シンクタンク山崎農業研究所が農業を中心として健康・食べ物・人物をめぐる情報を提供し、読者との意見交換をはかる農業カルチャーマガジン
- 最新号:2008-09-04
- 発行周期:隔週刊
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『電子耕』No.194-2006.10.19号
発行日: 2006/10/19
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隔週刊「農業文化マガジン『電子耕』」 第194号
−環境・農業・食べ物など情報の交流誌−
2006.10.19(木)発行 山崎農業研究所&編集同人
<キーワード>
環境・農業・健康・食べ物などの情報提供、高齢者と若者、農村と都市の
交流ミニコミ誌。山崎農業研究所&『電子耕』編集同人が編集・発行。
http://www.taiyo-c.co.jp/public_html/yamazaki/yama_index.htm
*************************************発行部数 1353 部***************
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10月28日(土)第122回定例(現地)研究会のお知らせ
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◇日 時 10月28日(土)
◇テーマ;湖沼の水質汚染―改善方策を霞ヶ浦に学ぶ―
10:30 土浦駅(常磐線)東口集合 マイクロバスにて移動
11:15〜12:00 鹿熊種豚場見学(畜産農家)
12:00〜13:00 車中昼食(弁当)
13:00〜14:00 霞ヶ浦環境科学センター見学
14:00〜17:00 シンポジューム(同センター内にて)
「霞ヶ浦の水質改善の成果と課題」 (30分)
元東京大学教授 田渕俊雄氏
「北浦の流入河川の窒素濃度の変遷」 (30分)
茨城大学講師 加藤 亮氏
「畜産三法と地域畜産の現状」 (30分)
「地域農業と結びついた養豚経営」 (30分)
鹿熊養豚場代表 鹿熊 修氏
討論 (60分)
17:30〜19:30 懇親会
◇会費:2,000円(バス代、昼食、資料代を含む)
▽参加希望者は、事務局(益永)までご連絡ください。
問い合わせ先:新宿区四谷3−5 不動産ビル
(事務局)tel 03-3357-5916 fax 3357-6398(益永)
□ 目 次 □----------------------------------------------------
<巻頭言> 「美しい国」を問う 小泉浩郎
<81歳のメッセージ>空飛ぶ鳥も、土を忘れず 原田 勉
<千川上水再発見> その6 上水廃止の理由 安富六郎
<編集後記> 現実はきびしいと言ってすませるのではなく
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<巻頭言> 「美しい国」を問う
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安倍新内閣が発足してそろそろ1ヶ月が経つ。「美しい国づくり内閣」と総
理自身が名づけたが、何が「美しい国」なのか。
文春新書「美しい国へ」を読んだ。予想した「美しい国」は、何処にも見え
ない。ただ、日本人の誇りを持って、頑張れ、負けるな、負けたら再チャレン
ジだというだけである。そこには、水も緑も農業も食べものも語られていない。
「美しい国」とは、「美しい国土」であり、自然と人が織り成す「いのちが
輝く国土」であろう。その国土の「多くのいのち」が、輝きを失いつつあるこ
とこそ問題でないかと思う。自由経済の中、山野が荒れ農業が後退し、競争社
会の結果、規範が失われ、弱者は切り捨てられている。
JICAF(国際農林業協力)のわが国での研修、人気No.3は、水利組合、1村1
品、生活改善だという。限られた資源を守りながら皆で分け合い(水利組合)
自然の恵みを誇りとして特産物を創り出し(1村1品)地域に根付いた暮らし方
を工夫する(生活改善)、自然も生き物もそしてその1部である人間もそれぞ
れに輝いている。これこそが美しい国ではないか。外国から教えられているよ
うな気がする。
本の最後に「わたしたちの国は、美しい自然に恵まれた、長い歴史と独自の
文化をもつ国だ」とある。本のタイトルはここからとったらしいが、それでは
内容が希薄である。そこで皆さん、共に「美しい国へ」を考えて見ませんか。
ご投稿をお願いします。
小泉 浩郎
山崎農業研究所事務局長
y.nouken@taiyo-c.co.jp
