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『電子耕』No.206-2007.04.05号

発行日: 2007/4/5






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隔週刊「農業文化マガジン『電子耕』」 第206号
−環境・農業・食べ物など情報の交流誌−
2007.04.05(木)発行   山崎農業研究所&編集同人
<キーワード>
環境・農業・健康・食べ物などの情報提供、高齢者と若者、農村と都市の
交流ミニコミ誌。山崎農業研究所&『電子耕』編集同人が編集・発行。
http://www.taiyo-c.co.jp/public_html/yamazaki/yama_index.htm
*************************************発行部数 1302 部***************
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□ 目 次  □----------------------------------------------------
<巻頭言> この国に本当の日本人はいるのか 松坂正次郎
<読者の声> 大山さんから
<82歳のメッセージ> 伝記ものを好む理由(その2) 原田 勉
<三田上水紀行> 6.西郷山公園 安富六郎
<農文協図書館サイト更新情報>
<編集後記> 春の味わい―ヨモギ団子
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<巻頭言> この国に本当の日本人はいるのか
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 この週末は統一地方選挙である。選挙の投票率が低いと言われてもう何年に
なるだろう。そんなことを思いながら、去る1月、「日本農業新聞」に掲載さ
れたビル・トッテンさん(ソフトウェア会社「アシスト」代表取締役)の“日
本の政財界や農業界に対する的確で温かみのある指摘”のことを思い出した。

 ビルさんは1941年生まれで、日本国籍を持つ米国人企業家である。ビルさん
はまず第一に、日本の輸出額の半分を占める大手30社についてこう指摘する。

 「これら大企業は経済界の主導権を握り、政治献金や官僚に天下り先を提供
し、メディアに広告を出し、政治や官僚、メディアに強い影響力を与えている。
30社の売上げは国内総生産の12%、しかし雇用は1%、一般企業が売上げの5
%の法人税を払っているのに1%しか払っていない。30社に国民が振り回され
ている」。

 指摘の第二は「消費税は120兆円だが、企業の法人税減額は107兆円に上る。
大手に福祉を提供しているといえる」。

 第三は「それなのに多くの国民は(有識者の半数も)選挙にいかない。国民
の投票(意思)が現われないので、政治献金する大企業を政府は優遇すること
になる」。

 第四は「政治家だけでなく、国民一人一人が行動や考えを見つめ直すべきだ。
自分の国を“どう考え、何をしているか”と鏡に問いかけ、自分で答えを出す
べきだ」。

 ビルさんはさらにこう言う。

 「江戸時代は“士農工商”の国だったのだが、今は商が上位で、お金がいち
ばんの価値観となった。この国に本当の日本人はいるのか」。「地球温暖化で
化石燃料に頼る世界を変える必要がある。私の会社は農業に興味を持つ社員に
農場などへの交通費や農機具代を負担、鍬1本で有機農業に取り組むことを奨
励している」。

 日本人以上の日本人ともいえるビルさんの言葉をしかと噛みしめ、それぞれ
が答えを出す週末としたい。

松坂 正次郎
山崎農業研究所顧問、「農政と共済」コラムニスト

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<読者の声>
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■04/01 大山勝夫さんから:チベット医学の「死生観」に思う

 前号で高田氏の<メンカン便り>の中で紹介されたチベット医学を拝読し感
動した。最近のわが国の世相を観るにつけ、高田氏が指摘する「善い生を考え
るうえで、有用な死生観が喪失しているのでは」と。まさに同感である。

 そこで想いだされるのが、数年まえ日仏学会のシンポジウムで日本医学会会
長の森亘先生による「これからの医療に思う」と題する講演であった。先生は
最近の医療について必要以上の延命や臓器移植の問題を例にあげ、品位と節度
のある医療のあり方を強調された。

