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『電子耕』No.215-2007.08.23号
発行日: 2007/8/23
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隔週刊「農業文化マガジン『電子耕』」 第215号
−環境・農業・食べ物など情報の交流誌−
2007.08.23(木)発行 山崎農業研究所&編集同人
<キーワード>
環境・農業・健康・食べ物などの情報提供、高齢者と若者、農村と都市の
交流ミニコミ誌。山崎農業研究所&『電子耕』編集同人が編集・発行。
http://www.taiyo-c.co.jp/public_html/yamazaki/yama_index.htm
*************************************発行部数 1288 部***************
□ 目 次 □----------------------------------------------------
<巻頭言> 自民党大敗に思う――「したたか」な農民の力 大山勝夫
<速報 32回山崎農業賞・33回総会記念講演>
2007年7月7日(土)太陽コンサルタンツ(株)会議室
山崎記念農業賞受賞対象:宮城県丸森町「大張物産センターなんでもや」
(4)お祝いの言葉 民俗研究家・結城登美雄氏
(「みんなで出し合い育てる“なんでもや”」その2)
<82歳からのメッセージ> 竹内浩三の詩「骨のうたう」(1) 原田 勉
<編集後記> 川あそびの思い出
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<巻頭言> 自民党大敗に思う――「したたか」な農民の力
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山形県庄内地方では、江戸時代天保期に実際にあった「三方国替え」をめぐ
る話が古くから伝えられていた。その話は、幕府の命令により荘内藩酒井家
14万石を越後長岡藩に、長岡藩牧野家7万4千石を武蔵川越藩松平家に移し
て川越藩の領主を荘内に転封すると言うことであったが、荘内農民の一揆によ
って中止となったという内容である。こうした史実を主題に藤沢周平は「義民
が駆ける」として作品に仕上げた。
領主の酒井家を慕う荘内領民が一揆を策動して殿様を守った美談として言い
伝えられていたようだ。しかし実のところは酒井家の善政した恩義に応えると
いうよりは、転封に伴う新領主の農民収奪の強化に反対する農民運動の先駆け
として評価されている。何れにしても、したたかな農民の力によって「三方国
替え」は阻止されたのである。
ひるがえって、話をいまの政治に移すと、先の参院選では「1人区」で民主
党が圧勝した。これまで農村と言えば自民党の票田であった。ところが、この
たびの参院選では農民は毅然と、自民党に対してNOの票を投じた。ここに農民
の「したたか」な力を感じる。
各党は近く予想される衆議院選において目先の人気取りのマニフェストにと
どまることなく、長期的な視点で日本農業の「あるべき姿」とそれに向けた政
策を提示してもらいたい。
大山勝夫
山崎農業研究所会員 日仏農学会顧問
y.noken@taiyo-c.co.jp
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<速報 32回山崎農業賞・33回総会記念講演>
2007年7月7日(土) 新宿区四谷3−5不動産会館3F
(太陽コンサルタンツ(株)会議室) 参加 30人
山崎記念農業賞
受賞対象:宮城県丸森町「大張物産センターなんでもや」
(1)受賞者挨拶 代表・中村次男氏
(2)活動の報告1 店長・佐久間憲治氏
(3)活動の報告2 会計・伊藤暉郎氏
(4)お祝いの言葉 民俗研究家・結城登美雄氏
(「みんなで出し合い育てる“なんでもや”」)
(5)総会記念講演
「地域の再生と内発的発展――新しい豊かさの獲得に向けて」
早稲田大学名誉教授・台湾研究所顧問 西川 潤氏
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(4)お祝いの言葉 民俗研究家・結城登美雄氏
(「みんなで出し合い育てる“なんでもや”」 その2)
2002年に機会があって、沖縄で90才以上の人々の話を聞きながら、そ
の豊かな生活ぶりを調査した。年取った人の多くは島の古い言葉で話すので聞
くのに苦労したが、幸い通訳してくれる人をたよりに、高齢化社会のあり方を
