『電子耕』No.199-2006.12.28号
発行日時: 2006/12/28
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隔週刊「農業文化マガジン『電子耕』」 第199号
−環境・農業・食べ物など情報の交流誌−
2006.12.28(木)発行 山崎農業研究所&編集同人
<キーワード>
環境・農業・健康・食べ物などの情報提供、高齢者と若者、農村と都市の
交流ミニコミ誌。山崎農業研究所&『電子耕』編集同人が編集・発行。
http://www.taiyo-c.co.jp/public_html/yamazaki/yama_index.htm
*************************************発行部数 1325 部***************
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□ 目 次 □----------------------------------------------------
<巻頭言> 今年を振り返えって 安富六郎
<読者からの声> 大山さんから;生徒に詫びた先生
<81歳のメッセージ> アメリカ映画「硫黄島からの手紙」 原田 勉
<山崎農業研究所第123回定例研究会要旨>
「農村女性の起業活動に学ぶ」
(1)起業の現場から:「風土を活かしたキムチ加工」 丸山みち子 氏
<編集後記> 「自立」が大事といわれても
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<巻頭言> 今年を振り返えって
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2006年もめまぐるしく終ろうとしている。世界中に相変わらず争いが絶えな
い。炭酸ガス削減の外交儀礼の条約原案である京都議定書を認めない国もある。
個人的いじめ、組織的ないじめ、人を食いものにした、まやかしの社会がはび
こっている。
政府は依然として歴史を無視し、人類の積み上げてきた人間中心の思想や基
礎科学を軽視し、国家統制の教育を進めている。金儲けこそ人生の目的と信じ
た事件が起こる。またこれを助長するごとき政策を政府は認める。このような
行過ぎた考えが貧富の差をさらに拡大させている。
核武装するかを「議論したい人」も出てきた。国家の品格などは気にしない
唐突な話が現実になることを恐れる。もし、この方向へ向かえば巨大な経費投
入と計り知れない環境破壊は間違いない。
今年の山崎農業研究所の現地研究会テーマは湖沼の水質汚染であった。わが
国の畜産を守るため、多くの生産者は畜産排水処理に努力している。しかし霞
ヶ浦の水質改善はあまり進んでいない。これを解決するにはいろんな方法があ
ろう。
「畜産で湖沼が汚れるならば、外国から肉を輸入してはどうですか」などの
質問もあることが紹介された。従来ならば一笑に付された話であるが、今では
茶化しや冗談とは思えない。まじめに取り上げなければ、本当の解決にはなら
ないと教えてくれた人がいた。新しい社会を学んだと思っている。
暗い話の多いなかで、自らの戦争体験から平和の大切さを語り続ける原田勉
氏の山崎記念農業賞受賞は、社会に希望を与える心強いニュースであった。
弱い者いじめ社会を無くし、地球を破壊から守ること。この解決策の一つは、
今こそ平和の意味を考え、生活スタイル、行き過ぎた利潤追求型の価値観の是
正にある。このために、どうしても通らねばならない関門がある。それは平和
憲法を守ること。そこから新しい農業観、教育観も出てくると信じている。猪
年への期待は大きい。よいお年を。
安富六郎
山崎農業研究所会員 電子耕編集同人
y.nouken@taiyo-c.co.jp
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<読者の声>
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■12/18 大山勝夫さんから;生徒に詫びた先生
前号の長谷川さんのお話、興味深く拝見。ご指摘のように今年は「いじめ
問題」が話題となり、『命』が2006年をあらわす漢字に選ばれました。
そこで想い出されるのが、60数年前の体験です。
戦争末期の昭和19年、僕はある地方の中等学校の寄宿舎生活をしていた。
ご多分にもれず軍国少年の集まり、毎晩のように上級生(4・5年生)は
下級生、とりわけ1年生にお説教と称して殴る蹴るなどの「いじめ」が
続けられた。そんな状況を舎監であったM先生も知っていたはずだが、
黙認していたのであった。やがてそのM先生も補充兵として召集された。
翌年、復員された先生と入浴して驚いた。なんと先生の背中に無数の
痛々しい傷があるではないか。思わずこの傷はどうしたのですかと問うと、
軍隊生活で受けたリンチだといわれた。そして先生いわく、あの時は君
たちが上級生から暴行を受けているのを知りながら、見てみぬふりをして
申し訳なかったと詫びた。
最近の「いじめ」とは性格が違うものの、教師はいじめ問題を知りな
