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発行日: 2006/12/29

*サモンズ・リュート 10*
(全195話)

第一章 三つの秘薬 10

ジュリスは盾をかざして身を守ったが、それは甲高い悲鳴のような音を立てはじき飛ばされてしまった。彼の身の丈と同じほどの大きさの竜の顔が、再び牙を剥いて口を開く。
ジュリスの体がその影に覆い尽くされ、彼が死を察したその瞬間、白熊の背中がゆらりと目の前に現れた。
あっと思う間に白熊は竜の下顎をがっしと両の前肢でつかみ、高々と竜を持ち上げるとばしん、と大地にたたきつけた。ばしん、ばしん。何度も彼は竜をたたきつけた。やがて竜はぐったりと伸びてしまった。
「ふむ、竜か」バートンが茫然と立ちすくむジュリスの背後で関心をよせた。「どら」彼はつかつかと竜の顔に近寄って、その碧眼を一個ナイフでくりぬいた。
「あっ、おい」スノウィが文句をつけた。「これは、俺の喰いもんだぞ」彼はすでに、竜の身の方から食事にとりかかっていた。
「目玉一個ぐらい、いいだろう。もう一個残ってるんだから」バートンは悪びれもせず作業を続けた。
「ふん」スノウィは鼻に皺を寄せながらも承諾したようだった。
バートンは竜の目玉をすりつぶし、他にもこっそり剥がした鱗や、スノウィが吐き出した骨などを採集しては何かを調合していた。
その時になってやっと気付いたジュリスが辺りを見回したが、もうリュートの男は姿を消してしまっていた。

*次回へ*
よいお年を。

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by 葵むらさき

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