見いだすことができた。島の人々が教えてくれた。必要なことは先ず、(1)
あたい(2)ゆんたく(3)ゆいまーる(4)てーげーの4つである。
(1)「あたい」とは、自家農園のことである。自分の家の廻りに畑を持ち
なさいということ。内地の人がスーパーなどで、食品を買うとき、品物をひっ
くり返してその成分、添加物、賞味期限などを見る。その疑い深さが気になる
。ここでは、そんなに安心できないなら、自分が食べるものは自分で作っては
どうかと思う。丸森の人も沖縄の人と同じに「あたい」を持っている。これを
活用すべきことが分かる。
(2)「ゆんたく」とは、お茶飲みおしゃべりである。「ゆんたく」は朝早
くから始まる。ある集落では毎朝集落24軒から20人くらいが古老の家に集
まる。この古老104才と息子の嫁78才が集まった人にお茶をサービスする。
そこでいろいろな世間話や家での出来事を互いに話し合う。日用品で壊れたも
のも直してくれる人もいる。互いに助け合う。いろいろな会話が交わされる。
これが人を結びつける。
ここでは行政の話も出るが、沖縄の人は行政不信であり、信用していない。
むしろ諦めに近いものである。30分くらいのミーティングであるが、終わっ
て帰るときに古老から、またおいでと言われた。
(3)「ゆいまーる」とは、共同作業で、「ゆい」である。これがあるため
に彼らは村を失わなかった。ちなみに東北地方ではいまでも茅葺きの屋根が多
い。業者に頼むと1000万円以上かかるが、みんなで協力して茅を葺いて、
お礼には食事と酒を振舞うことで遙かに安くできる。「おたがいさま」の力で
ある。この「ゆいまーる」が島の生活の魅力であり、豊かな生活のできる一つ
のカギである。これは人が人を思う心である。これが文化の基礎をしっかりし
たものにしている。このことが共同店にも現れている。
−つづく−
(文責 安富六郎・田口 均)
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<82歳からのメッセージ> 竹内浩三の詩「骨のうたう」(1)
二十三歳で戦死した彼の日記と詩
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昨年の『電子耕』184号(2006/5/25)
http://blog.mag2.com/m/log/0000014872/107308061.html
に「阪本楠彦さんと竹内浩三の「戦死やあわれ」」を書いた。
近藤康男先生の愛弟子であった阪本楠彦さんの中国戦線の体験を綴った『湘
桂公路−1945年』の紹介が中心であったが、後半に、宇治山田中学時代の親友・
竹内浩三の詩「戦死やあわれ」を紹介した。
今年の7月22日のNHKでドキュメント「竹内浩三・戦時下の詩と生」を見て、
私の紹介は不十分だったと反省した。ここに改めて23歳で戦死した青年、竹内
浩三。戦時中とは思えない生き生きとした天真爛漫な詩を多く遺し、純真無垢
に生きた青年はどんな人物だったのかを2回にわたって紹介することにした。
竹内浩三は、1921年(大正10年)5月12日、三重県宇治山田市に生まれる。
呉服店などを手広く営む竹内善兵衛を父とし、小学校教師を務めていた「よし」
を母として生まれた。
姉は4歳年上の「こう」。現在も健在である。
1936年(昭和11年)、宇治山田中学2年の時、同級の阪本楠彦、中井利亮等
を誘って「まんがのよろずや」と題する回覧雑誌を手作り。世相を風刺した漫
画や記事のため一年間の発行停止を命じられる。以来「MANGA」「ぱんち」
等と改題し出しつづける。1937年(昭和12年)「竹内浩三作品集」と題する文
集をつくる。中に漫画、日記、ユーモア小説等あり。
1939(昭和14)年(18歳)中学卒業、上京して浪人生活。父善兵衛が死亡し、
それまで父の反対でかなわなかった念願の日本大学専門部映画科に1940年入学
した。
1942年在学中、宇治山田中学時代の友人中井利亮らと「伊勢文学」創刊、5
号まで出す。同年10月日大専門部を半年繰り上げ卒業で、中部第三十八部隊に
入営。
1943年(22歳)茨城県西筑波飛行場に編成された滑空部隊に転属。
1944年(23歳)1月から「筑波日記I 冬から春へ」執筆開始。7月「筑波日
記II みどりの季節」中断。同年7月サイパン島の日本軍玉砕。東条内閣総辞
職。10月、米軍レイテ島に上陸。最初の特別攻撃機2機セブ島を発進。
竹内は12月滑空歩兵第一聯隊として筑波を出発。門司港を19日出航。ルソン
島北サンフェルナンド港に29日到着。
