ほんとに私は生きている


これは1940年6月20日、東京・高円寺より姉あての手紙にあったもの。

金がきたら
ゲタを買おう
そう人のゲタばかり かりてはいられまい

金がきたら
花ビンを買おう
部屋のソウジもして 気持ちよくしよう

金がきたら
ヤカンを買おう
いくらお茶があっても 水茶はこまる

金がきたら
パスを買おう
すこし高いが 買わぬわけにもいくまい

金がきたら
レコード入れを買おう
いつ踏んで わってしまうかわからない

金がきたら
金がきたら
ボクは借金をはらわねばならない
すると 又 なにもかもなくなる
そしたら又借金をしよう
そして 本や 映画や うどんや スシや バットに使おう
金は天下のまわりもんじゃ
本がふえたから もう一つ本箱を買おうか

こうした姉への手紙のほか、随筆、小説、日記の形で書いていた。

 とくに軍隊に入ってからは、「筑波日記I 冬から春へ」(1944年1月1日〜4
月28日)、「筑波日記II みどりの季節」(4月29日〜7月27日)に毎日のよう
に、書きため姉に送っていた。もちろん軍隊で日記を書くことは許されていな
いから、夜、便所の暗い電球の下で書いていた。

 その中の一つ、6月8日の日記より、

 ぼくのねがいは
 戦争へ行くこと
 ぼくのねがいは
 戦争をかくこと
 戦争をえがくこと
 ぼくがみて、ぼくの手で
 戦争をかきたい
 そのためなら、銃身の重みが、ケイ骨をくだくまで歩みもしようし、死ぬる
ことすらさえ、いといはせぬ。
 一片の紙とエンピツをあたえよ。
 ぼくは、ぼくの手で、
 戦争を、ぼくの戦争がかきたい。


竹内浩三の詩集が世に出たのは、1956(昭和31年)、級友の中井利亮編『愚の
旗ー竹内浩三作品集』私家版が出たときからであった。それから10年後、松阪
市戦没兵士手紙集『ふるさとの風や』の巻頭に「骨のうたう」が飾られてから
広く知られ、歌手 田端義夫の弾き語りや合唱曲になり、各地で朗読されるよ
うになった。詳しくは岩波文庫の編者あとがきを見ていただきたい。

 私見を付け加えれば、私も軍隊に昭和19年12月から20年9月まで行っていた
が、戦局は急速に激変して日記を書く余裕などとても考えられなかった。しか
しその1年前の7月まで竹内は日記を書き続けていたことを知り、愕然とした。
もちろん非凡な詩人竹内の足元にも及ばないが、少なくともこれを世に知らせ
広めることは後輩の使命であると思った。


「戦死やあわれ」 (岩波現代文庫)
竹内 浩三 (著), 小林 察 (編集) 2003年1月
http://www.amazon.co.jp/dp/400603072X

[愚の旗−ひとを信じようひとを愛しよう−竹内浩三]
http://www.h4.dion.ne.jp/~msetuko/tkozo/
年譜、作品、書籍の紹介、ファンの活動について等。


山崎農業研究所会員・『電子耕』編集同人
原田  勉
tom@nazuna.com
http://nazuna.com/tom/

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<編集後記> 地震・雷・火事・台風?
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この編集後記を書いているのは、9月6日の夜である。大型の台風9号が関東
地方を直撃しており、窓の外では強風が吹き荒れ、大雨が降り続いている。

「巻頭言」で石川さんが“地震・雷・火事・おやじ”のうち、“地震”につい
てふれられていたが、台風もやはりおそろしい。というよりも、おやじがおそ
ろしくなりすぎたといったほうが適当か。

ここ数年、台風だけでなく、雨の降り方がかわっているような気がしてならな
い。これは地球温暖化と関係があるのではないか。増田耕一さん(地球環境フ
ロンティア開発センター)は、温暖化にともない、「降水は時間的・空間的に
集中する傾向がある」「洪水がおこるような状況ではますます降水量がふえ、
渇水のおこる状況では蒸発量がふえるのに降水量がふえない」という(山崎農
研所報『耕112号』「地球環境問題、特に温暖化問題とはどんな問題か」)。

そういえば、地球温暖化対策の切り札といわれる原子力発電だが、中越沖地震
では柏崎原発が被害にあい、運転停止となった。地震直後の施設火災の映像を
みたときは身の毛がよだったものだ。

自然災害にたいして人間のできることなどたかがしれているのだとわたしは思
う。しかし、だからなにをしなくてもいいというのではない。だから自然への
おそれの感覚を忘れてはならないし、やるべきこと(災害が大きくならないよ
うな手をうつこと)はまさしくやらなくてはならないし、やってはならないこ
と(災害を助長するようなこと)やらない――しごくあたりまであるのだが、
それにつきるのではないか。

*増田耕一さんのHP
  http://web.sfc.keio.ac.jp/~masudako/index_ja.html

2007年09月06日
山崎農業研究所会員・田口 均
y.noken@taiyo-c.co.jp

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