がら黙認するばかりか、教育と称して生徒の心に傷を残すようなことが
ないことを願っている。
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<81歳のメッセージ> アメリカ映画「硫黄島からの手紙」
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12月10日、この映画の封切を見て驚いた。全編日本語版で字幕に出るのは米
兵の出る英語の部分だけである。かつてのアメリカ映画は、全部英語で字幕に
日本語訳が出ていた。それが逆になっている。初めてのことである。
監督クリント・イーストウッドの入れ込みとアメリカの良心を示すものだ。
硫黄島の戦いは、ご存知のように、アメリカ軍の攻撃によって5日ももたな
いといわれていたのに日本軍の猛烈な抵抗によって36日も戦い、日米合わせ
て2万7000人もの兵士が亡くなった。日本軍より米軍の方が被害が大きい
といわれ、ブッシュでさえも最近になって太平洋戦争最大の激戦と言っている。
絶望的な戦いの中で、玉砕を禁じた栗林忠道中将を中心に描いている。
映画は栗林中将の着任からはじまり、米軍の上陸、最後の突撃までを描いて
いるが、その戦術は、上陸する米軍を水際でたたく帝国陸軍の伝統である水際
作戦を変更し、島中に地下壕をめぐらしゲリラ戦法をとったことである。そし
て36日も持ちこたえたのは、最後まで玉砕を禁じ、栗林中将自ら「常に諸子
の先頭にあり」を兵士にも伝え「我等は全力を奮って本島を守り抜かん」など
六箇条の敢闘の誓いを徹底させたことである。
この映画では、日本側俳優渡辺謙のアイデアをイーストウッド監督が多く取
り入れたという。
例えば、ハリウッド的な日本将軍像で、最後は切腹するという案を止めて、
渡辺の提案のように、最期は徽章も軍刀も外して何者であるか一切わからない
ようにして消えていった。後の証言にあるように、残存兵400人の先頭に立っ
て、部下達にも最後の最後まで粘って死ぬまで戦うことを命じた。
切腹ではなかったのである。
もう一つの提案、栗林中将が負傷して最期に命を絶つコルト銃。米国留学中
に知り合ったアメリカ軍人から贈られたもの。その銃を映画を通して常に身に
付けていた。これもイーストウッド監督が面白いといって採用した。
まだまだ、感動し、新しい発見をした場面はいくつもあったが、こういう反
戦映画がなぜ日本でできなかったか。またこうした反戦映画が今あるのはアメ
リカと日本が置かれている同盟国としてお互いにわかりあえる仲間になったか
らではないか。ことにアメリカが、9・11事件からイラク戦を経てから変様し
た国民感情が影響しているのだろう。
最後に、12月11日、渡辺謙さんがニューヨークで報道各社とのインタビュー
に応じた感想を紹介しよう。
「加害者、被害者という枠を超えて戦争の悲惨さ、無意味さをきちんと知る
ことが大事だと感じた。」
「栗林中将は、知米派でありグローバルな考え方を持っていた。そういう人
がとても生きにくい時代だったし、だからこそ、最前線に送り込まれた」と分
析した。
この映画を機会に、テレビや出版で硫黄島ものが話題になっている。次号で
はその1つ『十七歳の硫黄島』を紹介したい。
名将のもと弱卒はいなかった実例である。
<参考資料>
梯 久美子(カケハシ・クミコ) (著) 新潮社 (2005/7/28)
『散るぞ悲しき 硫黄島総指揮官・栗林忠道 』 (単行本)
http://www.shinchosha.co.jp/book/477401/
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4104774014/
月刊「文藝春秋」1月号 / 12月9日発売
記事(イーストウッドが惚れた名将の真実
硫黄島 栗林忠道の士魂 対談:渡辺 謙/梯久美子)
秋草 鶴次 (著) 『十七歳の硫黄島 』 (新書) 文藝春秋 (2006/12)
http://www.bunshun.co.jp/book_db/6/60/54/9784166605446.shtml
映画「父親たちの星条旗/硫黄島からの手紙」公式サイト
http://wwws.warnerbros.co.jp/iwojima-movies/
栗林 忠道 (著), 吉田 津由子 (編集)
『「玉砕総指揮官」の絵手紙 』(文庫) 小学館 (2002/03)
http://www.amazon.co.jp/o/ASIN/4094026762/
http://www.edagawakoichi.com/LIBRARY/l-gyokusaisoshikikan.html
山崎農業研究所会員・『電子耕』編集同人
原田 勉
tom@nazuna.com
http://nazuna.com/tom/
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山崎農業研究所現地研究会( シンポジウム)要旨
2006年12月9日(土)新宿区四谷3-5不動産会館内
太陽コンサルタンツ会議室 21名参加
「農村女性の起業活動に学ぶ」
(1)起業の現場から:「風土を活かしたキムチ加工」
群馬県嬬恋村丸山農産漬物本舗 丸山みち子 氏