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<81歳のメッセージ> 空飛ぶ鳥も、土を忘れず
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10月7日(土)午前1時、ラジオ深夜便「人ありて街は生き」という番組での
話である。
話す人は、藤村記念館長・島崎藤村学会会長、鈴木昭一さんである。
鈴木さんは、昭和20年8月15日、敗戦のラジオ放送を鹿児島の兵営で聞いた。
陸軍二等兵であった。その後初めて藤村の『破戒』を読み、すっかり藤村に魅
せられていった。
『破戒』は明治39年、藤村34歳の時に自身は窮乏の中で二人の幼子を死なせ、
妻も栄養失調であったが、自費出版で出した。
藤村は抒情詩人として出発し、ロマンチシズム運動を経て、日本のリアリズ
ム文学、自然主義文学へと進んでいった。
『破戒』は藤村はリアリズム文学に移っていった最初の長編小説であるが、
これはまた自然主義文学の最初の作品として出版界に高く評価された。
その後『千曲川スケッチ』『藤村詩抄』も発表した。とくに晩年になって創
作し、有名になったのは、父の生涯を題材にした『夜明け前』である。
その島崎家の本陣跡に現在の藤村記念館がある。木曾街道(中山道)馬籠宿
である。
今年から来年にかけ「空飛ぶ鳥も土を忘れず」企画展が開催中であるという。
これは藤村自作のいろはかるたの一つ(そ)にでている。一枚一枚に岡本一平
が描く挿絵が付いている。
http://www.cnet-kiso.ne.jp/t/toson/page4/page4.htm
「空飛ぶ鳥も土を忘れず」は直訳すれば、生きて飛ぶ鳥も土という自然から
生まれ、それに依存して生きているということ。藤村の心境としては、ふるさ
とを失って上京しても常に離れた土地を忘れず、という望郷の念を謳っている
と思う。と鈴木昭一館長は語っていた。
私は深夜1時過ぎ、まんじりともせず聞きほれ、心に染みたひとときを過ご
した。
なお、今年は『破戒』出版100年記念にあたり、ひとり芝居(中西和久主演、
語り三國連太郎、監修五木寛之)で上演された。(10/11〜15・六本木俳優座
劇場)
『破戒』は被差別部落出身の小学校教員、瀬川丑松が身分を隠せという父の
戒めを破り自分自身の出身を告白するまでの苦悩を描いた。
今回の公演では、現代を照射するように告白する場面で、生徒たちにひざま
ずいて許しをこうような窮屈なセリフや態度を取らず、ラストシーンでも新天
地を求めて丑松が米国テキサス州に旅立つことを明らかにしたセリフもない。
「この100年の間に何が変わったのか、自立した己は確立されたのか、差別
についても現実にはハンセン病患者やエイズの被害者への差別はなくなってい
ない。偏見や無知も姿を変えて残っているのではないか。むしろ告白場面は丑
松自らを取り戻すという脚本にし、丑松の己の確立に重点を置いた」と中西は
言う。
私たちも藤村の原作を読んで、改めて現代を考え直そうではないか。
(注1)藤村記念館
http://www.cnet-kiso.ne.jp/t/toson/
現在は岐阜県木曾路馬籠宿にある。
(注2)『破戒』島崎 藤村 (著)
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4003102320/
http://www.iwanami.co.jp/.BOOKS/31/0/3102320.html
岩波文庫; 改訂版 (2002/10)
新しい思想を持ち,新しい人間主義の教育によって,不合理な社会を変えて行
こうとする被差別部落出身の小学校教師瀬川丑松は,ついに父の戒めを破って
公衆の前で自らの出自を告白する.周囲の因習と戦う丑松の烈しい苦悩を通し
て,藤村(1872-1943)は,四民平等は名目だけの明治文明に鋭く迫る.1906
年刊.(解説=野間宏)
(参考・毎日新聞 2006年10月7日 東京夕刊)
山崎農業研究所会員・『電子耕』編集同人
原田 勉
tom@nazuna.com
http://nazuna.com/tom/
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<千川上水再発見> その6 上水廃止の理由
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水量、水質保持のための上流での取水制限効果は持続しなかったであろう。
大雨や洪水でも水路は破損し水質は悪化する。多摩川が干からびると水は来な
いなど、様々な支障があったはずだ。
当時の江戸は度重なる大火で、その対策への出費に頭を悩ましていた。上水
の保守管理も幕府の大きな財政負担になった。修理費の一部を村単位で負担さ