 また、筑波大の村上和雄名誉教授は、いまの医学では「生きることや長生き
が善」で「死ぬことや病気が悪」とされるのではと問題提起をしている。

 両先生の共通点は医学における「技」は典型的な反自然的な行為であるとい
うことか。いずれにしても前号で紹介されたチベット医学はいわゆる近代化を
謳歌するわが国に対する警告といえよう。

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<82歳からのメッセージ> 伝記ものを好む理由(その2)
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 前回は父の時代の国民的作家吉川英治と兄の時代のシナリオ作家新藤兼人を
紹介した。
 今回は、戦中をくぐり抜け、戦後体験を同じくした二人、吉村昭と藤沢周平
を取り上げたい。

 吉村明さんは周知のように、昨年7月31日79歳ですい臓がんで亡くなった。
しかしその前日、自ら点滴の管などを引き抜いた上での死であった。「延命治
療をしない」意向だったことに私も同感し、いよいよ親近感を抱いたものだっ
た。

 吉村昭さんの生家は東京は日暮里町で、中学は同じ町の私立開成中学校。こ
こも私が本郷・動坂に居たところから近くなのでよく知っていた。

 吉村さんは戦中ここで東京大空襲を経験し、また四番目の兄が中国戦線で戦
死したのも、私に似ていて、直接会ったこともないのに親しみを感じていた。

 少年時代から、作家になり『戦艦武蔵』を完成させるまでを描いた半自伝−
−『私の文学漂流』(新潮社刊)を平成7年4月に発行した。

 少年時代の読書習慣から文学への目覚め、肺結核との戦い、戦争、勤労動員、
空襲、父と母の死を経験した。

 戦後学習院高等部および新制大学に入って文芸部に所属した。その間も結核
の手術治療を受けた。

 退院後は小説を読むことに没頭し、同人雑誌の発行に力を尽くした。あとは
大学中退、結婚、放浪など生活に追われつつも、小説への一途な情熱を貫いた
同人誌時代。

 そして四度の芥川賞を落選(この辺は読んでいてもハラハラドキドキ)、逆
境を乗り越えて、太宰治賞を受賞し、次いで名作『戦艦武蔵』を生むまでの軌
跡を率直に語っている。

 これは吉村さん個人の記録にとどまらず、ある時期の作家たちの活動や暮ら
しぶりも伝える貴重な読み物になっている。


 次は藤沢周平の『半生の記』文春文庫1997年刊である。

 藤沢さんは、今年没後十年記念の出版や映画ほか、テレビでまだまだ人気最
中の人である。生まれは農家の四男坊、出身は山形県東田川郡黄金村、本名小
菅留治(こすげ とめじ)。これでもう多くの農村出身者は同類意識を持つだ
ろう。私もそうである。

 藤沢さんは吉村さんのように、大学で文芸部に所属したり、同人雑誌で文学
修業をしたりした人ではない。むしろ独学で作家になった人である。

 もちろん一般教養は山形師範学校時代の授業により身に付けているが、それ
よりも自身が語っているように、「結核療養時代が私にとって大学であった」。
そして退院後業界新聞に勤めながら小説を書いた。

 この『半生の記』も正直な気持ちは自伝めいたことは書きたくない。「自分
の過去が書き残すに値するほどのものかといえば、とてもそんな風には思えな
い。悔い多い半生だったという感触も動かない」「ただひとつ私が小説を書く
ようになった経緯、もっと端的に言えば、どのような筋道があって小説家にな
ったのだろうか」という自己確認のためにこれを書くという。

 はにかみ屋の藤沢さんが初めて綴った貴重な自叙伝がこれである。

 郷里山形の村と生家、家族、父と母、とくに小説家になったのは母の家系と
いう。旧庄内藩(現鶴岡市)は小説でも海坂藩という名で出ている。小説に出
て来る月山、湯殿山、朝山山地に囲まれた庄内地方の風物はここから来ている。

