葵マガジンK |
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*多重人格の急須 109*
(全160話)
舞子、使役する 9
遥香は真央子を抱いたまま彼女の傍に来てしゃがんだが、何も言わずにいた。
"主"でさえ、自分の状況を忘れたかのように、無言でいた。
長い時間が過ぎ、舞子は腫れぼったい目をやっと上げて、のろのろと振り向いた。
そこには遥香と真央子――そして遠くに"主"がいるのみだった。
――消えた……
舞子は腫れた目で、その光景をぼんやりと捉えていた。
「哀しい、ことです」やがて"主"が、忘れていた言葉を思い出したかのようにぽつりと言った。「あの多重人格の者たちは――」
舞子はのろのろと"主"を見た。
眼を伏せている。
耳に、病魔に冒された人のような力なき声が届く。
「あの者たちは、あなたを愛しているように見えましたが」
「――」舞子の心も頭も、今は色を失っている状態だった。
「あなたには、愛されているという感覚はなかったのですね」
「――」
「あの大きな男は、あれほどまでにあなたを私の放つ光線から守っていたのに――」
「――」舞子は音を立てて息を呑んだ。
木多丘の姿が、蘇った。
*次回へ*
やつらは「何か」に取り憑かれている──オムニバス・ホラーコメディ
「ハーイ皆死んだ魚の目でチ〜ズ」(作/葵むらさき)
連載中!
おりおん☆
http://de-view.net/
by 葵むらさき
http://murasaki.aoi.peewee.jp/
解除はこちら
http://www.melma.com/backnumber_151885/
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