せるには農民も恩恵に浴さねばならない。灌漑水不足は村からの不満となる。
水道使用料がまだ定着していなかった時代であり、市民に「水銭」を課して
も、制度的にしっかりしたものでなかったから、たいした額にならない。しか
も水量が減れば水質も低下し、市民は不満を表すのは当然である。幕府はこの
都市と農村との板挟みに苦しんだに違いない。
江戸の人口増に練馬、豊島の農村発展は必要であった。千川に沿う通り、富
士街道、川越街道、中山道などを通って新鮮な野菜は朝早、江戸に、その帰り
には下肥が運ばれた。上水を廃止してその水を用水に開放すれば、より多くの
賦課金を村別に課すこともできる。周辺農地とくに畑地は都市生活にとって相
互依存的存在であったから、灌漑専用水路にある程度の大儀を与える。このよ
うな考えが上水廃止の本心かも知れない。このことは他の農業用水に変化は無
かったことからも考えられる。
江戸への上水には千川、青山、三田、本所の4線あった。本所以外の3線は
玉川上水の分水であり、これらの水量は少なく、しかも水質も上等でなく、管
理費用の嵩む水路である。しかし、4上水の一括廃止には井戸掘りなどの対策
事業がない限り受益者である寺社、多くの武士、町人など都市住民に大変な混
乱を引き起こすことは明らかである。
この廃止をいかに町民に分かってもらうか、幕府は逡巡したであろう。だが、
ついに享保7年(1722)、玉川上水、神田上水のみを残し、4線を一挙に廃止
することを決断したのである。
幕府の高官であった高名な儒学者、室鳩巣(1658-1734)は、上水と江戸の
火事との関係を結びつけ「地下水道の発達によって地脈(水脈)が絶たれ火災
が発生する」と結論した。頻発する大火は、江戸へ給水されている上水をその
原因と見なしたのである。この高遠な学説に誰が反論できたであろうか。寺社
と言えども、これに鳴りをひそめた。この判断を下した鳩巣とはどのような自
然観を持った人なのだろう。
(山崎農研会員 電子耕編集同人 安富六郎)
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<編集後記> 現実はきびしいと言ってすませるのではなく
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先週、埼玉県の寄居町に子どもたちを連れて出かけきた。環境NGO「ちびっこ
探検隊」のイベント「里山でおさんぽ」に参加するためだ。プログラムを準備
し、わたしたちを受け入れてくれたのは「むさしの里山研究会」である。
むさしの里山研究会
http://www.denq.gr.jp/~satoyama/hyousi.htm
この会の理事長である新井裕さんは耕作されなくなった田んぼを利用しての
「トンボ公園」の活動でも知られている。たしかに荒れた田んぼや畑、そして
山が目に付く。その持ち主たちにとってはやむにやまれぬ、それぞれの事情が
あってのことなのだろうが、なんとも痛々しい。
子どもたちは生き物の多さに大喜びであったし、大人たち(その多くは同じ埼
玉県の住民である)も「こんなに自然が豊かなところがこんなに近くにあった
んだ!」と歓声をあげていた。まちで暮らす人間が、農と結びついた自然との
かかわりをいまほど求めている時代はないのに、現実はきびしい。
しかし、「現実はきびしい」などというのは評論家の陳腐な決り文句だろう。
すこしでも数多くむらに足を運ぶことのほうが、そして、むさしの里山研究会
のような活動に加勢することのほうが、よほど大切なはずだ。それが、自然の
めぐみを享受する人間の作法というものであろう。
2006年10月19日
山崎農業研究所会員・田口 均
y.nouken@taiyo-c.co.jp
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電子耕への投稿アドレスは、117号から発行人の変更に伴い、
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となっております。投稿される方はこちらのアドレスにお願いします。
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書名:岩波アクティブ新書45『メールマガジンの楽しみ方』
著者:原田 勉 定価:735円 発行日:2002年10月4日
発行所:岩波書店 ISBN4-00-700045-X
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2006.10.19(木)発行 山崎農業研究所&編集同人
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