 そこに生まれ育った少年時代、小学校の友達や先生方。日中戦争時代の学校
と先生たち。

 昭和17年3月、村の高等科を卒業し、印刷会社で働きながら中学の夜間部に
通う。その後役所の税務課に移る。

 戦争の進む中、いずれ国の為死ぬのだと思い、密かに「葉隠」や死生観にふ
れた本を読んだりした。敗戦のラジオ放送は役場で聞いた。

 敗戦のとき中学三年であったが、率然として上の学校に進学しようと自ら決
め、山形師範に入学した。

 昭和24年3月山形師範を卒業した21歳の時、隣村の湯田川中学校に勤務した。

 しかし二年目の終わりに思いがけなく肺結核が発見され、以後長い不運な歳
月が続いた。

 あとは割愛するが、療養生活、退院を経て、三浦悦子さんと結婚、女の子も
生まれたが、昭和38年秋に悦子さんはがんで亡くなった。

 その妻の命を救えなかった無念の気持ちと、人の世の不公平に対する憤怒を
吐き出すために懸賞小説の応募を始めた。(その怨念が初期作品にあらわれて
いる。)

 昭和44年1月、高沢和子さんと再婚。46年44歳で『溟い海』がオール讀物新
人賞を受けた。このとき先妻悦子さんにささやかな贈りものが出来たと感じた。


●吉村昭『私の文学漂流』(新潮社刊)1992年刊
*単行本・文庫版ともに絶版
古書扱い
http://www.amazon.co.jp/
http://www.kosho.or.jp/
電子書籍版
http://www.nazuna.com/watashinobungakuhyouryu
電子書籍・オンデマンド(受注生産)書籍版取扱
http://www.shosai.ne.jp/


●藤沢周平『半生の記』初出・1992年 藤沢周平全集月報
初版・1994年文藝春秋社刊
(文春文庫)1997年刊
http://www.amazon.co.jp/dp/4167192314/
http://7andy.yahoo.co.jp/books/detail?accd=19963679


山崎農業研究所会員・『電子耕』編集同人
 原田 勉
tom@nazuna.com
http://nazuna.com/tom/

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<三田上水紀行>  6.西郷山公園
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 駒場からの旧山手通りは「玉川通り」との交差点を過ぎるあたりから、緩や
かな登り勾配になる。水路は西側の数メートル高い台地を通っていたのであろ
う。台地の裏手は崖で、目黒川流域となる。透水性の土層のあるところは、崖
方向への漏水は大きくなるので、水路計画の難所である。

 西郷山公園はこの山手台地の端に位置し、崖下の低地から20mくらいの高さ
にあり、展望の開けたところにある。ここは江戸時代には大名屋敷で、三田用
水で池や滝などが造られていたと言われている。その後、明治維新の西郷隆盛
の弟、従道の広い別邸敷地となり、そこに三田用水を取り入れた回遊式の名庭
園があった。当時の面影はないが、それを再現しようとしたのがこの公園であ
る。

 明治以降、三田用水組合は水利用者に対して一定の賦課金を課していた。記
録では明治33年(1900)当時、組合の水掛り水田は約100町歩あり、賦課金は
反当り年10銭8厘であった。農業以外の水料は個別に定めていた。

 明治32年の水料単価を恵比寿の麦酒会社と用水組合の両記録から求めると水
積坪あたり、2.86〜3.10円/坪となる。明治33年の組合記録によれば西郷家は
この屋敷の水使用料に年間1円を支払っていた。

 広大な敷地であったというから、かなりの量の水を使っていたであろう。水
料から西郷家の水積坪数を、麦酒会社の例から単純に推定すれば、0.32〜0.35
/坪となる。この水量(*)は1日当たり6.1〜6.8トンに相当し、現在でも20
人分以上、明治時代ではその2倍の人数に相当する生活水量であったと思われ
る。