1947年(昭和22年)6月、三重県知事青木理の名により戦死の公報「昭和二
十年四月九日時刻不明、陸軍上等兵竹内浩三、比島バギオ地方1052高地方面の
戦闘に於いて戦死」。それとともに遺骨の入っていない白木の箱が届く。
姉・松島こうの弔歌
「一片のみ骨さえなければおくつきに手ずれし学帽ふかくうづめぬ」
こうしてあたら尊き命は散って行った。
「骨のうたう」
竹内浩三 作 中井利亮 補作
戦死やあわれ
兵隊の死ぬるや あわれ
遠い他国で ひょんと死ぬるや
だまって だれもいないところで
ひょんと死ぬるや
ふるさとの風や
こいびとの眼や
ひょんと消ゆるや
国のため
大君のため
死んでしまうや
その心や
白い箱にて 故国をながめる
音もなく なんにもなく
帰っては きましたけれど
故国の人のよそよそしさや
自分の事務や女のみだしなみが大切で
骨は骨 骨を愛する人もなし
骨は骨として 勲章をもらい
高く崇められ ほまれは高し
なれど 骨はききたかった
絶大な愛情のひびきをききたかった
がらがらどんどんと事務と常識が流れ
故国は発展にいそがしかった
女は 化粧にいそがしかった
ああ 戦死やあわれ
兵隊の死ぬるや あわれ
こらえきれないさびしさや
国のため
大君のため
死んでしまうや
その心や
「愚の旗」 成星出版 (1998/08) より
◆参考リンク・書籍
ハイビジョン特集 シリーズ 青春が終わった日
「竹内浩三・戦時下の詩と生」
http://www3.nhk.or.jp/hensei/program/k/20070730/001/10-1400.html
[愚の旗−ひとを信じようひとを愛しよう−竹内浩三]
http://www.h4.dion.ne.jp/~msetuko/tkozo/
年譜、作品、書籍の紹介、ファンの活動について等。
稲泉連 著「ぼくもいくさに征くのだけれど―竹内浩三の詩と死」
中央公論新社 (2004/07) 大宅壮一ノンフィクション賞受賞
http://www.amazon.co.jp/dp/4120035549/
山崎農業研究所会員・『電子耕』編集同人
原田 勉
tom@nazuna.com
http://nazuna.com/tom/
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<編集後記> 川あそびの思い出
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先日、子どもたちを連れて埼玉県寄居町の風布川にあそびに出かけた。
風布川の源流は「日本水」として知られ、日本名水百選にも選ばれている。数
年前から「沢ガニをつかまえてみたい」と子どもたちに言われていた。風布川
ならいるはずと人から聞いていたので、せっかく夏休みなのだから…と訪れて
みたのである。
子どもたちの目は鋭い。上の子は川原につくなり1匹つかまえた。しかしあと
が続かない。そうしているうちに一人のおばあさんが川に下りてきた。「家に
いても暑いだけ。クーラーをつけてもなんか落ち着かない。こういうときは川
で洗濯をするのがいちばん」という。沢ガニがなかなか見つけられなくてと言
うと、石をひょいひょいと持ち上げて、「ほらいた」とつかまえた沢ガニを差
し出してくれた。
おばあさんに麦茶をすすめながら、話を聞いた。「ここのところたくさんの人
が来てるからねえ。カニもたいへんだよねえ」と言う。ひとしきり川で洗濯を
した後、いったん家に戻ったおばさんがまた川にやってきた。家の畑でとれた
ミニトマトをもってきてくれたのだ。
ありがたくいただきながらまた話しをしている間中、子どもたちは夢中になっ
て沢ガニとりをしていた。だんだん慣れてきて結局10匹くらいはつかまえた
だろうか。
この日、関東地方は40℃を超える地域もあった猛暑日。が、子どもたちと清
流であそび、土地のおばあさんとふれあったひとときは、なんとも涼やかな時
間であった。
2007年08月23日
山崎農業研究所会員・田口 均
y.noken@taiyo-c.co.jp
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次回 216号の締め切りは09月03日、発行は09月06日の予定です。
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隔週刊「農業文化マガジン『電子耕』」 第215号
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