(2)農村女性起業の現状と課題
農村マーケッテング研究所 所長 山本 和子 氏
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講演要旨
「農村女性の起業活動に学ぶ」
(1)起業の現場から:「風土を活かしたキムチ加工」
群馬県嬬恋村丸山農産漬物本舗 丸山みち子 氏
嬬恋村は長野県と群馬県の県境、2000メートル級の山々に囲まれた人口1.1万
人の村である。夏秋キャベツ生産では全国総出荷量の37.2%を占める。嬬恋の
気候はキャベツ生産に適している。とくに夏の多雨、昼夜の大きな温度差がお
いしいキャベツをつくる。このあたりは温泉やお花畑、スキー場など多くの観
光場所があり人が一年中訪れる。
子共の頃ちょうど終戦で大変な時代であった。家は農家であったので父以外は
全員が女手で、きつい労働に耐えてきた。からだが大きく力があったので、い
つも一番力のいる仕事をやってのけた。漬け物が仕事の中心となるまでは稲作、
養蚕をはじめ、種馬鈴薯、花インゲン、キャベツなどを作っていた。結婚した
主人は観光関係の会社に勤めていたので、農業は自分でやった。
漬け物をつくるきっかけは将来の農業経営を考えたとき、規模の大きな営農は
難しく、とくに野菜は市場価格が不安定なので野菜を加工して商品化しようと
夢を描いた。いまから30年前には、まだキムチは世間に浸透していなかった。
はじめは自分で工夫して趣味として試作を繰り返した。試作品を親戚や知人に
試食してもらううちに伝え聞いた人から声がかかるようになった。さらに旅館
やスーパー、スキー場からも注文を受けるようになった。
場所が手狭になったので家の隣に漬け物工場を造った。倉庫や大型冷蔵庫を増
設し、農機具等を少しずつ買い足し、設備投資を繰り返してきた。嬬恋村の特
産品であるキャベツの漬け物を「なんとかキムチ」に出来たらと思い努力した。
15年前から業界でも初めての「キャベツ・キムチ」が完成して商品化が実現し
た。良いキムチを造るには(1)土作り(2)野菜作り(3)味作りを基本にして、よ
い製品作りを行っている。
現在、おかげさまで、大変好評をいただいて、生産品の売れ行きも広がってい
る。最近は大手の漬け物会社が製造に乗り出してきた。このことで、多くの方
から心配と、励ましのことばをいただいている。需要があるから多くを造るの
でなく、「キャベツ・キムチ」の元祖として、手作りこだわった製造を続けて
行きたい。
キムチ作りして現在30年で、パートや家族10名で丸山農園漬け物本舗を経営し
ている。現在、漬物用野菜は2ha、田んぼと花畑がそれぞれ50アールで合計3
haをつくっている。花作りも道路が整備されて便利になった。ジャーマンアイ
リス、花菖蒲を中心に花園を育て観光に多くの人が訪れるように余力を注いで
いる。
平成9年郷土料理漬け物名人の県知事認定、16年には群馬県の「1社1技術」
に選ばれた。これからも安全安心の食品作りに心がけ、訪れたお客様を大切に
して事業を進めたい。
(文責:安富六郎)
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<編集後記> 「自立」が大事といわれても
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今朝、テレビのニュースで「障害者自立支援法」をとりあげていた。障害者の
福祉サービスの利用に際し、従来は所得に応じ極めて低い負担ですんだが、同
法により、介護保険と同じ1割の自己負担となった。作業施設に通う青年が紹
介されていたが、法律施行後は、費用の負担が重く、それまでのように毎日通
えなくなったという。
要は「自立」という名の弱者の切り捨てである。障害者をかかえる家庭には経
済的に恵まれないケースが多い。もともと自立しがたい人間に向かって自立せ
よとはどういうことか。強いものはより強く、弱いものはそれなりに…という
のであれば、そもそも政治など不要である。
農業に対しても、日本農業は競争力に劣るとか、補助金づけであるとかという
批判はひきもきらない。農業をとりまく環境が、たとえばアメリカやカナダな
どとはまったくちがうのに、日本の農業はだめだ、税金食いだと言われる。
日本の農家の多くは、「兼業」によって世帯としては自立する道を選んできた
ともいえる。そうして地域の土地や水や暮らしを守ってきた。つまり自立しよ
うという努力は重ねてきたのである。障害者をかかえる家庭であっても、これ
まで努力をしてこなかったわけではあるまい。
「自立」にしても「美しい国」にしても、ともかく、この国では言葉が軽んじ
られすぎているような、それをおしつける側の勝手な都合で解釈されすぎてい
るような気がしてならない。
2006年12月27日
山崎農業研究所会員・田口 均
y.noken@taiyo-c.co.jp
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著者:原田 勉 定価:735円 発行日:2002年10月4日
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