 1円の価値は現在とは比較できないが、明治の終わり頃(明治40年〜)の月
給取りの初任給は約25円と見積もると、1円は1日の稼ぎに当たろう。これと
比べて、稲作に必要とされる灌漑水を量で見れば、農民への賦課金はかなり割
高となっている。生活用水を含むと考えたのであろうか。

 このような安価で豊富な水を使った名庭園は斜面と平面の景観を独立させる
ことなく、2つの空間を水の流れで結び、自然の美を近代風に表現したように
見受けられる。これはまた、西郷隆盛の好みを活かそうとした庭園でもあった
ろう。三田用水は風景デザインにも一役買ったことになる。現在の公園もその
美を今に伝えようとするかのように見える。
(山崎農研会員、「電子耕」編集同人 安富六郎)
(*1寸四方の断面を流れる水の量:流量計算には矩形オリフィス堰を仮定
した。)

(山崎農研会員、「電子耕」編集同人 安富六郎)

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<農文協図書館サイト更新情報>
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以下のページを新設・更新いたしました。

■2007.03.09更新/ニュース
 「一般に流通していない農業書リスト」2007 プレゼント!
http://www.ruralnet.or.jp/nbklib/sp/2007/03/news1.html

■2007.03.19更新/2月収蔵図書
http://www.ruralnet.or.jp/nbklib/book/new/01new200703.html

■2007.02.24新設/「話題の図書」
 『現代農業 ベストセレクト集(別冊現代農業)』
  復刊60周年記念号
農山漁村文化協会 編 発行日:2007/03 B5判、552ページ
http://www.ruralnet.or.jp/nbklib/book/wadai/2007/03wadai0703.html
むらの元気を引き継ぐ農家の知恵を1冊に
*はじめに・目次・『現代農業』年表・編集後記 掲載

農文協図書館
http://www.ruralnet.or.jp/nbklib/

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<編集後記> 春の味わい―ヨモギ団子
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
先日の日曜日、摘んでおいたヨモギでヨモギ団子をつくった。上新粉をお湯で
こねて耳たぶくらいのかたさにし、茹でてつぶしたヨモギを混ぜる。ヨモギの
緑が一様にひろがったら、一口くらいにかたちづくり沸騰させたお湯で茹でる。
団子が鮮やかな緑色になって、お湯のなかでおどるくらいになったら出来上が
りだ。

茹であがるそばから子どもたちがきな粉をつけてぱくぱくと食べる。食べるの
がはやくて茹でるのが追いつかないくらいだ。少しだけ残った(残してくれ
た?)団子を口にほうりこむとヨモギ特有のさわやかな苦みと香りがひろがっ
た。ああ、春がまたやって来たんだなとあらためて感じる。

春の楽しみ方はいろいろあるのだろうが、ここ数年、わが家では、目で楽しむ
(花や草を)だけでなく、手と(採る・つくる)舌(食べる)、そして鼻(香
り)で楽しむようになっている。

そんなふうにかわったのは、地元の環境NGO「ちびっこ探険隊」が主催する春
の野草パーティーに、子どもたちと参加するようになったことがおおきい。自
然に親しむには、五感を使うのがいちばんなのではないか。

  環境NGO  ちびっこ探険隊
  http://www.seiko-osp.com/private/sekigu/

2007年04月04日
山崎農業研究所会員・田口 均
y.noken@taiyo-c.co.jp

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◎投稿アドレス変更のお知らせ
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電子耕への投稿アドレスは、117号から発行人の変更に伴い、
y.noken@taiyo-c.co.jp
となっております。投稿される方はこちらのアドレスにお願いします。
----------------------------------------------------------------------
次回 207号の締め切りは04月16日、発行は04月19日の予定です。

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★『メールマガジンの楽しみ方』発売中
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
書名:岩波アクティブ新書45『メールマガジンの楽しみ方』
著者:原田 勉 定価:735円 発行日:2002年10月4日
発行所:岩波書店 ISBN4-00-700045-X
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━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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<本誌記事の無断転載を禁じます>

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